Morfonicaは俺を巻き込むな 作:ねこちゃん
そう遠くない未来
それは突然現れてはごく普通の日常のように俺の前へ降りかかって来た。俺は壊れたのか?それとも夢?幻影?考えたって結果は分からない。答えは出ないから。ただ一つ、俺はまた面倒なヤツらに巻き込まれたという事実だけは残る。
「お父さん!」
白髪の子
「お父様!」
若干紫色の髪の子
「パパ!」
金色の髪の子
「おとーさん!」
桃色の髪の子
「父上」
黒色の髪の子
あり得ない。何故俺が同年代の女の子に父と呼ばれなきゃならないんだ。
「……え?俺?」
時刻は昼頃。昼食を外で済ませてアトリエに帰ってきたのだがMorfonicaはまだ帰ってきていないのかそれとも遊びに出かけているのか。誰一人もいなかった。
(ま、休日だし、女の子同士で買い物とかあるだろ)
「さあて二度寝しようーかなぁ!」
「ねー聞いてるの?お父さん」
勘弁してくれ、まだ俺は10代だ。新手の詐欺なのか。だがあまりにも似過ぎている。一番彼女達の事を見てきた俺がそっくりでもない、かと言って本物でもない。紛れもない娘なんだと理解してしまった。
「聞いてお父さん!私達お母さんみたいにバンド組んでるんだよ!」
「そうかそうか、君たちのお母さんは頑張って五人も育てたんだね」
「何を言っているんですか?私達のお母様は全員違いますよ!しっかりしてくださいお父様!」
君たちのせいでしっかりできないよ。いきなり娘という子がきて母親が違う?正気を疑うが武士級の寛容さと天才級の器用さでなんとか対応する。つまり俺とMorfonicaの子供で父親は同じ俺だけど、母親は全員別!?
「人違いしていない?そもそも俺君たちの事知らないし」
「あはは!パパカッコいいけど、ママが言ってたようにアホなところがあるんだね!そんなとこもスキ!」
「ありがとう、早く帰った方がいいぞ。てか早く帰れ」
「おとーさんはお風呂に入るのが好きって聞いたよー。私もおかーさんとおとーさんとよく入ったけど、なんで前屈みになってたんだろーねー」
「さあ、なんでだろー」
「父上。父上はスタイルの良い女性が好みだと知っております。それは私が一番の娘だと言っても過言ではないですよね」
「仭、君は未来を信じてるか」
この個性的な物言いや性格は俺の知ってる女の子達の娘だと言うことがわかった。なのになぜ五人が五人とも俺を父と呼ぶのかオレニハサッパリワカリマセン。
「仮にだ。仮にお前ら五人が俺の娘だとしてだ、なんで俺らの時代に来たんだ」
「それは_____お父さんが35股する未来を防ぐためです!」
「え、何?ごめんちょっとよく聞こえない」
ごめんねましろ娘。お父さんには35股とか聞こえたんだ。耳鼻科行ってくるからその間に帰ってね。
「全てを乗り切ったおとーさんがこんなにも魅力的な男の人だったらみんな好きになっちゃうよ……娘も」
「ごめん意味がわからない」
「気にしなくてもいいって!パパはあたし達が守るしさ!……ママ以外の女から」
「そんなにも俺の未来はヤバいのか……いや既にこの現在がヤバいんだけどさ」
「大丈夫!私に頼ってくれれば完璧に解決しちゃうんだから!」
「それはありがたいな。頼りにするから全部解決してくれ」
「? 娘としては当然の事よ」
「君は瑠唯の娘ってすぐわかるね」
そもそも俺は女の子の友人どころか知り合いすらも35人もいないと言うのに、未来の俺は手当たり次第に恋愛アプリでもやっているというのか。
しかもこの五人、母親の遺伝子を受け継ぎすぎだろ。何なら俺の要素いらなくないか。
「大体、30人とかそんなに浮気するぐらいなら私達と浮気すれば良かったんだよ!!!」
ましろさぁぁぁん!?あなたの娘は大分自信がありますね!!月ノ森とか部活掛け持ちするぐらい自信アリアリじゃないですか!?
「ちょっと待て、何を言ってる。それ俺ヤバいやつだから、洒落にならないやつだから!」
「ソレだ!白いのいい事言うじゃん!将来はモテる女として流行るよ〜〜」
「ソレだ!じゃねえんだよ!」
「大丈夫だって!あたしの言った流行るは絶対流行るし!」
「確かに、おとーさんが流行るって言ってから35股したもんねー」
おおう……、かわいそうな透子……お前のハマってたものは絶対流行らなかったのに娘はちゃんと流行をしっかり理解してるようだぞ……。そんな透子が好きだけど。
「今さり気なく女の子に好きって思ったでしょ」
「なんでわかった七深娘よ、エスパーか心を読めるの?」
「だって私天才ですし〜」
親の悩みを一瞬で蹴るなよ。俺と七深の今までは何だったんだ。謝って差し上げろ。人の心を読めるのは最早、人間の域を越えている。
「天才と天才の子供だよ?そんなの完璧に決まってるじゃんー!しかもおとーさん専用のテレパシー持ち!」
普通より完璧さを求める七深の娘。そのうち空も飛べるのではないだろうか。一体君は何を目指しているんだ。
「ちょっと待って!堂崎の名前を貰っている以上、高貴で優秀ながらも傲慢したり慢心してはいけないわ!」
さすがつくしの娘。心なしか母親より頼もしいのはつくしの教育が良かったんだな。……そういうことにしておこう。
「そうだ!いいぞ!つくしの娘!この暴走娘どもに言ってやれ!」
「お父様は節操無しのクズなんだから私が朝から夜まで起きてから死ぬまで面倒見ないとダメなんだから……ダメなんだから……お母様としてるみたいにキスして動けなくさせなきゃ……ダメなんだから」
「期待した俺がバカだったーー!!!つくしー!!!お前何やってんだーーーボケーー!!!!」
月ノ森生の自覚は何処へ!?
「そんなことより父上、私とゲームしましょうよ!」
「げ、ゲーム?」
マイペースな瑠唯の娘。この状況を打開してくれるのは瑠唯のような冷静さしかない!俺じゃ無理だ!頼む!
「母上はそんなのよりも才能ある事をしなさいと言うのだけれど、父上が『良いだろ?瑠唯』と言ってくれるとすぐオチるの!」
「あ、ダメだわこの娘」
瑠唯ェ……せめて娘には威厳を保ってほしかったよ。瑠唯の娘は母と違って才能あるとか気にしないで自由奔放な部分があるみたいだ。俺のせい?
鏡で映したかの様に正反対な彼女達は俺では全く対応出来ない。それでも変わらないのはその信念と俺への愛か。反抗期は嫌だけどこれはこれでお父さん困ります!
「お父さん!私とランデヴーしましょうよ!お母さんは下手でも私なら!」
「パパ!あたしが絶対気持ちよくさせてあげるから!パパに合ったイケてる女の子が好みだし!」
「おとーさんは天才なんだから、もちろん天才と一緒になりたいよね?」
「お父様!わ、私!胸は小さいけれどお父様を思う気持ちは負けません!」
「……お腹すいたわ」
「ましろー!透子ー!七深ー!つくしー!瑠唯ー!誰でも良いから助けてくれー!!!!!」
「「「「逃げないでー!お父さん!(パパ!)(おとーさん!)(お父様!)」」」」
「あ、これ美味しい」
「勘弁してくれええええええええ!!!!!!!」
Morfonicaは娘すらも俺を巻き込むらしい。ならば俺も巻き込んでやろうと謎の決心をした1日だった。
そう遠くない未来に、幸せはあるのだろうか。答えは自分で見つけてみせる。可愛い娘達を見て俺は尚更そう思った。
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「……あ、起きたよ柊君。おはよう」
「あ、あれ?ましろ。お…はよう」
目が覚めたらましろの美しい顔があった。目が覚めた?今のリアルすぎる現実でか?
「もうーしゅうが寝てたら練習できないじゃん!この寝坊助!」
「透子……」
「ここで寝るお昼寝は気持ちいいよねー」
「七深……」
「寝不足はあまり関心しないわね」
そこにはいつもの様に椅子に座っているMorfonicaのメンバーがいた。
机の上に都内のショッピングモールの袋がある辺りやはり買い物に行っていたらしい。
「瑠唯に……つくしは?」
「いるよ〜」
奥でドラムをいじっていた。
柊は困惑していたのだ。え、夢オチ?ともし夢だとしたら自分はどんな性的な欲望を持っているんだって話になる。
「う、あれ?娘は?」
思わず尋ねてしまった。無意識に口が開いたのだ。
「えええっ〜〜〜!!!!?」
「え!?柊くんに娘いたの!?」
「娘だって?」
「貴方……寝ぼけているの?」
「娘って誰と誰の……」
「いや……俺とお前たちの」
その日誰も俺と顔を合わせてはくれませんでした。ましろには目が合うたびに恥ずかしがられ、つくしには「不潔!!」と嫌われてしまったようだ。透子にはセクハラだー!と騒がれるし、七深には「じゃあ今日ゆっくりね」と意味わからない事を言われた。
瑠唯には汚らしいモノを見る目で軽蔑されているっ!?
俺は夢だとかそんなことはすっかり忘れて、娘達は俺の妄想と思うことにした。あんなに嫌われていたら子供なんか出来るわけないしな!!!
なんだ。安心してMorfonicaと過ごしていけそうだ。