27:Sランク任務
風影である我愛羅が暁に捕まった。
その事実を聞いた火影の綱手は、頭の中で計算する。表向きには、同盟国である砂隠れの里を助けるという行為は必要だ。そして、それに派遣されるのが、たったの三人。
五大国のトップが武装勢力に拉致され、救出に関する助力を他国に懇願し派兵される人数ではなかった。そもそも、三人程度なら砂の国に旅行している木ノ葉隠れの里の忍者より少ない。
本当に、体裁だけ整えただけと言える。
「プルシュカは元気か、ボンドルド」
「勿論ですよ。先日もお会いになったでしょう。それでどのようなご用件でしょうか?」
挟間ボンドルドは、火影の執務室に呼ばれていた。二人しか居ない執務室で、態々里のトップが、部下の子供の話をする。これから真っ黒な話をしますと告げていると同じだ。それも、断ればどうなるか分かっているなと言う示唆とも受け取れる。
「挟間ボンドルド、貴様にSランク任務を与える」
「特別上忍には、荷が重い任務です。誰かと組むのでしょうか?」
Sランク任務、国家機密レベルの任務で通常は上忍などが複数人で対応する事が当たり前だ。それを、特別上忍一人とは、酷い選抜である。特別上忍とは、専門技術を持つ中忍である。決して、上忍から選抜されたスペシャルな人材ではない。
勿論、上忍に昇格するにあたり試験を受けて合格する必要があるため。一概に中忍と上忍の力関係がその通りでは無い事例もある。
「秘密を知る者は、少ない方が良い。なにより、上忍は色々と出払っていて数が足りん」
「往診先のブラック企業が、特別な儀式を行うので三日三晩の警護依頼をどこかの里にしたと言っておりました。しかも、上忍スリーマンセル部隊を複数も……結構な支払をしたと、先方のトップがぼやいておりました」
S級犯罪者とはいえ、三日三晩集中しないといけない儀式をこなしつつ、命を守るのは大変な事だ。だからこそ、企業は社員を守る為、警備を外注する。それを請け負ったのが、木ノ葉隠れの里だ。
だからこそ、同盟国へ派遣されるのが、うずまきナルト達の三名だけ。
「ボンドルド、貴様は往診先の企業で見聞きした情報を漏洩するな。我々はその費用も貰っている。で、貴様に与える任務だが、砂の国の小さな集落を幾つか潰して貰おう。しかも、木ノ葉隠れの里の仕業と分からぬようにだ」
「……なるほど。砂隠れの里は、暁により打撃を受けている。そこに他国からの攻撃があれば、風影奪還より国防を優先せざるをえなくなると。生死不明の風影より国防を優先させる算段ですか。里のスポンサー達である大名ならば、手を出さずとも国防を優先させるでしょう。その後押しという事ですか」
「この程度、五大国なら何処でもやっておる。それに、貴様の往診先は金払いが良い。いつでも、ニコニコ現金払いだ。それに、あれほど有能な忍者を必要なときに傭兵として使えるのだから、これ以上の費用対効果は存在しない」
「素晴らしい考えです。忍び一人を育てるのに掛かる経費を考えれば外注する方が安上がりです。なにより、死んでも外注ならば里への被害は実質0。更には、悪名も全て暁が背負ってくれる」
「暁?……何度も言わせるな、顧客先の情報を漏らすなと」
コレが大人の世界。卑の意志を継ぐ者のやり方だ。二代目様もあの世でニッコリしているに違いない。
表では同盟国を助けつつ、裏では切り崩しへの協力を惜しまない。
◇◇◇
春野サクラは、砂隠れの里に到着して早々に、カンクロウの解毒作業を行っていた。
カンクロウは、暁の一人であるサソリから毒を受けており、瀕死の重傷となっていた。しかも、その毒が砂の里の忍びでは解毒不能。それほどまでに、高度な技術で作られた毒であり、一朝一夕でどうにかなるレベルではない。
そもそも、解毒とは毒の成分分析を行い、時間を掛けて対処法を模索するのが本来の方法だ。
だが、春野サクラは、一瞬の診察で毒に当たりを付けて対処方法まで分かっていた。その様子に砂の里の医療忍者達も驚きを隠せない。優秀という言葉では片づけられない。
「この毒…いいえ、なんでもないわ。私が言った物を大至急用意してください」
綱手の元で修行したからこそ、彼女はこの毒に見覚えがあった。毒と薬は表裏一体……つまり、毒の出所が綱手であると彼女は疑念を抱く。だが、そんなことは無いと彼女は、その疑念を振り払う。
暁コートを提供しているのも木ノ葉隠れの里。
起爆札などの軍事物資を提供しているのも木ノ葉隠れの里。
医療忍者を派遣し暁の健康管理をしているのも木ノ葉隠れの里。
特別な儀式の護衛をしているのも木ノ葉隠れの里。
それだけに留まらず忍者とは後ろ暗い仕事を大量にしている。だが、そのような事実を知らない限り、綱手の下で学んだ事と暁の毒を結びつける事は、綺麗な任務しか経験がない彼女にはまだ難しかった。
よし・・・原作通り!