挟間ボンドルドが対はたけカカシ戦に参加を決めた頃、山中いのも同じく浄土へと導かれていた。1対1なら、術成功と同時に即自害という大前提で秘伝忍術――心転身の術で、挟間プルシュカに勝利するチャンスはあった。
それを封じるためにも、レグがいる。どちらかが、術に嵌まれば即座に本体を殺すという作戦。これをやられたら、心転身の術などただの自殺行為だ。
「パパ、こっちも終わったよ。褒めて褒めて」
「本当にいい子ですね、プルシュカ。聞くまでもありませんが、抜かりありませんか
「大丈夫だ。なぜか、突風とかで攻撃が当たりにくかったが、確実に頭部を粉砕した」
挟間ボンドルドは、仕事を終えた愛娘を撫でる。忍者たるもの殺しの経験は必要だ。いざという時に躊躇するようなら、致命的なミスをうむ。
本来ならば『祝福』回収のために、生かしておく事もあり得た。だが、その考え自体が間違っている。『祝福』持ちが集まれば、集まるほど敵側に都合の良い展開になるのは今までの事実が物語っている。
それに、大蛇丸と良好な関係を築いている挟間ボンドルドとしては、遠出することを前提にすれば別に生きている献体は必要は無かった。遺伝子情報を持ち帰り、大蛇丸に穢土転生をして貰った上で『祝福』を回収すれば済む。その位を朝飯前で手伝ってくれる程度にはズブズブの関係であった。
その為、今回も血液や髪など遺伝子情報をしっかりと回収済み。後は、どっかで敵国の忍者でも捕まえれば、お手軽に『祝福』が強化できる。
「そっちも終わったのかよ。角都ーーー!! 俺等だけだぜ終わってないの。お前はただのガキ相手にいつまで掛かってんだよ」
防戦一方だとはいえ、本気の角都相手に今の今まで凌いでいる奈良シカマル。並みの上忍では、ここまで生き残る事すら不可能だ。だと言うのに、致命傷を負ってはいなかった。なぜか、外れる雷遁、火遁、水遁、風遁。偶然木々が倒れてきて助かったり。はたけカカシのクナイで命を助けられたりとギリギリで生きていた。
「我々がはたけカカシ上忍を倒さない限り死なない仕組みなんでしょう。明らかに致命傷の威力だと思われる忍術でもかすり傷で終わっています。これは何かしらの絡繰りがあって然るべきだと思いませんか」
「はぁ?そんな訳ねーーだろ。先生も変な事を言うね~」
挟間ボンドルドの言葉を否定する飛段。
だが、
「いいや、俺はボンドルドの意見に賛成だ。俺は、その手順を間違ってやられてこのざまだ。今思えば、あれは異常だ。俺の毒針が、婆が操っていたとはいえガキ相手に掠りもしない」
「レグはお人形動かすの上手かったもんね。サクラお姉ちゃんじゃ、絶対にレグには勝てないもん」
一度殺された事がある経験者の意見は大事だ。暁メンバーも元メンバーの意見を尊重する。
「くだらん妄想だと言い切りたいが……信じるだけの根拠はあるな。いいだろう、俺はこのままガキを追い詰めておく。その間に、写輪眼のカカシをお前達で殺せ」
角都としても、いくら秘伝忍術を持つ中忍とはいえここまで手間取るとは考えていなかった。過去に幾度も血継限界や秘伝忍術をもった忍者と戦い勝利を収めてきた。時には火影クラスとだってやり合ったキャリアがあるのに、今ではそれが通じない。だからこそ、角都も挟間ボンドルドの意見に賛同した。
はたけカカシ戦前に団結する暁メンバーと挟間一家。
はたけカカシに人生何度目かの窮地が訪れた。彼にしてみれば、よく分からないダメージ共有忍術を使う不死忍者―飛段、お前なんで特別上忍なんだよと突っ込みたくなるレベルの不死忍者―挟間ボンドルド、理解したくないレベルの火遁使いの子供―挟間プルシュカ、おまけで謎の絡繰り人形―レグといった、キワモノ達が相手になる。
普通に考えて、撤退レベルだ。
まさに、天運尽きたかと思ったとき、助けが現れる。
「待つってばよ!! 」
はたけカカシと奈良シカマルの窮地に駆けつけた木ノ葉隠れの応援。
第七班のヤマトとうずまきナルト、第八班の犬塚キバと油目シノと日向ヒナタの混合部隊。その人選は火影が直接行い、今までの任務経験や生存率からこのメンバーなら必ず生きて帰ってくると信じて送り込んでいた。
だが、上忍はヤマト一人。
「はぁ~、またガキばっかりじゃねーか。一体、木ノ葉はどうなってんだ。大人は子供の後ろに隠れてますってか。本当に気にくわねー里だな」
「おやおやおや、これは皆様お元気そうで何よりです。そういえば、この間の健康診断結果を確認されましたか? 一人一人に最適な改善施策を書いておきました。次の健康診断までには、必ず実践しておいてくださいね」
大人の飛段が、木ノ葉隠れの真っ黒さに切れ始める。普通に考えて、S級犯罪者の元に経験値が低い子供を送るなど、殺して下さいと言っているようなものだ。これでは、里長が快楽殺人犯と言われても間違いでは無い。そうなったら飛段は同類と言う事になるが…それだけは断固拒否する構えだ。
対して挟間ボンドルドは、優しい声で子供達に声を掛けた。その諭すような声で警戒心が抜けてしまう程に。
「どうしてだってばよ。どうして、挟間特別上忍が暁なんかに入ったんだよ。俺は、あんたのこと尊敬していたんだ」
「うずまきナルト君、誤解しております。私は、暁メンバーではありません。そうですよね、飛段さん」
うずまきナルトが誤解している事を丁寧に解きほぐそうとする挟間ボンドルド。その間に、はたけカカシがしれっと仲間が多い場所へと移動するせこさを見せた。
「先生には、暁に来ないかと声を掛けたが断られた。まったく、何処情報だよ、先生が暁って。勝手に嘘をばらまいて先生の評判を下げるんじゃねーよ。殺すぞ」
「だったら、なんでアスマ先生を殺したんだってばよ」
「いや、何でと言われましても、我々猿飛アスマさんには何もしてませんよね?寧ろ、殺されたのは私の方です。後、何もしていない飛段さんは、木ノ葉隠れの里の忍者に串刺しにされました。それが真実ですよ、うずまきナルト君」
挟間ボンドルドから告げられる真実。猿飛アスマには確かに何もしていない。
嘘など一つもない。
「なぁ、ナルトどうなってんだ。挟間ボンドルド特別上忍が特に嘘を言っている気配はないぞ。赤丸もそう言ってる」
「……じゃあ、なんで木ノ葉隠れの仲間を襲ったんだよ」
うずまきナルトの中で聞いていた話と食い違ってきたと感じでいた。だが、うずまきナルトは木ノ葉隠れの忍者だ。どちらの言葉に重きを置くかは決まっている。
「むしろ、猿飛アスマさんが、彼等二人に私を殺すように指示しています。娘を置いて死ぬわけにもいきませんので、自衛の意味で反抗させて貰いました。まさか、自衛もせずに娘共々死ねとうずまきナルト君は仰るのですか?」
「ちげーーよ。挟間特別上忍程の実力があれば、もっとやりようはあったんじゃないかって事だよ」
「一度は私を殺し、二度目も殺そうとしてきた彼等を寛容な心で迎え入れろと…でしたら、貴方達も我々に寛容な心があっても良いのでは無いでしょうか? 敵対する者には寛容な心を求めるのに、自らはその心を持たないのでは話にならないでしょう」
話は平行線となる。
こっちは殺すが、お前等は殺すなという鬼畜ルールの適用を求められて納得する馬鹿など居ない。実力差があれば見逃すのが筋だとでも言いたいのだろう。
そうこうしている間に奈良シカマルも仲間達に合流してしまった。つまり、はたけカカシが敢えて黙って居た秋道チョウジと山中いのが死んだ事が必然的に分かってしまう。今までは、奈良シカマルと一緒に闘っていたと思っていただろうが、違うという事に。
「貴様等もいつまでも喋っている。雑魚が増えた所で……ほぉ、九尾が釣れたか」
「その通りですが、今はタイミングがよろしくありません。撤退しましょう、彼等も奈良シカマル君と同じですよ。手順が必要です……口寄せの術・ベニクチナワ」
一部小隊だけなら闘う選択肢はあった。だが、ピンチになれば更に仲間が増える無限ループになる前の撤退。敵前逃亡とも言えるが、これは戦略的撤退。
「ちっ帰るのかよ。俺、いいところなかったじゃん。いつかお前等全員をジャシン様の生け贄にしてやるからな」
「今日は、先生の顔に免じて生かしておいてやる。次回は、確実にお前等を殺す」
「じゃあね~みんな!! 追ってきたらダメだよ~。命は普通一つしかないんだから」
飛段、角都、挟間プルシュカが別れの挨拶をする。
木ノ葉隠れのメンバーとしては、ここで死に物狂いで殺し合うか、見送るか悩みどころだ。既に仲間が二人も死んだ。更には、挟間ボンドルドが不信感という種を植えて帰った。この状況で闘っても碌な事にはならない。それ故に彼等も見送る。
別れ際に挟間ボンドルドはある事を思い出した。そして、うずまきナルトと向き合う。
「あぁ、うずまきナルト君。君に伝言を頼まれていたのを忘れていました。よく、聞いて下さい。『ナルト、今は会いに行けない。だが、
元々、ナルトの父親である波風ミナトと挟間ボンドルドは声が似ているともっぱら評判だった。そのため、声マネまでしての伝言を承る優しい男であった。
当然、意味不明な伝言であり聞いていた者達で正しく理解出来た者は誰も居ない。
次は、自来也VSペイン・サスケVSイタチ編らしいけど…関係ないところはサクッと終わらす予定です。
もしくは、閑話でちょいと時間を稼ぐかもしれない。
自来也Tがブルボンと温泉に行く話とか…師弟が同じ湯に入るとかナニも不思議は無い。
そして、飛段・角都編が終わったのでいったん休憩!!
ここまで駆け足だったので、年末年始は少し休養をとりますわ。(多分)