卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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63:今や常識に左右されない新しいアプローチが試されるべきと考えます

 意識不明の五代目火影綱手に替わり、新たな火影が選出される。

 

 六代目火影は、志村ダンゾウ。暁襲撃に際し、危険を顧みず闘う姿が里の者達に感動を与えた。更には、飛段と角都の両名を討ち取った功績は大きい。その為、大名からの推薦だけでなく、上忍衆からの支持もある程度集まっていた。

 

 そして、六代目火影志村ダンゾウは、うちはサスケの抹殺許可を正式に認める。挟間ボンドルドには、即日抹殺許可を出していたが、うちはサスケに至っては今まで穏便な扱いであった事が謎だが、誰もそれには突っ込まなかった。

 

 挟間ボンドルドは、純度の高い白眼を肉体にじっくり馴染ませながら体を休めていた。そして、木ノ葉隠れの里の情報をカツユ経由で聞きながら、思いを巡らす。今現在、カツユが木ノ葉隠れの里の復興状況を逐一監視しており、抜ける情報は抜き取っている。

 

「志村ダンゾウさんは、今の木ノ葉隠れの里で火影になっても一文の得にもならないのに。火影という立場こそ、まだ影響力はそこそこ残っていますがそこまで欲しい椅子には私には思えません」

 

『そうですよね。今や木ノ葉隠れの里より音隠れの里の方が上回っている事も多いので、五影の入れ替えも現実的です。ボンドルド様、はたけカカシさん含めて著名な忍者達は大体無事でした』

 

 カツユは、挟間ボンドルドが座れるほどのサイズになっており夫を文字通り支えていた。尻の下に敷かれて当の本人は満足そうであり、微笑ましい光景だ。その傍らで、娘の挟間プルシュカがカツユに抱きついたまま寝ている。

 

「しかし、トビさんは本当に5大国相手に戦争を仕掛ける気なんでしょうかね。10万人いたとしても、有象無象の集まりでは意味がありません。各国にいる強力な『祝福』持ちならば一人で100人くらいは倒しそうです」

 

『そうですよね。私が、コントローラで操作するにしても元のスペックに差がありすぎると勝てるものも勝てません。ボンドルド様、この白ゼツさんの構成要素……これじゃあ下忍にも劣りますよ。こんなの数を揃えたところで役に立ちません」

 

 挟間ボンドルドは、カツユが調べた白ゼツの詳細な資料に目を通した。人型である為、人間と近い要素で作られているかと思えば全く違っている。人間と違い痛みなどで動けなくなる事がないが、これといって強いとも言えない。

 

 一部特殊な能力こそあるが、時間を掛ければ挟間ボンドルドや挟間プルシュカでも一人で殲滅可能と言ったレベルの相手であった。

 

 だが、長所と短所は見方を変えれば逆転する。つまり、何事も使いようである。

 

「つまり、多少雑に扱っても白ゼツは死なないと言う事です。この構成要素に白リンを混ぜ合わせて白ゼツそのものを爆弾にしましょう。人型であるからといっても、人間として運用をする必要はありません」

 

『それは盲点でした。流石は、ボンドルド様。負けそうになったら自爆で相手ごと倒すんですね』

 

「今や常識に左右されない新しいアプローチが試されるべきと考えます」

 

 挟間一家がシステム改修に加えて、恐ろしい計画を立てている事をトビや黒ゼツたちは知らなかった。全てを知ったときは、引き返せない所まで来ており彼等は前に進むしか道は残っていない。

 

………

……

 

 トビがうちはサスケと合流する少し前。

 

 うちはサスケ……(大蛇丸)を娘の前で殺して、娘に万華鏡写輪眼を開眼させた。それから目を奪い、妻の財布と部下を引き連れて実の兄を殺した。その兄は、実は善人である事をトビから聞かされる。

 

 そして、何を思ったのか暁に一時編入して雲隠れの里を襲撃。それから、木ノ葉隠れの里を潰しに行くという。この時代で彼ほど、色々とやらかしたのに無事に生きている人間は居ない。

 

 未だに、産まれた何百人の子供達へ養育費の支払いすらしない。更には、未だに殺した妻の財布で生活を送っており、流石に何時か後ろから刺されるんじゃ無いかと鷹のメンバーは心配していた。

 

 そして、口座残高が少なくなってきたため、音隠れの里に電話で催促する。

 

【大蛇丸、明日までに500万両を俺が持ち出した口座に振り込んでおけ。木ノ葉隠れの里を襲撃するのに忍具を揃える必要がある】

 

【分かったわ。でも、偶には帰ってきて子供に顔を見せて頂戴ね。ツムギもブロリーも貴方と会うのを楽しみにしているわ】

 

 最後に自分の元にいれば良い大蛇丸としては、うちはサスケの行動に制限など掛けない。実に男らしい女だ。

 

【気が向いたらな。それと、感知タイプの忍者が欲しいから、これから言う場所に送れ】

 

【感知タイプね……サスケ君が殺したカリンがそうだったけど、使えそうなのはいないのよね】

 

 万華鏡写輪眼のガチャのために、カリンにもうちはサスケは手を出していた。そして、カリンチャンとなり、いまではターフの側にいる。

 

【そういえば、プルシュカが感知タイプね。いいわ、ボンドルドに話をつけてあげる。でも、手を出したらダメよ。あの子には、こわーい父親と母親がいるんだからね】

 

【大蛇丸、お前は俺を何だと思っている。俺が子供に手を出すような男にみえるか】

 

【そりゃ、見えるわよ。だって、抱いたでしょ?何人も】

 

 大蛇丸の言葉を否定しようにも、否定できる要素がなかったうちはサスケ。大蛇丸がうちはサスケの為に様々なタイプの女性を用意した中には、特殊な事例もあった。だが、思春期のやりたい盛りの男に餌を与えれば結果など分かりきっている。

 

【当時、拒否権が無かった俺にどうしろって言うんだよ。お、俺が悪いってのか…?俺は…悪くねえぞ。こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくんなかっただろっ!俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇっ!!】

 

【やっぱり、プルシュカに話を持っていくのやめておくわ。万が一がある以上、危険は犯せないわね。感知タイプなんて居なくても大丈夫よ、頑張りなさい】

 

 電話が切られて、うちはサスケは乱暴に受話器を置いた。その様子に、鬼灯水月と重吾は鷹の行く末を心配する。既に、雲隠れの里を襲った事から全国指名手配の仲間入りをしている。

 

 この状況下でスポンサーでもある大蛇丸にあそこまで強気に出られる根性が謎過ぎて恐かった。しかも、それを許容している大蛇丸の器の広さに脱帽する。彼等が知る大蛇丸ならば、今の台詞を聞いただけで八つ裂きにしてくるような男だった。

 

 その翌日、鷹はトビと合流して五影会談へと足を運ぶ事になる。

 

 

◇◇◇

 

 遠野カタスケには、夢がある!!

 

 ()木ノ葉隠れの里の忍者にして、現音隠れの里のトレーナー。彼が作り上げた退バ忍スーツの売れ行きは、概ね好評であった。従来の忍者が着る防具服は、防具の意味をなさない。

 

 だが、彼が作った退バ忍スーツは時代を先取っていた。どのような環境にも耐えられて、一定以上の防御性能をほこり、動きを阻害しない。まさに、忍者達が待ち望んだスーツであった。デザイン的に男性が着るのは厳しいってレベルでは無いが、命とプライドを天秤に掛ければ優先するほうは決まっている。

 

 "黄ばんだ閃光"の異名を持つ忍者は、退バ忍スーツを愛用しており男性側の宣伝塔として頑張っている。師と弟子で同じスーツを宣伝するなど本当に仲がいい限りだ。

 

「そう!!これぞ、我が師である挟間ボンドルドさんと共同で開発した夢の科学()具。私は、人を幸せにする科学()具をより多くの人に使って欲しいのです。そう思いませんか、ミナトブルボンさん」

 

「その理念は素晴らしいです。遠野トレーナー」

 

 ミナトブルボンの元トレーナーは、今はバ体となっている。だから、今では後任として遠野カタスケがミナトブルボンのトレーナーを務めていた。そして、彼女を使って、夢の科学()具を大々的に宣伝している。

 

 大蛇丸が認めるレベルの天才であり、何があっても絶対に外に放出する気が無いことを彼はまだ知らない。だからこそ、彼の夢を叶える為に大蛇丸は支援を惜しまない。

 

 

 




五影会談編はサクサク終わらすぞ!

ダンゾウさんが早く親友に追いつきたいと言っているからね。

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