卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

12 / 82
いつもありがとうございます。

感想本当にありがとうございます。
執筆意欲がわいてきて大変有り難いです!!


12:休息時間(裏)

 中忍の三次試験に向けて、出場する受験生は己の技を磨く訓練を始める。そんな大事な時間を病院のベッドで過ごす事を快く思っていないうちはサスケが(くすぶ)っている。

 

 挟間ボンドルドははたけカカシからの頼みもあり、うちはサスケの治療に当たっていた。医療忍術で対応可能な箇所については完璧な仕上がりだ。

 

「相変わらず見事な腕だね。それで、ソッチの方もどうにかならない?」

 

「大蛇丸様謹製の呪印。医療忍術とは畑違いです。自然エネルギーを体内に取り込む為の物でもありますので、仙術使いに診て貰う方が早いでしょう。私でも不可能とは言いませんが、同じ呪印を持つアンコ特別上忍という尊い犠牲と長い時間を頂きたい」

 

「出来ないとは言わないあたり、凄いことなんだけどね。……で、なんで様付けなの? もしかして、挟間ボンドルド特別上忍もスパイだったりする?」

 

「抜け忍にこそなっておりますが、あの人が残した資料は里へ多大な貢献をしました。医療忍術の発展にも一役買っております。医療忍術の使い手として、万能の天才である人を尊敬しているに過ぎません。それが、例え抜け忍であってもね」

 

 大蛇丸の貢献度を考えれば、人体実験を行っていた程度で追い出される事は不自然だ。そもそも里主導、暗部主導などでその手の人体実験など何処でも行っている。場合によっては、一介の忍者ですら自己鍛錬のため行っている事だってある。

 

 はたけカカシとて、自らの所行で一つや二つ程度は心当たりがある。

 

 だが、大蛇丸の場合は時期とタイミングが悪い。4代目選出にあたり、出馬したが選挙で負けてしまった。つまり、里として火影という地位を餌に獰猛な蛇を飼い殺しに出来ない状況となった。

 

 大蛇丸推薦派の勢力を削ぐ為、通常ならば全く問題としなかった人体実験の責で呪印を用いて使い潰す計画を企てていた。その結果、大蛇丸の方が一枚上手で逃げ切る。

 

「そんな事はどうでも良い、カカシ!! さぁ、次はリーを見てくれ挟間ボンドルド特別上忍。ココの医者や他の医療忍者じゃ手に負えないとお前だけが頼りなんだ」

 

「分かっております。既にカルテは確認済みです。しかし、ロック・リー君は運が良いです。他里に遺体を返却する前でよかった。彼の体格に合う移植用の手足が里には豊富にあります。リハビリ期間は必要ですが、忍者を辞める必要はありません」

 

 大事な部下が忍者を続けられる。ただ、それだけでマイト・ガイは涙を流した。そして、挟間ボンドルドの手を握り、深く頭を下げてお礼を述べる。

 

 だれもが、忍者を止めるしかないと言う中、只一人移植する事で忍者を続けられると言ってくれたのだ。忍者の移植手術の難易度は高い。チャクラの流れる経絡という物が存在しており、正しく移植しなければ忍術使用に弊害が残る。

 

「ありがとう!! 本当に、ありがとう!!」

 

「頭を上げてくださいマイト・ガイ上忍。私は医師として当然の事をしているだけです。未成年の場合、本人だけでなくご両親の同意を取る必要があります。午後に時間を作りますので、ご参集をお願いしても?」

 

「任せておけ!! 」

 

 マイト・ガイはサスケの病室を飛び出した。

 

 挟間ボンドルドは移植手術をしなくてもロック・リーを治せた。だが、そんな事実をこの場にいる誰も気がつくことが出来なかった。

 

 原作キャラの最後まで生き残る一人。その手足に僅かでも魂が付着していれば、強い"祝福"を持っているに違いないと考えていた。

 

◇◇◇

 

 挟間ボンドルドは、原作組達への治療を終えて次の仕事に取りかかっていた。

 

 この時期、彼は大変忙しい。影分身を里に残して本体は里の外……砂の国へと向かっていた。目的はその道中で野晒しにされている4代目風影の遺体。大蛇丸にとってすれば、研究価値が低いかもしれないが、挟間ボンドルドには宝の山であった。

 

「やはり、人海戦術しかありませんね。カートリッジの予備は多くは無いのですが、必要経費です。影分身の術」

 

 カートリッジが8個も消費され、20体を超える影分身が姿を現した。そして、発見された場合も考慮し、全員が音忍に変化する。元々、音忍の仕業なので化けていたとしても国際問題にはならない。

 

「カツユの逆口寄まで15時間です」

 

 感知系の忍者である挟間ボンドルドが一列にならび、隙間無い探索が開始される。火の国から数時間も調査し、砂の国の岩石地帯にさしかかった。そこからが大きな問題であった。

 

………

……

 

 木ノ葉崩しを想定し、砂の国の忍者達が国境沿いに集結していた。よって、感知系のボンドルドとはいえ、バレずに入国し砂の国を調査する事はできなかった。その為、次々と影分身達の経験がフィードバックされる。

 

 残り5体まで減らされた所で吉報がフィードバックされた。影分身の一人が風影の死体を確保し、保存処理をして遺体を隠す事に成功した。

 

「遺体は置いていくしかありませんか。回収は、後回しにしましょう」

 

 忍者足るもの機を逃さない。

 

 本来であれば、本体の挟間ボンドルドが遺体を巻物に収めて逃げ切る予定であった。だが、砂の国の忍者達を相手にこれ以上、場に留まるのは得策でないと判断する。彼は、木ノ葉崩し後になれば、砂の国への移動はフリーパス状態になるのを知っているので無理はしない。

 

「そういえば、この時期は温泉街に自来也様が来ておりましたね。帰り際にご挨拶に伺っておきますか。では、安全に帰るために。置き土産です――口寄せの術!!」

 

 挟間ボンドルドがチャクラを練り込み契約している"タマウガチ"を呼び出す。この子もカツユと一緒に人工的に作り出した口寄せ動物だ。真っ白なポメラニアンのような可愛い子である……サイズは3m程もあり、子犬とは程遠い大きさだ。

 

【パパ!! 呼び出すなら、砂漠は止めてって。毛が砂だらけになっちゃうでしょ】

 

「水場で綺麗にしてあげますので、少し砂の忍者相手に暴れてきてください。危なくなったら帰って問題ありません」

 

 タマウガチの頭をなでで、行けと命令するボンドルド。包囲網に穴が空いたところを挟間ボンドルドは抜けて、火の国への帰還を果たす。砂の国は、国境付近で大量に忍者の死体が出来たなど公開する事も出来ず泣き寝入りする結果になった。

 

 

◇◇◇

 

 温泉街のビルの上。

 

 自来也が夜風に当たっている。一人の来客――光る仮面を付けた挟間ボンドルド。

 

「相変わらず、怪しい奴じゃのぉ。ボンドルド」

 

「自来也様。事前に連絡を頂ければ盛大にお迎えを致しましたのに、私一人で申し訳ありません。それと、お元気そうでなによりです」

 

「やめぃ!! 自来也様とか、ミナトに似た声で言われるとゾッとするわい」

 

「……自来也先生、お帰りなさい」

 

 伝説の3忍である自来也と交流を深める為にも、4代目火影の口調をマネて話しかけていた。中の人が同じなのだから、この程度造作もない挟間ボンドルドであった。

 

「ミナ…。悪ふざけは、その程度にしておけボンドルド。で、何のようじゃ? お主が儂を慰労するためにここまで来るわけないだろう。それと、儂のことはガマ仙人と呼べ」

 

「やはり、ガマ仙人様は話が早くて助かります。取材に協力するので、高等忍術を教えて頂きたい。里の特別上忍では知り得ない忍術も貴方ならば多々ご存じのはず」

 

 印を知った所でその術が使いこなせるとは別問題だ。チャクラ性質なども関わってくるし、高等忍術が必ずしも強いというわけでは無い。だから、教えたところで自来也としては何の損も発生しない。

 

「医療忍術だって高等忍術じゃろう。綱手が不在の今、お主より優れた医療忍者はおらんと聞いている。悪いが医療忍術を昇華したいならば、綱手を頼れ」

 

「戦闘向けの忍術や特殊な忍術を知りたい。お恥ずかしい話ですが、娘がもうすぐ産まれるので英才教育をしようと思っています。ですが、木ノ葉隠れの里の卒業試験は親としては賛同できません。忍者アカデミーに入れる気はありません。私自身が教えるために覚えておきたい」

 

 自来也も木ノ葉隠れの里に受け継がれる卒業試験は身を以て知っている。だから、挟間ボンドルドの気持ちも理解できた。子を思う親ならば当然の答えだ。

 

「まぁ~、そう言う事なら……印やコツを教えるだけならいいか。どのみち、上忍にでもなれば情報が少なからず解禁されるから、少し早いか遅いかだけじゃろう」

 

「それは有り難い。そう言って頂けると信じて、最高級遊郭をご用意させて頂きました。貴方好みの女性も用意させて頂きましたので、今宵はお楽しみください」

 

 若かりし頃の綱手にそっくりに外科手術を施した女性や綱手をベースに色気を足したパターンなどを金で用意した挟間ボンドルド。師から最高の指導を得るため、最高の環境を用意するのは弟子として当然である。

 

 出費こそあるが、自来也の遺伝子情報も手に入るのだから安い出費だ。

 




次は、三次試験本戦!!

忍者の仕入れ時までもうすぐだ。尋問部隊からの中古払い下げも購入手配しておこないとは。新しい忍者が手に入るんだし、古いのはいらないよね!!

※原作と違い、サスケとリーが早期復帰しています!!
 そして、風影の遺体は砂隠れの里側で発見できなくなりました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。