忠犬と飼い主~IF~もしもオリ主が相棒世界のあの人の関係者だったら?   作:herz

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・いろいろ捏造あり。

・右京さん視点。


IF② 花の里にて 後編

 

 

 花の里で飲み食いを始めてからそれなりの時間が経過した現在。飲み過ぎたのか、我が甥はカウンターテーブルに顔を伏せて眠ってしまった。そんな彼の肩に、赤井さんが自分のジャケットを掛ける。

 

 

「……杉下警部は、和哉さんと一緒に飲むのは初めてですか?」

 

「?……えぇ、そうですが……」

 

 

 質問の意図が読めなかったが、赤井さんの問いに対してそう答えた。すると、彼は相変わらずあまり動かない表情をこちらに向けて……しかし、なんとなく複雑そうな様子で、こう言った。

 

 

「…………和哉さんが、こんなにも無防備な状態で眠っているのを見たのは――これが初めてです」

 

「…………」

 

「きっと、あなたがいるから……安心して、眠っているのだと思います。普段ならこうはなりません。俺が知っている限り、例え酒を飲んでいたとしても酔い潰れて眠ってしまう事は、一度もありませんでした。……この人は、人一倍警戒心が強いんです」

 

 

 そう言いながら、彼は和哉君の頭をそっと撫でた。……まるで、壊れ物を扱うかのような手付きで。

 

 

「……そうなんですか?僕にはそうは見えなかったんですけど……今日を合わせてまだ2回しか会った事がない僕に対しても、結構気さくに話し掛けてきましたよね?」

 

「確かに、そうですよね……私も、凄くフレンドリーな方だと思ってました」

 

「ですよね?」

 

 

 冠城君と幸子さんが互いに頷き合っている。……彼らはまだ和哉君の事を良く知らないため、そう思うのも無理はない。

 

 

「和哉さんは基本、敵対している相手や犯罪者……または、自分の大切な存在を害するような相手でない限り、誰に対しても友好的に接します。……しかし、それは決して警戒していないわけではありません。

 彼が本当に気を許す相手は、おそらくほんの一握り……そしてその一握りに含まれる人間こそ、和哉さんが心の底から信頼している人間だ」

 

「……なるほど。やはり彼の性質は、今でも変わっていないようですね……」

 

「……という事は、もしや和哉さんは昔から……?」

 

「えぇ……子供の頃は人見知りな子でしたが……それは、他人を警戒しているからこその人見知りでした」

 

 

 そう。彼は昔から、子供にしては他人への警戒心が強過ぎた。

 

 

 彼の顔立ちはとても整っている。見た目は僕の姉に似たようで、言っては悪いが女性寄りの顔だ。……だからこそ、小さい頃の容姿はとにかく中性的で、女の子だと勘違いされる事も多かった。

 そんな容姿に惹かれたのか……子供の頃、彼と何らかの形で関わろうとする子供や大人が、たくさんいた。……しかし、彼は誰に対しても気を許さなかった。――両親を除いて。

 

 彼は、今も昔も変わらず、両親を愛している。他人には決して見せない表情や態度を、両親の前では隠す事なく素直に見せていた。両親の前でのみ年相応の子供になり、その警戒を解くのだ。また、僕に対しても両親ほどではないが、その傾向が見られた。

 小学校に入学してからは、徐々に誰に対しても分け隔てなく接するようになっていったが……警戒心は強いままだった。ある程度は気を許す事ができる友人が数名できたようだが……僕の姉によると、例え友人を相手にしても完全に気を許す事はなく、密かに線引きをしていたらしい。

 

 つまり。和哉君に本当の意味で信頼される事は、非常に難しい事なのだ。

 

 ……義兄曰く、そうゆうところは自分に良く似ている、との事。義兄も幼い頃から警戒心が強かったようで、子供時代の和哉君と似たような行動を取る事があったそうだ。以前、“自分の悪い部分が受け継がれてしまった”、とため息混じりにぼやいていた。

 しかし、義兄は現役時代にその強い警戒心に助けられた事が何度もあったという。……きっと、和哉君も同じだろう。その性質は決して悪いだけではなく、良い面もある。義兄が責任を感じる必要は無いと思うが……それはともかく。

 

 

「……そんな事があったんですね……でも、やっぱり荒垣さんの様子を見る限り、そんな線引きをしているようには見えないんですけど……」

 

「彼との付き合いが長くなると、自然と見えてくるんですよ」

 

「……もしかして、右京さんにも似たんじゃないですか?右京さんにも少なからず、そうゆう部分がありますよね?」

 

「…………それは心外ですねぇ……」

 

 

 冠城君の言葉に眉をひそめた時。ふと、赤井さんが口を開いた。

 

 

「――羨ましいです。……和哉さんのご両親や、叔父である杉下警部の事が」

 

「……はいぃ?」

 

「……最近になってようやく、和哉さんが俺の事を他の人間よりも信頼してくれていると実感するようになりましたが……それはまだ、彼の家族であるあなた方には及ばない。……その場にいるのが俺だけだったら、こんなにも無防備な姿を見せてはくれる事はなかったと思います」

 

「…………」

 

「本当に――羨ましい」

 

 

 そう言った彼の様子を見て、僕はつい笑ってしまった。その様子が――まるで、飼い主に構ってもらえなくて拗ねている、犬のように見えたから。

 

 

「……何がおかしいんですか」

 

「あぁ、すみません……決して馬鹿にしたわけではありませんよ。……ところで、彼が本当の意味で信頼している、一握りの人間についてですが――そこに、僕は含まれていないと思います」

 

「……何?」

 

 

 赤井さんが訝しげにこちらを見る。……疑われているようだ。

 

 

「さらに言えば、和哉君が今無防備な姿をさらしているのは僕がいるからではなく――あなたがいるからではないかと」

 

「……何を根拠にそんな事を……」

 

「根拠は、今から見せますよ」

 

 

 僕はそう言って、和哉君の頭に触れようと手を伸ばした。僕の予想が正しければ――

 

 

「――っ!?」

 

 

 

 

 

 

 ――気が付いた時には既に、動きを封じられていた。

 

 

 ……今の僕は、和哉君に触れようとしていた手を彼の片手に掴まれ、彼のもう片方の手に握られているボールペンの先を、自身の喉に突き付けられている。…………正直、予想以上だった。

 

 

「――なっ!?」

 

「「――右京さんっ!?」」

 

「2人共落ち着きなさい。僕は大丈夫ですから」

 

 

 慌てた様子を見せる冠城君と幸子さんに声を掛け、押し止める。……それと同時に、顔を上げた和哉君と目が合った。――虚ろな目が、僕を見据える。

 

 

「――え?…………っ、あ……!?」

 

 

 しかし、その直後に目に光が戻った。彼は慌てた様子で僕の手を放し、ボールペンを下げる。

 

 

「っ、すみません!すみません、すみませんすみません本当にごめんなさい……!!」

 

「君も落ち着きなさい、和哉君。……眠っている君に不用意に触れようとした、僕が悪いんです」

 

 

 和哉君は顔を青ざめさせて、必死に謝っている。……その様子を見て、故意ではなかった事を察した冠城君と幸子さんや、今まで唖然としていたが我に返った赤井さんが、共に彼を落ち着かせてくれた。

 

 

「…………すみません……本当に、すみません叔父さん……」

 

「もう謝らないでください。君がわざとやったわけではない事は、よく分かっていますから」

 

 

 そう言ってしばらく頭を撫でてやると、ようやく落ち着いたようだ。

 

 

「……和哉君は眠っていた時、僅かに体の右側に力を入れていました。……そう、僕が座っている側の方です。しかしそれとは反対に、左側の力は抜けていました。そう――赤井さんが座っている側の方です」

 

「っ、」

 

「さらに。赤井さんが彼の肩にジャケットを掛けてあげても、頭を撫でても、彼は全く起きませんでした。しかし僕が触れると……結果は先ほどのように、見事に動きを封じてきました。……それから、もう1つ。……赤井さんは和哉君がどちらに顔を向けて眠っていたか、覚えていますよね?」

 

「…………杉下警部の、方に」

 

「その通りです。彼は僕の方に顔を向けて眠っていました。よって――首の後ろという、人体の急所をあなたの方に向けて、眠っていたんです。人一倍警戒心の強い、和哉君が。

 

 ……それはつまり――そうゆう事なのではありませんか?」

 

「――――」

 

 

 ……これまで表情を大きく変えなかった赤井さんが、初めて分かりやすく表情を変えた。酷く驚いている。

 

 

「……秀一?どうした?」

 

「っ、――っ!!」

 

 

 和哉君に声を掛けられ、その肩が跳ねる。……それから、腕で顔を隠すようにして勢いよくカウンターテーブルに伏せた。……僅かに見える耳が真っ赤になっている事から、その感情を大体察する事ができた。

 

 

「……おい、本当にどうした……?」

 

「…………今の俺の顔を、見られたくないんです……そっとしておいてください……」

 

「…………はぁ?」

 

 

 困惑した様子の和哉君は、僕達の方へ振り向く。

 

 

「……俺が寝ている間に、何があったんですか?」

 

「……いろいろあったんですよ」

 

「うん。いろいろありました」

 

「いろいろありましたよー」

 

「…………はぁ……?」

 

 

 首を傾げる和哉君と、未だに顔を伏せたままでいる赤井さんを見て、微笑ましく思う。

 

 

(きっと和哉君にとって――赤井さんはとっくに、線引きの内側に入っている存在なのでしょう)

 

 

 本人が自覚しているかどうかは分からないが、和哉君は間違いなく、赤井さんの事を本当の意味で信頼している。……今まで両親以外の人間を線引きの内側に入れる事が無かった、かつての人見知りの子供が。

 

 

「……赤井さん……いえ、赤井君」

 

「…………はい、何でしょう?」

 

 

 次に顔を上げた時には、先ほどまでの無表情に戻っていた。……さすがはFBIのエース。ポーカーフェイスはお手のもの、ですか。

 

 

「――君に、和哉君の事を任せてもいいでしょうか?」

 

「!?」

 

「和哉君の両親以外で、線引きの内側に迎え入れられた存在は、君が初めてです。――君になら、この子を任せられる」

 

「――――」

 

「……お願いできますか?」

 

 

 

 

 

 

「――はい。お任せを」

 

 

 ……彼はまるで西洋の騎士のように、片手を胸に当てて、恭しく一礼して見せる。……その表情もまた使命を与えられた騎士の如く希望に満ち、今までに見たどの人間よりも、真剣なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんか、まるで娘を嫁にやる瞬間みたいですよね、これ」

 

「滅多な事言わないでくださいこいつが本気にしたらどうしてくれるんですか!?」

 

「え、あ、ハイ、すみません……!?」

 

 

 ……冠城君と和哉君の言葉を聞き、前言を撤回したくなったのは……ここだけの話だ。

 

 

 

 

 

 






・実は無意識に忠犬を超信頼していた飼い主

 例の殺人事件の取調を受けた後に叔父とその相棒を見つけた。行き付けのお店に誘われ、赤井との約束と天秤に掛けて悩んだが、叔父とはまだ一度も酒を飲んだ事が無い事を思い出し、そちらを優先した。ごめんな、秀一。また今度2人で行こうぜ※無言のやり取り。

 花の里にて、自分と杉下の関係を知った後の女将の言葉に、苦笑い。まぁ、驚くよなぁ……俺の見た目はお袋似で、お袋の見た目は叔父と全然似てないし……( ̄▽ ̄;)
 叔父にお酌をしてあげた。なに年寄り臭い事言ってんだ。あんたはまだまだいけるって!……ん、秀一?俺の分もお酌してくれるのか?ありがとな。じゃあお前の分も……え?遠慮します?……しょうがねぇな……※無言の(ry

 叔父のマル秘エピソードの数々を暴露していたが、途中で赤井の話題に。右京さんがどこでその情報を手入れたのかが気になる。……おっと、グラス空になったな。入れてやるよ。礼はいらねぇぞ。……お、それ俺が気になってたやつ!ありがとう!じゃあ俺はお前が気になってたこれをあげよう。……いやいや遠慮すんな。食え食え!※無言(ry
 杉下に自身の無意識の行動について指摘され、頭を抱える。……どこかにちょうどいい穴が無いかなぁ……(現実逃避)しかし、めげずに話題を変えて叔父をターゲットにした。少しでもいいから反省しようぜ、叔父さん(上目遣い)

 珍しく飲み会中に熟睡。普段なら強すぎる警戒心により、眠ってしまう事はない。
 FBIになってからしばらくして、睡眠中に完全に信頼している人物以外に触れられそうになると即座に察知してそれを防ぐ、という離れ業を身に付けた。

 よって無意識に杉下の動きを封じ、我に返ってパニック状態に陥る。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん叔父さんごめん……(´;ω;`)
 なお、オリ主が赤井に両親と同等の信頼を寄せている事に気づくのは、まだ先の事である。

 は?娘を嫁にやる瞬間!?駄犬が本気にするかもしれないので止めてください!!――てめぇも馬鹿な事考えんじゃねぇぞ赤井秀一ぃぃ……!!


・オリ主の心からの信頼に気づいていなかった忠犬

 取調後、オリ主の叔父に誘われて行き付けの店に行く事に。大丈夫ですよ、あなたのお好きなように。また今度2人だけで行きましょう※無言(ry

 花の里にて。オリ主と叔父の交流を邪魔しないように、話を振られない限りは黙っていた。楽しそうにしている和哉さんの邪魔をするなんてとんでもない!
 それはそれとして、お酌しますよ。いえ、礼には及びません。……え、俺もですか?いやいや。師匠兼飼い主にそんな事をやらせるわけにはいかないので、遠慮させてください※無言(ry

 楽しそうにしているオリ主の様子を酒の肴にして飲み食いしていたら、自分の話題になった。
 別に大した事ではない。俺が有名になったのは和哉さんのおかげであって……あぁ、ありがとうございます。では先ほどから気にしていたようなので、これをどうぞ。……あ、それは俺が気になっていたもの!?しかし申し訳な……って、遠慮するな?……すみません。いただきます(´・ω・`)※無言(ry

 オリ主の話題となったので、ここぞとばかりにオリ主自慢。俺の師匠兼飼い主にして唯一無二は本当に凄いんだ!(無表情マシンガントーク)しかし、オリ主に止められて不完全燃焼。語り足りない……!!
 実は赤井も無言のやり取りについては無意識だった。自分で自重しろと俺に言っておきながら自分もまた自重していない事に気づき、恥ずかしがって落ち込む和哉さん……あぁ、かわいいですね。よしよし。(なでなで)

 眠ってしまったオリ主に、愕然。俺の前ではこんな無防備な姿を見せた事なんて無かったのに!……しかし、それはあくまでも今までは、の話。
 オリ主の両親と叔父に嫉妬していたら、まさかの事態が起こり、唖然。その後、オリ主の今までに見た事が無いほどの取り乱した姿を見て、我に返った。

 それから杉下に指摘され、自分がオリ主の引いた線の内側に入っていた事に気づき、驚愕歓喜困惑羞恥といった感情がごちゃ混ぜになり、赤面。その顔をオリ主に見られないよう、咄嗟に顔を伏せて隠した。――その信頼が、尊い……!!
 杉下にオリ主の事を頼まれ、使命を受けた騎士のような振る舞いを見せた。だがしかし、内心超絶フィーバー。まさかの身内公認!![[rb:I did it > やったぜ]]!!Yes!!

 娘を嫁にやる瞬間……!?なるほどつまり叔父上様、甥っ子さんを俺にくださ――あ、すみませんすみません調子に乗ってごめんなさい和哉さん……!!ガクガク(((;゚Д゚)))ブルブル


・甥っ子の事を忠犬に任せた叔父上

 甥っ子とその部下を誘い、花の里へ。実は幸子さんに”似てない!”と言われて地味にショックを受けていた。笑わないでください冠城君。しかし、オリ主にお酌をされて機嫌を直す。これ、夢だったんですよ(* ´ ▽ ` *)
 オリ主からいろいろと暴露されて、冷や汗を流す。待ってください和哉君。そんなにいろいろ話さないでください!……と、とりあえず話題を変えましょう!ちょうど赤井さんがいますし。

 と、話題を変えたらマシンガントークが返ってきた。さすがの杉下も困惑。……我が甥はかの有名なスナイパーに相当尊敬されているらしい……
 いや、しかし。それだけ和哉君が素晴らしい人物であるという事だろう。叔父としては鼻が高い。大切な甥っ子を尊敬してくれている事が嬉しい。先ほどから無言のやり取りができる程に仲が良いようだし……おや?和哉君、どうかしたんですか?
 オリ主に怒られて、少しだけ反省。……しかし、この効力が続くのはオリ主が日本にいる間だけ。アメリカに帰ったらまたいつも通りになるでしょう。

 赤井が誤解していたので、それを解こうとして……予想以上の事態が起こり、驚愕。……和哉君には悪い事をしてしまいました……(´・ω・`)……その後。気を取り直して自身の推理を話し、誤解を解いた。分かりやすい反応を示した赤井と困惑するオリ主を見て、ほっこり。
 赤井なら大丈夫だろう、と考えてオリ主の事を任せた。しかし、冠城とオリ主の言葉に不安を感じた。

 任せても、大丈夫――ですよねぇ……?





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