卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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11:三次試験予選(裏)

 抜け忍が追われる理由はその体にある。強い忍者を育てる為に、隠れ里では秘薬などのドーピングを行っている。他にも、どのような毒に耐性持っているか、調べる事は多々存在する。

 

 中でも、価値があるのが血継限界を持った忍者の死体だ。例え死んだとしても、移植する事で他の忍者に能力が継承できる物も存在している。その有名な例が白眼や写輪眼だ。まさに、忍者の肉体とは宝物庫だ。

 

 よって、二次試験で死亡した他里の忍者は木ノ葉隠れの里によって丁寧に回収され、調べ尽くされる。救護班は解体し、サンプルを取得し、里の秘密を丁寧に紐解いていく。そして、元通りにする。3代目火影の言葉を借りるなら、死人の救護という事だ。

 

 これはAランク任務にも相当し、火影自らが解体・修復現場を視察する。

 

「これは重要な任務じゃ。彼等を知る担当忍者にすら感づかれないように元通りにして返す。挟間ボンドルド、元より綺麗にして返すのでは無く、元の状態で返すんじゃぞ。そこを忘れるでない」

 

「勿論です、3代目火影様。それと、なにやら表が騒がしいようですが、何かありましたか?」

 

 挟間ボンドルドを含む医療忍者は、誰しもが任務に忠実であった。顔色一つ変えずに次々に処理していく。だが、神経を使う作業でもあるので外が五月蠅いと作業効率と品質が落ちる。

 

 集められた受験生にメスを入れようとした所、心臓が動いている事に挟間ボンドルドが気がついた。第二試験で巻物を勝手に開封した愚か者であり、身動きが取れない状態にされていたところを回収されていた。

 

「中忍試験に大蛇丸が潜入した。暗部を多く動かしているだけじゃ。それと、息のある受験生は忍者として信用ができない連中じゃ。回収した他里の忍具があるから、今のうちに間引いてやれ」

 

 研究され尽くされた忍具も死体と一緒に返却される。木ノ葉隠れの里は実に優しい場所であった。忍具と死体を返してくれる里なんてほぼない。しかも、返却の際はお子様は優秀でしたが運が悪かったと火影直々に書状を送っているほどだ。

 

 そのお陰で、里で埋葬できると先方から感謝状すら届く事も多い。木ノ葉隠れの里のイメージ戦略は完璧であった。

 

「医療忍者に、身動き一つ取れない受験者を殺せとは3代目火影様は恐ろしい方だ」

 

「ふん、今更良心が痛むとでもいうのか? 医療忍者は研究と実力を上げる為、色々やってきたはずじゃ。特にお主には、本来禁書に分類される綱手が残した資料も解禁した」

 

 生きた忍者や人間の解剖。どうやれば、医療忍術の効率を高められるかなど人道に反する事は行ってきた。だから、今更受験生をこの手で殺すなど別段何とも思っていない挟間ボンドルド。

 

「私は思うのですよ。こう言う場合、集める段階で殺しておくべきだと思います。死を偽装され、万が一惨状が露見する方が困ると思います。そういう、手抜きをすると後で痛い眼をみると考えます」

 

「……そうじゃの。可能性は排除しておくべきだ。お主達が受験生に同情して見逃す事もあるかもしれん」

 

 3代目火影が指をパチンと鳴らすと、控えていた暗部が生きていた受験生にトドメをさす。里を守るという、強い意志……火の意志がそこには宿っていた。

 

◇◇◇

 

 3代目火影からの直々の特命を終えた挟間ボンボルドは、本来の業務に戻った。今まで患者が全く居なかったのに、三次試験予選で負傷者が大量発生していた。下手に怪我をさせるくらいなら、いっそ殺しておいて欲しいとすら思う程だ。

 

 挟間ボンドルドは音忍の腕も元通りに復元し、木ノ葉隠れの忍者も治した。そもそも、大蛇丸のスパイで木ノ葉崩しをする予定の連中を攻撃される側の里の忍者が治すってこと自体、理解不能な状況だ。

 

 暗部がしっかりと仕事をしていれば、拷問部屋に直行の連中だ。

 

「医療忍者は治療する事が任務ですが……担当上忍として、もう少し早く止めにはいれなかったのでしょうか。はたけカカシ上忍、猿飛アスマ上忍」

 

「いやーー、女同士のプライドを賭けた戦いだったものでな。後、サクラの後にサスケの事を頼むわ」

 

「だよな~。後に遺恨を残さないためにも止めるわけにいかなかった」

 

 春野サクラと山中いのの治療に当たっていた。医療忍術により外傷及び内臓へのダメージ、おまけで膜まで回復する。中でも肌と髪への治療は入念に行われた。彼女達二人が目覚めた時、肌と髪が元通り以上となっていれば大層喜ぶだろう。

 

「おや? そういえば二人は、イメージチェンジでもされたのですか? 私の記憶が確かなら、髪は長かったと思いますが……まぁ、治しておきましょう。不必要でしたら、後で美容室にでも行って貰ってください」

 

「おい、待てボンドルド!! アンタ、髪を伸ばせるって事はハゲも治せたりするのか?」

 

 猿飛アスマが重大な事実に気がついた。

 

 最近、生え際が後退してきた猿飛アスマは藁にもすがる思いだった。男はハゲと言うだけで女性からの評価が下がる。これから思い人と良縁になろうとする男にとって、ハゲ治療ができる医療忍者など千金にも匹敵していた。

 

「治せますよ。これでも医療忍術を買われて特別上忍になりました。ですが、私はハゲ治療の専門家にはなりたくないので、内緒です。個人的な依頼ならば、この位でお受けしましょう」

 

 挟間ボンドルドがAランク任務の報酬額を提示した。上忍ともなれば払えない額ではない。ハゲにならなくなるなら安い値段でもある。

 

「結構高いな。焼き肉を奢るとかじゃ駄目か?」

 

「私は、生え際が後退しつつある猿飛アスマ上忍が思い人に何の治療もしないままアタックしたとしても困りません。ですが、生え際が後退している男性と後退していない男性……どちらが魅力的でしょう」

 

「諦めろアスマ。挟間ボンボルド特別上忍は、こう見えて金に五月蠅い。値上げや気分を変えられないうちに支払った方が賢明だ。あ、俺は払うから頼むわ。最近、前髪で誤魔化してはいるが、気になっていてな」

 

 美容と健康は、医療忍術にも繋がる。

 

 そして、健康な肉体には健全な精神が宿る。つまり、挟間ボンドルドの精神は健全である証拠だ。

 




3代目火影ならこの程度はやってくれるはず。
忍者のトップに立つ一人だからね。


次は、三次試験まで一ヶ月くらいインターバルがありましたよね^-^

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