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23:五代目
木ノ葉隠れの里は、五代目火影の就任を里を挙げて祝っていた。
伝説の三忍の知名度は、一定世代以上には凄まじい。なにより、同じ伝説の三忍である大蛇丸への対抗馬として期待されていた面も大きい。特に、綱手が里に戻ると同時に自来也まで里に復帰するともなれば、安心感は倍増だ。
元よりスペックの高かった綱手は、その手腕を十全に発揮した。彼女の当面の目標は、確固たる地位の確立だ。火影になったとはいえ、その命令に従わない忍者が多ければ意味が無い。つまりは、実績を積む事が大事だ。
そこで利用されるのが三代目火影時代に駄目だった点を改善するという内容である。政権交代などでよくある手法だ。前任者達の駄目な部分を直しましたという事でお手軽に実績が積める。寧ろ、それを考慮されて幾つか改善できる点を残して世代交代がされている。
当然、綱手一人では実行が難しいため、選ばれた人材達が個々に執務室で特命を受けていた。呼び出された一人に、挟間ボンドルドも含まれている。
「ボンドルド、病院勤務は今この場をもって終了だ。今の作業は全てシズネが引き継いで対応する。これからは、利回りの良い往診をメインで働いて貰おう」
「なるほど、確固たる地位を確立するために手頃な功績から付け替えていく作戦ですか。理由の説明と見返りはあると思って宜しいのでしょうか? 綱手様」
医療忍者として、病院に勤め様々な抜本的改革を行っていた挟間ボンドルド。その体制をそっくりシズネに付け替えて我が物にする計画であった。シズネに付け替える理由は、単純に見栄えの問題だ。綱手に長年使えた女性の医療忍者が、医療体制の抜本的改革を行い成功したという方が聞こえが良い。
勿論、分かる者には分かるが……そんな忍者は全体の内の数パーセントも居ない。
「無論だ。今や里の忍者不足は、致命的だ。退役忍者の復帰と産休の者達の復帰も検討している。その為には、医療体制が完備されており働きやすい環境を整えていると宣伝もする必要がある。その医療体制のトップがボンドルドでは胡散臭いだろう」
「なるほど、一理ありますね。綱手様や私では、イメージ戦略としてはお世辞にもよくないでしょう。私達に比べれば、シズネさんの方が庶民的で受けがいい。で、見返りの方は?」
ぐぅの音も出ないほどの正論だ。
だが、元忍者がその程度の情報に踊らされて復帰するとは、挟間ボンドルドは到底思えなかった。ブラック企業を勤め上げて、生きて退社した人材が今頃復帰するのにはメリットが足りないと。
その事については、綱手も百の承知だ。だが、そのブラック企業に孫や息子がいるならば話は別だ。子供の葬式を挙げたい親なんて居ない……火影の権力を持ってすれば、最前線や危険な任務に忍者を送り込むことなんて簡単な事だ。
退役忍者で腕がそこそこあった者達は、火影に肩を叩かれて、『子供は可愛いよな』と心を折る一言で泣く泣く復帰を始めていた。里の復興のため、血の涙も無い行為――だが、それができてこその火影だ。
「三代目火影や御意見番がボンドルドに行ってきた事に関しての正式な謝罪及び慰謝料の支払、挟間プルシュカへの医療忍術の手ほどき、禁術の全面解禁」
「一見大盤振る舞いに見えますが……実質、禁術の全面解禁しか旨味が無い事は綱手様も分かっているでしょう」
謝罪や賠償など、今までの事を鑑みれば当然だ。プルシュカへの医療忍術指導など、挟間ボンドルド自身でも十分教える事が出来る。指導とは聞こえはいいが、実質プルシュカを人質にしたいだけだ。往診をさせる為、裏切らない担保を求めている。
「だが、有無言わさず成果を奪われるよりマシなのは分かっているだろう。今は、里がピンチ。これを機会に、各方面の成果を吸い上げて火影就任後の成果として活用する」
「それで、手を打ちましょう。ゴネて、今朝に水死体で見つかった忍者みたいにはなりたくありません。但し、プルシュカへの医療忍術の手ほどきは不要です。娘は、往診に連れて行きます。里にいるより、外で見聞を広めた方が良いでしょう」
挟間プルシュカは、挟間ボンドルドの研究成果の結晶だ。調べれば色々と活用できると綱手は考えていた。かつての恋人と弟を復活させるに当たり、全てを他人の手に任せるなど愚かな行為だ。その為、プルシュカを調べ上げたかった。
「それならそれで、構わん。では、最初に任務を言い渡す。
「おやおやおや、私の記憶が確かなら似たような症状の患者を診察した気がします。いいえ、邪推はいけませんね」
色々と経由して、本来の依頼人が分からないようになっている。だが、この内容をみてどこの誰からの依頼か分からない綱手ではなかった。しかし、報酬額や里にとって有益な情報を提供するなど非常に好条件であるので、快諾する事にしていた。
「馬鹿者!! 忍者が依頼をえり好みしてどうする。忍者とは、耐え忍ぶ者だ……どんな内容の依頼であれ、適正な金を支払うならば、黙って仕事を遂行する。それこそ、あるべき姿だ」
「実に、実に素晴らしい考えです。以前の綱手様からは、考えられないような発言。しかし、私はそれに賛同します。使える者は、師を殺した者すら活用する。貴方の忍道は、
挟間ボンドルドは、卑の意志が正しく継承されている事を確認した。
里を守り、発展させるためにはこの程度の意志を持たねば、不可能。歴代の火影達がそれを証明している。すなわち、綱手は、正しく火影の仕事を全うしている。
翌日、木ノ葉隠れの里の恐怖の代名詞と言われる追忍部隊隊長――"木ノ葉の黄ばんだ閃光"が出立したと盛大に告知された。表向きな理由は、長期休暇の忍者達の安否確認等。だが、真の目的は、早期に任務に復帰させる事だ。
誰もが正規の手順で取得した長期休暇だから、何の心配も無いと思っていたが……挟間ボンドルドが正規手順で長期休暇を取得したにも関わらず抜忍扱いされ暗部が差し向けられた事も公表された。
それの相乗効果により、本当に長期休暇扱いになっているのか不安になり真っ青な顔をして木ノ葉隠れの里に戻ってくる忍者が列をなした。
◇◇◇
挟間ボンドルドは、里からの任務で両腕を大怪我した人の治療にとある場所まで出向いていた。そして、患者の容態を丁寧に診る。今後の方針や薬を処方する。
「綱手様は、やはり火影に相応しい。最小労力で最大の成果を持ってくるのですから、血は争えないと言う事なのでしょう」
「綱手は、昔から計算高い女よ。私の治療も分かった上で、ボンドルドを派遣しているのだから火影という存在が真っ黒すぎて笑えてくるわ。そうそう、里に帰ったら綱手に渡しておいて欲しい物があるから頼めるかしら?」
大蛇丸の腕は、順調に回復に向かっていた。生け贄さえ揃えば直ぐにでも回復できそうだが、流石に数十万単位の生け贄になりかねないので、大蛇丸とて簡単ではなかった。
「勿論。但し、大蛇丸様の往診後、もう一件往診依頼があるのでそちらを終えたらになります。背中に何本も棒が刺さった栄養失調の患者、半身が潰された過去を持つ患者、視力が異常に悪い上に内臓に致命的な病気を抱えた患者などがいるブラック企業の健康診断です」
「……大丈夫なのかしら、そんな企業。早く転職した方がいいと勧めてあげなさい」
大蛇丸の意見に賛同する挟間ボンドルド。だが、その企業が元勤め先だとまでは気がつけなかった。
それから、有能忍者達は有益な情報交換を行った。そんな中、挟間ボンドルドはプルシュカが弟妹が欲しいと言っていたのを思い出し、さりげなく大蛇丸に女性への転生を勧める。
将来的に、うちはサスケを手中に収めた時、才能あるうちは一族をその体で産み育てて乗っ取った方が安全で効率的だと勧めたのだ。
サスケ*大蛇丸の子供なら、プルシュカの異母兄弟でもあるはず!!
ワンチャンありだよね。