GW最後の日という悲しい事実。
波の国の橋職人達は、ガトー達が忍者によって撃退された事を受けて大いに喜んだ。これで橋を無事に完成させる事ができる。そうなれば、貧しかった国が豊かになり、他国同様にそれなりの生活が過ごせると信じて疑わなかった。
だが、ココで大きな認識の差がある。別にガトー達を殺害したわけではない。自衛のために縄で縛っただけだ。それなのに、橋職人達は『俺達には木ノ葉隠れの里の忍者がついているんだぜ。これから邪魔したらどうなるか分かっているよな』といった風に勘違いしている。
勿論、半永久的にBランク任務を発注してくれるのならば、例えガトーが新しい忍者を雇ったとしても対処する。
波の国の宴会場では、木ノ葉隠れの里の忍者を英雄扱いし持てなしをしていた。こう言う場面では、うずまきナルトのようなお調子者がいる事を大変喜ばしい事だと、挟間ボンドルドは思っていた。彼には、あんな馬鹿ふざけで場を盛り上げる事は出来ない。
一応主賓の一人である為、壁際で申し訳ない程度に座っている挟間ボンドルド。怪しさ極まる彼の元には、橋職人達も近付こうとはしなかった。そんな彼に、はたけカカシが酒瓶を片手に近付き、隣に座る。
「子供がいるとこういう宴会では助かりますね、はたけカカシ上忍」
「その通りだな。任務とは言え、世知辛いね~。彼奴等に見せるわけにもいかないから、任務開始時間を確認したくてな」
「お優しいのですね。忍者になれば、いずれこのような任務を行う事もあるでしょうが……時期尚早なのは確かです。折角、お集まり頂いているのでこの宴会後です。今後のガトーへの対応という名目で、関係者全員を招集するのは容易いですからね」
「わかった。それじゃあ、後腐れ無いように頼んだぜ」
はたけカカシは知っている。生存者を一人でも残すと後々面倒な事態になる。恨みを持った生き残りが他里の忍者に殺しの依頼を出す。まさに、負の連鎖が発生する。
それを未然に防ぐのも忍者の仕事。恨みは何も産まない。つまり、負の連鎖をココで断ち切れと上忍として、下の者に忠告した。
………
……
…
挟間ボンドルドは宴会を楽しんでいるタヅナを探し出し、大事な話があると少し席を外させた。
「えーーっと、確か挟間じゃったかな。今回は、世話になった」
「仕事ですので、気にしないでください。ですが、まだ全てが終わったわけではありません。ガトーは、今も健在です。ですから、関係者一同に今後に向けて大事な話がありますので宴会後に全員集めて頂きたい。第七班の皆さんは、次の任務もあるのでココでお別れですが、私は旅行者です。多少皆様に、自衛方法を教えて帰ったとしても何ら問題はありません」
忍者が今後に向けて自衛方法を教えてくれる。それも、タダとなってはタヅナ達は喜んで食いついた。
「そりゃ、ありがたいわ!! 孫も一緒でも構わないのか?」
「勿論です、子供でも出来る事は沢山あります。赤子には、私が魔除けのおまじないを掛けてあげましょう。何もないよりマシですからね」
タヅナは、挟間ボンドルドの評価を改めた。胡散臭い忍者から、人情ある忍者へと変わっていた。こういう時、安心感を与える声色を持つ男は、強かった。
◇◇◇
第七班がタヅナ達……宴会場の橋職人達にお別れをいう。
子供なのによく頑張ったなど、高評価を得ていた。褒められるのは気分が良いらしく、しかめ面のうちはサスケですら、和らいだ顔をしていた。
「それでは、タヅナさん。我々は、次の任務がありますので一足先に失礼します」
「こんな夜なのに大変じゃな。まぁ、任務なら仕方がないの~。橋が完成したらいつでも遊びに来いよ!! その時は、もっと美味い物を食わせてやるからな」
タヅナは、未来を見ていた。橋が完成し、木ノ葉隠れの里と良好な関係で安定した将来。だが、最初の一手目から誤っていた事に未だに気がつけていない。
「期待しているってばよ!! タヅナのおっちゃんもそれまで元気でいるんだぜ」
「さっさと行くぞ、ナルト」
「カカシ先生も早く早く!!」
はたけカカシは、一礼した。そして、下忍達と一緒に波の国を後にする。
………
……
…
挟間ボンドルドが宴会場の壇上にあがる。
騒がしかった会場が静まる。全員が雰囲気に飲まれたといって過言でなかった。集まった者達は、今後に向けて自衛方法を忍者直々に教えてくれるとの事で少し楽しみであった。もしかしたら、チャクラの使い方を覚えて忍者みたいな事ができちゃう!? といった感じで、大の大人でも期待感を露わにしていた。
「やぁ皆さん、よく来てくれました。今日は、一般人でも出来る自衛術を教えましょう。開始の前に、皆様お揃いで問題ありませんか? タヅナさん」
「勿論だとも!! 忍者から直々に教えて貰えるとなったら、誰だって駆けつけるわ。タダだしな!!」
タヅナの言葉を挟間ボンドルドは信用していない。確かに、人数こそ増えて子供もいるが、コレで全員ではないだろうと予想はしていた。だが、解決策も分かっているので任務に支障はない。
ガトーの所にいけば、橋職人達の情報など幾らでも分かると知っているからだ。
「それでは、皆さん。これから私が言うことをよーく聞いてください。まず、忍者とはあらゆる任務を請け負い遂行するプロ集団です。庭の草むしりから、暗殺まで何でも請け負います。上忍にもなれば、武装した100人のゴロツキがいても勝負になりません」
「なんだよ~、じゃあ、お前さん達を雇えって言うのか? 俺達は忍者の営業を聞きに来たわけじゃねーーぞ」
そのように聞こえたのも無理はない。今後も危ない可能性があるので自衛手段は忍者に依頼するのが最適ですよと……だが、これは真理だ。ガトーは、国を牛耳るほどの海運会社だ。その資産は未だに健在。つまりは、金が尽きない限り幾らでも換えの忍者を用意できる。大金を積めば、暁のようなヤバイ級の忍者だって可能なのだ。
タダの一般人が自衛術を磨いたところで焼け石に水にもならない。
「勘違いをなさらないでください。次がない貴方達に営業をする程、私は暇ではありません。なので、先に謝っておきましょう。自衛手段を教えると言ったのは嘘です。皆様には、少しでも納得して受け入れて欲しかったので、この場に集まって貰いました」
「???」
皆が首を傾げる。何を納得して受け入れるのだと。
「安心してください。私は忍者の中でも良心的だと言われます。ですから、しっかりと説明を致します。先ほどまで居た第七班の任務は、忍者との戦闘が想定されてないCランク任務でした。ですが……」
挟間ボンドルドは、偽りの依頼だった事実。木ノ葉隠れの里への想定される被害など懇切丁寧に教えた。現状、恩人にも等しい忍者達に対して、金がなかったとはいえ虚偽の依頼をしたタヅナを周りが責めた。
「だから!! 追加の差分は、橋が完成してから分割で納めるって話をしただろう。祝いの席で酒が不味くなる話をしやがって」
「残念ですがタヅナさん。現場レベルの人間で、それを許可する権限はありません。波の国の案件は、火影によりケジメ案件とされました。その為、依頼費用を分納して頂く必要はありません」
ケジメ案件という言葉が宴会場に響き、ざわめきだした。
それにいち早く反応したのがタヅナの娘であるツナミ。子供を抱きかかえて、会場の外へといち早く出ようとした。だが、挟間ボンドルドの影分身が既に出入り口を固めており、ツナミと子供のイナリの両名が確保される。
「おやおや、まだ話は終わっていませんよ。安心してください、"祝福"持ちである貴方達とタヅナさんのここでの安全は保証しましょう」
「み、みんな逃げて!! この人、私達を殺す気よ」
ツナミの悲鳴で、集まった者達が我に返った。だが、忍者から逃げられるならば、そもそも護衛など雇わない。
「口寄せの術!! お腹が空いていたでしょう。タヅナ一家を除いて、全て平らげて構いません」
『パパ、大好き!! いただきまーーす』
多重影分身により、何匹も呼び出されたカッショウガシラによって会場は地獄絵図となった。
「なぜじゃーー!! 殺すなら儂だけで十分だろう!! 娘や孫は許してやってくれ。頼む」
「機密保持のためです。木ノ葉隠れの里を、忍者を舐めたツケは支払って貰わねば困ります。貴方と関わりをもった人物は全て処理するように火影から直々に依頼されました。悔いるなら己の行いを悔いなさい」
理由も知らずに死ぬより何倍も幸せであった彼等。最後の晩餐も最高に美味しかったのは間違いない。そんな幸せな最後を迎えられたのは、挟間ボンドルドが甘いからであった。
波の国は、今日の時点で橋職人一家が一斉に行方不明になり橋建造が永久凍結された。その原因はガトーの海運業者と言われたが、ガトー本人も行方をくらませた事で世間を騒がせる。それにより、物流が滞り、貧しさに拍車がかかる。立て直しには、更に何年もの時が必要となる。
唯一分かっている事は、霧隠れの抜け忍がガトーの元で仕事をしていたこと。つまり、全て霧隠れが悪いという結論に丸く収まった。
◇◇◇
挟間ボンドルドが管理している施設。
今から、"祝福"の譲渡が行われようとしていた。タヅナ一家の体には、血文字が記されている。そして、その者達を囲むように生け贄となる波の国の孤児達が何十人も寝かされていた。
「本当なら、忍者が持つ"祝福"が欲しいのですが……彼等は、流石は原作キャラ達です。手強いので、手頃な一般人から貰うようにしているんですよ」
「お願い!! お願いします!! 私はどうなっても構わないからイナリだけは!!」
「その程度の懇願で逃がすならば、そもそもあの場で殺していますよ。それに、若い子ほど強い"祝福"を持っています。出来ない相談です」
挟間ボンドルドがチャクラを込めて丁寧に印を結ぶ。
「イヤだよ、死にたくないよ!! 助けてよ」
「儂が悪かった!! 生け贄にするなら儂だけにしろ!! 頼む、依頼料を惜しんだ事は本当に悪かった。何倍にもして必ず返すから」
タヅナ一家が命乞いをする。
だが、タヅナ一家のために生け贄になる者達からしたら、こいつ等より不幸なのは間違いなかった。見ず知らずの人間から"祝福"を抽出する為に燃料とされるのだから。
"祝福"とは魂に宿る。魂を抜き取れる死神を呼び出し、その人間が持っている特別な部分だけを分けて貰う。勿論、死神とて手に入れた魂をタダで手放すほどお人好しではない。その供物として何十人もの人間を捧げる。
「屍鬼封尽(贄)」
死神が存在し、ソレを扱う術がある事から研究の末に辿り着いた忍術。本来は、強敵を封印する術だが、これは違う。大量に生け贄を捧げる事で生け贄の中から一部を分けて貰おうという懇願系の術だ。
言わば供物を捧げるので少しだけ取り分をくださいと言っている。これにより、術の難易度も制御もリスクも大きく下がっている。それに、呼び出された死神は原作で3代目が呼び出した物より下位の存在。だからこそ、挟間ボンドルドでも制御ができていた。
「死神様、今宵も供物を用意致しました。どうぞ、お納めください。そして、出来る事なら、そこの三名が持つ"祝福"を分けて頂きたくお願い申し上げます」
生け贄の数をみて死神の口元が緩んだ。
交渉が成立した事で死神が生け贄達の魂を次々に平らげていく。その様子を目の当たりにするタヅナ一家。糞尿を漏らすレベルであった。
忍者を舐めた一家がこの世を去る。だが、幸か不幸か、タヅナ一家が消えたとしてもこの世で騒ぐ者達は誰も居ない。
中忍試験までに少し、小話を挟もうかなと^-^
優秀な遺伝子もあるし、
波の国で仕入れた母体もある。
つまりは、そういう事です。