BanG Dream!〜私が送る音楽ライフはいろいろ楽しすぎる!!〜   作:レイ1020

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前回のあらすじ

パスパレのライブを見にきた美久だが、急遽パスパレの控え室にくるよう篠田から連絡があり、美久は嫌な予感がして足早に向かった。その予感は的中し、スタッフに彩だけ前のようにアテフリでいこうと意見されていたのだ。それをみた美久は初めてみんなの前で声を荒げてスタッフに詰め寄った。美久が必死の思いで今まで彩がどれだけ努力してきて、このステージにかけてるのかを告げると、スタッフは納得した。そして、彩を含めたパスパレ全員が嘘偽りない彼女たちの音を出せたライブは大成功で幕を閉じるのだった。


事務所のオーディションは激アツすぎる!!

 

美久「今日でみんなとここで会うことも無いんだよね〜。なんかライブまでいろいろあった気がするけど、意外とあっという間だったんだよねー」

 

 

ライブの次の日、私はライブの成功をライブに関わった全ての人たちと祝したいと篠田さんから事務所に呼ばれたため、事務所に向かっていた。そして、私が臨時の先生としてこの事務所に来るのはこれで最後。これからは元の先生が戻ってくるらしく、私の役目は終わったみたい。少し寂しい気がするけど、ライブは大成功したからそれで私は満足だった。

 

 

美久「っと、早く行かないと始まっちゃうな!」

 

 

今までのことを考えてたせいで、歩く足が知らないうちにゆっくりになってたみたいだ。それに気づいた私は、歩くスピードをあげ、事務所に向かった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

篠田「まずは、Pastel*Palettesの皆さん。ライブ、素晴らしい演奏でした。この短い期間でよくあそこまで仕上げてくれました。本当に感謝します」

 

 

会議室に集まったのはパスパレのみんな、私、篠田さん、その他のスタッフ数人だった。その中には昨日彩さんにアテフリを提案してきたスタッフさんもいた。

 

 

篠田「今回のライブでパスパレの人気は急激に伸びています。そして、雑誌のインタビューやテレビの出演のオファーもたくさん来ています。これも全て、皆さんの演奏がすべての方達に届いたからですよ」

 

 

日菜「えへへ〜、だってさ!彩ちゃん!」

 

 

彩「うぅ〜〜...(グスッ)ほ...ほんとによかったぁ〜...」

 

 

それを聞いた彩さんは思いっきり泣いてた。よく見ると、イヴも少し泣いてた。イヴもすっごく頑張ったもんね。そりゃ嬉しいよ。

 

 

篠田「これから皆さんはとても忙しくなります。忙しくなるということは、皆さんがメディアにたくさん取り上げられることになります。そうなれば期待も昨日のライブよりももっと高くなります。そのため、皆さんには昨日のライブのことで慢心せずに、もう次への準備をしてもらいます。いいですか?」

 

 

パスパレ「「「「「はい!」」」」」

 

 

篠田さんの言葉にみんなは気持ちを込めて返事を返した。なんか1つになってる感じあっていいな〜。返事を確認した篠田さんは次に私の方を見た。

 

 

篠田「それでなのですけど、以前予定が入りましてこれなくなってしまった楽器の先生が戻ってきたとのことですので、今後はその先生に指導をお願いするということでよろしいですね?」

 

 

彩「え......?」

 

 

それを聞いた途端、彩さんや他のみんなが私の方を見た。臨時なんだし、そりゃそうなるよ。私だってもっとみんなにいろいろ教えてあげたいけど、これは決まりだからね。みんなが私を見る視線に気づいたのか、少し言いずらそうに篠田さんは言った。

 

 

篠田「皆さん...美久さんは今回のライブのために非常によく頑張ってくれてました。皆さんの演奏技術がそこまで上がったのは美久さんのおかげです。それに関しては美久さんには感謝しかありません。本当にありがとうございました美久さん。ですが、あくまで美久さんは臨時の先生として皆さんの指導にあたっていました。本来の先生が戻ってくるまでの間だけという...」

 

 

パスパレ「「「「「......」」」」」

 

 

みんな何も言えずにいた。正論に何も言えないみたいだね。だがそれでも...。

 

 

千聖「......パスパレが美久ちゃんに指導をしてもらうことを願っていてもですか?」

 

 

千聖さんはなんとか篠田さんに尋ねることができた。だがそれでも事態は好転しそうに無い。だが、次の篠田さんが言った一言で状況が一変する。

 

 

篠田「美久さんは()()()です。ですが皆さんは()()()という立場にあたります。この事務所では、教える側と教わる側の立場は()()でなければならないという決まりがあります。もちろんその先生も芸能人です。ですので分かってください。美久さんは今日でーーーー」

 

 

日菜「それなら簡単じゃん!美久ちゃんが芸能人になればいいんだよ!」

 

 

美久、篠田「「はい!?」」

 

 

私と篠田さんが日菜さんの爆弾宣言に同時に驚いた。

 

 

美久「ひ、日菜さん?何いって...」

 

 

彩「そうだよ!その手があった!日菜ちゃーん!ありがと〜!」

 

 

彩さんまで納得しちゃってるし!?ここはやっぱり千聖さんに助けを...。

 

 

美久「千聖さん!なんとか言ってーーー」

 

 

千聖「私としたことが...焦ってそんな簡単なことを考えられなかったなんて...ね?」

 

 

いやいや!千聖さんまでそっち側に行かないでくださいよ!?このままだと私が大変なことになる!そう思って残ったイヴと麻耶さんに助けを求めたが、2人ともやっぱり、日菜さんの意見に賛成だった...。

 

 

美久「いや...そんなこと言っても、芸能人なんてそう簡単になれるもんじゃ無いでしょ......。どうなんですか?篠田さん?」

 

 

篠田「そうですね...一応、この事務所に所属している方が推薦された方でしたら、オーディションに合格されればなることは可能です」

 

 

美久「いや...意外と簡単なんですね...」

 

 

篠田「何をいうんです?そのオーディションというのは非常に合格する確率が低いんですよ?試験官に納得されるようなパフォーマンスを見せない限り、合格することは不可能ですよ!」

 

 

篠田さんはそういうけど、なんかそういう”低い可能性”って聞くと昔の癖でチャレンジしたくなっちゃうんだよね。昔なんて、駄菓子屋で低い確率で当たりが出るっていうガムをお父さんの手持ちが無くなるまで買いまくったってことがあったってくらいだ(ちなみに最後に当たりは出た)。なんかそういうので成功したらなんかカッコよく無い?すっごく子供じみた理屈だけど、これが私なんだからしょうがない。その時の私は芸能人のことなんて考えてなくて、ただただそのオーディションに合格したいという欲が勝ってしまっていた。

 

 

そう思ったら行動が早いのが私だ。すぐに篠田さんに言った。

 

 

美久「篠田さん!そのオーディション?受けさせてもらっていいですか?」

 

 

篠田「受けるのは構いませんが...可能性は低いですよ?まぁ...それでも、美久さんなら問題なさそうですけどね」

 

 

ふふ、と笑いながら答えた篠田さん。

 

 

美久「へ〜?なんでそう思うんですか?」

 

 

篠田「実際に貴方の演奏を聴いているからですよ。あの演奏レベルならば私なら即合格を言い渡しますね」

 

 

美久「そうなんですか?よくわかんないですけど、とにかくお願いします!」

 

 

篠田「わかりました。社長に伝えてきますから少々お待ちください」

 

 

その後、篠田さんはオーディションの準備をするためこの事務所の社長さんのところに行った。オーディションを待ってる間、パスパレのみんなにオーディションのことを聞いておいた。主に確率のことを...。

 

 

簡単にまとめると、試験官は3人で1人は社長さんらしい。それで内容に関しては自分の得意なことをアピールすればいいだけらしい。私なら楽器でいいね!それで一番聞きたかった確率は10倍以上あるらしい。つまり、10人に1人しか合格しない......何それ...すっごくテンション上がるんですけど!?そんなか合格したらサイッコーに気持ちいいじゃん!決めた!絶対合格する!そう改めて決めた私はオーディションに臨んだ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

社長「それではオーディションを始めます。よろしく」

 

 

急遽決まったオーディションだったのにしっかり対応してくれるのはこの事務所の対応の良さが出てるな。社長は中年の男の人でお父さんと同じくらいの人かな?やっぱり芸能事務所の社長さんなだけあっておしゃれだ。私が座ってる椅子の対面に社長と2人の男の人が座っていた。そんなことを考えてる間に次の質問がされた。

 

 

社長「今回はパスパレに協力してくれたんだってね?ありがとう」

 

 

美久「?はい、ありがとうございます」

 

 

何故か社長自らお礼を言ってきたことに疑問を覚えたが、気にせずこちらも返事を返した。

 

 

社長「だが、それとこれとは話が別だ。いくらパスパレに貢献しようが、パスパレに推薦されようがこちらの水準に見合ったことをしてもらわない限り合格にはしない。それを肝に命じてくれ」

 

 

なんだ、そんなことか。そんなの気にしてない。だって...ただオーディションに受かりたいからだもん!

 

 

美久「そんなことですか、それなら問題ありません」

 

 

社長「”そんなこと”...か、面白い子だ...」

 

 

社長が何か言った気がしたが、この際いいやと思って気にしないことにした。そしてついにオーディションが始まった。

 

 

社長「さて、それではこれからオーディションを始めさせてもらいます。君は楽器が弾けるようだから楽器の演奏でいいかな?」

 

 

美久「はい!ぜひそれで!」

 

 

そう言って私はさっき篠田さんから借りたギターを手に取り、演奏準備をした。いつも通り、チューニングをして弾く前に準備運動をした。その様子を何故か社長さんに見られてた気がしたけど無視することに決めた。そして準備が整った。よし!バッチリ!

 

 

美久「大丈夫です!」

 

 

社長「では、お願いします」

 

 

私は社長さんや他の2人のことは気にしないでいつも通り、自分の演奏をした。それが私の音だ。誰にも縛られない、自分だけの音を楽しむ!それが私のモットー!時々入れるアレンジは自分なりにこうしたら楽しいとかそんなノリで考えてたんだけど案外しっくりくるんだよね!

 

 

社長「(...なんて演奏だ...。これでまだ高校生なのか?)」

 

 

演奏中社長さんはじっと私の演奏を観察していた。その目はまるで興味をそそられるようなものを見つけた子供みたいにキラキラと輝いていた。

 

 

そして、演奏は終了した。私としては楽しかったけど、どうかな?そう思い、社長さんたちの方を見た。すると3人ともどこか魂が抜けてるような表情をしていた。とりあえず声をかけることにした。

 

 

美久「あの〜?終わりましたけど?」

 

 

社長「お!?ああ、すまない。ボーッとしてしまって...」

 

 

社長でもあんな顔するんだ〜。なんかさっきの顔ちょっと面白かったけどね〜。と、心の中でからかうのはそこまでにして社長の次の言葉を待った。すると、社長の口から出たのは予想外の一言だった。

 

 

社長「え〜と、単刀直入で悪いんだけど、君、”合格”ね」

 

 

美久「え?そんな簡単に決まるもんなんですか?」

 

 

意外と早く出た”合格”に違和感を感じたが、それはすぐに納得することになった。

 

 

社長「君は特別だよ。あんな高校生離れした体の芯にまで響く演奏されたら合格だと言わざるを得ないよ。こんなに早く合格を言い渡したのは氷川以来だな」

 

 

日菜さん...やっぱりあの人、ただもんじゃ無いな...。心の中で後で日菜さんに聞いてみようと思った私だった。

 

 

その後、今後の予定や事務所の決まり事などを説明された後、私は戻った。中にいたパスパレのみんなや篠田さんに合格したことを伝えると、みんな大喜びで抱きついてきた。篠田さんは静かに「おめでとうございます。これからよろしくお願いしますね」と握手してきた。

 

 

なんかよくわかんない形だけど、私、池田美久は、芸能人になりました!

 

 

......ってお父さんたちになんて話そうかな〜...。パスパレのみんなにもみくちゃにされながら1人、そんなことを考える私だった(案の定、家でみんなには驚かれた。でも意外にすんなり受け入れてくれた)。

 

 

 

 

 

 




はい、パスパレ編終了です!本当にいい回だったと自分的にそう思ってます。美久が芸能人になるという形で幕を下ろしますが今後も芸能人として活躍する美久の姿をどうか見届けてください!


次回からAfterglow編に入ります。さて、どんな形にしようか考え中です!


お楽しみに!

池田兄妹にはバンドを組んでもらいたい?

  • 組んで欲しい!
  • 組まないで!
  • どちらでもない!

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