今回から本格的にオリキャラ登場会となります。抵抗ある方はバックボタンを押してください
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ひと心地ついた後、互いの自己紹介とあいなった。もっとも戸塚に頬ずりをキメたこの女はいつか東京湾に沈めることを決め俺は留飲を下げた。彼女は頬に手を当て満足そうに頷いている。傍から見れば恋する乙女なのだが、いかんせん材木座と海老名さんをミックスさせたような感じがする……。
「ええと、八幡こちらは僕と同じ中学校だった演劇部部長の鴨川陽菜さん」
「戸塚きゅんもっとあるでしょ他に?」
黙っていれば美人、をどこまでも地で行く女だった。
「ほらほら、自慢の彼女とか? 小さい頃からの許嫁とか他に言い方あるでしょ?」
「おい戸塚、こいつやっぱ薬やってるぞ」
「こらそこ聞こえてるぞ!」
俺がわざわざ聞こえるように告げると、鴨川は指を突き付けた。その仕草はかつて陽乃さんと初めて出会った時を思い出す。こういってしまうと、まるでこの後壮大なラブストーリーが始まってしまいそうだが、実際にはストーカーと言ってしまってもいいのかもしれない。あの人、妹が関わる行事ほとんど参戦してたからな。体育祭では見かけなかったが隠れて見ていたのかもしれない。
どちらにせよ、彼女と似た匂いを感じて、俺は少し警戒の色を強める。
「あはは、まあ誰にでもこういう人だからあんま気にしないでよ八幡」
「むー」
「じゃ次うちね」
無言の抵抗をする鴨川の頬をつつきながら折本が切り出す。この反応を見る限りこれが平常運転なのかもしれない。もっとも折本のキャラということもあるだろうが。
「海浜総合高校の折本かおりね。比企谷とはおな中で趣味は比企谷をからかうこと」
「何言ってんだお前……」
笑いながらそんなことを言うものだから、怒るにも怒れない。折本かおりという人間はどこまでいってもそうなのだろう。その事実に俺は改めて驚愕し、かつこの会合が雪ノ下に伝わることは絶対に阻止しなければならないと思う。
俺のそんな決意は露しらず、鴨川はわたしも戸塚きゅんからかうのが趣味というか生きがい! なんていいながら悪女同士ハイタッチを交わす。
演劇部部長ーーその肩書きゆえ彼女は陽乃さん以上の演技派だと思っていた。彼女の妙な違和感に気づくことができたのは俺の捻くれた感性と雪ノ下という近しい存在を見ていたからだった。それに比べてこの鴨川という女、全くと言っていいほど演技しているとは思えない。可能性があるとすれば俺が分からないほど演技が上手いか、もしくは彼女の顔が一つであるかだ。少なくとも後者ではないはずだ。そう信じたい。
「……あはは。それで鴨川さんと折本さんはたまたま一緒にいたの?」
そもなぜ折本がいるのか不思議だったと思う。戸塚に心の中で百万いいねを送りつつ、彼女たちを横目で捉える。
「そーそー陽菜とお茶してたら、中学の同級生と会うって言ってたからさあ、二人来るってことだったし丁度いいかなあって」
「まあ私は戸塚きゅん一人でもよかったんですけど……というか……邪魔ですし」
「比企谷初対面の女子に邪魔とか言われてるじゃんウケる」
「言い淀むんだったら最初から言うなよ……」
「鴨川さんごめんね。八幡には無理いってついてきてもらっているから」
申し訳なさそうに戸塚は頭を下げる。その光景に二人が反射的に動いた。
「戸塚気にしなくていい、この反応はデフォだ。むしろ俺が悪いまである」
「そうだよ戸塚きゅん! 何も悪くないよ」
意気投合したが、俺のサン値だけが削られる結果となった。と、ここで初めて鴨川と目が合う。真剣味を帯びた顔でこちらを見ていた。戸塚が悲しんでいることに本気で後悔し、俺に対しては少しの罪悪感も感じていないように思えた。
俺たち二人の言葉を聞いて文字通り胸をなでおろした戸塚は、口角を上げ、鴨川に向き直った。
「そう言ってくれるなら、良かったよ。それで本題なんだけど……」
それから戸塚は、彼女たちに留美のことについて話を始めた。一人の女の子が、演劇部に興味があるからと。
単純に留美が演劇に興味がある。そのこと自体は特に問題もない。そも、 部活に入る程度のことなら一人でもできることだ。しかしながら、それは出来ない、なぜなら戸塚の通っていた中学の演劇部は戸塚の代で廃部となっていたからだ。そして最後の部長だったのが、鴨川陽菜ということだった。
「ふーんなるほどね……愛の告白じゃなかったのかあ」
「つーか陽菜って演劇部だったん?」
折本の発言から鴨川はもう演劇とは離れた学校生活を送っていることが分かった。
「それで鴨川さんは何をやらかしたんだ?」
「そんな酷いな比企谷君。まるで私が何かしたみたいじゃない」
まるで心底心外そうにおよおよと折本の肩に寄り掛かる鴨川。
「じゃ何があったんだよ」
「単純に部員が少なかったからねえ。私の代は私が勧誘しまくったからいたけど、下の学年は二、三人しかいなかったし」
「鴨川さんほとんどの人と友達だったから」
俺の質問に戸塚が付け加える形で答えた。ほとんどの人と友達と戸塚は軽くいったが、学年は三百人いたと聞いている。そのほとんどと友達というのははっきりいって異常な数字だった。誰にでもできることではない。
「そんな遊び人みたいな言い方やめてよ戸塚きゅんー」
もし廃部の理由が過去に事件を起していていたただとか、鴨川の主導で勝手にやっていたとかの理由だったら部外者である俺らには何もしてやれなかった。しかし部員数ということであれば、演劇部の土壌がある分、やりやすい。
「なら留美に部員を集めてもらえばいいのか」
「ちょっと難しいかもしれないね」
「でもまあ……」
あの子は、もう俺の、俺たちの助けはもう必要としていない。あとはこのことをメールで伝えてやればいい。友達もできたようだし。
「あとは留美次第だな。もう俺たちにしてやれることはない」
「八幡……」
俺がそういうと、戸塚は意外そうにこちらを見た。
「え、何、どした戸塚」
「いや、八幡のことだから学校に乗り込むとか言うのかと」
「俺そんなことしたことないぞ」
「二年生の時の八幡頼られたら無理する癖あったから」
「そうだな……そうかもしれない。でももうしない。約束したから」
誰と、とは言わなかった。あるいは彼女たちと言ってしまえばよかったのかもしれない。戸塚ならわかると、そう思ってしまう自分がいる。俺のことを全て分かってくれるなんてそんな傲慢な願いを抱くことはしていない、でもせめて伝わるだろうとそんなことを思う。
「比企谷やっぱ変わったよね」
「お前が変わらないだけだろ」
「それ酷くない? ウケる」
折本に対して面と向かって軽口が叩けるなんて中学の俺が知ったらどう思うだろうか。それを成長だとでもいうのだろうか。
「ふーん。比企谷君戸塚きゅんと仲いいんだね」
「当たり前だ、戸塚は天使だからな」
「は? そんなこと自明の理だよ。もはや理だよ」
「まあそれはそうなんだが、戸塚の同級生にはちゃんと言葉にしないとわからないだろ? 俺は友達だからわかるけど、友達だから」
「はあ? さっきの彩花きゅんの話聞いてなかった? 友達で、彼女で、幼馴染で、許嫁の俺の陽菜って言葉。聞こえてなかった? 耳鼻科行く?」
「お前のほうこそ耳鼻科行けよ。難聴に加えて妄想癖があるからな精神科も行かなきゃなぁ」
「あーはいはいこれだからたった三年の付き合いの人は……戸塚きゅんの優しさに勘違いしてるんだね可哀そうに現実が見えていないんだね」
「現実超見てるから、そのうえで言ってんだよ大体お前が戸塚にしたことは……」
「八幡!」
戸塚の怒気交じりの声を初めて聞く。俺が帰り道に聞いたことをつい先走りそうになりそうだったから。俺が戸塚に聞いた鴨川と会うのを避けていてそれでも会わなければいけない理由。
「あ、ごめんね三人とも」
「うちはいいけど、たぶん比企谷が悪いんだし」
「そうだねそこの比企谷君が事実を認めなかったのが悪いし」
「そうだな……悪い帰る」
これ以上この場にいたらまた繰り返してしまいそうだった。俺はカバンを持って、席を立つ。
「そんじゃうちらも帰ろっか」
「またねー戸塚きゅんー」
時間もそれなりに経っていたしその判断は妥当だといえた。店の前で別れ戸塚と鴨川は電車、折本と俺は自転車置き場へと向かう。
その道中、二人の間に会話はなかった。
外のまだ冷たい風に当たりながら戸塚の寂しそうな顔が頭をよぎった。
「これから会う人なんだけど、僕その子のこと振ったんだ。
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というわけで、これからオリキャラ登場するわけなんですけど、そういえば戸塚って俺ガイルの中でも目立つ割にはあまり触れられてなかったなと思い(というのは建前で戸塚のこと好きですはい)書きました。
ほぼ見切り発車なので誤字脱字あれば報告お願いしますね。