挟間一家は、飛段と角都の両名と合流を果たした。そして、一緒に木ノ葉隠れの里を目指す。目的は、九尾の人柱力だ。だが、いくら暁とは言え、警戒されている木ノ葉隠れの里に押し入って人柱力を確保できるとは思っていない。
戦争とは数だ。無勢に多勢で来られては、不死身コンビであっても後れを取る。対里を相手に出来る忍者は、世の中にそんなに多くは無い。
「なるほど、じゃあ、木ノ葉隠れの里の忍者を誘い出す為に目立つところを歩いているのね」
「そうですよ、プルシュカ。木ノ葉隠れの里といえど、忍者という資源には限りがあります。特に、今回の騒動は他国も察知しているでしょうから、動かれている里も多いでしょう。以前のように20部隊も動かすのは不可能です。我々は、うずまきナルト君が釣れるのを待っていればいいんです」
飛段と角都にしても、戦力が増える事はメリットであり歓迎していた。それが、娘の保護者的な立ち位置での参加であってもだ。
「ぎゃっははは、見ろよ角都。あのサソリがこんなに可愛くなりやがって。完全にガキじゃねーーか」
「あまり、からかうな。飴でも食うか、サソリ」
「うるさいぞ。お前達も死んだら同じ目に遭うかも知れないからな。せいぜい、今の生を楽しんでおけ。コチラ側にきたら、俺が先輩だからな」
「サソリじゃなくて、レグ!! 何度も言わせないでよ。おじさん達もあんまりレグをからかったらダメだからね」
完全に弟を守る姉のポジションのプルシュカ。
新しい肉体となったサソリとしても既に諦めていた。チャクラの無い肉体では出来る事はすくない。資金があれば、人傀儡くらいは作れるだろうが、現在進行形でS級犯罪者の仲間扱い。自身が置かれている状況を考えれば、大人しく挟間一家に匿われている以外生き残る道は無かった。捕まれば、喜んで解剖する連中が五万といる世界だから。
「おぃおぃ、俺はまだおじさんなんて呼ばれる年じゃねーぞ」
「そんなに若く見えたか。おじさんで構わないぞ」
まるで仲の良いグループが旅行しているような雰囲気。だが、その構成メンバーがほぼS級犯罪者。
そんな彼等を見つめる一匹の鷹がいた。
………
……
…
背後から伸びる影。全員を同時に拘束できるチート能力。だが、能力の使い方がダメだ。この能力をうちはマダラや千手扉間が持っていたら、どれだけ有用な使い方を思いついただろうか。
「プルシュカ」
「分かってるよ、パパ」
無論、暁メンバーもその程度の事には気がつく。回避と同時に飛んでくる起爆札付きのクナイ。幼い子供でもあるプルシュカにも容赦なく投げつけられる。その事から、挟間ボンドルドは、綱手からタダの子供ではないという情報が伝わったと把握した。
結果、飛段が武器で防ぎ一部欠損。角都が硬化で防ぐ。挟間ボンドルドとレグは、持ち前の頑丈さでそのまま受ける。プルシュカだけが華麗に回避してみせた。
追い打ちの二撃目はなかった。奈良シカマルが計画した緻密な作戦とずれてしまったからだ。起爆札をまともに受ける事やあのタイミングで回避される事は想定していなかった。計算高い者ほど、イレギュラーの事態に弱い。
そんな奇襲もほぼ360度を見渡せて透視能力まである白眼の前では無意味。挟間ボンドルドは、流石は木ノ葉隠れ最強と自負する日向一族の肉体だと思っていた。
「おやおやおや、ご挨拶も無しにいきなり攻撃されるとは。どうしたんですか、そんなところに隠れて。どうぞ顔を見せて下さい。はたけカカシさん、奈良シカマル君、山中いのさん、秋道チョウジ君」
「先生が言ってたあの髭の教え子達か。俺等も舐められたもんだな。たった一小隊しかこないなんて」
「同意だな。だが、気をつけるべきは写輪眼のカカシだけだ。後は、雑魚。今度は死ぬなよ飛段」
第10班側としては、想定していた事態の一つだった。暁側に情報が漏れており、敵討ちのハードルが上がる。
奇襲が通じなかったことで第10班が続々と姿を現してきた。そして、両者が対峙する。真っ先に口を開いたのが、はたけカカシであった。
「なぜだ。なぜ、あんたが里を裏切った!! ナルトやサクラだってあんたには心を開いていた。五代目の教え子なんだろう。なぜなんだ」
「少しは綱手様から教えて頂けているものと思っていましたが……あの方も人が悪い。もしかして、奈良シカマル君からも何も伺っていないのですか?あの場にいらっしゃったのに」
「揃いも揃って、木ノ葉隠れには馬鹿しかいねーのか。先生はな、自らの無実を証明する為に無抵抗で捕まったのに、髭に殺されたんだよ。そうだったよな?ガキ」
飛段から告げられる真相。
そのような情報は、第10班のメンバーは奈良シカマル以外知らなかった。
「そんなの嘘よ!! だって、調書じゃ挟間特別上忍が暁と関係があったから、仕方なくって…そうよね、シカマル」
「僕もそう聞いたよ。シカマルから」
「まずい!! これ以上、アイツラの話を聞くな」
はたけカカシは察した。
今回の一件の全貌を。だが、真実を知りすぎてはいけない。知りすぎた者の末路が今目の前にあるのだから。暗部で知りすぎた者達を殺して回った事がある男は違う。
「術の相性的に、はたけカカシ上忍は飛段さん。奈良シカマル君は、角都さん。山中いのさんは、プルシュカとレグ。秋道チョウジ君は、私が担当しましょう。お望み通り、分かれて闘ってあげます。さぁ、始めましょう」
飛段も角都も猿飛アスマとの戦いで『祝福』を経験している。手加減や手抜きなどを無意識で行わされるという謎の現象。更には、都合の良いタイミングで助けが来るという。これに対抗する為、最初から本気の本気だ。
◇◇◇
その頃、木ノ葉隠れの里では、換金所にいた男に対して尋問を行っていた。
この一件が裏社会に大きな影響を与える。換金所という存在は、公然の秘密。換金所の運営は、五大国に存在する裏社会が共同運営している実態があった。
他国に渡る前に忍者の死体を回収したい場合などに、高額な懸賞金を掛けて回収するといった事が換金所経由で行われている事もある。だからこそ、国内に何カ所も換金所があり、隠れ里もその存在を容認している。
だというのに、木ノ葉隠れの里は、暗黙の協定を裏切った。
つまりは、今後裏社会経由で木ノ葉隠れの里は忍者の遺体回収が出来なくなる。暗黙とは言え協定を裏切ると言う事は、報復が待っている。裏社会とて、舐められたらお終いだ。他国でも暗黙の協定を裏切られては、やっていけなくなるので、みせしめが必要。
火の国警備網が漏洩、裏社会からの高額な暗殺依頼などが他国に流れ、歓楽街の質は低下、裏社会から大名達への献金額も大幅に減少、危険薬物などを裏で仕切っていた者達がいなくなり無法地帯と化す。
後ろ暗い商売の忍者が裏業界の連中と仲よくしないでどうするのかと、卑劣様が五代目の側にいたら言っただろう。
裏社会を舐めたツケは、必ず支払うことになる。