卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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次話をサスケ編にしようと思っていましたけど、アレはイザナギで無かった事になりました!
順番的に、先に自来也編だったようでしたので。


49:あれら(・・・)は人間としての運用はしておりません

 雨隠れの里。そこは、暁の表のトップである長門が居る場所でもあり、火の国、風の国、土の国と国境が接しており、日夜大国の脅威に晒されている。その為、戦時には大国の戦場となる事も多い。

 

 だからこそ、雨隠れの里に平和をもたらした暁のトップであるペインこと長門は神として崇められている。長門の主治医を務める挟間ボンドルドも雨隠れの里においては、VIP待遇であった。医療忍者と言う事もあり、雨隠れの里で彼の世話になった患者は数多く、雨隠れの里において、黒い医師と呼ばれていた。

 

 黒い医師こと、挟間ボンドルドは長門の定期検診のため、雨隠れの里を訪れている。診察の時には、万が一に備えて傍らには小南が控える。

 

「最近は、よく眠れているようですね。もう少し、リハビリを続けたら歩ける程度には回復するでしょう。後、六道システムの方もアップグレードしておきたいので何か希望はありますか?」

 

「……感謝しているわ、先生。最初こそ、胡散臭いと思っていたけど、長門がここまで持ち直しただけでなく、歩ける望みまで出てきたなんて」

 

 長門が健康になるにつれて、小南も挟間ボンドルドの事をある程度信用をしていた。更に言えば、ペイン六道を長門単体で行わずAIを組み込む事で長門の負担も激減させていた。また、カートリッジシステムも取り込まれており、長門の僅かなチャクラだけでも運用を可能としている。

 

「そうだな。これなら、必ず世界を変えられる!!改めて聞くが、暁に入る気はないか。先生も今ではお尋ね者だと聞く。暁に入れば、組織としてサポートできる」

 

「長門さん。私のような一介の医師を高く評価して頂いた事に感謝しております。ですが、そのお話はお断りさせていただきます。表だっては手伝いませんが、プルシュカのサポートという立ち位置でなら助力します。未成年の子供ですから、父親が多少出しゃばっても構わないでしょう」

 

 暁のマスコット的存在の挟間プルシュカ。殺伐とした暁メンバーを力で無く愛嬌でまとめ上げられそうな唯一の人材。

 

………

……

 

 挟間ボンドルドは、貧しい国での紳士的な活動を止める事は無かった。スラムや孤児達が集まる所にいって、恵まれない子供達に救いの手を差し伸べる。特に、雨隠れの里では、大国に囲まれる地理的な問題から戦争孤児も多い。

 

 他にも水源が豊富であり、大国による緩衝地帯の維持を目的とした人道支援がある。その支援物資のおこぼれにあやかろうと国境付近には、そういった者達が良く集まる。

 

「大国の緩衝地帯であるこの国。私は、ここに忍界の次世代を切り開くに相応しい子供達を見つけに来ました。私は挟間ボンドルド、雨隠れの里では黒い医師と呼ばれています。忍界に踏み居る事も厭わない勇気ある子供達…どうぞ、一歩前へ」

 

 挟間ボンドルドの優しい声色。それに加えて、黒い医師として知名度がある。老若男女問わず治療をしており、その名声は子供達も知るほどであった。だからこそ、そんな大人に付いていって将来は人の為になろうと思う子供も多い。

 

 親が忍者だったのに、碌な教育も受けられずこんな場所で腐るくらいなら大人に付いていこうと思う者が沢山居る。

 

 そして、何人もの子供達が明るい未来を目指して一歩前へと進み出た。

 

「さぁ、みなさん。籠にお乗り下さい。ご安心下さい。道中は、全て私達が護衛致します」

 

 籠に乗せられた子供達の目的地は、雨隠れの里の地下に建造されたボンドルド謹製の六道システムがある場所。そして、挟間ボンドルドの研究施設の一つでもある。そんな雨隠れの里の最奥に連れて行かれて、日の目を見れる事などあり得ない。

 

 機密の塊のような場所だ。

 

 そこで働く忍者は、全てペインを信仰している。死んでも口を割らないような厳選された人材がいる。だが、そんな連中であっても、良心の呵責があった。連れてこられた子供達をみて、挟間ボンドルドに進言する。

 

「何を考えているんです!あんな数の人間を雨隠れの里の最奥に…それも国外の子供達まで…」

 

「今更どうしたのですか。経絡系を持つ子供達のここへの立ち入りを進言したのもその為ですよ」

 

 カートリッジに詰めるという行為は、目立つ場所ではよろしくない。人目に付かない場所が理想的だ。だからこそ、こんな地下で行われる。それに、この場所ならば六道システムへのカードリッジ補充もスムーズに行う事が出来るため、一石二鳥であった。

 

「しかし、大人の忍者や犯罪者ならともかく。子供達はその…人道的に…」

 

「なら、心配ありませんよ。あれら(・・・)は人間としての運用はしておりませんのでご覧になります?」

 

 カートリッジシステムについては、挟間ボンドルド以外詳細を知る者はここにいない。ここにいる者達ですら、チャクラを外部供給可能とするシステムとしか認識していない。そのため、謎の箱はチャクラを温存できる電池みたいな物だと思っている。

 

 その中身が、現物であるとは彼等の想像の斜め上をいっていた。

 

 

◇◇◇

 

 自来也は、音隠れの里を涙を飲んで後にし、暁の拠点として怪しいとされる雨隠れの里へと潜入をはたした。彼にしてみれば、ある意味思い出のある隠れ里。

 

 教え子達がいた里、三忍と呼ばれる切っ掛けとなった忍者がいる里。

 

 そんな感傷に浸りつつ、自来也の調査は進んだ。内乱が既に終わっておりペインと名乗る男が平和をもたらしたと情報を得た。そして、ダンゴ屋にあったお土産でとんでもない物を見つけてしまった。

 

「ペイン、天使様、黒い医師。きな臭いの~。あの山椒魚の半蔵が既に死んでいるとは信じられん。それに、この不気味な鉄仮面のキーホルダー。これが黒い医師だと~。こんな奇抜な仮面を被った男がボンドルドの他にい……る訳ないか」

 

 勝手にお土産のキーホルダーとして、売られている男――挟間ボンドルド。これほど特徴的な男が二人もいたら、世界が悲鳴を上げてしまう。思わぬ所から、挟間ボンドルドと暁の繋がりがバレてしまった。

 

「お待たせしました、お団子です。あれ?もしかして、おじさんも黒い医師様に診察を受けに来たんですか」

 

「いや~、実はそうなんじゃよ。最近、腰が悪くての~。で、その黒い医師様とやらは凄腕なんじゃろう。儂よりいい男だったり?」

 

 自来也の中では、挟間ボンドルドが暁の一人でほぼ内定していた。つい先日まで、音隠れの里で一緒に話しており、トレーニングの相談までしていた仲だった事を思い出していた。

 

「そりゃ、凄腕ですよ。うちのお父さんの腰痛を触れただけで治してましたから。顔は、分かりませんが、声から分かります。あれは絶対に良い男ですよ。はぁ~、既婚者じゃなければな~」

 

「そうか。その黒い医師様とやらの側には、同じ位奇抜な格好をした銀髪の少女がいなかったか。後、メーニャとかいう美声の謎生物も一緒だったとか」

 

「お客さん、もしかして黒い医師様のお知り合いですか。その通りですよ~」

 

 自来也は、戦闘となった際に勝てるか考えた。挟間一家を相手にした場合、勝率は悪い。一人ずつならば、負けない自信がある。だが、仮に勝利したとして懸念事項はカツユの存在だ。

 

 カツユが暴走した場合止める術など無い。つまり、拘束して説得し、落としどころを見つけるという線で行かなければならない。挟間ボンドルドや挟間プルシュカを生きて捕獲するとなると難易度は跳ね上がる。

 

「どうしたもんかの~。黒い医師がボンドルドなら、天使はプルシュカといったところか。プルシュカが予言の子という可能性もある。今なら、間違えた道は正せるはずだ」

 

 暁で職場体験中の挟間プルシュカをそこまで心配してくれる大人。そんな歴史に残るような立派な忍者にも死期が迫ってきていた。

 




……そういえば、暁の不死コンビをいつ退場させようか迷うわ。
まだ、サソリとデイダラしか死んでない。

※バ体ネタの音隠れ里日常編は、ギャグパート的な位置づけですのであしからず!
 そして、自来也とイタチを早く音隠れにご招待してあげたいですわ。



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