忠犬と飼い主~IF~もしもオリ主とルパン三世が過去に出会っていたら? 作:herz
・オリ主視点。最後の方に赤井さん視点。と、ルパン一味がちょっとだけ登場。
「――護衛任務?こんな時にか!?」
「今は例の作戦の後始末や、残党狩りで忙しい事はよく知っているだろう、ジェイムズ」
「……うむ。荒垣君と赤井君の言う事は最もだ。……しかし上からそう言われてしまえば、こちらも逆らえないのだ。……すまない」
……黒の組織のボスとラムを逮捕した日から数日が経過した、そんなある日の事だ。幹部が全員揃って会議を始めようとした時、ボスが気まずそうにある報告をしてきた。
突然FBIの上層部から、ある人物とその娘の護衛をするように、という命令が下されたのだという。
……当然、今の俺達にはそんな余裕はない。組織の残党はまだまだいるし、後始末だって始まったばかりだからな。
「だからって、何で俺と秀一が金持ちの道楽に付き合わなきゃならねぇんだ!」
しかも、護衛をする相手は上層部の人間と懇意にしている資産家で、目的は日本にいる友人に会う事と観光。その護衛役を任命されたのが、何故か俺と秀一だった。
この合同捜査の間、幹部である俺達が後始末の仕事から離れたら、仲間達に迷惑が掛かる。それは避けたい。避けたいのだが……
「……どうにかならないのか、ボス」
「…………すまない」
「…………はぁ……」
……どうやら、どうにもならないらしい。
「……ジェイムズさん。それって、どうしても荒垣さんと赤井さんじゃないとダメなの?」
不憫に思ってくれたのか、コナンがボスにそう聞いてくれた。
「あぁ……その資産家の方がまず、FBIで1番実力のある捜査官に護衛を頼みたいと希望し、さらにもう1人、純日本人の捜査官を寄越して欲しいと言ってきたそうだ」
「……FBIで1番といえば間違いなく、赤井さんです。そして純日本人の捜査官といえば、荒垣さんですね……」
「そもそも、純日本人の捜査官はカズヤしかいないわね」
「え、そうなの?他に日本人の捜査官は?」
「昔は他にも数人いたみたいだけど……今はカズヤしかいないの」
ジョディの言う通り、日本人の捜査官は今のところ俺しかいない。秀一のように、日本と別の国のハーフの捜査官や、クォーターの捜査官はいるのだが……
「なるほど詰みだなクソッタレ!」
「……荒れてますね、荒垣さん……」
「そりゃ荒れるわ!身内に仕事を邪魔されてんだからな!」
どうせその資産家に恩を売って自分達だけが旨い汁を啜るために俺達をこき使おうっていう魂胆なんだろ!?
「ふ、ふふ、ふふふ……老害共め……アメリカに帰ったら1人残らずぶん殴ってやろうかなぁ……」
「あ、荒垣、さん……?」
「ははは……あの―――――が……!!」
「荒垣さんがスラング英語を!?」
「駄目ですよ荒垣さん!そんな汚い言葉を使ったら!あなたは僕の日本の国民でしょう!?」
「どさくさに紛れて何を言っているんだ、降谷君!和哉さんは昔は日本の人間でも、今では米国の人間だ!……いや、今はそれよりも和哉さん、」
「あ?」
「何徹目ですか?」
…………あー……確か……
「……4徹目……?」
「寝ましょう!」
「寝なさい、荒垣君!護衛任務まではまだ1週間ある。詳しい説明はまた明日にしよう!」
「…………そーするわ……」
秀一とボスに促されて、俺は仮眠室で眠る事にした。
……そして、翌日。改めてボスから詳しい話を聞く事になった。
「みんな、昨日は悪かったな。どうも久々の徹夜のせいで情緒不安定になってたらしい」
「和哉さん。もう大丈夫なんですか?」
「あぁ。問題ない。よく眠れたから、頭もスッキリしている」
「……良かった……いつもの荒垣さんだ」
「昨日は明らかにおかしかったものね……」
本当にすまなかった……
「次からはしっかりと休みを取ってくれ、荒垣君。……では、昨日の続きを話すとしようか」
そう言って、ボスが護衛任務について詳しい事を説明してくれた。
まず、護衛対象は資産家のアーロン・ガルシア。そして、その娘のソフィア・ガルシアだ。日本を訪問する目的は、昨日も言っていたように日本人の友人に会う事と、観光をする事。
この資産家の男とその娘は日本が大好きで、年に一回は日本に来ているらしい。だからこそ、日本の治安の良さはよく知っていて、本来なら護衛は自身が懇意にしているSPの人間に依頼するのだが、今回はガルシア氏が、"金はいくらでも出すし、大げさと思われても構わないからFBIの中で1番実力のある捜査官に護衛を頼みたい"と言ってきた。その理由は……
「数ヶ月前、ガルシア邸に脅迫状が送られてきたそうだ」
事の発端は、ガルシア邸に送られてきた脅迫状。そこには、とあるネックレスに関する事が書かれていた。
とあるネックレスとは、ガルシア氏の今は亡き妻、リリー・ガルシアの実家の人間が代々受け継いできた家宝、"エメラルド・フラワー"が埋め込まれたネックレスの事だ。そして脅迫状の内容は、"エメラルド・フラワーを手放せ。さもなくば、ガルシア家の人間は皆殺しだ"……という物騒なものだった。
今現在、そのネックレスを所持しているのは、娘のソフィア・ガルシアだ。生前、病気で苦しんでいたリリー・ガルシアが、死の直前に形見として渡したらしい。
ガルシア氏は、1度はそのネックレスを手放す事を考えたが、亡き妻の形見でもあるネックレスを手放すのは心苦しく感じたため、別の場所に移した上で、厳重に保管しようとした。……しかし、ソフィア嬢はそれに応じなかった。ガルシア氏が自分に渡して欲しいと何度説得しても、彼女は頷かなかったという。
さらには、脅迫状の事もあって中止しようとしていた来日も、今回は彼女の我が儘で実施される事になったとか。ガルシア氏曰く、"娘がこんなに我が儘になる事は今までになかった"……らしい。
「…………話を聞く限りでは、とんだ我が儘娘のように聞こえるが……」
「確かにな。……だが、実際に俺達の目で判断するまで、断定はしないでおこう。もしもそれに何か理由があったとしたら、その子に対して失礼だからな」
「"物事はできる限り自分の目で判断する"……ですね?」
「そうゆう事だ」
……しかし。まだ納得できていない事がある。
「秀一が護衛役に選ばれた理由は分かった。……なら、俺は?ガルシア氏がもう1人護衛役として日本人を選んだ理由は何だ?」
そう聞くと、ジェイムズは困った顔になり、こう言った。
「……娘のソフィアさんが、以前から1度くらいは日本人に護衛をお願いしたい、と言っていたからそれを叶えてやりたい……と、ガルシア氏が言ったそうだ」
「…………」
……頭が痛くなってきた。
「…………俺ってFBIだよな……?今回命令された内容は護衛であって、お姫様のご機嫌取りをする事じゃないよな……?」
「……御愁傷様です。でも、きっとあなたなら大丈夫だと信じていますよ、僕」
「……頑張って、荒垣さん。僕にできる事があったらいつでも言ってね!」
「当日は俺も一緒ですから。何かあればいつでも力になりますよ、和哉さん」
「お前らは……なんて良い子なんだ!……ただし降谷は除く」
「除かれた!?何でですか!?」
「頼りにしてるぞ、コナンと秀一」
「無視!?」
何で除いたか、だって?励ましの言葉が1番他人事だったからだよ!!
「……っと、そうだ。ボス。脅迫状について、何か情報はないのか?特に、脅迫状を送ってきた相手に関して」
「それは現在、本国でも調査中だ。ガルシア氏にも詳しい話を聞いているそうだが……そもそも、エメラルド・フラワーについて知っている人間がいるという事実に驚いていたらしい」
「?……それはどうゆう事だ?」
「ガルシア氏は、このネックレスの存在を知っている人間は、自分と亡き妻と娘、それから長年仕えてくれている執事の、4人だけのはずだ、と証言している」
「何だと?……その妻の実家の人間は?」
「……既に全員亡くなっている。20年以上前に邸宅で火災事故が起こり、リリー・ガルシアを除いて、それに巻き込まれた者が全員亡くなってしまったのだ」
「そう、か……他に、脅迫状に関する事で判明している事は?」
「うむ……今のところは他にはないな」
「そうか……」
「ただ、」
「?」
「今回、ガルシア氏が会う約束をしている友人というのが……コナン君にも関係のある人物でね……」
「え、僕?」
「あぁ。――鈴木財閥の相談役、鈴木次郎吉氏だ」
―――
――――――
―――――――――
……護衛任務当日の朝。俺と秀一は、空港でガルシア親子の到着を待っていた。
「……今日から3日間は護衛任務、か……短期間で良かったな。これなら、仲間達にあまり迷惑を掛けないで済みそうだ」
「そうですね。ただでさえ、例の作戦の後始末も、残党狩りも始まったばかりですし。……しかし、俺は嬉しいですよ」
「何がだ?」
「だって、和哉さんと2人だけの任務は数年振りですから」
そう言って、秀一はにっこりと笑った。
「……お前……本当に変わったよな……6年前までの無表情っぷりが嘘みたいだ」
「俺は変わっていませんよ。今まで隠していたものが表に出てきただけです」
……そんな上機嫌の秀一と共に待ち続けていると、前方からやって来る3人が目に入った。
「秀一」
「はい。あの3人ですね」
「行くぞ。……念のため、失礼がないようにな。俺達への評価は、そのまま仲間達への評価に繋がる」
「心得ています」
「いい子だ」
3人の元へ近づくと、向こうも気づいたようだ。
1人目は、紺色のスーツを着こなしており、金髪碧眼で穏やかな表情をしている、長身の中年男性。
2人目は、中年男性と同じく金髪碧眼で、長い髪をハーフアップにしている、可愛らしい少女。
3人目は、白髪で片眼鏡を掛け、執事服を着ている高齢の男性。
この3人のうち、高齢の男性が声を掛けてきた。
「失礼。FBIの方々ですかな?」
「えぇ。そうです。……あなたは?」
「おっと。失礼いたしました。……私は、ガルシア家の家令を勤めております、ブラッド・テイラーと申します」
高齢の男性……ブラッド・テイラーは、柔和に微笑んだ。
「テイラーさん、ですね。私はFBI捜査官の、荒垣和哉です」
「同じく、赤井秀一です」
「荒垣さんに、赤井さんですね。存じております。……事前に頂いた資料を拝見いたしましたが、お二方はとても優秀な捜査官だそうで、我が主もお嬢様も、そして私としても、とても心強く思っております」
「光栄です」
すると、少女が執事に呼び掛けた。
「ブラッド、早くお二方を紹介して下さい!私、とても気になっているんです!」
「あぁ、お嬢様。失礼いたしました。……それでは、こちらへ」
ブラッドさんに誘導されて、男性と少女の元へ近づくと、男性が口を開いた。
「初めまして。アーロン・ガルシアです。そしてこの子は私の娘の…」
「ソフィア・ガルシアと申します。よろしくお願いします!」
親子は揃ってニコニコと、俺達に挨拶した。……テイラーさんを含め、この3人の印象は今のところ悪くない。みんな穏やかそうな人達だ。
「初めまして。私は荒垣和哉、こちらは赤井秀一です。本日から3日間は誠心誠意、護衛を務めますので、どうぞよろしくお願いいたします」
「あぁ、いや。そこまで固くなる必要はないよ。護衛を頼んだのは私達の方だからね。……実は、後になって聞いたのだが、君達は今とても重要な案件を抱えているのだとか。……此方の我が儘に付き合わせてしまい、大変申し訳ない……」
「だ、旦那様……!」
そう言って、ガルシア氏は深く頭を下げた。そしてそれを見て、テイラーさんが焦っている。……こんなに人目のある場所で自身の主がそんな行動を取ったのだから、焦るのも当然か。
「頭を上げてください、ガルシアさん。確かに、我々が重要な案件を抱えている事は事実です。……しかし、それでも最終的にこの任務を受けると決めたのは、我々自身なのです。ですから、あなたが頭を下げる必要はありません」
「し、しかし…」
「ガルシアさん。……我々としても、自国の大切な国民であるあなた方に危機が迫っているとなれば、見過ごせないのです」
「……荒垣さん……」
「それに、」
「……?」
「――資産家の親子の護衛を、FBI捜査官が見事成功させた事が広まれば、きっと自国内で我々の評価が上がるはずですから」
こっそりとそう言って、わざとらしくウインクをして見せれば、ガルシア氏はきょとんとした後に、大声で笑った。
「っはははは……!!驚いた!顔に似合わず、意外にも強かな男だな君は!」
「顔に似合わず、とは一体どうゆう事なのかじっくり問い詰めたいところですが……今はそれよりも場所を移しましょうか。ここでは人が多過ぎます」
「おっと、そうだな。では、私達が予約しているホテルへ行こうか。私達は毎年日本へ来る時、いつもそのホテルに宿泊しているんだ。……ブラッド。既に車も回されているはずだな?」
「はい。先ほどホテルから連絡がございまして、既に送迎車が到着しております。私が先導いたしますので、どうぞこちらへ」
―――
――――――
―――――――――
テイラーさんに先導されて向かった先にあったのは、見るからに豪華な1台のリムジンだった。
(……送迎車が1台だけだと聞いた時は人数的な意味で不安だったが……なるほど。これなら全員乗れるな……)
というか、これほど豪華なリムジンが送迎車って……一体どんなホテルなんだ?
それから全員が乗り込み、リムジンが発車した。……ふと、先ほどから思っていた事を口にした。
「それにしても……皆さん、日本語がとてもお上手ですね。驚きました」
「ふふ……それはそうですよ。私もお父様もブラッドも、みんな日本が大好きなんですもの」
と、誇らしげにソフィア嬢がそう言った。
「そうですか。……日本人である私としては嬉しい限りですね。ここは、私の故郷ですし」
「そういえば、君はいつからアメリカに?」
「13になったばかりの頃、父親の転勤が理由で家族と共にアメリカに。それ以来は現在までの25年間、ずっとアメリカで過ごしてきました」
「え……ちょ、ちょっと待って下さい。25年前が13歳という事は……今は、38歳……?」
ガルシア氏の問いに答えると、ソフィア嬢が困惑した様子でそう言った。……おや?彼女は俺の年齢を知らなかったのか?
「あぁ……そうだった。ソフィアにはまだ彼らの事を詳しく説明していなかったな。FBIで1番の実力を持つ捜査官と、日本人の捜査官が来るとしか……」
「えぇ、そうですよお父様!私すっかりもっと若い方だと勘違いしてしまって……!ごめんなさい、荒垣さん!」
「いえいえ、構いませんよ」
「……さすが和哉さん。相変わらずの若々しさですね」
と、隣に座っている秀一がボソッと呟いたので、その足を思い切り踏んでやった。
「っ!?……っ何故踏むんですか、せっかく褒めたのに……」
「童顔で悪かったな!」
「いや、そうとは言ってませんよ……」
「知ってる。ただの八つ当たりだ」
「……それはさすがに理不尽過ぎですよ師匠……」
「「「師匠……?」」」
……あー……やっぱりそれが気になるか……
「……元々、私は彼の教育係だったのですが、それの延長線のようなもので、今は師弟関係にあります」
「今の私がいるのも、全ては和哉さんの師事のおかげです。私は、彼の弟子である事をとても誇りに思っています」
俺の言葉の後に、秀一がそう言った。すると、3人は感嘆の声を上げた。特に、ソフィア嬢は瞳をキラキラと輝かせて俺を見ている。……子供の純粋な目が、精神的なプレッシャーとなって襲い掛かってきた。
「凄い……凄いです!FBIで1番の捜査官である赤井さんの師匠だなんて……
そして、そんなお二方が護衛についてくれる……これほど頼もしい事はないですね!」
「えぇ。お任せください。私と師匠がいる限り、あなた方の身の安全は保障します。……ですよね?和哉さん」
やめろ……そんなキラキラした目で見つめるな……!
って、ソフィア嬢やガルシア氏、それにテイラーさんまで同じような目でこちらを見つめている……!?
…………あぁ、もういい。分かったよ、言えばいいんだろ!?
「――弟子の言う通り、あなた方の安全は、我々が保障しましょう」
任務初日から胃が痛い……
―――
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……その後、ガルシア氏達が宿泊するホテルに到着し、彼らが寝泊まりする一室へと案内された。その一室はとても広く、そして豪華だった。
「…………こんな豪華なホテル、初めて見たぞ……」
「俺も初めて見ました……」
荷物運びを手伝いつつ、ひそひそとそんな事を秀一と話す。……やがてそれも終わったため、今度は全員で一室の中でも1番広い部屋のソファーに座り、今後の行動について打ち合わせをした。
その中で、やはり態度が固いからもう少し気安くしても構わないと言われた。俺達はやんわりと断ったが、ガルシア氏とソフィア嬢は、俺達ともう少し距離を縮めたいらしく、どうしてもと言われてしまった。
ではそれに対して執事はどう思うのか、と聞いてみると、彼は"旦那様とお嬢様の望みを叶えて欲しい"と願ってきた。……結局。話が進まないからと、俺達の方から折れる事にした。
……まぁ、確かに。俺達も途中から彼らを警戒する事を止めて、互いを相手にする時は素で話してしまっていたから、今さらではあるよな……
「……では、俺がソフィアさんの護衛を。そして、秀一がアーロンさんの護衛を主に担当すればいいんですね?」
「あぁ。それで頼むよ」
「了解しました」
「まぁ……嬉しいです。私、以前から1度は日本人の方に護衛をしてもらいたいと思っていて……」
「ちなみに、それは何故?」
「日本人の方が護衛してくれるのなら、いつでも日本についていろいろな話ができるでしょう?いつも護衛してくれる人はみんな外国の方達だから、日本について話す事ができないのです……」
なるほど。だからか……
その後、しばらく打ち合わせをした後に、アーロンさんが俺を見る。
「さて、打ち合わせはこれくらいで充分だろう。あとは何か不都合が出た場合、また相談する事にして……荒垣君」
「はい?」
「実は、君には護衛とは別にお願いしたい事があってね……ブラッド、準備はできているか?」
「はい。既に別室にて準備は整っております」
「よし。ではその部屋に行こうか。……荒垣君、着いてきてくれ。詳しい話はその部屋で」
「?……分かりました。……秀一。お前はソフィアさんと一緒にいてくれ」
「了解です」
「お父様、ブラッド。私達を仲間外れにするんですか?」
「ははは。いや、そうゆうわけではないのだよ、ソフィア。後でちゃんと話すから、今は待っていてくれ」
「…………はーい……」
秀一と、不満そうにしているソフィアさんを置いて、別室へと移動した。
何故だろう。嫌な予感がする……
―――
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和哉さんがアーロンさん達と共に別室へと入って行った後、ソフィア嬢が俺に話し掛けてきた。
「ねぇ、赤井さん?」
「はい、何でしょう?」
「あ、今は敬語はいらないわ。お父様達がいないもの。あなた、敬語は苦手なんでしょう?」
「……よく分かったな、ソフィアお嬢様?」
「呼び方も、お父様達がいない時は気安くソフィーと呼んで欲しいの」
「では、ソフィー。……何故、俺が敬語が苦手だと分かったんだ?」
「んー……なんとなく、私達に対して敬語を使っているあなたの様子が、居心地が悪そうに見えて……あ、でも、」
「でも?」
「荒垣さんに対して敬語で話している時は、むしろ生き生きとしているように見えたわ。……あなた、本当に荒垣さんの事を尊敬しているのね。きっと、心の底から」
「…………」
……まさか、こんなにも早くにそれを見抜かれるとはな……
さすがに仕事中は自重して、普段の和哉さんへの態度を隠していたのだが……この子供、なかなか侮れない。
「……参ったな。まさか見抜かれるとは思ってもみなかったよ」
「ふふ……私、そうゆう人の機微を見抜くのが得意なのよ」
「素晴らしいな。うちに欲しいくらいだ」
「あら、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ。……そうだ。話は変わるけど、荒垣さんってどんな人なのかしら?」
「……ホー……和哉さんを心底尊敬している俺にそれを聞くのか?長くなるぞ?」
「構わないわ。お父様達が戻ってくるまで暇だもの」
そこまで言うなら、思う存分話してやろう。
……そして和哉さんの話をしつつ、待つ事数十分……ようやく別室の扉が開き、アーロンさんとテイラーさんが現れた。
「待たせてすまなかったね。話は終わったよ」
「お父様。もう少し遅くても良かったんですよ?今、赤井さんから荒垣さんの話をたくさん聞いていたので」
「おや、それはそれは……赤井君とは仲良くなれたのかな?」
「それはもう!……ね?赤井さん」
「えぇ。……お嬢様は聞き上手ですね。つい、話し込んでしまいました」
「そうか!それは良かった」
「……それで、和哉さんは?」
「おぉ、そうだった!説得に時間が掛かったが、なんとか頷いてくれたよ。きっと、今の彼を見れば驚くぞ!なぁ、ブラッド?」
「えぇ。我ながら素晴らしい出来栄えだと思っております」
「「……?」」
ソフィーと顔を見合せ、首を傾げた。……一体、何をしていたんだ?説得やら出来栄えやらと言っていたが……
…………もしも、和哉さんに無理強いをしたのであれば、いくら依頼人とその執事であってもただでは済まさない――
「……さぁ出て来てくれ、荒垣君」
――という物騒な思考は、別室から現れた和哉さんの姿を見た事で、吹っ飛んでいった。
「――あら……まぁ!素敵……!!」
ソフィーの歓声を聞きながら、俺はいつぞやのように唖然として、間抜け面を晒してしまった。
和哉さん……一体、何があって
(――テイラーさん、
―――
――――――
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米国の某所にて――
「……くっ……くくく……!!」
「お、おい……ルパン?」
「……また何か悪巧みを……?」
「ははは……!!」
「おい、ルパン!一体何があった?突然笑い出しやがって……」
「ははっ……いやぁー、聞いてくれよ次元、五ェ門!次に狙う予定のお宝……"エメラルド・フラワー"の情報を探ってたら、良い情報が手に入ってさぁ……!!」
「へぇ……その情報ってのは?」
「んふふ……内緒♪」
「はぁ?」
「……どうゆう事でござる?」
「んー……正確には、お前らにとっては関係なくても、俺にとってはかなり重要で、とっても良い情報って言えるなぁ」
「……それで、笑ってたのか?」
「あぁ。……昔を思い出すぜ……俺がまだ若い頃にやらかした事を、な……」
「やらかした……まさか、女子に乱暴を……!?」
「んなわけあるか!!むしろ相手は当時まだガキだった男だよ!」
「何だと……?てめぇ、まさかペド…」
「違うっての!!……それにしても、まさか今は38だなんてな……って事はあの時は17か18?……とんだ童顔だな……」
「……お前がそうゆう趣味かどうかはさておき、その当時はまだガキだった男ってのは、一体どんな奴なんだ?」
「俺はペドじゃないぞ。違うからな!……そいつはなぁ……主に2つの意味で、俺の恩人なんだ。そして今回の仕事には、必ずそいつが関わってくる。なんといったって、そいつはFBIだからなぁ……
まぁ何にせよ、俺様がやる事は変わらねぇ。いつも通り仕事を終わらせて……そして――あの日の借りを、必ず返すんだ」
「待ってろよ――荒垣和哉」
・大泥棒とエンカウントした飼い主
今だけではなく若い頃も無茶をしていた飼い主。もしも昔の無茶が忠犬にバレたらお説教される事でしょう。
上層部の無茶振りにより、赤井と共に護衛任務につく事になった。あの―――共、いつか絶対にぶん殴る……!!しかし、実際に任務へ向かうと、護衛対象の親子とその執事が良い人で一安心。
……と、油断していたら面倒事を頼まれた上に、正直に言えばあまり着たくない服を着せられる事になった。
なんで俺がこんな格好をしなきゃいけないんだ!絶対に似合わないだろ!?
・子供()に守られた大泥棒
まさか、この俺がガキに命を救われるなんて、な……
当時のオリ主は大体17か18ぐらいの年齢だが、13か14ぐらいだと勘違いしていた。今回、事実を知って驚く。
再会できたその時は、必ず借りを返すと決意している。ただし、仕事の方を優先させる模様。
既に"エメラルド・フラワー"については、オリ主達よりも詳しい情報を掴んでいる。
――再会の時は近い。
・久々の2人きりの仕事でご機嫌な忠犬
飼い主と一緒に任務を遂行できてニコニコ。ある意味、黒の組織を相手にした任務についていた時よりも張り切っている。
だが、内心では忙しい時に無茶振りをしてきた上層部に対して腸が煮えくり返っている。この恨み、いつ晴らしてやろうか……
任務中、依頼主と共に消えたオリ主が再び姿を現した時、ついポーカーフェイスが崩れてしまった。
和哉さん、その格好は一体……!?だがしかし、執事は良い仕事をした!!