忠犬と飼い主~IF~もしもオリ主が黒の組織の幹部だったら?   作:herz

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・IF②で触れていた、ライへのご褒美の話

・IF③を読むとより分かりやすいかもしれません

・いろいろ捏造しています

・オリ主とライの距離が近い

・ライのキャラ崩壊あり

・江戸川コナン、沖矢昴に対して少しだけヘイト表現





IF⑤ライへのご褒美編

 

 

 ――誰かが、室内に入って来た。

 

 そんな気配を感じた俺は目を覚ましたものの、未だに微睡んでいた。その誰かの気配が、よく知っているものだったからだ。

 

 

(……起こしてくれるまで待つとしよう)

 

 

 そう思い、瞼は閉じたままその時を待つ。そうすればきっと、優しく起こしてくれるだろう。

 

 すると、よく知っている気配が窓の方へ動き、その直後にカーテンが開く音がした。一気に室内が明るくなる。……それから、俺が寝ているベッドへとその気配が近づいて来た。

 ギシッ、というベッドの軋む音が聞こえ、静かな息遣いが耳元に近づく。

 

 

「――Good morning(おはようございます),()my dear master(俺の親愛なるご主人様)……」

 

 

 バリトンボイスでそう囁いた男――ライは、意外に細長い指で俺の頬を撫で、起床を促してくる。それがくすぐったくて、思わず笑ってしまった。

 

 

「っふふ……Good morning(おはよう),()my dear dog(俺の親愛なる犬)

 

「……やはり、俺が部屋に入ったあたりから起きていましたよね?……何故、俺に起こされるまで待っていたんですか?」

 

「……くくっ……気がついていながら、わざわざ俺の耳元で声を掛けたんだな?」

 

「俺がそうしたかったので」

 

「そうだろう?……お前がそうしたいだろうと予想していたから、待っていたんだ」

 

 

 ……今回、ライが自分へのご褒美として俺に望んだ事は、"1日だけ、ライが俺のお世話をする事"だった。前日の夜からライの家に泊まってもらい、翌日の夜までお世話がしたいという要望があったため、それに従って昨夜からライの家に泊まり、今に至る。

 俺の世話をする事を望んだライなら、きっと俺を起こす事も望んでいるはず。……そう考えて、わざと待っていたのだ。

 

 

「……お前の望みに沿うようにしてみたんだが、どうだった?」

 

「…………最高でした。滅多に見られないマスターの寝顔を見る事ができましたし、更にあなたが目覚めて1番に目にするのが俺の姿であるという事実……とても気分が良いです」

 

「それは何よりだ。……で、そろそろ起きたいんだが……」

 

「おっと。……失礼しました。どうぞ」

 

 

 俺の上に覆い被さるようにしていたライが体を起こし、それから俺もベッドから起き上がった。

 

 

「既に朝食は用意してあります。マスターの準備が整ったら、リビングに来て下さい」

 

「あぁ。ありがとう」

 

 

 ライが部屋から出て行った後、服を着替えたり顔を洗ったりなどの身支度を整え、リビングに向かう。

 リビングへ続く扉を開くと、朝食の良い匂いがした。この匂いは……焼き魚と味噌汁の匂いだ。

 

 

「マスター。こちらへどうぞ」

 

「ん」

 

 

 椅子を引いて着席を促すライの元へ向かい、その席に座った。それから俺が座る椅子を軽く押し込んだライは、俺の真向かいに座る。

 

 

「……和食か」

 

「はい。以前、マスターは洋食よりも和食を好んでいると言っていましたよね?それからずっと練習していたんです。……それこそ、工藤邸に潜伏していた時期も」

 

「へぇ……俺のために?」

 

「当然です。……マスターに俺が作った料理を食べてもらうのは、今回が初めてです。だから、その初めてを最高のものにしたいと思って……」

 

「それで、俺が好んでいる和食を作ったわけか。……白いご飯にカブの味噌汁、だし巻き玉子。ナスとキュウリの漬物に……さらには俺の大好物の豚の角煮まで……素晴らしい」

 

「!!……これ、好物だったんですか?」

 

「……あれ?言ってなかったか?」

 

「はい」

 

「そうか。……知らなかったとはいえ、それを用意するとは……さすが、俺の犬。よくできた子だ」

 

 

 そう言って軽く頭を撫でてやると、幸せそうに目を細めた。……そうしていると大の男が可愛く見える。不思議だな。

 

 

「じゃあ、さっそく……いただきます」

 

 

 最初に、豚の角煮を一口食べた。俺は好物は先に食べるタイプだ。

 

 

「っ!…………うまい」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「あぁ!うまいよ、ライ。外国暮らしが長いのに、よくここまでうまい角煮を作ったもんだ……」

 

「っ!!……ありがとうございます!」

 

 

 ニコニコと嬉しそうに笑うライを見ていると、俺も嬉しくなった。……にしても、本当にうまい。間違いなく、俺が作った物よりもうまい。

 その後。豚の角煮以外の料理も食べたが、全てうまかった。さすがは俺が認めた男。料理もそつなくこなすか……

 

 

「……ごちそうさま」

 

「お粗末様でした。……この後、昼は洋食ですが、夜も和食を予定していますので」

 

「ほう……朝飯がこのレベルなら、他も期待していいのか?」

 

「ぜひ、期待していて下さい」

 

「うん。任せた」

 

「はい!」

 

 

 共に朝食を食べた後、ライは緑茶を淹れてくれた。……緑茶までうまいとは……こいつは一体何を目指しているんだか……

 

 

「それで?これから夜まではどうやって過ごす?」

 

「まずは、昼食までは一緒にのんびりしてもらい、昼食後に外へ出掛けたいと思っています」

 

「外へ?」

 

「えぇ。……マスターが着る服を、俺に選ばせて欲しいんです」

 

「…………用は、俺の服のコーディネートがしたいと?」

 

「はい!全身のコーディネートを」

 

「全身か……構わないが、何でそんな事を?」

 

「主人の服を見繕う事も、お世話の内です」

 

 

 ふむ……そうゆう事なら、任せてみるか。こいつがどんな服を見繕うのか、興味もある事だし。

 

 それに、ちょうどいい。あの店の事をこいつにも教えてやろう。

 

 

「……分かった。なら、午後は出掛けるとしようか」

 

「ありがとうございます」

 

「ただし、服を買う場所は俺に選ばせてくれないか?」

 

「それはいいですけど、どこに行くんですか?」

 

「俺のお気に入りの服屋だよ。その店の人間は俺にサービスしてくれるし、店が入っているビル自体が特殊でな。会員制で、一般人は入れない。それに、服以外にもいろいろ取り扱ってる店がある」

 

「マスター御用達の店……!俺も行っていいんですか!?」

 

「あぁ。そろそろ、お前にも教えてやろうと思っていたんだ。ついでに、会員になるといい」

 

「……お前に"も"という事は、他にも知っている人間が……?」

 

「コードネームをもらった人間の中で、俺の身内に含まれている奴らは全員知っているぞ。俺が紹介したら、全員もれなく会員になってた」

 

「……そう、ですか」

 

 

 ライは複雑そうな顔をしている。……あぁ、なるほど。

 

 

「……ちなみに、俺が誰かの服を選んでくれと頼まれる事は何度かあったが、俺自身の服を選びたいと言った奴は、お前が初めてだよ」

 

「!!」

 

「だから、ちゃんと考えてコーディネートしてくれ。記憶が薄れつつあるガキの頃を除けば、俺が誰かの選んだ服を着るのは初めてなんだぜ?……後々、良い思い出だと言えるものにしてくれよ?」

 

「っ……はい!必ず素晴らしいものにしてみせます!!」

 

 

 ……やはり、これで正解だったようだな。おそらく、こいつは俺に関係する事で"自分だけ"のものが、何かしら欲しかったのだろう。可愛い嫉妬心だ。

 

 

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 その後。昼食を食べ終わった俺達は、ライが運転する車に乗り、その店に向かった。

 そして現在。俺はライの着せ替え人形になった事で、さすがに疲れていた。……まさか、服の上下を7セットも着せ替えさせられるとは思わなかった。

 

 

「…………なぁ、ライ。まだ着るのか?」

 

「……すみません、マスター。疲れさせてしまったようですね。では、これで最後にしましょう」

 

「おう。……って、おい。これは……」

 

「それは、俺が個人的にマスターに着て欲しいと思った服です。……着て、くれませんか……?」

 

「ぐ……分かった、分かったからそんな捨てられた犬みたいな目で見るなって!」

 

 

 俺はその目には滅法弱いんだ!

 

 

「ありがとうございます、マスター!」

 

「……全く、しょうがねぇな……」

 

 

 苦笑いしつつ、俺は試着室に入り、その服を身につけた。

 鏡には、全体的に色は濃い青だが、上から下にかけてライの服装とほぼ同じものを着ている俺が映っている。

 

 

「まさかの、お揃い……くくっ……本当に、これだから俺の犬は……」

 

 

 大の男が、俺の前では稀に子供っぽい事をする……これだから、ライは面白い。手元にずっと置いておきたくなる。……もっとも、既に捨てる気はさらさらないが。

 

 そして俺は、試着室から出た。

 

 

「あぁ……よくお似合いです、マスター」

 

 

 嬉しそうに、俺の犬が笑っている。そんなに喜んでくれたんだったら、こっちも着せ替え人形になった甲斐があったと思える。

 

 ライはその後、俺が身につけた8セットのうち、彼とお揃いの服を含めた4セットを買った。……俺が払うと言ったのだが、ライは自分が払うといった聞かなかった。普段世話になっているお礼として、これらの服を俺に送りたいと言ってきたのだ。

 結局根負けして、ライの好きなようにさせたのだが……お揃いの服を除いた3セットは、俺が特に気に入っていた服だった。ライには何も言っていないはずだが……さすが、よく見ている。

 

 

(……ん?あれは……)

 

 

 ライの会計を待っている間に店内を回っていた時、ある品物に目を奪われた。……俺は即座に、それを購入しようと決めた。

 ライにバレないようにこっそりと会計をし、それから店員にその品物にある一手間を加えたいと伝えた。すると、店員はその品物を別の店に回してその一手間を加える事を提案してくれたため、俺は購入した品物を預ける事にした。出来上がったら、帰り際に車を止めてある駐車場まで届けてくれるそうだ。

 

 実に良いサービスだ。今後も贔屓にするとしよう。

 

 

 それから、いくつか買い物をして駐車場まで戻る。すると、例の事を頼んだ店員が待っていた。

 

 

「お待たせ致しました。ご注文された商品です」

 

「あぁ、ありがとう」

 

「…………それは?」

 

 

 店員が立ち去ると予想通り、ライが口を開く。

 

 

「ふふ……今は内緒だぜ。後のお楽しみ」

 

 

 訝しげにこちらを見てくるライとは対照的に、俺は笑顔になっていた。

 

 

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 帰宅後、俺はライと共に夕食を食べ終えた。……本来なら、これでライの望みを全て叶えたとして、ご褒美の時間は終わりなのだが……

 

 

「……どうした、ライ?何か言いたげだが?」

 

「いや……その……」

 

「良いぜ、言ってみろ。今回は特別だ。お前には俺の犬になった日から今日まで、よく働いてもらったからな……今日中であればあと1つだけ、何でも言う事を聞いてやろう。……それこそ、どんな無理難題でも聞いてやるぞ?」

 

「!!……それ、は」

 

「そう。ライが俺の犬になった日、お前は俺の言う無理難題を叶えてくれただろう?だから俺も叶えてやろうと思ってな」

 

 

 あの日はある程度戯れたら冗談だと言ってやるつもりだったが、まさか本当に叶えてくれるとは思っていなかったからな……その礼になるといいが。

 

 

「……ありがとうございます。では、お言葉に甘えます。……実は――」

 

 

 ……ライの話を聞いた結果、俺はその予想外な話に驚いた。しかし、できない事ではなかった。むしろ、俺としても叶えてやりたい望みだったため、その望みを叶える事にする。

 

 

 ……数十分後。準備を整えたライが、リビングに戻って来た。

 

 

「お待たせしました」

 

「……ほう。実物を見るのは初めてだな。――それが、沖矢昴か」

 

 

 ソファーに座ったまま振り返ると、そこには沖矢昴……の、変装をしたライがいた。

 

 

「にしても……中身を知っている身としては、その声には違和感しかないな」

 

「それはそうでしょう。全く別人の声ですから。この変声機、なかなかの高性能なので、保管しておく事も考えたのですが……やはり、マスター以外の人間に……それも、あんなガキに着けられた"首輪"を保管しておくなんて、耐えられません」

 

 

 そして、ライは俺に懇願する。

 

 

「必要な事だったとはいえ、俺はあのガキに別人の仮面を被せられた事……そして何より、"首輪"を着けられてしまった事に悔いが残っています。その悔いを、マスターの手で晴らしてもらいたいんです。だから……改めてお願いします、マスター。

 ――沖矢昴を、殺して下さい。他でもない、あなたの手で!」

 

「――任せろ」

 

 

 むしろ、喜んで殺してやるよ。たとえ必要だったとしても、俺の犬に勝手な真似しやがって……江戸コナン……いや、工藤新一だったか。

 ――クソガキが。俺の犬に首輪着けようなんざ、千年早い。

 

 

「じゃあ手始めに、そのメガネからだな」

 

 

 まず、俺は沖矢昴のメガネを取り、それを床に叩き付けてレンズを割った。

 

 

「あ。……悪い。後で破片は片付ける」

 

「いえ、それは俺がやるので別に構いませんが……マスターらしくない、乱暴なやり方ですね」

 

「……それだけ、俺も腸が煮えくり返っているって事だよ。そんな事より続けるぞ」

 

 

 次に、俺は折り畳み式のナイフを取り出し、その切っ先で軽く切れ込みを入れた。

 

 

「破るぞ。目、閉じてろ」

 

「はい」

 

 

 それから一気にマスクを破り、それも床に同じように叩き付ける。

 

 

「……本当なら火を使って盛大に燃やしてやりたいところだが、室内だからな。そこはしょうがない。……さて、最後に……」

 

 

 俺は変声機に――忌々しい"首輪"に手を掛け、それを取り外した。

 

 

「これは……さすがに叩き付けただけじゃ破壊できないか。ナイフも……無理か。となると……なぁ、ライ。この部屋って防音対策されてるか?」

 

「えぇ。対策済みです」

 

「そうか。ならば――」

 

 

 俺は、変声機をなるべく遠くに投げ込み、それを懐に忍ばせていた拳銃で撃ち抜いた。……バチッ、という音がした。

 撃ち抜いた変声機を拾い、ソファーに戻ってスイッチを入れた。……起動しない。どうやら破壊が成功したようだ。

 

 

「これでよし、と。……沖矢昴はこれで死んだ。って事でいいか?」

 

「はい……充分です。ありがとうございました、マスター」

 

「…………ライ。今さらこんな事を聞くのはどうかと思うが、お前、本当に――」

 

 

 ――本当に、俺の手を取って良かったのか。……そう聞こうとした瞬間、ライは首を横に振った。

 

 

「それ以上を言葉にする必要はありません」

 

 

 ――ライは俺の足元に跪き、俺の片手を手に取ると、その甲に口付けを落とし、それから俺を見つめる。

 

 

「……俺は既に心に決めています。――最後が訪れるその日まで、マスターの犬であり続ける、と」

 

「…………ライ……」

 

「それに、」

 

「ん?」

 

「心にもない事を言わないで下さい。マスターは、俺を手放すつもりは微塵もないのでしょう?」

 

「!」

 

 

 …………なんだ。気づかれていたのか。さすが俺の犬。

 

 

「くくっ……あぁ。その通りだ。……今のは、念のためにお前の意志を確認したんだよ。……そして、それ程の強い意志があるのであれば、"これ"を渡しても大丈夫だろう」

 

 

 そう言って、俺はライに小袋を渡した。

 

 

「これは……帰る直前に店員から受け取った物……ですよね?」

 

「あぁ、そうだ。まったく、良いタイミングでこれを買ったものだと我ながら思っているよ。……開けてみろ」

 

 

 ライは小袋を開き、中にある物を取り出した。

 

 

「……っ……!?……これ、は……」

 

 

 ――取り出された物は、チョーカーだった。黒地に赤い線が入っており、中心には黒いドックタグが着いている。そしてそのドックタグの裏には、文字が彫られていた。

 

 

「――To Shuichi(秀一へ ),()From Kazuya(カズヤより)……カズヤ……?」

 

「――荒垣和哉。それが、俺の本名だ」

 

「なっ……本名!?」

 

 

 ライは唖然とした表情で、俺を見ている。……まぁ、そうなるよな。今まで、組織内で俺の本名を知っている人間は、ボスしかいなかったのだから。

 

 ボスから"シンガニ"という名を頂いた時。俺は本名を捨てた。今ある戸籍には偽名を使っている。

 だから、ボス以外で俺の本名を知っている人間はいなかった。……そう。俺の一番最初の弟分である、ジンでさえも知らない。

 

 

「今までボスしか知らなかったその本名を、何故俺に……?」

 

「……なぁ、ライ。もしも俺とボスのどちらかを選べと言われたら、お前はどうする?」

 

「――無論、マスターを選びます」

 

「だからだよ。……俺を選ぶと即答してくれるお前だから、本名を教えた」

 

「……では、ジンは?」

 

「聞いてはいないが、ジンだったらまず即答はできないだろうな。……あいつを絶望から救ったボスと、その後にあいつを育て上げた俺。そのどちらも大切にしているから、天秤に乗せる事も嫌がるだろう。なんなら、両方と答えてもおかしくない」

 

「……なるほど。……しかし、マスター。そんな事を聞くという事は、まさか…」

 

「おっと。勘違いするなよ。俺はボスに反抗する気はないし、組織を裏切るつもりもない。今のは例えば、の話だ」

 

「……もしも本当に、あなたがそれを望むのであれば、俺はあなたについて行きます」

 

「滅多な事を言うなよ。気持ちは嬉しいけどな」

 

 

 こうゆう奴だからこそ、俺は本名を教えたんだ。――こいつなら、心から信頼できる。

 

 

「……ま、そうゆうわけだから、それは無くすなよ?下手をすれば、俺の本名がバレちまう。肌身離さず持っておけ。……あ、それから。それにはGPS機能があるからそのつもりでな。……ちなみに、お前が風呂に入る前とか寝る前以外でそれを外していた場合、余程の理由がない限りは俺への裏切りと見なす」

 

 

 つまり今後、ライがチョーカーを外さない限り、その居場所は俺に筒抜けという事になる。……たとえ逃げようとしても、もう俺からは逃げられない。

 

 

「……世界に1つだけ……お前だけのチョーカーだ。本当はドックタグには何も彫られていなかったし、GPS機能もついていなかったが、店員に頼んだら俺の希望通りの物が返って来た。いい仕事をしてくれたものだ」

 

「…………」

 

「一目見た時、これならお前に似合うなと思ったんだ。今まで俺に尽くしてくれた事、そしてこれからも俺の犬であり続けると約束してくれた事……それに対する、俺なりの礼だと思ってくれ。そしてそれは、今後お前を逃がすつもりはさらさら無いという、意志を示す物だ」

 

 

 すると、ライは俯いた。少し、震えている。

 

 

「…………あー、すまん。もしかして気に障った――」

 

「――違う!!」

 

「っ!?」

 

 

 ライが、怒鳴った。常に冷静を保っているこの男が、感情を剥き出しにしている。

 そのライはというと、座っている俺の足元にすがり付き、俺を見上げた。

 

 

「違う。違うんだマスター!俺はただ、こんなにも嬉しく思った事がなかったから、それをどう表せばいいか分からなくてつい……」

 

「…………」

 

「こんな……これ程の贈り物を貰えて、喜ばないはずがない!俺があなたの犬である証を、形にして貰えたのだから!」

 

 

 ……正直に言えば、たったこれだけの事でこいつがここまで感情を剥き出しにするとは、思っていなかった。全くの予想外だった。

 

 

「これを貰えたという事……さらには本名まで教えてくれたという事は……俺はこれからも、あなたの側にいていいんだよな?――他の奴らとは違って、俺自身を見てくれる、シンガニの側に……」

 

「――――」

 

 

 ……なるほど。だから、ここまで喜んでいたのか。

 

 おそらく、ライは……いや、赤井秀一は、FBIのヒーローとしての赤井秀一でも、組織の人間であるライでもなく、ただの"赤井秀一"を見てくれる人間を、ずっと探していたんだろう。……そんな時に、俺が現れた。

 "ライ"と改めて名付けたものの、"赤井秀一"である事に変わりはない。俺はそう思って、今までずっとただの"赤井秀一"を見てきた。……こいつは、そんな俺の態度に気づいていたんだろうな。

 

 そしてそんな俺が、目に見える形で今後も関係を続けるという意思表示を見せた。……そりゃ、喜ぶよな。

 

 

「――秀一」

 

「っ!!――はい、和哉さん」

 

「改めて、約束しよう。――俺は、お前を逃がさない」

 

「俺も、約束します。――あなたから、逃げない」

 

Good boy(いい子だ)

 

 

 頭を撫でてやると、俺の犬は恍惚とした表情で笑った。

 

 

 

 

 






・新たな"首輪"を送った狂犬の飼い主

 俺の犬が可愛くて今日も幸せ。ライによる甲斐甲斐しいお世話を楽しんだ。……しかし、俺の犬は一体何を目指しているのだろうか。ハイスペック過ぎる……
 ライへの信頼の証、またはもう逃がさないと意思表示をするために、チョーカーを贈った上で本名も教えた。ライはオリ主の中で既に優先順位の1位になっている。次点でボス。その次にジン。

 ライに対してかなり依存している事は、本人も自覚済み。


・新たな"首輪"を貰った狂犬

 俺のご主人様が尊くて今日も幸せ。オリ主のお世話を楽しんだ。……いつかは俺なしでは生きられないぐらいになってくれると嬉しい。
 悔いが残っていた沖矢昴の件を解決してくれたと思っていたら、それに加えて新たな"首輪"まで贈ってもらえたため、過去最高に舞い上がっていた。オリ主のためなら黒の組織を敵に回す事も辞さない覚悟がある。

 本人も自覚はしているが、オリ主への依存は、もう止まらない。止めるつもりもない。むしろアクセル全開で今後も依存を深めていく。




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