サクサク進めるためにも、この位の濃度でお許しくださいね!!
金を貰った以上、それ相応の働きをするのは忍者として当然。
はたけカカシ上忍から金銭のやり取りがあったので、約束を破れば忍びとしての人生は終わる。挟間ボンドルドは、タイミングを見計らい確実に一匹を仕留める算段を立てていた。
状況は、第七班側が圧倒的に優位。この場に木ノ葉隠れの忍者がもう一人存在しているとは、敵側は認識できていない。濃霧も加わり感知系の忍者でも第三者を見つける事は難しい。
今現在、挟間ボンドルドは水溜まりに変化して、うずまきナルト達の戦いを観察している。その戦いの最中、うちはサスケは写輪眼を開眼する。戦いの中で進化を告げ続けるのは原作組だからなせる事だ。普段の弛まぬ努力が物を言うというあるべき姿を軽く超えていく。
だが、覚醒したとしても現時点で敵との戦闘力の差は、歴然だ。最終的にうずまきナルトを庇い、うちはサスケが重傷を負う。
「なんでだよ、サスケ!! 近くに居るんだろう、挟間特別上忍!! 頼む、サスケを助けてくれーーー」
「ちっ、まだ仲間が近くにいるのか」
白が周囲への警戒レベルを跳ね上げた。
そのお陰で、周囲で唯一凍っていない水溜まりに目がとまる。ソレこそ、挟間ボンドルドが隠れていた場所である。バレてしまった以上、不意の一撃を狙う事が難しくなったので、仕方なく姿を現した。
「おやおや、いけませんね。確実に殺せるタイミングでというお約束でしたのに。まさか、同じ里の者に裏切られるとは考えてもいませんでしたよ。これは、大きな貸しです。うずまきナルト君」
「氷遁秘術・魔鏡氷晶!!」
白は、感じ取った。
残りのチャクラを全て消費してでも、この忍者……挟間ボンドルドを仕留める必要があると理解する。即座に、彼を囲むように氷の鑑がドーム状に展開される。
「その術は今まで散々観察させて頂きました。実に、素晴らしい忍術です。ですが、致命的なまでな弱点があります。急所のツボを狙う前提で殺傷能力が欠ける千本では、避けるまでもありません」
「だったら、試してあげるよ」
チャクラを流す事で切れ味を増す物質がある。つまりは、チャクラを流す事で防御力を飛躍的に向上させる物質も存在している。挟間ボンドルドが全身に身につけている物は、チャクラを流す事で極めて硬質へと変わる。
その結果、白の攻撃力では挟間ボンドルドの防御を突破する事は叶わない事実だけが残る。
床に散らばる千本がまるで鉄の壁にでも当たったかのように落ちている。
「何を驚いているんですか? そもそも、下忍の人体を貫通できない程度の千本で私の防御を突破できる筈がありません。では、私の番です――火遁・
挟間ボンドルドが印を結び、術を発動させた。
それは、彼の肘に備え付けられた筒内部で火遁の術を機械的に高圧縮して指向性を持たせて放出する。そこから放たれた火遁は赤い閃光となり目標物を貫く。その威力は、5cmの鉄板でも防げない。
白の氷鑑を貫通させた。氷鑑に映る白は、胸元に大きな穴が空き吐血する。
「ごふぅ。後ろに攻撃が……流石、木ノ葉。卑怯」
「おや、真後ろに居たのが本体でしたか。この術、後ろにも発動できるんですよ。面白いでしょう」
術は前方向に発動するという固定概念を破壊した初見殺しの術。それに、一点突破型の火力を防ぎ切れる人物は皆無である。この技の問題点と言えば、威力を再現する為に、すごく燃費が悪いという事だ。
スポンという音と共に、カートリッジが一個破棄される。使い終わったカートリッジは、溶解し土に帰る。機密保持の作りは完璧であった。
「す、すげぇってばよ。あの忍者をたった一撃で!!」
「使用限界を迎えましたか。中古でしたから、仕方がありませんね。新しいのは、また用意しなければなりません。うずまきナルト君、仲間を抱えておきなさい。少し全力で殴ります」
今の一撃で致命傷は確実だったが、死体を確認するまで手を抜かないのは鉄則。精密なチャクラコントロールが必須とされる怪力技。対象を殴る瞬間に、チャクラを一点集中する事で信じられないような破壊力を生み出す。
白は、まだ死んでいなかった。胸元の穴から出血死するのを凍結させる事で延命している。機を狙い何とか、桃地再不斬の元へ駆けつけようとしていた。
「なぁなぁ、そいつもう死にかけているじゃん!! 」
「だから、殺すんですよ。先日、死を偽装された事を忘れたんですか?殺せる時に確実に殺しておかねば、忍者とは厄介な存在です」
ズドンと大橋を揺らすほどの衝撃とコンクリートが十メートルを超えて粉砕された。
挟間ボンドルドの全力の拳が白の頭部どころか肉体まで完全粉砕する。その拳は、橋の一部を大きく崩壊させた。
白が女なら生き残る可能性はあった。実は、挟間ボンドルド……つい先ほどまで、白が男である事を忘れていた。種馬としても使えたが、従順でない存在は不要で不安な芽でしかない。
………
……
…
挟間ボンドルドは、うちはサスケの治療に入った。首から千本を抜き医療忍術で傷を癒やす。その際、血液サンプルの取得も忘れないのは当然だ。
「命に別状はありません。しばらくすれば、目を覚ますでしょう」
「ありがとうってばよ!! 挟間特別上忍!!」
「大人として当然な事をしただけの事。その内、うずまきナルト君が高等忍術を覚えたときにそれとなく教えてくれれば貸しはチャラにしてあげます」
既に、多重影分身の術の印は見て盗んだ。
忍者とは理論上チャクラが練れれば血継限界などの一部特別な術を除き、全ての術が使える可能性がある。つまり、飛雷神の術とか螺旋丸、穢土転生すら誰でも使える可能性を秘めている。だが、それには印が必要であった。正しい手順で印を組まなければ術は発動しない。
ならば、知っている者から教えて貰えば良いという結論に至る。それら全てを手に入れられるポジションになる事が分かっているから、今から唾を付けておくというのが挟間ボンドルドの考えだ。
………
……
…
挟間ボンドルドは、早く仕事に掛かるべく残った桃地再不斬に圧力を掛けに行く事にした。手を出すつもりはないとはいえ、相手の注意を引くには十分な存在感がある。
「はたけカカシ上忍。少々予定と変わりましたが、氷遁使いの少年を処理しました。更に追加報酬を頂けるのでしたら、お手伝い致しますが……」
「勘弁してくれよ。もう、大赤字なんだぜ。少しくらいサービスしろって」
桃地再不斬と忍術の応酬を繰り返す、はたけカカシ。血継限界の少年相手とは言え、ほぼ無傷でいる事を高く評価した。
「分かりました。実力差的に負けないと思いますが、万が一の場合、困るのは事実です。では、お手伝いさせて頂きます」
◇◇◇
はたけカカシは、挟間ボンドルドについて最近特別上忍になった者という程度しか知らなかった。勿論、同じ里にいる以上、奇抜な忍者が居る話は小耳に挟んだ事がある。医療忍術のエキスパートである事から、任務で怪我をした者達からは、変人だが腕は確かだと。
事実、医療忍術により、はたけカカシの体調は万全になった。
戦いにおいても、即興のコンビとはいえ上忍に合わせる事が出来る程だ。万年中忍だった者とは思えない。
「なかなか、動けるじゃない。本当に、特別上忍? 上忍に推薦しちゃうよ」
「私は持久力がないので上忍には向きませんよ……で、私が再不斬の動きを止められれば、確実に殺れますか?」
はたけカカシは、持久力が無いのは恐ろしいまでの防御力が原因だろうと言いたかった。忍者とは普通攻撃を回避する事を前提とするが、挟間ボンドルドは違った。耐久する事を選んでいた。
「あぁ、一瞬でも止められたら確実に」
「分かりました。口寄せの術!!」
挟間ボンドルドが人工的に作り上げた忍蟲のカッショウガシラ。サソリのような体に加え、複数の尻尾を持つ自然界に存在しない化け物だ。好物は人肉。この子は挟間ボンドルドとカツユが共同で作り出した子だ。
『パパ、こいつ食べてイイ?』
「勿論ですよ、ですが手強いので足止めだけでも構いません。トドメは、そちらにいる銀髪の忍者の方がやってくれます」
はたけカカシは後で報酬の減額を頼もうと思っていたが止める事にした。
忍犬や忍蛙は忍術を習得できる。中には、並みの忍者より有能だったりも普通にあった。チャクラが練れれば、生命であれば忍術が使える。
「化け物が増えたくらいで俺に勝てると思うなよ!! 水遁・水龍弾の術!!」
忍蟲のカッショウガシラと鬼人と呼ばれた忍者の殺し合いが始まった。
端から見たら、どちらが悪役なのか分からない構図である。化け物の攻撃を躱しつつ忍術で応戦する桃地再不斬。だが、決定打には至らない。
「挟間ボンドルド特別上忍。これって、俺の出番ある?巻き込まれて俺が死ぬのはイヤだよ」
「では、作戦を変えましょう。再不斬に対して、今殺してやると殺気をぶつけてください。隙が出来れば、
「再不斬!! あの子の元に連れてってやるよ」
忍者らしい作戦だと、はたけカカシは了承した。
そして、千鳥まで使い『お前を殺す』という殺気を何度もぶつけ、致命的な隙を作り出す。最後は、カッショウガシラの毒を注入され、全身をバラバラにされた上で捕食された桃地再不斬。
………
……
…
事が終わった所で、更なる問題がやってきた。
桃地再不斬達の雇い主であった海運会社のガトーが忍者が使えないので、用心棒を大量に引き連れてやってきた。原作ではチャクラ不足で忍者達がマトモに動く事が出来ない状態だったが、現状は違う。
怪我から復帰したうずまきナルトとうちはサスケもこの場には揃っている。
「サスケ、ナルト、サクラ。お前達で彼奴等全員制圧できるな?」
「なんで、私達がやらないといけないんですか!? カカシ先生がやってもいいじゃないですか」
武装した用心棒を制圧しろと言われて春野サクラが抗議する。
だが、対人戦闘訓練は大事であった。力加減を間違って殺しても問題にならないのだから、コレほど嬉しい訓練は存在しない。
「いや、だって……お前等、今回良いところ無かったぞ。最後くらい働こうよ。それに、挟間特別上忍にお願いする? そうなったら、俺どうなっても責任とれないよ」
ミンチも残らない惨状はイヤだと考えた下忍達の心が一つになる。まさにチームワークだ。
「よし、ナルト!! 足手まといになるんじゃねーぞ!!」
「うっせーーってんだよ。お前の方こそ邪魔するんじゃねーぞ」
「こうなったらやけくそよ!! サスケ君の邪魔をするんじゃないわよ、ナルト」
武装した一般人とはいえ、あれだけの数に無傷で対応する三人の連携は見事だった。
「良い生徒ですね、はたけカカシ上忍。チームワークという観点で見ても申し分ないと思います」
「そうでしょ? 俺の自慢の生徒ですから」
ガトーとその用心棒達がなぎ倒されて行く様を見るタヅナ。そして、コレで全ての問題が解決したと、橋職人達が集められ盛大なお祝いの席が設けられた。
カッショウガシラは、メイドインアビスに登場する原生生物です。
どんな子かは、可愛い子なので調べたらでてくるかと^-^
ボンドルドが、任務のため準備体操を始めました。