卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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多少時間が出来たので、少しでも執筆を…。

ていたらくな作者で申し訳ありません><


21:大蛇丸

 挟間ボンドルドは、忍者の前に一人の医師である。医師とは、治療する事が本分。医療行為に善悪の判断など持ち込まない。

 

 居酒屋で綱手達と別れた挟間一家は、帰り道で大蛇丸と出会った。いいや、大蛇丸陣営が待ち構えていたといった方が正しい。目的は、腕の治療だ。その為ならば、僅かな可能性にすら賭けていた。

 

 大蛇丸の傍らで控えている薬師カブト。彼は、挟間ボンドルドを必要以上に警戒していた。木ノ葉隠れの里に潜入していた際に、集まった情報だけを鑑みれば闘って勝てない相手ではない。その情報が真実ならば…。

 

「まったく、三忍が揃うだけでなく、ボンドルドまでここにいるなんてね。それに、さっきの話を聞いていたわ。カツユの子なんですってね」

 

「おやおや、これは大蛇丸様。木ノ葉崩し以来ですね。可愛いでしょう。ご挨拶しなさい、プルシュカ。この人は、歴代の忍者の中でもトップ10に入るほどのお方です」

 

 敬意を示す挟間ボンドルド。

 

 大蛇丸を警戒するメーニャ(カツユ)だが、挟間ボンドルドが問題無いと制した。大蛇丸は、忍者の中では極めて珍しい理性的な存在だ。それこそ、挟間ボンドルドと良い関係が築けるほどだ。

 

「私、挟間プルシュカっていうの!! パパが何時もお世話になっています。――おじさん、手を大怪我しているね。プルシュカだと、ちょっと無理かな」

 

 大蛇丸の手を確認し、手に負えないと判断する。プルシュカが、医療忍術の掌仙術を引っ込めた。

 

 だが、それが悪手。

 

 プルシュカの年齢で高度の医療忍術が使えるなど、大蛇丸でも想像できなかった。優秀な存在……次代の転生対象となり得る逸材。不幸中の幸いなのは、コンタクトレンズにより、写輪眼の存在が露見していない事だ。

 

「大蛇丸様、この子供……普通じゃありませんよ」

 

「その程度の事、言われなくても分かっているわ。――カツユとボンドルドの子供、欲しいわね。その年で、医療忍術を使えるなんて、才能の桁は埒外。でも、止めておきましょう。私は、どこぞの三忍みたいに、産まれたばかりの赤子を何人も犠牲にした様なゲス外道じゃないもの」

 

 大蛇丸は、何処の誰とは言わないが女性の三忍を非難した。

 

 大蛇丸の研究対象は、主に犯罪者や忍者を利用している。綱手の研究対象は、罪も無い赤子を利用している。人の命が等価と考えるならば、どちらもゲス外道。だが、両者ともアイツよりマシだと心の中で思っていた。

 

「おやおや、大蛇丸様の頼みと言ってもプルシュカは差し上げられません。大蛇丸様の目的は腕の治療の筈。そして、欲しい肉体はうちはサスケかうちはイタチでしょう」

 

『プルシュカちゃんに手を出したら、何処までも追いかけます。プルシュカちゃん、ママと一緒にそのオカマから離れましょうね。オカマがうつると大変です』

 

「失礼ね!! ボンドルド、あのカツユがこんなに失礼な性格になったのは、貴方が原因でしょう。カツユの()として、責任を取りなさい」

 

 大蛇丸は、抜け目がなかった。

 

 元より敵対するつもりもない。可能であれば味方に引き入れる。難しいなら利害関係を築くだけで十分だった。綱手に次ぐ医療忍術の使い手である挟間ボンドルド。更に言えば、大蛇丸同様に幅広い方向に才能を持った男だ。科学分野では、大蛇丸とて一目置いていた。

 

『夫……大蛇丸()は、分かっていますね!! ボンドルド様の妻は、わ・た・し!! よく見れば、大蛇丸様って男前ですね。腕なら夫のボンドルド様が診てくれますよ』

 

 凄まじい手のひら返し。大蛇丸もその変わりっぷりにチョロ過ぎてカツユが心配になるほどだ。だが、同時にその危なさに気がついた。深すぎる愛のため、万が一、身内に不幸があれば、愛が全て憎しみに裏返る。

 

 口寄せ動物の中で特別な地位にいるカツユ。その存在を滅ぼせる者が居ないとまで言われる。まともに闘えば、大蛇丸とて分が悪いレベルでは無い。

 

「なるほど、カツユを先に味方に付けましたか。綱手様程の技量はありませんが、大蛇丸様の腕を診せてください」

 

「分かっていると思うけど、下手な事をしたら殺すわよ」

 

「大蛇丸様。私は、医者ですよ。目の前に怪我をした人が居れば敵味方問わず助けるのは当然です。患者にやましい事など致しません」

 

「大丈夫なのですか、こんな胡散臭い医療忍者に診せて。私も医療忍術はそれなりの腕だと自負しておりますよ」

 

 大蛇丸に、自らの有能さをアピールする薬師カブト。確かに、彼は有能だ。その戦闘力の高さに加え、医療忍術まで使いこなす。伊達に、はたけカカシと同格と自慢するだけの事はある。

 

………

……

 

 それから、挟間ボンドルドは大蛇丸の腕を診た。

 

 例え、診た結果、何の成果が得られなかったとしても大蛇丸は挟間ボンドルドを責める気はない。駄目で元々だ。

 

「分かりきっている事かも知れませんが、これは封印術によって、腕の魂が封印されております。医療忍術でどうにかなるレベルではありません。その為、大蛇丸様が考案した転生術でも回復する事はできないでしょう」

 

「やはり、魂レベルになると私と同じ見解ね。だけど、この状況を はいそうですか と受け入れるほど私は甘くはないのよ。一つや二つくらいは解決案くらい提示できるでしょう。そうすれば、色々と融通してあげるわ」

 

 大蛇丸が水面下で挟間ボンドルドに取引を持ちかけた。数少ない理性的な忍者の二人。

 

 そんな大人の話し合いをしている最中、プルシュカは薬師カブトより医療忍術を活用しチャクラをメスの形に変形させるコツを教わっていた。美少女で誰にでも隔てなく接する事は、最強の武器だ。

 

 子供に自らの忍術を惜しみなく披露する。

 

「患者を治療するのが医師の務めです。大蛇丸様の両腕を封印したのは屍鬼封尽という封印術です。これは、うずまき一族に伝わる秘術。解呪方法が存在しない封印術など存在しません。毒と薬が表裏一体であるように」

 

「いいわね~、貴方はやっぱり凄く良いわ。今後、貴方達一家に危害を加えない事をこの場で約束するわ。その口ぶりからして、解呪方法は知らないのよね?」

 

 大蛇丸が、挟間一家に手を出さないと誓った。勿論、口約束。だが、決して破ることが無いと挟間ボンドルドは確信している。この手の輩は、約束は破らない。

 

「残念ながらそこまでの調査は出来ていません。しかし、屍鬼封尽の亜種といえる忍術ならば使えます。保証はありませんが、大量の生け贄と引き替えならば大蛇丸様の腕の一部を返してくれるかも知れません」

 

「最高よ、ボンドルド!! 今すぐに、その術を使いなさい。報酬は言い値を払ってあげるわ」

 

 さらりと爆弾情報を提示した挟間ボンドルド。売れる恩は、最高のタイミングで出すのが大事だ。

 

 綱手を頼ってきたら、まさかの事態に大蛇丸一同も驚愕だ。

 

「いえいえ、医者として当然の事をするまでです。患者が健康に戻る事こそ、医者として喜びを感じます。しかし、私が使える屍鬼封尽の亜種に使う生け贄は大蛇丸様達でご用意してください。今までの経験から……100人も捧げれば小指くらいは動かせる様にしてくれると思います」

 

「少し数が多いわね。腕が治るなら幾らでも生け贄くらい用意してみせるわ。とりあえず、直ぐにでも実験を始めるわ。その結果で定期的に私の治療をしにきなさい。医師なんでしょう」

 

「えぇ、では正規ルートで木ノ葉隠れの里に依頼をお願い致します」

 

 何をバカな事を言っているのだろうと思った一同だが……暁コートや暁の忍具を提供しているのが木ノ葉隠れの里なのだ。金さえ貰えれば、暗殺任務と暗殺対象の護衛任務の双方すら受けるのが里の方針。

 

 その事実を知った大蛇丸は火影にならなくて本気で良かったとすら思い始めていた。

 

 木ノ葉隠れの里を舐めてはいけない。忍者なのだから、依頼をえり好みするなどあるはずがない。金さえ貰えれば、何でもやる。

 

 




まだ仕事が忙しいですので、次回投稿予定が未定です><

次は、大きなママの登場!!

3忍の大戦が終われば、サスケのがけ忍に@@

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