62:暁
当初の目的を達成した挟間ボンドルドは、家族と優雅な夕食を音隠れの里で食べていた。音隠れの里にも、木ノ葉隠れの里が暁襲撃で甚大な被害がでたと噂が出回る。独自の情報網を持っている大蛇丸は既にその事を把握しており、挟間ボンドルドへの事情聴取等は発生しなかった。
そして、木ノ葉隠れ襲撃後の初の定例会議の時間になる。時代を先駆けたソーシャルディスタンスが出来ている暁。彼等のリモート会議に現れたのは、トビ、干柿鬼鮫、挟間プルシュカと保護者の挟間ボンドルドの4名。
暁の半数に近い勢力を木ノ葉隠れに当てて、全員が殉職するなど考えられない事態だ。特に、長門は輪廻眼が有りペイン六道というチート能力まであるのに、負けるはずが無い…と誰もが思った。
長門の最後の死に様は、うずまきナルトのだってばよ!空間に巻き込まれて謎の改心。それからの外道・輪廻転生による大量蘇生による自滅だ。だが、彼は大事な事を忘れている。死んだ者が復活するなど、あらゆる状況が整ってないと出来ないという事だ。
木ノ葉隠れでの死者は、大半が神羅天征による死だ。瓦礫でズタボロになって死んだ者達に魂が戻ってきたとして五体満足になるかといえば違う。即座に死に戻る。
つまり、地獄道によって、魂を抜かれて完璧な状態で蘇生されなければ意味を成さない。大事な事だが……人間は心臓が停止してから数分以内に蘇生しないと脳に酸素が行き渡っておらず重大な障害を抱える事にもなる。更に言えば、病院では鮮度のいい死体から使える部分を切り取って重傷者に分け与えるなどもしている。
つまり外道・輪廻転生で無事に生き返れた人数は、片手で足りる。長門は満足して死んだのだろうが、死ぬより生きて里に貢献した方が幾分もマシな結果を生んだ。
「長門は死んだ。そして、小南は暁を裏切ったため、俺が始末した」
「嘘でしょ。あの状況で何で負けるの?だって、パパが作ったペイン六道システムだよ。飛段さんや角都さんも居たのに。本当にパパ棒付いているのかしら」
「くっくっく、パパ棒とは初めて聞きましたね。まぁ、何名かは無くす事になるでしょうね。それにしても、貴方達は今のトビをみて何も思わないんですね?もしかして、知っていましたか?」
暁のムードメーカーを務めていたトビが、いきなりボスオーラを発揮している。だが、挟間一家は気にしてはいない。誰がボスであっても大して興味はない。
「表のトップが長門さんで裏のトップがトビさんだったというだけでしょう。私達一家にとっては、どちらにせよ些細な問題です。あぁ、もし雨隠れの里にいらっしゃるのでしたら逆口寄せしてくださいね。ペイン六道システムは、他国に接収される前に回収しておきます」
「いいだろう。どのみち貴様に頼もうと思っていた。挟間ボンドルド、貴様にはこれからも暁への貢献を期待している。無論、タダとはいわん。プルシュカが欲しがっていた六道仙人が残した芭蕉扇をくれてやる」
挟間プルシュカの万華鏡写輪眼との相性を考えれば悪くは無かった。吹き飛ばしによる上昇負荷。なにより、身内に甘いのが挟間ボンドルドだ。娘が珍しく欲しいという品であり、その為なら多少のことならやってもいいとおもっている。
「勿論、構いませんよ。トビさんは、私に何をさせたいのですか?」
「ペイン六道システム。10万人に対応したシステムに改修しろ。必要な戦闘データなら俺が提供する。期限は、五影会談が終わるまでだ」
挟間ボンドルドは、酷いクライアントだと思っていた。数名にしか対応していなかったシステムをいきなり10万人規模に対応したシステムに作り直せという。もはや、システムの基本設計からやり直す作業であり、本来ならばお断りする案件だ。
だが、忍びの世界においては、便利で危険な術が存在している……多重影分身だ。自らと同じ知力を持った存在を多数用意できるので、全員が阿吽の呼吸で仕事が出来る。カートリッジもある為、多少無理すれば数十人単位で挟間ボンドルドが現れる事になる。
まさに、狂気の絵面だ。
「報酬は前渡しでお願いします。すぐに仕様を詰めましょう」
「やったーー、パパ大好き!!」
挟間プルシュカが喜び父親に抱きつく。娘を優しく撫でる父親……だが、娘のために激務に挑む父がそこには居た。
それからも、暁の会議は燃え上がる。人員不足にうちはサスケ率いる鷹を引き入れるとか、八尾捕獲に失敗した尻ぬぐいに捕獲に向かう事など。つまり、現状暁のメンバーの行動は、このようになる。
暁のトップであるトビは、うちはサスケ率いる鷹と一緒に五影会談へ。
干柿鬼鮫は、うちはサスケの尻ぬぐいで八尾回収。
挟間一家は、ペイン六道システムの大改修。
挟間ボンドルドは、このシステム改修を早期に解決する方法に当たりをつけた。10万人に対してあらゆる状況に対応したAI補助は、難しい。だが、有人操作ならばそれが可能である。つまり、カツユが分裂して湿骨林から10万人全員を操るという物……これを仮称でペイン六道システム改めシビュラシステムと定めた。
こうして、戦力低下した暁が五大国に挑むという無謀とも思えるチャレンジが始まろうとしていた。
◇◇◇
音隠れの里。その最奥にある場所にて、第二の人生を歩み始める者がいた。魂の定着が確実なものとなり、目を開ける。死からの蘇生……目覚めた者は確かに死んだ記憶があった。思い出した記憶は、我が子を託した記憶。
彼女は頬を伝わる涙を拭き、周囲を見渡した。
控えめに言って天国とは言いがたい状況。見慣れない器具があり、拷問器具に見えないこともなかった。逃げるという選択肢が彼女の中で浮かび上がる。手足の感覚を確認して、彼女は初めて違和感に気がつく。
軽いと。それどころか、肌の艶やハリが10代といっても差し支えないレベル。体つきも変わり、まるで別人の肉体のようだと感じていた。
「ここは、もしかして天国なのかしらね」
「いいえ、天国ではありませんよ。ですが、貴方の望みが全て叶うから、ある意味天国かもしれません」
バ体となった彼女が声の方へ振り向くと、暗闇の中で光る紫色のラインがあった。一種のホラーであり、多少ちびってしまうのは挟間ボンドルドが悪い。
「驚かさないでよ!もう一回死ぬかと思ったじゃない。いいわ約束通り、何でもするわよ。で、あれから何年経ったの?せめて、大きくなったミライを遠目で見るくらいは許してくれるんでしょうね」
「色々と誤解があるようですが、貴方が死んでから三日ですよ。まずは、ここの責任者として状況をご説明した後に、生まれ変わった猿飛アスマさんもご紹介します。ミライちゃんなら、今は彼女が面倒を見ていますよ。やはり我が子は可愛いらしいですね」
生まれ変わった彼女が誤解するのも無理は無い。挟間ボンドルドは転生忍術が使える事は彼女も知っている。だからこそ、それを己にも行使してくれたのだと思っていた。だが、転生忍術のような高度な忍術をぽんぽん使えるとは想像できず、最低数年の時を経過していると思い込んでいた。
「本当?本当にアスマここに居るの?それにミライも?」
「えぇ。これから貴方の状況を説明致します。ダイワ
挟間ボンドルドの粋な計らいにより家族がまた一つになる。将来、夕日ミライの授業参観にパパとママの参加でなく、ママとママの参加になるという学校ですら想定出来ていない事態が発生する。
ボンドルドがカブトの代わりにゼツ強化をするんです!
そしてやっと、五影会談編!
だけど、五影会談はサスケーーーがメインなので、ダンゾウが死ぬ当たりしか絡まない予定です。
「ヒルゼン、次は儂の番のようだ」とか「何処まで行ってもお前には追いつけなかった」とか言っているからね。
ご期待に応えなきゃいけないかと。