木ノ葉隠れの里に悲報が轟く。
三代目火影の子供である猿飛アスマの殉職、医療忍者であり民からの信頼が厚かった挟間ボンドルドの裏切り。この二つにより、里は大きく荒れる。
だが、忍者という職業である以上、死はつきまとう。今まで殺してきた人数を考えれば、死んで当然。少なくとも、猿飛アスマに殺された他里の忍者の家族達はそう思っている。だから、誰しもが悲しんでいるわけでも無い。
それに、猿飛アスマは、一介の上忍だ。だというのに、里を上げての葬儀となった。実におかしな話だ。このレベルの葬式を誰かが死ぬ度に挙げては、年中葬式で何も出来なくなる。元火影の子供だからといって贔屓は良くない。
それに、この盛大な葬式費用を誰が負担する。誰もが里負担――つまり、里の血税だとおもった。だが、素晴らしい事に違う。亡き猿飛アスマの貯蓄から出されている。木ノ葉隠れの里の暗黙のルールで死んだ忍者の財産は里の財政に回る。勿論、相続者が居ない場合に限る。
「シカマルが名乗り出てくれて助かったな」
火影の執務室で、綱手がぼやく。
猿飛アスマの恋人であり、今現在妊娠中の
もう少し早く婚姻届をだして受理されていれば、遺族年金や財産などが転がり込んだ。だが、現実は違う。彼女は、これからお腹の中の子を一人で育てる必要がある。子育てには金が掛かる。勿論、くの一である彼女が復帰すれば、養うことも可能だろう。だが、小さい子供がいるのに死が伴う仕事はリターンよりリスクが大きい。
「しかし、良かったのですか綱手様。アスマさんの財産をおわけしないで」
「それは出来ない相談だ。彼女だけ特別扱いしては、今までの連中や今後の連中分までくいっぱくれるだろう。紅なら問題無い。若くて美人だ……好色な大名達が相手の安全で高額な任務でも回してやる。それが、火影として助けられる最大限の事だ」
大名達へのご機嫌とりは火影としても大事な仕事。その一環であるのが慰安任務だ。
だが、綱手にとって今は猿飛アスマの死より大きな問題があった。挟間ボンドルドを殺し損ねていたという事実。これでは、『根』の精鋭や火影直轄暗部まで動かしたのに成功には程遠い。
「シズネ。ボンドルドの施設から押収した物の分析は進んでいるか。後、メディアへの対応もだ」
「はい。特許未申請の薬物も沢山あり、今現在医療チームが総出で精査及び検証をしています。効果が確認取れ次第、特許を取得します。加えて、S級犯罪者として指名手配された事により、木ノ葉隠れの里時代に取得した特許並びにその利権を接収しました。これだけでも、里の年間予算近くなる試算です」
「順調だな。罪の無い赤子の死体が幾つも出てきた件、初代の墓荒らしの件、写輪眼の献体が見つかった件なども忘れずにリークしろ。メディアには金を握らせておけ、大衆を味方に付ければ嘘も真実になる」
綱手は、挟間ボンドルドの施設…イドフロントに関する資料に再度目を通す。薬物や現金など、目先の金になる物は多々見つかった。人体実験をしていた形跡なども見つかった。だが、何処を探しても遺体はない。それに、挟間ボンドルドの武装も同じだった。
「後、綱手様。『根』の者達が対峙したという子供の絡繰りですが……やはり、『根』も捕獲していない様子です。我々が奪ったのでは無いかと、抗議や探りが入っております」
「あの封鎖で逃げられるはずも無い。となれば…逆口寄せか。少しでも私が調べられれば、何か分かっただろうが。これでは骨折り損のくたびれもうけではないか」
挟間ボンドルドは殺せず、プルシュカは確保できない、蘇生したと報告があった忍術などの秘術に関する情報もでてこない。
不幸中の幸いなのが、挟間ボンドルドが木ノ葉隠れの忍者達の前で、神月イズモとはがねコテツを負傷させて持ち帰った事だ。これで、挟間ボンドルドが何を言おうとも犯罪者の戯言となる。
唯一、奈良シカマルという現場での真実を知る者がいるが、無駄に頭が良いため真実を言うことが常に正解では無い事を彼はよく知っている。だからこそ、綱手は奈良シカマルを高く評価している。
◇◇◇
春野サクラの耳にも当然、猿飛アスマの殉職と挟間ボンドルドがS級犯罪者となった報告が入った。一昔前なら、この新聞記事を鵜呑みにしていた。
だが真実を知っていたとしても、行動が起こせるかは別だ。
春野サクラには家族が居る。仲間も大事だが、それ以上に家族が大事だ。里に不利益な事があれば、一族郎党纏めて処理する程度、平然とやるのが木ノ葉隠れの忍者だと理解した。今まで直視しないようにしてきたが、これが忍者の現実。一度、忍者という業界に足を踏み入れればそうなるのが当然であった。
その為、猿飛アスマの葬式に参列しても何か裏があるんじゃないかと常々思うようになってしまった。火影執務室に呼ばれて、『ボンドルドの事は忘れろ。お前だけが後継者だ』と激励されたが、空元気で頑張りますとしか答えられなかった。
今でこそ、うちはサスケの件や挟間ボンドルドの件で傷心しているで通せている。だが、いつまでも綱手の眼を誤魔化せると思っていないのも事実だった。
「やっぱり、気持ちの整理を付けなきゃダメね」
兄弟子が残してくれた家族分のチケット。行き先は、音隠れの里。タイミングは微妙だが、傷心旅行と親孝行など理由を付けて、春野一家は木ノ葉隠れの里を出発する事にした。
◇◇◇
音隠れの里の新事業へ快く参加をして貰うため、大蛇丸と挟間ボンドルドは新しい仲間に自身の状況と愛した恋人の状況を正確に伝える。
火影の采配で慰安任務に、妊娠している恋人が付くなど許せるはずもない。世の中の大名にはクズも多く。寧ろ、そういった女性を好む傾向もある。金に困ったくノ一がどんな末路になるかは同じ忍者として知らぬわけでもない。
実際、そう言う女性を買う男性忍者もいる。そういった、実経験があるからこそ、自分の恋人にはそうなって欲しくないと思っていた。自分がやる分には良いが、やられるのはダメだというやつだ。
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「わかった。お前達の為、文字通りバ車ウマの如く働く。だから、彼女とお腹の子供に俺の稼ぎを届けてくれ。どうか、頼む」
第二の生を与えられた元忍びが、泣きながら土下座する。
遠くで過ごす家族のため、姿形は変われど尽くすとは美しい限りだ。
「えぇ、素直なのは良い事よ。しかし、ボンドルドも人が悪いわよね。自分を一度殺した相手を転生させるなんて」
「おやおや、おかしなことを言いますね大蛇丸様。私は、嘗ての同僚に恋人と子供を助けるチャンスを与えたと思っております。さぁ、貴方のお仲間をご紹介しましょう。先人達にここでの過ごし方を良く聞いて下さい」
挟間ボンドルドがそういうと、部屋に同じく二度目の生を与えられた元お仲間が集まってきた。何処に出しても恥ずかしくない美少女、美女達。そして、左から準備紹介していく。
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開いた口がふさがらないアスマイヤベガ。親近感がありすぎて、もはや脳が理解を拒んでいた。
「みなさん、仲よくしてあげて下さい。今日から、お仲間になりました
見つめ合うヒルゼンスキーとアスマイヤベガ。そして通じ合う。お互い堕ちるところまで堕ちたなと。
第10班…君達を待っておりました。さぁ、隠れていないで、どうぞ顔を見せて下さい。
PS:
この中で仲間はずれが居ます。
仲間はずれはダメだと思うんですよね。
奈良シカダイ君
山中いのじん君
秋道チョウチョウさん