彼ら彼女らの物語は終わらない   作:田んぼ二キ

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7.いずれにせよ比企谷小町は目論んでいる

サイゼに到着後、各々ドリンクバーに向かう。四人掛けのテーブルに着いて、まずはと俺が切り出した。

 

 

「話し合う前に、なんで大志いんの?」

 

「そりゃいるでしょ! 俺も相談した一人っすよ。いや俺なんかよりも……」

 

「もははは、相談なら我に任せたもう。で相談って何?」

 

「知らねえなら喋んな、後近い」

 

 

大志は俺の横にいた材木座に目を向ける。材木座に会ったら、見ざる、聞かざる、興味を持たざるを徹底しなければならない。でも気が付いたら横にいた。

 

 

「材木座君は何してたの?」

 

「うむ。小説家といったらファミレスで打ち合わせと相場が決まっているからな。そのうちこういう機会もあるかもしれぬ、なので今のうちから慣れようとな」

 

「ひぇー、総武高にそんな有名人がいたんすね。すごいっす」

 

「ほとんどこいつの妄想だから気にすんな」

 

「おっふ」

 

 

まあこういう相談事は、一人より二人だしいいか。

 

 

「材木座実はな……」

 

 

腕を組み思案する材木座。それからあまり間を置かずに意見を出した。

 

 

「簡単な事よ、彩加殿はいずれ試合するのだろう。ならば他校に乗り込めば良いではないか」

 

 

材木座にしては良い案を出す。戸塚にとっても練習になるし、一年生にとってもいい勉強になるかもしれない。土地問題もおおむねカバーできている。

しかしながら戸塚は眉をひそめて、口にぽつんと指を当てる。可愛い。

 

 

「この時期はレギュラーを選んだりする時期だけど、大丈夫かな?」

 

 

戸塚との雑談の中でも確か、部内戦やらやってレギュラー決めたりしてるって言ってたな……

 

 

「他に練習できる場所とかないのか? 戸塚は確かテニススクールに通っていたろ? そことかは」

 

「うーん。僕も調べてはいるんだけど、やっぱりお金かかったりするから……」

 

 

お金が絡むとなれば、実現は難しいだろう。相場は知らんが、戸塚の調べではそれは期待できまい。

 

 

「材木座の言う通り、他校との試合は難しいのか?」

 

「うちが強豪校なら可能性もありそうだけど……せいぜい二回戦勝てるかどうかだから」

 

「軟式は万年一回戦負けらしいんで、なおさら難しいっす」

 

 

他流試合、場所の確保、どれも無理らしい。早くも八方塞がりっす。やばいっす。

 

 

「おい材木座戸塚のために他に案だせよ」

 

「お主戸塚氏が関わると人格まで変わるな……」

 

「やっぱり難しいよね……」

 

「材木座、三秒以内に案言わねえと追い出すぞ」

 

「はーんやはり彼女が出来た男は違うのう」

 

 

鼻息荒く、材木座は言う。こいつ俺が言い返さないことをいいことに……。

 

 

「え! 比企谷先輩彼女出来たんですか!」

 

 

うわぁめんどくせぇ、めんどくさいし恥ずかしい。まだ母ちゃんにも言ってないのに。どうしたもんか考えていると上から声が降ってきた。

 

 

「ああ、初めて会ったときはあざといと思ったその仕草も今じゃ癖になってな。土下座して付き合ってもらってる、二人きりの時はいろ……っていたぁ」

 

「勝手に捏造すんな」

 

「もうお兄ちゃんなんで先行くの」

 

「だって待ってるのめんどくさいし」

 

 

軽く頭をポカリとやって一色を黙らせる。まあ癖になっているのは事実なんだが……言わぬが仏だろう。雪ノ下怖いし。

 

 

「一色さん」

 

 

名前呼んだだけなのに、時が止まった。

 

 

「雪乃さん冗談ですよ……冗談」

 

「たとえ虚言だとしても、言っていいことと悪いことの区別ぐらいつきそうなものだけれど」

 

「はい……」

 

「いろはちゃんそういうのは良くないよ」

 

 

なんか修羅場ってるんだが。一色のこれはいつものことだろうに。いろはす泣きそう。

 

 

「ごめんなさい」

 

「謝るのは、私だけではないわ。そこにいる男に対しても」

 

「あー、一色あんま気にすんなよ」

 

「せ、先輩……」

 

「比企谷くん、あなたが一番よく知っているでしょう。私がこういうのが……」

 

「俺たちが知っているからいいだろ、それに……雪乃。慕ってくれてる後輩をあんまいじめんなよ」

 

「そうね一色さんは私たちの大切な後輩だものね」

 

「こいつ」

 

 

清々しいまでの手のひら返し、まあいいんだけどさ。雪ノ下家に行って初めて口にした時はあんなに取り乱していたくせに。というかこの子ちょろすぎませんか。しかもしたり顔、もしかして俺に名前を呼ばせるためだけに一色を怒ったの? いろはす可哀想でも自業自得か。

 

 

「……いいなぁゆきのん」

 

「なんか怒られ損な気がします」

 

 

お水美味しいなぁ。由比ヶ浜はうろんだ目で、一色はというとなぜか俺を睨みつけながら言う。

 

 

「大人数になってしまったので、とりあえず席移動しませんか?」

 

「奥行くか」

 

 

計九人になってしまった大所帯であるが、不運にも連なるテーブル席は二つしかない。多少の狭さには我慢して男子四人、女子五人で座るか。

 

 

「じゃ、俺たちは一番奥の……」

 

「ストップです」

 

「いったぁ」

 

 

俺の言葉を遮りながら、足を踏んできた小町。指をきざったらしく左右に振る。

 

 

「ここに来る途中でもう席は決めてあります」

 

「ほーん」

 

「それに男女別だと意見も偏りやすいですからね。こういう時はごっちゃまぜの方が良い案も出ますし」

 

「そんなもんかね」

 

「そうですよ先輩。それに公平に決まりましたから」

 

「うんうん立ち会い人はゆきのんだし!」

 

 

二人とも棒読みですね、それに由比ヶ浜が立ち会い人なんて言葉知っているはずがない。この子はどうかしらと雪ノ下を見やると俯きながら何か呟いている。事前に仕込んでいたのだろうか、それにしても全く聞こえない。

 

 

「と、とりあえず座りましょー、ささお兄ちゃんは一番奥ね」

 

「ちょ小町ちゃん俺良いなんて言ってないんですが」

 

「いいからいいから」

 

 

促されて窓側の椅子に座る。そこから女子が決めた席に座っていくと何故かおかしなことになっている。

 

 

「あのー小町ちゃんこの席おかしくない?」

 

「しょうがないじゃん、中二さんもともと居なかったんだし」

 

「いやそれもあるんだが」

 

 

中二さんもとい、材木座さんは一人元居た席へと戻った。さすがに可哀想……と思いきや女子が来た途端、あわあわしていたのでこれぐらいの距離が彼にとってちょうどいいのかもしれない。義輝やいつになったら孫の顔を見せてくれるのかい?

というかこの席どうやって決められたの? 男女混合だよね? 公平だよね? 

 

 

「私の隣がそんなに不満? そういえば部室でざい……材木くんが呼んでいるとか言ってたわね。そっちがいいの?」

 

「ヒッキーとゆきのん近くない?」

 

「先輩喉乾いたのでそれ貰いますね」

 

「さてさて、いい具合に席も決まりましたしバンバンアイデア出していきましょー」

 

 

いかれた席順を紹介するぜ! 俺の横に構えるのはもちろんこの人雪ノ下さん。そしてその隣はマイスイートエンジェル小町氏。俺の目の前にいるのは肩を凝視する由比ヶ浜さん。俺のドリンクを勝手に飲む一色いろは。

隣のテーブルは、川崎姉弟が並んで座り小町の横に戸塚が座っている。

公平って不思議だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

勉強している時間とゲームやらしている時間って全然違いますよね。いやもちろん同じ時間で進んでいくわけですがなんというかマインド的なところで。はっこれが相対性理論なのか? 人類の到達点を理解してしまったらしい(ラノベのタイトルでありそう)

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