忠犬と飼い主~IF~もしもオリ主とルパン三世が過去に出会っていたら?   作:herz

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・オリ主視点。

・今回は特にオリジナル色が強い。

・赤井さんは最後にちょっとだけ登場。




IF③ 護衛任務~2日目~ 後編

 

 

 ……やがて、ルパン三世達のアジトだという、古い空き家に到着した。周囲に人気はない。

 まだ眠っているソフィアさんを抱え、今度は次元大介に銃を突き付けられながら、空き家の中に入る。……少し狭いな。仮に暴れたとして、3人の男に囲まれている状態でソフィアさんを庇いながら戦うのは無理そうだ。……やはり、助けを待つしかない、か……

 

 

「とりあえず、眠り姫様はそこのベッドに寝かしてやってくれ」

 

「…………」

 

 

 俺はその言葉には従わず、ソフィアさんを抱えたまま、ベッドに座った。

 

 

「手放した瞬間、眠っているソフィアさんに何をされるか分からないからな。このまま話を聞こう」

 

「……相当警戒されてるな……」

 

「いやいや……さすがはFBIの元エースだぜ。一瞬たりとも気を抜かねぇ」

 

 

 と、その時。眠っていたソフィアさんが目を覚ました。

 

 

「ん、う……?…………へ?っひゃあ!」

 

「!?ソフィアさん、落ち着いて!そんなに暴れたら落ちてしまう!!」

 

「あわわわ……!!」

 

 

 起きた瞬間、俺を見て顔を真っ赤にして暴れ出した。慌ててそれを押さえつつ、俺の隣に座らせる。

 

 

「ご、ご、ごめんなさいぃ……!」

 

「いえ……目が覚めて男の顔が間近にあれば、それは暴れたくもなるでしょう。仕方ありません」

 

「あ、いえ!別に荒垣さんの事が嫌だったわけじゃなくて……!」

 

「それは分かっていますから、大丈夫ですよ」

 

「…………なーんかラブコメでも見ているような気分になるぜ……」

 

「砂糖を吐きそうになるでござる」

 

「っ!?」

 

 

 そこでようやく、俺以外に人がいる事に気づいたらしい。周囲を見渡したソフィアさんは困惑した。

 

 

「ここは……一体どこですか?救護室ではないですよね?それに誰なんですかあなた達は!」

 

「……ソフィアさん。実は……」

 

 

 そこで俺は、あえて淡々と経緯を説明した。……すると、全く動じていない――ように見せかけている――俺の様子に安心したのか、彼女も落ち着いてきた。

 

 

「……そう、ですか……ごめんなさい、荒垣さん。こんな事に巻き込んでしまって……」

 

「いいえ。これはあなたのせいではありません。テイラーさんが偽物であると看破できなかった、俺達の責任なのです」

 

「で、でも……!」

 

「……申し訳ない。今は、こいつらの目的を知る事を優先させてください。」

 

 

 そう言って、俺はルパン三世を見た。

 

 

「で?説明してくれるんだろ?」

 

「あぁ。……まず、俺がエメラルド・フラワーの存在を知ったのは、全くの偶然だった。

 

 ……昔、とある彫金師がいた。ひょんな事からその彫金師の手記を手に入れた俺はそれを読み……エメラルド・フラワーの存在を知った。

 その手記によると、彫金師はとある貴族に恨みを抱いていた。自分が作った装飾品の事を、その貴族が馬鹿にしてきたからだ。彫金師が作る装飾品は全て駄作だ、と。……そこで、彫金師は貴族を見返すために、その貴族にある話を持ち掛けた。

 

 "自分は今までに作った事のない最高傑作を作ってみせる。それが成功したその時は、その言葉を撤回して謝罪してくれ。……しかし、それがもしも失敗したら、馬鹿にしてくれて構わない。それどころか、自分は彫金師を辞めてやろう"

 

 ……ってな。……貴族は、その話に乗った。さらに、"もしも素晴らしい物が出来上がったら、それを買い取って我が家の家宝としよう"とまで豪語したんだ。

 ……結果は、彫金師の勝利。見事に最高傑作を作ってみせた彫金師は、貴族の謝罪を受けた。そして、貴族は宣言通りその最高傑作を家宝とし、彫金師と貴族が亡くなった後も、貴族の家系で代々受け継がれていく事になった。……その最高傑作が、エメラルド・フラワーだった。……ここまでは、いいか?」

 

「……あの、その貴族の家名は……?」

 

「――フローレス」

 

「っ……!……やっぱり、お母様の実家の……」

 

「そう。つまり、ソフィア嬢の母親の先祖が、その貴族だったわけだ」

 

 

 その後も、話が続く。

 

 

「さて。それで話が終われば良かったんだがなぁ……そうは問屋が卸さない。実はエメラルド・フラワーには、とある秘密があったんだ。……ただ、それについて話す前に、前後して悪いが、ガルシア家に脅迫状を送った犯人の目的について話しておこう」

 

「ついでに、てめぇがわざわざ銭形警部にメールしてまで犯人逮捕を急いだ理由についても教えろ」

 

「まぁまぁ、そう焦るなって!……で、その犯人の目的ってのが――アメリカ全土を標的とした、大量殺人だった」

 

「えっ!?」

 

「アメリカ全土、だと……!?」

 

 

 そんなとんでもない事を考えていたのか!?

 

 

「エメラルド・フラワーの事を調べていたら、芋づる式に犯人の計画の事も知ったんだ。……知ってしまったからには、それを放っておくわけにもいかねぇ。しかもそいつは、脅迫状に従ってガルシア家がエメラルド・フラワーを手放したとしても、ガルシア家の人間を皆殺しにするつもりだった」

 

「っ!!」

 

 

 ソフィアさんが息を呑んだ。顔色も悪くなっている……

 俺は少しでもそれが和らぐようにと、側に寄り添った。

 

 

「そして、俺がそのとんでもない計画を知った時には、ソフィア嬢達が日本に行く日が決まっていた。犯人もそれに合わせて日本に行き、エメラルド・フラワーを強奪するつもりだったらしい。

 それを知った俺は、急いで情報をかき集めて銭形のとっつあんにその情報を送り、それを見たとっつあんが裏取りをしてからFBIにその情報を提供した。で、昨日逮捕されたってわけだ」

 

「…………」

 

 

 ……昨夜報告された内容との食い違いもない。これは、本当の事なのだろう。だとすれば次は……

 

 

「……ならばそもそも、何故犯人はエメラルド・フラワーを狙った?話の内容から察するに、金銭目的ではないだろう。そうじゃないなら、何故それを狙った?

 それに、本当ならエメラルド・フラワーの事を知っている人間……それも生きている人間は、アーロンさんとテイラーさんとソフィアさん。あとは、彫金師の手記を読んだてめぇだ、け…………」

 

 

 …………いや。まだ、それを知っていそうな人間がいる!

 

 

「……おい、ルパン三世。さっきの話に出てきた彫金師の家名は?」

 

「ぬふふ……気づいちゃった?……彫金師の家名は――ペレスだ」

 

「!!……やはり、そうか……」

 

「それって、昨日荒垣さんが言っていた犯人の……!?」

 

「えぇ。その通りです」

 

 

 昨日逮捕された犯人の名は――

 

 

「ロバート・ペレス……つまり、そうゆう事なんだな?」

 

「そう、大当たり!……今回の犯人の正体は、例の彫金師の子孫だったのさ。

 おそらく俺が手に入れた手記以外にも、エメラルド・フラワーの事が記された何かが残っていたんだろうな。その何かを見た犯人は、エメラルド・フラワーを手に入れて、自分の目的のために使おうとした。

 ……さて、そろそろ話を戻すぜ。エメラルド・フラワーには一体、どんな秘密が隠されているのか……」

 

 

 ようやくか……

 

 

「エメラルド・フラワーは、その名の通りエメラルドで構成されたネックレスだ。……しかし。一部にエメラルドとは異なる物が混ざっている。その一部こそ、俺達が回収したい物でな。

 ……それは、とある未知の鉱石から作られた。その鉱石は、世間一般ではまだ知られていない。それどころか既に採掘できなくなった鉱石だ。よって、正式な名前はねぇが……例の彫金師は手記の中でこう名付けていた。――悪魔の鉱石、と」

 

「悪魔の鉱石……ね。名前からしてヤバそうな代物のようだが……毒でも含まれてたのか?」

 

「あら、和哉ちゃん鋭い!その通り!悪魔の鉱石には人体に有害な毒が含まれていたんだ。それも、相当強い毒がな。……これはたとえ小さな欠片だったとしても、使い方次第で大人数を毒殺できるほどの代物だ。

 それを知ったロバート・ペレスがこれを求めるのも頷ける。奴の目的は大量殺人だったからな。……既に採掘できなくなった現状で、悪魔の鉱石が残されているのは、エメラルド・フラワーの一部にのみ。だから、奴はエメラルド・フラワーを狙った。

 

 で、その問題の一部が……エメラルド・フラワーの中心部分。一番大きいエメラルドの台座の裏側……そこにも、宝石が埋め込まれてるだろ?エメラルドと同じ、緑色の宝石がな……」

 

「……そうなんですか?ソフィアさん」

 

 

 俺はまだ実物を見ていないから、それについては知らない。

 ……すると、ソフィアさんはエメラルド・フラワーを直に見せてくれた。

 

 

「これが、エメラルド・フラワー……」

 

 

 ……なるほど。最高傑作というのも頷ける。一番大きいエメラルドを中心に、小さなエメラルドがそれを囲むように配置されていて、名前の通り一輪の花のように見える……実に美しいネックレスだ。

 そして、ソフィアさんはネックレスを首に掛けたまま、それを裏返した。

 

 

「……確かに、緑色の宝石が…っていうかこれもエメラルドじゃないのか?」

 

「私も、お母様からそう聞きました……」

 

 

 すると、ルパン三世は"ちっちっちっ"と指を振った。……なんかムカつくな。殴りたくなるからそれ止めろ。

 

 

「確かに見た目はそっくりだが、実は違う。見分けるためには、それを日の光に当てる必要があるんだ」

 

「光……」

 

 

 ソフィアさんの視線が、この部屋の窓に向けられた。ちょうど、日の光が差し込んでいる。彼女はそれを見てすっと立ち上がり、窓の近くへ。……俺も共に立ち上がり、彼女の背後へ移動した。何があっても対処できるよう、ルパン三世達の動きを警戒する。

 それを見て、近くにいた次元大介が口を開いた。

 

 

「そんなに身構えなくても、俺達は何もしねぇぞ?」

 

「これが俺の仕事だ」

 

「……仕事熱心な事で。けど、そうゆうのは嫌いじゃないぜ」

 

「はいはいそりゃどうも」

 

「棒読みかよ。つれねぇな……」

 

 

 やれやれと首を振るおっさんはさておき、俺はソフィアさんの後ろから、彼女がエメラルド・フラワーを光に当てる様子を見ていた。……すると、

 

 

「あっ……!!」

 

「――赤くなった……!?」

 

 

 緑色の宝石が、赤に染まったのだ。

 

 

「……そう。それが、エメラルドと見分ける方法さ。悪魔の鉱石は普段は緑色だが、日の光が当たった時だけ、赤く染まる」

 

「本当に……この宝石が、悪魔の鉱石?」

 

「あぁ、そうだよ。ソフィア嬢」

 

 

 ……その時。俺の頭に胸糞が悪く、そして最悪な予想が浮かんだ。

 

 

「…………ルパン三世。聞きたい事がある」

 

「ん?」

 

「悪魔の鉱石は、使い方次第で大人数を毒殺できるほどの物だって、さっき言ってたよな?」

 

「……あぁ」

 

「じゃあ――それが、ずっと人肌に触れていた場合は?その触れていた人物には、一体どれだけの影響が出る?」

 

「荒垣、さん……?」

 

 

 ソフィアさんが不安そうに見つめてくる。……申し訳ないが、今の俺にはそれを安心させてやれる余裕がなかった。

 

 

「……即死するほどではないが……じわじわと蝕み、いずれその人物を死に至らせるぐらいの影響なら、ある」

 

「っ……その過程では、どんな症状が出る?」

 

「まず、体調が崩れやすくなる。それから徐々にそれが悪化して、最終的にはベッドで寝たきり状態だな。しかも体内から毒が検出されるわけでもなく、直接触れている肌に変化が見られる事もないから、医者から見ても原因不明の病に冒されたようにしか見えねぇだろうな。

 ……ちなみに、初期症状は目眩や吐き気、それから――急激な眠気だ」

 

 

 あぁ……何てこった。俺はその症状を、目の前で見ていた……!!

 

 

「それ、は……それは、私の……!?」

 

 

 ……どうやら、ソフィアさんも気づいてしまったようだ。

 

 ――自身につい先ほど、その初期症状が見られた事に。

 

 

「……例の彫金師は、謝罪されたとしてもその貴族を許すつもりはなかったらしい。だから、わざわざ"自分への謝罪の証として、エメラルド・フラワーを肌身離さず、生涯ずっと身につけていてくれ"と念入りに言い聞かせて、その貴族をじわじわと死に至らしめる事にした。

 そして貴族はそんな彫金師の思惑に気づく事もなく、"エメラルド・フラワーを受け継いだ者は、生涯それを身につけておく事"と律儀にも家訓に残してしまった。そうして受け継がれていった結果……フローレス家の人間は短命である、なんて噂がついて回るようになった……」

 

 

 やはりそうゆう事だったのか。俺が考えていた、胸糞が悪く最悪な予想……それが当たってしまった。

 

 

「じゃあ……お母様が病気で亡くなったのは……!?」

 

「……間違いなく、悪魔の鉱石が原因だな」

 

「それなら、私、も……?」

 

「…………いずれは、母親と同じ状態に陥るだろう」

 

「……っ……」

 

「ソフィアさん!」

 

 

 顔面蒼白となり、崩れ落ちそうになったソフィアさんを慌てて支えた。その後、彼女を誘導して再びベッドに座らせる。

 

 

「……だが、それも悪魔の鉱石に触れ続けていたら、の話だ。それだけ取り外してしまえば、あとは無害な宝石しか残らない。……だから、俺にそれを回収させてくれ」

 

「…………これを回収して、それからどうするつもりですか……?」

 

「俺が責任を持って、処分する。もう2度と、誰かの手に渡らないように」

 

「…………」

 

 

 ソフィアさんは、しばらく何かを考える様子を見せた後、俺を見た。

 

 

「……荒垣さん。あなたは、どう思いますか?……この人に任せても、大丈夫だと思いますか……?」

 

 

 その言葉を聞いたルパン一味の3人の視線が、俺に集まった。

 

 

「……そもそも、こいつの言葉が信じられるか、否かですよね。もしも嘘だった場合、こいつが悪魔の鉱石を悪用する可能性だってある。こちらとしては、そのネックレスを回収し、FBIで研究した後に処分したい……」

 

「そう、ですよね……」

 

「あらら……やっぱり信用が…」

 

「というのが、FBI捜査官としての俺の判断ですが――ここからは、ただの荒垣和哉として、回答しよう」

 

「え?」

 

「おぉ?」

 

「結論から言えば、俺にはこいつが嘘をついているようには見えなかった。こいつは真剣に、君の身を案じているようだ。……もしもこいつが悪魔の鉱石を悪用するような人間だった場合、こんな比較的穏便な方法は取らずに、強引に奪う方法を取るはずだ。その方が手っ取り早いからな」

 

 

 それこそ、ソフィアさんが眠ってしまった時に俺を倒し、エメラルド・フラワーを奪う事だって可能だったはずだ。その時の俺は両手が塞がっていたし、ルパン三世が化けていたテイラーさんに背を向けていたからな。隙だらけだった。

 ……それにしてもまさか、入れ替わっていた事に気づけなかったとは……もっと精進しなければ。

 

 おっと、それはともかく。

 

 

「……しかし、こいつは手っ取り早く奪うのではなく、わざわざ君に説明した上で、その一部だけを回収するという方法を選んだ。それは何故か。……俺は、その理由がソフィアさんを気遣ったからではないかと思うんだが……どうなんだ?」

 

「…………さぁて。どうだかな。俺様は泥棒――悪党だから、な」

 

「ただの悪党が20年前に、勝手に厄介事に首を突っ込んで撃たれた馬鹿なガキを助けたりするかね?」

 

「…………」

 

 

 俺がそう言うと、途端に黙り込んでしまった。

 

 

「……さて。ソフィアさん……今のはあくまで、俺個人の考えだ。最終的にどうするのかは、君に任せよう」

 

「いいんですか?私が勝手に決めてしまって……そんな事をしたら、あなたがFBIの人達から怒られてしまうんじゃ……」

 

「気にしないでくれ。1番煩い上層部の老害…ごほん、失礼。お偉いさん達の事はどうにか説き伏せておくから」

 

「……今、老害って言わなかったか?」

 

「言ったな」

 

「言った」

 

「こそ泥トリオは黙ってろ。……それで、君はどうしたい?」

 

 

 俺がそう問うと、ソフィアさんは、

 

 

「――ルパンさん達を、信じます」

 

 

 と言った。

 

 

「……分かった。俺は、君の判断に従おう」

 

「え、本当に?いいのか、ソフィア嬢」

 

「はい。私は、そうすると決めました」

 

 

 そう言って、彼女はエメラルド・フラワーを首から外した。そして、それをルパン三世に差し出す。

 

 

「――確かに、受け取った。……次元。工具箱持ってきてくれ」

 

「あいよ」

 

 

 その後、ルパン三世は次元大介が持ってきた工具箱から道具を取り出て、俺達の目の前で慎重に悪魔の鉱石を外し、それからエメラルド・フラワーをソフィアさんに手渡した。

 

 

「ほい。念のため、確認してくれ。念入りに確かめたから削り残しはないはずだ。何なら和哉ちゃんも見ていいぜ?」

 

「……ふん。わざわざ俺達の目の前で作業しておいて、よく言うぜ……何も余計な事をしていないって事をそれで証明したんだろ?……まぁ、念のために確認はするが」

 

「んふふ……和哉ちゃんは疑り深いからなぁ……これぐらいはやっておかないと」

 

 

 全く抜け目のないやつだ。俺に文句を言わせないために、俺自身の目で異常がない事を確認させたのだろう。

 それから念入りに調べても何もなかったので、そのままソフィアさんに返した。

 

 

「……ありがとうございます、ルパンさん。このご恩は、忘れません」

 

「……だったら、その恩はソフィア嬢が俺達の事を忘れてくれれば、それでチャラって事で」

 

「え?ですが、何かお礼を…」

 

「真っ当な御令嬢であるお前さんが、悪党なんかにお礼なんてするもんじゃねぇぜ」

 

「でも…」

 

「ソフィアさん。……こうなったら、ルパン三世は何も聞かないと思います。どうにもこいつは、自分が悪党である事にこだわりを持っているようですし。……それに、たとえ命の恩人であろうと悪党は悪党です。こいつと繋がりがある事を周りに知られたら、あなただけでなく、アーロンさんの評判にも悪影響が出る可能性が高い」

 

「あ……」

 

 

 俺が説得すると、ソフィアさんは納得してくれた。

 

 

「ま、それはそれとして……ルパン三世」

 

「ん?」

 

「ソフィアさんの命を救ってくれた事……あと、ついでに20年前に俺の怪我の手当てをしてくれた事に、礼を言う。――ありがとう」

 

 

 20年前はろくに礼も言えないまま、強制的に眠らされてしまったからな。ついでに礼を言っておく事にした。

 

 

「…………お巡りさんが悪党なんかにお礼言っちゃっていいのかよ」

 

「これはけじめだ。てめぇには怪我の手当てをしてもらった借りがあったが、これでチャラって事で」

 

「……っは。……むしろ、借りがあるのは俺の方だってのに……」

 

「?」

 

 

 そう言って、ルパン三世は自嘲気味に笑った。……よく分からんが、言う事は言ったし、もういいか?……きっと、そろそろ来るはずだし。

 

 

「ところで、ルパン三世……俺は今現在、非常に優秀な"犬"を飼っている」

 

「は?犬?」

 

「そいつはありがたい事に俺の事をよく慕っていて、俺の身に何かがあると相当心配してくれる……ただ、場合によっては暴走する事もあってな。ただでさえ容赦がないのに、そうなるとより苛烈になるんだ。……今回みたいな事があった時は特に、な」

 

「……か、和哉ちゃーん?何が言いたいのかなぁ?」

 

「つまり――現在進行形であいつは怒っている」

 

 

 瞬間。空き家の扉が蹴破られた。……老朽化していたため、それだけで扉は粉々に大破してしまったようだ。

 

 

「――Freeze(動くな)。……指1本でも動かせば半殺しにするぞ、薄汚いこそ泥共……!!」

 

 

 

 

「…………あ、あはは、は……そうゆうことねー……」

 

「……とんでもねぇ狂犬を飼ってんだな、荒垣さんよ……」

 

「……凄まじい怒気でござる……!」

 

「……赤井、さん?」

 

 

 ルパン一味とソフィアさんがそれぞれ反応を見せる中、俺は思った。

 

 

(大破した扉ってFBIで弁償しないと駄目かなぁ……?)

 

 

 

 

 

 

 






・拐われた新人執事…もとい、飼い主

 護衛任務に本腰を入れ始めた矢先、護衛対象と共に誘拐された。まさか、別人になった事に気づけなかったとは……お嬢様の執事失格だし、FBIの名折れだ。
 まさかの再会に驚きつつ、救援が来るまで情報を集める事にした。

 そして狂犬のダイナミックお邪魔しますを見て、真っ先に考えた事が大破した扉の弁償についての心配。

 秀一のこうゆう反応にはもう慣れたからなぁ……(遠い目)


・誘拐犯()の大泥棒

 満を持して、俺様登場!……え、待ってないって?

 うまくお嬢様を誘拐()できた事よりも、オリ主とまた会えた事の方が嬉しい。いやー良い男になったもんだなぁ……
 そしてお嬢様を説得して目的を達成したのもつかの間、狂犬によるダイナミックお邪魔しますを受けて冷や汗を流す。

 和哉ちゃーん?お宅のワンちゃんとーっても怒ってますけどー!?


・"ダイナミックお邪魔します"を実行した忠犬

 生き生きとしているオリ主を見られてご満悦……だったのに。
 俺のマスターを誘拐?……ははは……やってくれたなこそ泥風情が……!!

 と、いうわけで居場所を突き止めてダイナミックお邪魔します!!





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