彼ら彼女らの物語は終わらない   作:田んぼ二キ

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2.材木座義輝の悩みは尽きない

春。それは別れと出会いの季節だと誰かが言った。

 

かくいう俺もそれを実感している。

 

 

「比企谷嫌なのはわかるけどもっと身体をこっちに寄せてくれ」

 

「へいへい」

 

 

俺は葉山と準備運動をしながら、周囲の視線を独占していた。こういう言い方をすれば人気者感が出るが、実際はそうではない。三年生になり名実ともに学校を代表する人気者が、学年一さえない男に優しく声を掛けた。この事実はクラスの視線を集めるのに実にいい話題だったようだ。良かった体育が男女別で。海老名さんいたら死んじゃう恐れがある。

 

本音を言えば男子たちの狙いは薄々分かっている。クラスが変わったこの時期は人間関係も変わる。第二の大岡や第三の大和になるため葉山に近づこうとする。だからこの二人一組はチャンスなのだと思う。たとえ、なれなくとも周りにいて話をすればアピールが出来る。三年では葉山隼人のグループは俺なのだと。まあそんな戦略が練られているかは知らんが、最初はクラスの半分が葉山のもとに駆けていた。

 

 

「悪いもう決まっているから」

 

 

葉山隼人はそう言って、俺のもとへ来た。

 

 

「比企谷誰もいないなら俺と一緒にやらないか?」

 

「絶対に嫌だ」

 

「でも今日から材木座くんもいないわけだし……な?」

 

「お前なに考えて……」

 

「よーし決まったなそれじゃ準備運動から」

 

 

そんなこんなで今に至る。なんなのこいつ俺のこと好きなの? ハヤ×ハチなの?

 

 

「君に言ったろ? 俺は煩わしいのは嫌いだって。君が変わったように俺も変わらないとなって」

 

「変わるのはお前の勝手だが、せめて俺のいないところでやってくれ」

 

 

俺が嫌々ながら言うと、葉山隼人は笑顔を浮かべる。

 

 

「俺は嫌いなんだ。だから君の嫌がることをする」

 

 

そう言いながら柔軟をしている俺の背中を思い切り押す。その光景はまるで仲のいい友達同士。だが実際のところは。

 

 

「痛い痛い。俺帰宅部なんだが……」

 

「まあまあそういわずに、君にも人の心があるって分かったんだ。これくらいいいじゃないか」

 

「ばっかお前、めぐり先輩で泣かないとか感情実家に置き忘れたの?」

 

「でもあんなに泣くことないだろ」

 

「普段泣いとかないと大人になって突然涙出てくるぞ」

 

「ぐっそれはありそうだな……比企谷の姿でも見て泣くことにするよ」

 

「それ笑い泣きだろ……」

 

 

葉山のダル絡みが辛い。材木座お前良い奴だったんだな。今になってわかるよお前の大切さがな。

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

「八幡お前いつから異世界転生をしたのだ」

 

「してないしてない俺TUEEEE~してないから」

 

「女神にどんな特典をもらったのだ? ドラゴンの鱗さえ貫くドラゴンスレイヤーか? 息を止めた分認識されないパーフェクトプランか? それとも……」

 

 

俺の膝にすがりついた材木座はおもむろに雪ノ下の方を向いて。

 

 

「女神その人をもらい受けたとでも言うのか」

 

 

雪ノ下の微笑がこれほど怖いと思ったことはない。

 

 

「あなた財津君と言ったかしら、プロムの件ではお世話になったわ。ありがとうそしてさようなら」

 

 

その一言に、由比ヶ浜はもちろん一色も引いていた。一色に関してはなんで居るのかというツッコミは諦めている。

俺も引いている、なんならドン引きしていた。一応こいつ一巻から出ているんだが……。

 

だが一方で小町はきょとんとした表情を浮かべていた。さすが小町二代目部長を預かる身。材木座なんかにも自愛の心を持っているのだろう。

小町は俺の耳元で囁いた。きっと材木座をフォローする決定的な言葉だ。

 

 

「えと、お兄ちゃんこの人誰?」

 

「ぐはっ」

 

 

材木座にも聞こえていたのだろう。教室を大きく使って転がり始めた。しかし材木座も成長している。二周半もすれば颯爽と立ち上がり、マントをたなびかせた。

 

 

「小町氏とは何度も会っているはずだが……まあいい改めて自己紹介おば。我が名は剣豪将軍材木座義輝その人。恒久の時を超え、貴様の兄とは邂逅する運命の導き。やがて総武高校を中心に戦いが始まる。もうすぐこの総部高校はバトルシティと化す! さあカードの剣を抜け!」

 

「お前今年受験なのにデュエル熱が出たのか……」

 

「先輩デュエル熱ってなんですか?」

 

 

つまらなそうに携帯をいじっていた一色は俺の一言に反応した。

 

 

「まず初めにこいつが言っているのは遊戯王の方だな」

 

「他に何があるんですか?」

 

「代表的なのは遊戯王とデュエマだな。ほとんど似ているがそれゆえに地域によってどれを主流にして遊んでいたかが変わってくる」

 

「そういえば近所の子はジュエマ?をやってたなぁ」

 

 

雪ノ下とともに受験勉強をしていた由比ヶ浜が答える。

 

 

「デュエマな」

 

「先輩はどっちやってたんです?」

 

「俺はどっちのアニメも見ていたが、遊戯王だな」

 

「あー友達のいないお兄ちゃんのためにルールを覚えたあの」

 

「言うなよ小町友達がいなかったのばれちゃうだろ」

 

「もうばれているのに……この男は」

 

 

雪ノ下はやれやれと言った感じで頭に手をあて、勉強に戻った。ほんとに俺の彼女? 扱い変わってなくないWOWWOW。

 

 

「それでそれで?」

 

 

いつの間にか俺の隣に来ていた一色は袖をちょいと握る。

 

 

「デュエル熱ってのは高校生に見られる現象だ。それにかかると倉庫に閉まったカードを眺めたり、アニメを一話から見ることになる。そして陽キャならクラスでデュエルを始める」

 

「ほう八幡。貴様もデュエリストであるか。ならば仕方ない古に刻まれた石板の通り決着をつけるぞ」

 

「俺GX派なんだけど。とりあえず五連打していい?」

 

「サイバー流か、ならばラッシュデュエルでケリをつけてやる」

 

「ラッシュデュエル?」

 

 

材木座はおもむろにスマホを見せてくる。今まで、シンクロやらエクシーズやらペンデュラムやらリンク召喚などがあったがこれはシンプルで面白い。うあぁ今こんな感じなの? 新規でも参入しやすいな。

俺がほうほうと頷いていると材木座は耳元で言った。

 

 

「雪ノ下と付き合ってるのマジ?」

 

「ああ」

 

「ほーん」

 

「なんだよ」

 

「いや八幡嬉しいんだ貴様が思っている以上に我もな。友人として応援するよ」

 

 

真剣な声音でそう言うと、大声で笑った。

 

 

「行くぞ八幡」

 

 

これがなければ、ただの準備運動仲間で終わっていたのだが……。

 

 

「仕方ねえな。負けたほうがサイゼ奢りな」

 

「いいだろう。我のドラゴンデッキが火を噴くぞ」

 

 

やべえ。デュエル熱が出そう。とりあえず卒業デュエルでも見返すか。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

後半のラッシュデュエルの下りは完全に趣味です

行く手を阻む壁も、山も惑星も、ロードを切り開いて突き進む!

行くぞ!セブンスロードマジシャン!

 

youtubeでアニメも見れるぜ!

 

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