卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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ペイン来襲編
53:妙木山


 挟間ボンドルドは、暁からの要請で治療を行った対価を持ってある場所へと足を運んでいた。同行者である挟間プルシュカは、父親との遠出に喜んでいる。当然、メーニャ(カツユ)も家族旅行といった気分でウキウキであった。

 

「ねぇ、パパ。この迷いの森って全部焼き払ったら目的地まで一直線になるんじゃないの?」

 

「難しいでしょう。これは、結界忍術が森全体に作用しております。森を焼き払ったとしても目的地が現れる事はないでしょう。我々は戦争をしにきた訳ではないので、正規ルートを進みましょう」

 

『大丈夫です、ボンドルド様、プルシュカちゃん。ここには、300年ほど前に来たことがありますので、道くらい覚えています』

 

 その割に先ほどから同じ道をぐるぐる回っている。

 

 カツユは300年といったが、実は500年以上前のことだ。それだけ時間が経てば道など変わり果てている。だが、300年も500年も普通の時を生きる人間なら、どちらであっても大差はない。

 

 挟間一家の目的地は、大ガマ仙人が住む妙木山。挟間プルシュカに仙術の修行を付けて貰うついでに、融合方法を聞くために足を運んできた。カツユも色々と試したが、どうしても融合が上手くいかずコツを聞きたいし、仙術の修行に関してはガマ仙人達が一枚上手であるとカツユも認めていた。

 

 それからも結局迷い続けて、森の中で一夜を過ごす事になる挟間一家。

 

 だが、山でのキャンプというのは子供にとっては楽しい物だ。テントを張ったり、飯盒でご飯を炊いたり、寝袋で寝たりと実に良い思い出となる。

 

………

……

 

 翌日、挟間一家が進み始めたが直ぐに先頭を進んでいたメーニャ(カツユ)が足を止めた。印を付けた場所に戻ってきている。

 

「ママ~、もしかして迷子?」

 

『たかが数百年で様変わりした、この森がいけないんです!!こうなったら奥の手です。プルシュカちゃん、少し大きめの私を呼び出してください。全ルートに分裂して正解を割り出します』

 

 全てのルートに向けて分裂体を使って攻略していく、力業。カツユのリアルタイム情報連携能力があるから出来る技だ。どんな迷路であっても全てのルートを網羅できる人海戦術ならば突破できる。

 

 呼び出される巨大なカツユ。年々徐々に大きなカツユが呼び出せるようになっており、現時点で数年前に綱手が呼び出した程のサイズを超えていた。

 

「気をつけてくださいね、カツユ。何かあったら直ぐに戻ってください」

 

『はーい。少しだけ待っていてください』

 

 奥へ奥へと分裂して進んでいくカツユ。不正解のルートを進んだ分裂体がドンドン後ろから戻ってきた。そして、正解をカツユから聞いて挟間ボンドルド一家は確実に迷いの森を攻略していった。

 

 歩き始めて30分程度で開けた場所へと抜けた。

 

 生態系が完全に人間が住む場所と異なる蝦蟇たちの暮らす里。そこには、蝦蟇たちが温かい日差しの中、ぬくぬくと暮らしていた。蝦蟇達は、数百年…下手したら千年ぶりくらいの正攻法で里を訪れた来客に気付かない。

 

「素晴らしい。一体どのような生態系ならばここまで植物は大きく育つのでしょうか」

 

『ボンドルド様、何を言いますか。ウチ(湿骨林)だって、この位の植物あります!ボンドルド様とプルシュカちゃんが永住出来るように、設備だって充実しているんですよ。どうしてもというなら、一角に妙木山の雰囲気を再現した体験コーナーだってつくって差し上げます』

 

 夫がよその家を褒めた事に嫉妬するメーニャ(カツユ)。そのなんとも可愛らしい嫉妬が微笑ましく、挟間プルシュカが抱きしめた。

 

「大丈夫だよ、ママ。私は、ママの家が大好きだもん。パパだってそうだよ」

 

「えぇ、その通りですよ。ここには、家族旅行ついでの仙術修行に来ただけです。そんな可愛らしい嫉妬をするカツユは可愛いですね。まずは、里長にご挨拶に伺いましょうか」

 

 娘に抱き上げられて、夫に頭を撫でられてご満悦に浸るメーニャ(カツユ)。その情報がリアルタイムで全てのカツユに伝わり、そこ代われ合戦が裏では始まっていた。

 

 挟間一家が目指すは、一番大きな建物。出来る事なら、道中で話の分かる蝦蟇がここへ来た目的を聞きに来てくれることを願っていた。こういう時、挟間ボンドルドの容姿は実に役に立つ。程なくして、不穏な侵入者として挟間一家は大ガマ仙人の元へ行くことになる

 

………

……

 

 うずまきナルトは、仙術の修行に励んでいた。自身の力量不足を認識し、師の自来也が辿った道を進んでいた。修行の最中、フカサクの元に急な知らせが届く。

 

 一体、どうすべきか長く生きたフカサクでも迷った。

 

「ナルトちゃん。お主……挟間ボンドルドという男を知っておるか?黒い鉄仮面を付けた黒装束の大男じゃよ」

 

「知ってるけど~、最後にあった時は暁の連中と一緒だった。一体、どうしたんだってばよ」

 

「そうか。実は、今そいつが大ガマ仙人様の所に来ておる」

 

 うずまきナルトは、その言葉を理解するのに時間がかかった。

 

 木ノ葉隠れの里から一ヶ月はかかると言われる僻地。うずまきナルトは、自身が何処にいるかも正確には把握していない。そんな前人未踏の地とも言えるこの場所に、知っている忍者……しかも、自衛のために暁と行動している世にも珍しい男が来ている。

 

「なんで、挟間特別上忍がこんな場所にいるってばよ。もしかして、俺の中の九尾が……いや、だが暁じゃねーって言ってたからな」

 

「安心せい。ナルトちゃんが狙いなら、そもそもご丁寧に大ガマ仙人様の所に挨拶なんぞいかんじゃろう。儂は、これから万が一に備えて母ちゃんと同席せなあかん。一緒にくるかの?」

 

「行くってばよ。行って、色々と話を聞かなきゃならねー事が沢山あるんだ」

 

「わかった。但し、相手は大ガマ仙人様のお客人という立場じゃから、くれぐれも早まった行動はするなよ。後で話す機会を設けてやる。だから、こっそり後ろで話を聞くだけじゃいいな」

 

「わかったってばよ」

 

 普段、書類を読むのも嫌ううずまきナルトだが、挟間ボンドルドがS級犯罪者として指名手配された件に関して色々と調べた。だが、どの書類を確認しても整合性は取れており、全てが犯罪者にたる証拠が揃っている事が彼にも分かった。

 

 だが、それでもうずまきナルトは直接話して、真実を聞きたいと思っている。

 

◇◇◇

 

 大ガマ仙人、その両脇には二大仙人フカサクとシマが万全の態勢で構えていた。未来を見通す大ガマ仙人が問題無しといって通した事もあったので、挟間一家が客人扱いになっている。

 

「えーーーと、誰じゃったかの」

 

「お初にお目に掛かります。私は、挟間ボンドルド。何処にでもいる普通の忍者です」

 

「初めまして!私は、挟間プルシュカよ。ねーね、未来が見えるんでしょう。プルシュカの未来ってどうなってる!?」

 

『こらこらプルシュカちゃん。そう言うことは、ご挨拶の後でお願いしましょうね。こうして対面でお会いするのは、300…いいえ500年ぶりくらいでしょうか。カツユです』

 

 挨拶は基本中の基本。

 

 こういうとき、子供という存在は実にありがたいものだ。特に挟間プルシュカのように明るく天真爛漫な性格であれば、相手の懐にすぐにとびこめる。挟間ボンドルドでは出来ない事だ。

 

「そうじゃった、そうじゃった。よくぞ、遠くから来られた。迷いの森を抜けてきた者と会うのは久しぶりじゃ。えーーー……何の用じゃったかの」

 

「二つございます。一つ目は、プルシュカに仙術の修行を付けて頂きたい。二つ目は、フカサク様とシマ様のお二人が自来也様と融合なさった方法をカツユに教えて頂きたい」

 

 挟間ボンドルドは、妻と娘の願いを叶えるため、遠い果ての地まで来た。

 

「なんで、儂がそんな事をせなあかん」

 

「自来也ちゃんは、お前達の事を敵でも味方でもないと言っておったが私は信じとらん。あん時、お前が自来也ちゃんに助力していれば死なんかったかもしれんのにな」

 

 自来也を子供の頃から知っているフカサクとシマの意見は、当然だ。挟間ボンドルドは、自来也の危機的な状況の中で、唯一手を差し伸べられる人物だった。だが、何もしなかった。これが、彼等が挟間ボンドルドを拒む理由だ。

 

「今の二つのお願いを飲んで頂けるのでしたら、自来也様のご遺体を貴方達にお返し致します。本人(・・)も故郷である妙木山の地へと望んでおります。後は、お二人に渡してくれと頼まれたサイン入りの新刊"ウマぴょいタクティクス"もお渡しします」

 

 自来也を埋葬できなかった事は、フカサクとシマも気にしていた。そんな状況で、立派な最期を遂げた自来也を丁寧に埋葬できる機会が降ってわいてきた。フカサクとシマがお互いに目で通じ合う。悪くない条件だと。

 

「えーーとお主……だれじゃったかの」

 

「挟間ボンドルドです」

 

「そうじゃった。わだかまりもあるだろうが、ボンドルドの頼みを聞いてやってくれ。儂の夢では、自来也がこの男の近くで颯爽と走る姿を見た……女装姿で。おぞましい夢では、そう見えた。きっと、本人に頼まれたのも本当の事じゃろう」

 

 挟間ボンドルドは、大ガマ仙人が噂に聞く通りの力を持っている事を再認識した。そして、未来を見通すその目を是非とも調べたいと思う。こんなことならば、三つ目の条件で大ガマ仙人の未来を見通す力も調べさせて欲しいと言うべきであったと思っていた。

 

「ですが、大じじ様。仙術の修行にこんな子供など前代未聞です。あの修行でどれほどの者がカエルになった事か」

 

「その通りじゃ、大ボケじじい。何を考えとる」

 

「それでしたら、ご安心ください。プルシュカは、一時期は自来也様に忍術を指導して頂いておりました。親の私が言うのもアレですが、才能は十分あると考えています。それに、うずまきナルト君も一緒に修行する者がいた方が、比較対象もあり捗るかと」

 

 挟間ボンドルドの口からでたうずまきナルトという言葉。

 

 木ノ葉隠れの里から逆口寄せで妙木山に来たため、うずまきナルトがここに居る事を知るものは少数だけだ。だというのに、今、妙木山に来たばかりの男が知っているとなれば警戒する。

 

 気配は消えており、探知用の結界忍術でも使わぬ限り見つからない場所にいるうずまきナルト。だが、白眼が持つ千里を見通す透視能力で丸裸にされる。

 

「………(なぜ、ばれたってばよ)」

 

「どうしたんですかそんな所にかくれて、どうぞ顔を見せてください」

 

 後ろを向き、両手を広げて優しく人を迎え入れるポーズをする。そして、警戒しつつ姿を現すうずまきナルト。

 

「少し痩せましたね。後で、私の元に来て下さい。健康診断のついでに、うずまきナルト君の質問に二つ答えてあげます。何を聞くか、よく考えておいて下さい。おおよそ、うずまきナルト君が知りたがっている事の全てを知っていますが、全ては教えて差し上げません」

 

 医療忍者として綱手に匹敵する男がうずまきナルトの健康も診てくれるし、更には何でも二つ答えてくれるという特大なお土産まであれば、フカサクとシマも受け入れるしか無かった。




ナルトが聞きそうな質問……やはり、両親の事と自来也の事がベターかしらね^-^
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