卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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52:終焉

 決して解ける事が無い幻術……という名の現実をうちはイタチに直視させたうちはサスケ。弟の成長を喜ぶ反面、申し訳なさで胸が張り裂けそうな兄がいた。そんな兄の恋人との思い出を大蛇丸との淫靡な日々に上書きをして、恋人を思い出す度に大蛇丸の影をちらつかせる事に成功した弟は、卑の意思を継ぐに相応しい。

 

 全ては身から出た錆だとは言え、事の真実を知った際にうちはサスケへのダメージも計り知れないだろう。

 

 卑劣な幻術のお陰でコンディションが絶不調になったうちはイタチ。先手は、うちはサスケが勝利を収めた。だが、試合に勝って勝負に負けた感は否めないのが実情だ。

 

「「火遁・豪火球の術」」

 

 ぶつかり合う二人の忍術。お互いが得意とする忍術であり、その威力は並みの上忍を遙かに上回る。長く続くその忍術……互角だと思われてたが、徐々にうちはサスケが押し始めた。

 

 絶不調のコンディションによる吐き気が原因で火遁が続かない。口を媒介にした忍術には致命傷となる。ついには、切り札の一つを使う事になる。

 

「天照!」

 

 まだ負けるわけにはいかない、うちはイタチ。負けそうになったので、印を結ばず、口も使わない忍術を使う。全てを焼き尽くす黒炎がうちはサスケの豪火球の術を焼き尽くす。

 

 

◇◇◇

 

 うちはイタチが天照を連続使用する。燃やしたい物にピントが合うだけで発動する回避不能の術。だが、遮蔽物も無い見通しの良い場所を走るうちはサスケに直撃をさせられない。

 

 そんな様子を見ていた挟間プルシュカは疑問に感じる。

 

「パパ、なんで天照があの状況で外れるの?」

 

「それが『祝福』という物です。うちはイタチさんが外しているので無く、何かしらの力が作用しているのですよ。仮に、天照が当たるとするならば、うちはサスケ君が対応できる算段が付いた時だけです」

 

 常識では考えられないような発言であった。だが、挟間プルシュカはそれを理解して受け入れる。絶対である父親挟間ボンドルドの言葉だからだ。

 

 聞き分けの良い子供の頭を撫でる父親。

 

「真剣勝負なのにズルっ子だな~。じゃあ、パパならそんな相手をどうやって倒すの?」

 

「幾つか方法はあります。同レベルの『祝福』持ちをぶつける事です。うちはサスケ君なら、うずまきナルト君が適任でしょう。他は、自分自身に殺させる(・・・・・・・・・)方法なんかもあります」

 

 挟間ボンドルドは、常々考えていた。万が一、自分が最高峰の『祝福』持ちと闘う場合どうするべきか。一撃必殺の忍術もその為だ。何度も攻撃が当たるなどとは思っていない。だが、それでも無理な場合、どうやって殺すか。

 

「自分自身に――あっ、わかった!!卑劣なお姉ちゃんが教えてくれたアレを使った方法でしょう。だから、不屈の花園に」

 

「何処で聞かれているか分からないので、大きな声で喋ってはいけませんよ。戦いが終わるまでの間に、飛び散った天照を回収しておきます。レグの動力強化や大蛇丸様ご待望の発電所などに使えるでしょう」

 

………

……

 

 雨が降り雷鳴が鳴り響く中、天照をかき集める挟間一家。永久機関とも言える黒炎は、万華鏡写輪眼の瞳術の中ではイマイチとも言える能力だ。だが、平和利用と考えればその効果は素晴らしい。下手をすればこれを求めて戦争が起こってもおかしくないレベルの品だ。

 

 そんな瞳術を生み出す万華鏡写輪眼にレグも興味を抱く。技術者肌が強い彼にしてみれば当然だ。

 

「ボンドルド。確か、プルシュカも万華鏡写輪眼だったよな。どんな能力なんだ?」

 

「知りたいのレグ~。仕方ないな。誰にも教えちゃ駄目だよ」

 

 挟間プルシュカは、やっと聞いてくれたと嬉しそうな顔をする。実に子供らしい。そんな子供の自慢話に付き合うレグも挟間一家に馴染んできたと言える。元々常識人であり、どこぞのバ体となって走っている元相棒と比べれば今は天国だと認識した事も要因だ。

 

「上昇負荷を掛ける事よ!発動時に私を中心とした半径100メートル圏内にいた全ての人間(・・・・・)が対象になるわよ。発動時の各々の座標が高低差の起点になるから、発動時はレグも気をつけてね。あれ?でもレグは対象になるのかな~、試してみる?」

 

「嫌にきまっているだろう。で、具体的にはどうなるんだ?」

 

 挟間プルシュカがレグに眼の事を話していた事を初めて知った挟間ボンドルド。身内に対しては口が軽くなるのは彼の娘らしい事であった。

 

「レグに写輪眼の事を話してしまったのですね。まぁ、数十年もすればさほど珍しい物でも無くなるでしょうが、万が一がありますので内緒にしてくださいね。それと、術の詳細を話すのはよろしくありません、プルシュカ。その内、披露する機会もあるでしょうから、楽しみにしていてください。プルシュカの万華鏡写輪眼の瞳術なら恐らく、殺せない人間はほぼいません」

 

 ピョンピョンはねる忍者にとっては、絶望的と思える能力であった。

 1m上昇で軽い眩暈・吐き気。

 2m上昇で重度の眩暈・吐き気・頭痛。

 3m上昇で平衡感覚の消失・幻聴・幻覚。

 4m上昇で全身への激痛と穴という穴からの流血。

 5m上昇で全感覚の喪失と意識の混濁・自傷行為。

 6m上昇で人間性の喪失・死。

 7m上昇で確実な死。

 

 だが、能力使用中は常時チャクラを消費し続ける。その条件は、自らにも適用される為、場合によっては即時解除しなければ自らが危なくなる。3m上昇すると、1mと2mの両方の負荷も掛かるため、一気に飛び上がった忍者は大体死ぬ事になる。尤も、それを回避するための特別な装置でもあれば別だが。

 

 

◇◇◇

 

 うちはサスケは、麒麟まで使わされてチャクラは既に限界近くまで消費していた。だが、確実に直撃させた回避不能の忍術…だったが、回避できないなら防御すればいいと言わんばかりにうちはイタチは防御して見せた。

 

「これがなければやられていたな。本当に強くなったなサスケ。今度は俺の最後の切り札を見せてやろう。須佐能乎だ。月読と天照、二つの能力を開眼したときに手に入れた。サスケ、お前の術はこれで終わりか。隠している力があるなら出し惜しみは無しだ。ここからが本番だ」

 

 虚空より現れるチャクラの巨人……うちは一族に伝わる万華鏡写輪眼持ちにしか使う事が出来ない絶対防御を誇る存在。

 

「みくびるなよ。お前だけが須佐能乎を持っていると思うな!!っ」

 

 須佐能乎の存在は、うちはサスケも知っていた。娘の眼を移植した際にしっかりと手に入れている。そして、今使おうとしたタイミングで体内に封じていた大蛇丸の一部がうちはサスケの思いに呼応する。

 

 プチ家出する際に切った大蛇丸の一部を体内に封印して、回復力などを向上させていた。人・物・金だけでなく身体までむさぼっているうちはサスケ。もはや紐というレベルをとうに超えていた。闇堕ちするのも当然ですと、この場に挟間ボンドルドがいたら言っただろう。

 

『私が力を貸してあげるわ。私が必要なんでしょうサスケ君。イタチに復讐するんじゃなかったの。さぁ、私の力を解き放ちなさい。そうすれば』

 

 うちはサスケの身体から、白い巨大な蛇が現れる。大蛇丸の八岐の術だ。夫を守る妻……そう見れば美しくもある光景だ。

 

「この感じ、大蛇丸の八岐の術か」

 

 うちはイタチは、須佐能乎を使い何本も大蛇の首を落とした。そして、最後の蛇の口から、黒髪ロングの美女が現れる。しかも、ヌルヌルでだ。

 

 そんな美女を見て、うちはイタチは嘗ての恋人を思い出した。これも、うちはサスケの卑劣な幻術の影響だ。

 

「助けに来たわよ、サスケ君!これを機会にサスケ君の身体を……もう頂いていたわね。美味しかったわ、お義兄さん」

 

 ブチ

 

 冷静沈着の天才であるうちはイタチを切れさせるのには十分であった。無造作に、須佐能乎が持つ十拳剣で大蛇丸を貫く。そして、呪印ごと消し去る。うちはイタチの最後の懸念事項であった、大蛇丸の呪印を消しさった。

 

 だが、今後どうしようか彼も迷っていた。当初の予定が簡単に消化できた事が原因だ。本当なら、ギリギリの戦いをして死ぬ事で弟の万華鏡写輪眼を開眼させる予定だったが、全てが狂っていた。

 

 予定もうちはサスケも。

 

 チャクラ残量もある為、再度強くなって帰ってこいといって立ち去ろうかとも考えていた。

 

「イタチ、大蛇丸ばかり目がいっていたな。これが俺の須佐能乎だーーー!!」

 

「なに!?」

 

 いつの間にか、うちはイタチの背後に回り須佐能乎を使っての奇襲。その憎しみが篭もった鋭い拳が、うちはイタチの須佐能乎を貫いた。そして、うちはイタチの身体に中指が貫通する。

 

 人間、巨人の中指が肉体を貫通して生きていられるほど丈夫ではない。うちはイタチは死ぬ間際、小さな声で「すまなかったサスケ」と本音を弟に伝えた。

 

………

……

 

 うちはサスケとうちはイタチが両者倒れる現場。勝者と敗者。生者と死者。

 

 大きな砦ほどあった建物が崩壊する程の忍術での戦い。これが、たった二人の人間がおこした惨状だとは信じられない程だ。

 

「ボンドルド、仕事の時間だよ。うちはサスケは、最低限の治療で構わない。うちはイタチの遺体については、綺麗にしてからコチラに渡してもらう」

 

「後遺症が残らないように丁寧に治療をしておきます。うちはイタチさんの遺体の処遇についても、正しくお願いしますね。死ねば仏といいます。後、賭けは私の勝ちです。干柿鬼鮫さんは、必ず来てくれるように念押ししてください。紹介したい女性が居ると言ってね」

 

「碌でもない事を考えてる? まぁ、いいけどね」

 

 盛大な兄弟喧嘩が幕を閉じた。

 

 そして、うちはサスケは目覚めてから知る事になる。兄がひた隠しにしていた真実を。

 

 

 数日後、バ体達が住むとある里の居酒屋にて。

 

 集う犯罪組織の紳士達。五影会談を上回る戦力がこの場に集まっているとは誰も思わない。

 

レグ(サソリの旦那)……すまなかった。あの時は、笑い飛ばしてしまった」

 

「気にするな、アグネスデイダラ(・・・・)。お前の境遇に比べれば俺はマシな方だ。戦える身体だしな」

 

 お互い過去を清算して新しい道を進み始めた元芸術コンビ。そして、その反対側には天才コンビが、感動の再会をしていた。

 

 絶対に出席しろと言われて飲み会に参加した干柿鬼鮫。その隣に座る女性を見て、驚愕する。干柿鬼鮫が、挟間ボンドルドを見て理解した。こいつ、やりやがったなと。

 

「どうした、鬼鮫。そんなにおかしいか」

 

「お体に触りますよ…イタチ(・・・)ワンさん」

 

 何年も付き合いのあるコンビが訃報から僅か数日で生還して会えるなど、忍界の常識は変わりつつあった。干柿鬼鮫も触診する事で脈拍などを確認し嘘では無いとさとる。

 

 そんな暁メンバーの強い結束に素晴らしいと感動している挟間ボンドルドがそこにはいた。 




自来也・サスケ編もこれで終了です。

次は6尾はアニメオリジナル?かな。
飛ばして、ペイン来襲編です!
だが、ペインだけが行くとは誰も言っていない。

PS:
いつもありがとうございます。
誤字脱字が多くて申し訳ない。
ご指摘頂いて確認次第直ぐ反映をさせて頂いております。


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