~博麗神社~霊夢視点~
「…と言うわけなんだ。まあ、ところどころに軽い仕事をやっていけてるんだ。昔から器用貧乏だったから特に苦労はなかったし。」
「ふーん。」
…なんだろう。なんか、この一般人とも言える人に対しての、敗北感は。
…ちょっと、外の世界にも出てみようかな。なんか意外と生活できたりして。
「まあ、そんなこんなで、日本を一回りしたんだ。流浪人としては充実した生活のつもりだよ。」
「でも、初対面は空腹じゃん?それが充実した人生の末路?」
「いやいや、むしろそれがかわいいほどだよ。何回か盗みやら誘拐やらの罪の濡れ布を着せられたことがあったし、逆に万引きされるのも何回も経験したし。それに一回、台風の中に巻き込まれちゃってさ。」
「何よ、台風って…始めて聞くわね。なんかの事件?」
「まあ、軽く言えば、ひどい雨と暴風だ。この神社が跡形もなく吹き飛ぶぐらいの規模の…な。」
「ああ。そりゃ大変ね…と言うか、よく生きられたね。」
「まあ…ね。服や荷物を乾かすのに一苦労だったよ。」
…前言撤回。それなりにめんどくさそう。
「でもまぁ…この世界の苦労に比べると、僕のことなんかちっぽけじゃないか?妖怪…だっけ?」
「本当大変なのよ。いつも妖怪がここに戯れるから、来るかもしれない客も来ないのよ。」
「それにしては…あまり、食事に困ってないみたいだけど。豪華までは行かないけど。」
「まあ、いろいろとね。それにしても…あんた、ずいぶんと変わってるね。」
「またですか…」
「いや、まあ、ただね…」
グビっと緑茶を飲み込む。ああ、ウ~ンッマッ!
「あんたみたいに、凶暴な妖怪にまるで関心を持たない人は、あきれるを通り越してむしろ凄いと思っちゃうんだけど。」
「毎日妖怪と戯れるあんたに言われたくない。」
「まあ、そうだけど…なんだかんだ言ってるのに、何も動じない外来人なんて始めてみるわよ。どういう生活してきたの?」
「いやまあ…どんなって言われても。ただあちこちうろうろと…」
「さっき聞いた。…まあ、極限に怖がれるとこっちも大変だからね。いいわ。」
「…それはどうも。」
ポリっとなるのは京のとった煎餅の音。気づけばもう残り少ない。緑茶も足りなくなってきたし、そもそも少し冷めてるみたい。
「…そういえば、僕以外にもいるんだ、その…外来人?」
「ああ、まあね。普通ならパパっと結界の外に送るけど、あんたみたいな物好きもいるのよ。」
「…つまり、ここに残るって事…か。」
「そうよ。まあ、本当に少ないし、覚えるまでそんな凄いやつはいないけど…今のところ、一人かな?」
「ふーん…それはぜひ会いたいもんだ。どういう人だ?」
「ああ、それは…」
「おおい!霊夢!!」
あ…もう。うるさいのが着ちゃったわね。
「悪い京。話は後ね。」
「あ…ああ。」
…なんかあっけに取られてるみたい。どうしたんだろう、妖怪にとっては無心なのに、何に対して…
ま、いいか。私は、空から舞い落ちる、一本のぼろい箒に乗った、黒いとんがり帽の少女…
親友、
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「なんだよ霊夢ケチ~!ちょっとぐらいは残せよ~!」
「仕方ないでしょ。もうないのよ、お茶ぐらいしか。もっと早く来ればよかったのに。」
「悪かったな、ちょっと実験をしてたんだぜ!」
「あ、そう。どうせきのこの生産地のなんかでしょ?」
「ふっふっふ…聞いて驚くなよ!今回の実験はな、もしかしたらブレイクスルーするかもしれん!これからの異変も簡単に解決するぜ!もしかしたらお前も置いてけぼりになるから、警戒するんだぜ!」
「はいはい、キタイシトキマスネ。」
「おいおい、片言はもてねぇぜ!…あ、ところで…」
「なに?賽銭ならいくらでも取るよ。」
「あいにく財布は持ってないぜ。それよりあいつ、誰だ?」
…あ、まだいたんだっけ。…まあ、そりゃそうか、まだ行き先も教えてないし。
「ついさっき
「おお、そうか!私は霧雨魔理沙!普通の魔法使い、そんでもって異変解決第一になるんだぜ!」
そこで威張られても…そういえば京に異変の話、あんまりしてないな。そっちの話ばっかりしてたし。
「風林京だ。まあ、なんか凄い人物みたいだけど…よろしくな。」
軽く握手。その後は、いつものような会話が続いた。最近の話題、人里で売れてるあの絵師、この前できたうまい饅頭、などなど。もちろん京もついていけないが、それなりに付いてってる。
…なんか、うれしそうな顔してるわね。幻想郷滞在といい、こっちのこと何も知らないのに、本当に物好きね。
「…でさ、あいつがいきなり逃げ出しちゃってさ。追い討ちかけようとしたけど見失っちゃんだぜ!」
「はぁ~…もっとしっかりしなさい。こっちの仕事が増えるじゃない。」
「まあまあ、次は絶対にとっ捕まえてやるから!そん時は私のお手柄獲得の宴会だ!」
「あ、やっぱりがんばんなくていいわ。もっと楽だ。」
「おい!」
「はは…結構大変そうだね、ここも。」
「しょっちゅうよ、もう…」
「…ん?あ、もうそろそろ暮れるな。」
西に向かう太陽を見ると…確かに、あと少しで夕方だ。んん~今日もいろいろと退屈…
あ…あれ?
「そういえば京くん?」
「ん?なんだい?」
「住むのはいいとして…あんた今夜どこに泊まるつもりよ?」
「…あ。」
「あ、じゃないよもう…言っとくけど野宿はお勧めしないよ。」
「分かってる、妖怪だろ?しっかし、そうだな…そうだ、さっき言ってた人里は?」
「そうね…五分ぐらいなら着くんじゃないかな?」
「そうか?私は三分は余裕だぜ!」
「え、そんなに近いのか?鳥居からは見当たらなかったけど…」
「…ああ、そりゃ飛べばの話だぜ!」
「…そう、ですか。」
?なんかあきれてる…のかな?いや違う…なんだろう?
「で、どうする?今からならいいことでも見つかるんじゃないか?私が送ってくぜ!」
「…あの。歩いたら長くないかな?」
「は?何でよ、飛んだら楽じゃない?」
「い、いやほら、もちろんだけど僕は飛べないよ。あんまり負担とかかけたくないし。」
「そんなの、箒に乗ってる間は気にしないぜ!」
「いやだがな、そのなんだ、歩いたほうがもっと幻想郷を体験できるというか。」
「ついでに妖怪の食欲も体験するでしょうね。一回しか体験できないだろうけど。」
「い、いやでも…」
…こいつの口調がどこかおかしい。これは怯えてるな、間違いなく何かを。
そういえば、こいつ魔理沙をはじめ見たときの反応もなんとなく気にしてたけど、これってもしかして…
「…はぁ、分かった。今夜だけ…」
「ああ、もうじれったい!」
いきなり魔理沙が叫んだかと思えば、いきなり京の腕をつかみ、箒にまたがった。
「は?」
「遠慮はいいぜ!なに、一分もかからないうちにつれてってやるぜ!」
「え、いや…!」
「あ、でも一応まだ早いからな…そうだ!どうせならツアーでもしないか!」
「ツアー…?どこの?」
「そりゃ、幻想郷に住むものとしてその構造を頭に入れなきゃ損だぜ!そうだな、まずは紅魔館だ!五分で着くぜ!」
「ちょっと待った、僕は…」
「ほんじゃ出発だぜぇぇぇぇぇ!!!!……」
…ああ、行っちゃったな。魔理沙、ちょっと興奮してるわね…変なきのこでも食べたかしら?
京は…まあ、大丈夫でしょう。ちょっと絶叫してたみたいだけど…まあいい体験じゃないかしら?
「…新しい住民か…」
ここではもうなれた経験ね。面倒ごと…異変が起こるたびに、いやでも新たなる者に紹介される。どれもこれも、幻想郷のどこかに何か不満を持ち、異変を起こしてるけど、最後には何らかの形としてここに住んでいる。
でも…あんなのは初めてかな…
すべてを受け入れる幻想郷を、まるで入ってすぐに受け入れる人…それも外来人。
あいつでさえ、最初は抵抗があったのに。
「…また、厄介になりそうね…」
でも、こんな顔がほころぶのは、何でかしらね…
と言うわけで復活!
待っていただいた方、ありがとうございます!そしてお待たせしました!
これが新しい「旅記録」です!