卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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何時も誤字脱字ありがとうございます。

やっと新章に突入です。


忍界大戦編
67:諸外国連合


 第四次忍界大戦。5大国に加え中立国の鉄の国による対暁との戦争。周辺諸国としては、興味が薄い案件であった。戦争に誘われても、勝利したときの旨味が無い。負ければ世界存亡の危機と言われているが、大国達からお声が掛からない。

 

 周辺諸国達側からすれば、これを機会に色々と大国へ譲歩させる事も考えていた。戦力や物資提供に協力するから、色々と便宜を図れと。だが、大国達は頭を下げるどころか、戦費捻出を要求する。

 

 大国の言い分としては、今こそ一致団結して犯罪組織暁を打倒し、世界を救うと。だから、後方支援を周辺諸国に期待するとの事だ。無論、音隠れの里がある国もその周辺諸国に含まれている。

 

 つまるところ、現在絶大な経済力を誇り安定した平和を維持している音隠れの里に対して、これでもかと言う程の戦費負担を求める脅迫状が届いていた。その金額は、木ノ葉隠れの里を二度復興出来る規模の金で有り、色々と上乗せされているのが手に取るように分かる。

 

 そんな下らない脅迫状が届いたため、挟間ボンドルドは音隠れの里で大蛇丸に呼び出されていた。その目的は単に愚痴を言うためだ。

 

「おやおや、これは随分な物言いです。忍び連合とは、何処と闘う連合なのか疑いたくなりますね」

 

「自分達が始めた戦争の戦費負担を押しつけるなんて、完全に舐められているわ。で、こんな脅迫状を容認した国なんてあるのかしら?」

 

 音隠れの里だからこそ、支払能力がある。だが、他の国では到底不可能な金額である事は明白だ。しかも、負担金額だけ書かれており、詳細が何も載っていない。誰も頼んでいない戦争を勝手に始めて、物資と金を集める連合は悪でしかなかった。

 

 暁だって、戦争物資を手に入れる為には金をしっかり払っていた。その金は自分達の労働で稼いだお金で有り、真っ当な組織に見えるほどだ。

 

「そんな善意の塊みたいな国があれば、拝んでみたい物です。しかし、忍び連合側の言い分も一理あります。人的損耗を請け負うのは確かに大国側です……勝手に始めた戦争ですが」

 

「本当に迷惑するわ。私はね、暁が起こす戦争とか興味が無いのよ。無限月読で全人類が幻術に掛かるとか、是非見せて欲しいくらいだわ。忍術である以上、対抗策の一つや二つ用意もしている。そんな大技は、尾獣のチャクラを利用したとしても何度も出来ないはずだわ。失敗すればそれまでのはず。闘うより、防ぐ方に専念すればいいだけのこと」

 

 忍術を極めたいと思う大蛇丸にとって、無限月読も研究材料の一つとしか思っていない。だから、暁が勝っても負けても音隠れの里には何ら関係はなかった。

 

「流石は、大蛇丸様です。では、またお会い致しましょう」

 

「ボンドルド、これを忘れているわよ。折角、うちの可愛い子達が作ったプロモーションなんだから、大いに活用しなさい。私は、いつまでも大国気取りの愚か者達に嫌がらせでもしてくるわ。最近、実戦から少し離れちゃったから、感覚を取り戻すついでに手狭となった国土を広げるわ」

 

 対暁に対して忍び連合が結成されたように。対忍び連合に対して、周辺諸国が秘密裏に会談を設ける事になる。その議席には、大蛇丸が座っていた。そして、周辺諸国への情報提供者として暁側から挟間ボンドルドも議席に座る。

 

 敵の敵は味方理論。周辺諸国にとって、暁とは一筋の光であった。

 

………

……

 

 忍び連合に不満を持ち対忍び連合として、秘密裏に会合が開かれていた。その開催場所は、世界一平和な里であり、自称中立の音隠れの里だ。

 

 そこに集まったのは、音の国(音隠れの里)を議長として、湯の国、雪の国、月の国、鬼の国、波の国であった。国によっては、防衛費の関係から隠れ里を持たない国も多い。

 

 ピンチをチャンスに変える。誰が言った言葉かは既に定かでは無い。だが、その通り、例年大国に怯えていた小国にとって、暁という存在はまさに蜘蛛の糸。仕事を依頼すれば、確実に最大成果を持ち帰ってくれる優れた者達。

 

 そんな連中が今度は大国相手に忍界大戦をしてくれるのだから、どちらを応援したくなるかは言うまでも無かった。勿論、暁側が無限月読という世界規模の幻術を使うための戦争であることは小国も知るところだ。

 

 だが、それならば回避策は実に簡単であり、それを実行しない大国に苛立ちを覚えている。小国達がかねてから訴えている忍界大戦を簡単に終結させる方法は……

 

「人柱力であるうずまきナルトとキラービーを殺して、尾獣の復活時間を稼げばいいだろう。二人の犠牲で、世界が救われるのだから決して悪い判断ではあるまい」

 

「その通りだ。膨大なチャクラを使う忍術ならば、九尾と八尾が欠けた段階で計画がご破算する」

 

「その通りだ。たった二人を守る戦争で何人を殺す気だ。なにより、あんな桁違いの戦費を負担したら、国民の何割かが死ぬぞ。それほどまでに、二人には価値があるというのか」

 

 各国から選出された者達が意見を交わす。当然の意見だ。二人を守る戦争より、二人を殺して問題を先伸ばしにすべきで議会は纏まりつつあった。時間稼ぎとしてはこれ以上の作戦は無い。なにより、尾獣復活までの時間で残った暁を包囲殲滅すればいい。それで、全ての問題は解決する。

 

 だが、尾獣を有する木ノ葉隠れの里と雲隠れの里が猛反発するのは目に見えている。

 

 その場を取り仕切る議長である大蛇丸が口を開く。

 

「貴方達は、バカなの?こんな下らない会議で私の時間を無駄にさせないで頂戴。大国の目に余る行動は今に始まったことじゃないわ。確かに、大国が人的損耗を引き受けるというのだから一定の理解はしてあげるわ。でも、これを一度飲んだら同じ事を何度もやってくるわよ。こんな最低の前例は作るべきではない」

 

「その通りです、大蛇丸様」

 

「全くです」

 

 誰もが大蛇丸の意見に賛同した。経済規模が大国に匹敵し、伝説の三忍と名高い大蛇丸がトップを務める里だ。小国達が議長に推すのも当然。大蛇丸の意見で全てが決まる会議である。

 

「別に私は戦争がしたいわけじゃないのよ。でもね、人に舐められるのは大嫌いなの。だから、今日は特別にゲストを招待したわ。先ほどから、私の横の席に座っている彼、知らない人もいるだろうから紹介しておくわ。S級犯罪者にして、暁に協力しているフリーの忍者……挟間ボンドルドよ。彼から、プレゼントがあるらしいから受け取りなさい」

 

「ご紹介にあずかりました挟間ボンドルドです。幾人かの方には、お会いした事がありましたね。お手元に、大国の防衛網の書類。フリーの忍者……主に里を追われた犯罪者や諸事情で抜け忍となりたいと考えている有能な者達を纏めたリストがあります。誰だって、金にならない戦争より待遇が良い国を選びますよ」

 

 挟間ボンドルドの元には犯罪者になっても、アンチエイジングの依頼が届くこともあり見知った顔が幾人も居た。火影に頼むと色々と無理難題を言われる為、小国は挟間ボンドルドを頼っている。

 

 そんな信頼における人物が、各国の防衛網や使える忍者の情報を提供してくれたならばやることは一つしかない。好待遇で大国の忍びを引き抜き、その者達を主軸にして国土を広げる。

 

 小国のこの行動は、確実に大国の忍び連合の足を引っ張る懸念材料となる。具体的には、当初予定していた戦力の2~3割は防衛に当てる必要がでてくる。それで十分足を引っ張れる。

 

「おやおや、私は多少は文句を言われるかと思っておりましたが……」

 

「勝っても負けてもどのみち大国に痛い眼を見せられるなら構わん。それに、あの無限月読体験版は、素晴らしかった~。表だって言えんが、暁の方が仁義というものがよく分かっている」

 

「同感じゃな。暁には、色々と安価で助けて貰った。挟間ボンドルドにも、妻の病気を助けて貰った恩がある。情けは人のためならず……儂は礼には礼で応えるぞ」

 

 無限月読体験版をその身で味わった小国代表者達の気持ちは決まっている。勝っても負けても、損はしない。大蛇丸もその身で体験して既に対抗策を構築しており、音隠れの里は安泰であった。

 

………

……

 

 忍び連合が周辺諸国に送った後方支援の依頼は、悉く拒絶された事を影達は知る。パワーバランスを維持する為、人的損耗が諸外国に望めないなら経済的な打撃を与える作戦が実らなかったのだ。

 

 勿論、実るはずも無い。影達は、国家に蔓延る腐った蜜柑を良く理解していない。そいつらが自分の利益のために、予定されていた金額に賄賂など取り分を上乗せしていたから、恐ろしい金額になっている。

 

 忍び連合は、忍界大戦で諸外国に金の無心をしたら断られただけで無く敵を作る。そして、国家防衛のため、戦力の2割強を割くことになりスローペースの戦争準備となった。




暁側の戦力が 薬師カブトさんが居るときより落ちているから、連合戦力も削がないとね!
穢土転生がないから、この位は許されるはず。


次、鬼鮫さんには申し訳ないけど、ソッチの余裕はないのよね。
いよいよ開戦ですわ。
挟間プルシュカが、マダラポジで多数相手に華麗に立ち回るしか無い。
つまり、それと時を同じくして、マダ※さんが……メイクデビュー。

PS:
来週は忙しいので更新ペースが衰えます!


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