卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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忙しすぎて、執筆が進まなくて申し訳ないです。


56:暁来襲

 木ノ葉隠れの里では、人材不足が深刻化し始めていた。裏社会との関係性も改善できず、任務の度に他里の忍者や賞金稼ぎとの衝突が発生している。対暁にも備える必要がある昨今、火影として綱手は最善を尽くすことが求められる。

 

「シズネ、交換留学者へは手厚い歓迎をしてやれ」

 

「承知してます。後、OB達の再雇用、国境警備の外注に関しても順調に進んでいます。これで、人材不足は何とかなりそうです。ただ、財政的に少し辛い所ですね」

 

 綱手が取った策は、大きく三つだ。

 

 一つは、忍者という人的資源が現役世代で枯渇しているなら退役忍者達を再雇用する事を正式に決めた。退役中忍や退役上忍などの者達が里の危機にぬくぬくと年金生活をしており、暁問題が解決するまで安価なシニア雇用を始めた。無論、拒否権などは与えない。拒否した場合には親族が危険な最前線行きになる。

 この策の一番素晴らしい所は、シニア雇用の費用が年金と同額である為、実質的な里への負担はない。更に言えば、雇用保険を適用していないので殉職した際、遺族年金が存在しない事だ。つまり。死ぬまで働くか死ねと言っている。

 

 二つ目は、交換留学だ。現役世代が自里に少ないなら他里の忍者を受け入れるという考え。実際、過去に何度か行われた事もあったが忍界大戦などで形骸化された風習になっている。だが、木ノ葉隠れの里にとって、これは一種の賭けだ。現在、木ノ葉隠れの里の殆どの忍者が賞金首にされており他里の忍者を受け入れる事は危険きわまりない。だから、比較的安全な砂隠れの里に提案を持ちかけていた。

 酷い事に、木ノ葉崩しの件や風影救出の件などを持ち出して、1対10のレートでの交換留学を行わせていた綱手。現役の中忍クラスが数十人単位で増えるという手品のような事をしている。大事な中核戦力を引き抜かれる砂隠れの里としては、こんな常軌を逸したレートなど受け入れたくは無かった。

 だが、綱手はここぞとばかりに風の国の大名達にアンチエイジングという喉から手が出るほどの取引材料を持ち出した。当然、大名達は綱手からの提案をほぼ丸呑み。50歳を超えているにも関わらず20代の美貌を保つ火影が自らの若さを他者にも与えるというのだから、権力者はここぞと力を行使する。

 そのおかげで砂隠れの里からは、カンクロウら上忍も含めて交換留学で木ノ葉隠れの里に来ていた。

 

 三つ目は、他里の忍者に自国の国境警備をやらせることで人材を里に集中させていた。小さい忍び里の足下を見た外注を行う。流石に現場監督には最低限一人は、木ノ葉隠れの里の忍者を置いているが、配置されるのがシニア雇用のOBだ。安価で最前線に送られて、部下は他国の忍者という恐ろしい状況が出来上がっていた。

 

「指揮権がこっちにあるので構わん。暁の目的はナルトである可能性が高い。つまりだ、木ノ葉隠れの里が戦場になる事も考慮しておく必要がある。砂隠れの忍びには我々の盾となって貰う。アイツラも暁へ一矢報いる機会が与えられるのだから本望だろう」

 

「こういってはあれですが、砂隠れも踏んだり蹴ったりですよね。大蛇丸に先代を殺された事を契機にドンドン弱体化してしまって。大きな声じゃ言えませんが、同盟国というより属国化し始めてますよね」

 

 シズネの言葉は、誰もが感じている事だ。

 

 その原因を作ったのがほぼ全て木ノ葉隠れの里である。

 

「私は火影だ。木ノ葉隠れの里を守る為ならどんな事でもやる。それが火の意思だ」

 

 その犠牲に他里がなっても、やるときはやる女だ。

 

◇◇◇

 

 自らの盾にOBや他里の忍者を活用し、人的損耗を最小限に抑えようと画策する木ノ葉隠れの里に対して、潜入計画を立てる暁。そのアドバイザーとして、狭間ボンドルドが会議に参加していた。

 

 本来であれば、うちはイタチがこの任をやるのだが忍者としての生を終えた者にまでそれを強要する事はない。その役を代わりに担うのが、木ノ葉隠れ出身の狭間プルシュカになる。勿論、子供であるため、その保護者が代わりを務めるのは当然の責務だ。

 

「先生は、里の正面玄関から堂々と入れというが、結界に探知されるのではないか」

 

「その点は、問題ありません。あの結界は不正入場する人向けです。正規に門を通る人へは何ら障害にはなりません。実際、他里の忍者が普通に正面から出入りしても、誰も止めません。畜生道が潜入後に逆口寄せで呼べばいいだけです」

 

 信じられないという雰囲気が漂っている。だが、事実なのだから仕方がない。雨隠れの里のように厳格に管理している方がレアケースであり、普通の里はこの程度である。そうでなければ、中忍試験の時に大蛇丸の潜入など許していないはずだ。

 

「わかった。では、小南、飛段、角都、プルシュカと先生でいく。俺が中に入って逆口寄せで呼ぶ。俺と小南で情報収集。プルシュカと先生は、木ノ葉隠れでペイン六道の回収。飛段は、先生から貰った血液を使って好きなだけ儀式で殺せ。角都は、万が一に備えて、飛段の護衛をしつつ切り離した地怨虞で里の重要施設を狙え」

 

 一般人に紛れての行動。木ノ葉隠れの里にある宿をツアー会社経由で借りており、企業の慰安旅行として里への侵入をする準備も整っていた。宿を拠点にこっそりと情報収集と六道回収、暗殺を行う。

 

 まさに完璧に近い布陣であった。

 

「私は、ここに残るわ。先生のお陰で、木ノ葉隠れの里に近付かなくても六道の操作は十分に行える。それに、カートリッジの交換対応や長門の護衛がいるわ」

 

 ボンドルド謹製の六道システムは、旧式と比べてリモート操作可能な範囲が格段に広くなっていた。既存のインフラ設備を利用したチャクラの送受信システムが完成しており、電気が開通してない程の辺境でも無い限り長門が出張する必要はない。

 

 長門の護衛と聞いて挟間ボンドルドは、それが必要か疑問でもあった。既に歩けるほど回復した肉体に加え、輪廻眼の持ち主……パーフェクト・長門だ。いざとなれば、離れている六道を切り捨てて本人が闘えば勝てる者は少ないだろう。

 

「おやおやおや、では減った戦力をどうしましょうか。トビさんが個人的にお誘いして、八尾を狩りに行っているうちはサスケ君達の合流を待ちますか?私としては、あのうちはイタチさんを倒したうちはサスケ君なら戦力として申し分ないと考えています」

 

「そういえば、トビの奴がいねーじゃねぇか。つーか、うちはサスケだ~。そんな奴を誘ったなんて聞いてねーぞ。確か、イタチの弟だろう?なんで、そんな奴が俺達に協力するんだよ」

 

「落ち着け、飛段。その話ならば、お前が寝ていた会議で連絡があった。そもそも、護衛が必要ならトビにやらせればいい。計画変更するのに代案を持ち出さないなど会議を舐めているのか。時間の無駄をさせるな」

 

「小南、俺の計画に変更は無い。他の者達と一緒に木ノ葉へいけ」

 

「貴方がそこまで言うなら、分かったわ」

 

 しぶしぶと了承をした小南。

 

 そして、始まった……暁創設以来初めての社員旅行が。

 

………

……

 

 隠れ里とは何だったのかと定義を確認したくなる木ノ葉隠れの里。そこに、風の国からの観光ツアーに紛れてペイン六道の一つ……畜生道が潜入をしていた。髪を下ろして、化粧が施されており、何処に出しても恥ずかしくない美少女である。

 

「本当に、ザルな警備だ……口寄せの術!!」

 

 ポポポンと煙があがり、続々と暁メンバーが狭い個室に呼び出される。

 

 ペイン六道まで同時に呼び出されており、完全にプライベートスペースにまで食い込む感じの密着具合。

 

「せ、せまいよ~ぱぱ。長門さん、もっと考えて呼んでよね!」

 

「今だけだ、我慢しろ。受付から貰っている部屋の鍵を渡すから、後は予定通りに動くぞ。先生とプルシュカは同室でいいだろう。飛弾と角都も同室……嫌な顔をするな、護衛するのだから同室なのは当たり前だろう」

 

 各々が部屋の鍵を受け取り、行動を開始した。

 

 挟間プルシュカは、部屋についてから挟間ボンドルドに質問をする。

 

「パパ、そういえばさ~。長門さん達って、何の情報を集めるのかな?私達の仕事とは別口なんだよね」

 

「そういえば、何も仰っていませんでしたね。きっと、私達には伝える必要がない事だったんでしょう」

 

 暁での会議の場で、一言でもうずまきナルトの居場所を探すなどと言っていれば、目的地が木ノ葉隠れの里から妙木山になっていた。

 

 

◇◇◇

 

 その頃、暁の会議をサボっていた干柿鬼鮫は、音隠れの里にいた。

 

「いい仕上がりです、イタチ(・・・)ワンさん。その調子で坂路を後5本、できますね」

 

 などと、旧友との仲をちゃくちゃくと深めていた。その傍らには、某三忍の一人が執筆した"ウマぴょい"シリーズが握られている。副業規定が存在しない暁には、干柿鬼鮫を止める権利はなかった。




さて、色々と回収させてもらいましょう!

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