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ありがとうございます!
海上戦。霧隠れの里以外で経験した事がある忍者は、極めて少ない。水遁使いが多く、まさに彼等の独壇場であった……はず。しかし、忍連合である為、不慣れな忍者達も我先にと夜の海へと駆けだした。
戦果が欲しかった。誰もが、我先にと前へと出る。暁と名乗ったからには、子供であろうとも手柄には違いが無い。だが、彼等の認識は甘い。月明かりしか無い海上で敵はたったの二人。代わりに味方は数百人単位、時間と共にもっと増える。敵が正面に居るならば、幾らでもやりようはある。
しかし、そんなのは最初だけだ。
挟間プルシュカが大きく息を吸い込む。そして、必勝への布石を放った。戦場において、感知タイプ以外の忍者は、目視でしか相手を認識出来ない。極めて優秀な感知タイプならば、知らないチャクラを感じ取れる。だが、忍連合6万人のチャクラを覚えているなど人間業ではない。
「火遁・灰塵隠れの術。それじゃあ、パパ。どっちが多く倒せるか競争だよ」
完全に視界がふさがれる忍連合。周囲に敵しかいない挟間一家にとっては、出会う者は全て敵であり、やりたい放題だ。加えて、カツユによりリアルタイム通信でお互いの位置や大技を確認出来るため万が一にも同士討ちは発生しない。
「えぇ。では、カツユにカウントをお願いしましょう。パパに勝てたら、明日のお昼は好きな物を作ってあげますよ」
「やったーー。負けないんだから~。火遁・龍焔業火」
挟間プルシュカが大量の火炎と共に敵陣に殴り込む。プルシュカの眼にはハッキリと敵の位置が見えていた。仙人モードで感知能力も強化されており、フカサク、シマ、カツユも各々が敵の位置を把握して忍連合を倒し始める。
フカサクとシマが舌技で忍連合の忍者を責め立てる。二人が狙っているのは足場だ。チャクラを足に集中して、忍者達は浮いている。大型の口寄せ動物を貫通し、ペインにすら早いと言われた攻撃だ。視界が塞がれたこの状況で、並みの忍者ではそれを防ぐ術はない
「誰か助けてくれ足がぁぁぁ…」
「感知タイプはまだか!敵は何処にいる!」
灰燼の中、怒号と悲鳴が止まない。本来、大軍である事を有効活用し、一方的に責め立てるはずが乱戦に持ち込まれると使えない。
三位一体の仙人モードになって本気の本気で挑んだ初の試合は、挟間プルシュカにとって消化試合になりかけていた。全力で忍術を使うだけで、数十人が消し炭になっていく。
『仕方がありません。プルシュカちゃんレベルを相手に出来る忍びなんて、それこそ準影クラス以上ですよ』
「本当にみんな弱々だね。そんなんじゃ、戦争に勝てないよ。でも、プルシュカは手を抜かない。パパからも油断はするなって言われてるしね」
幾人もの忍者を海の藻屑にした挟間プルシュカの元にたどり着けた男がいた。奇襲部隊長のカンクロウ。砂隠れの里において強い『祝福』を持つ一人だ。そして、彼の手札にあるのが暁からの戦利品。
「いい気になってんじゃねーーぞ。とっておきを見せて」
「はいはい、神威」
カンクロウが蠍と書かれた巻物を取り出した瞬間、口寄せされる前に片腕ごと神威空間に飛ばす。敵に自慢したい気持ちは分かるが、秘密兵器を出すまで待ってくれる親切な敵ばかりでは無い。カンクロウが今まで出会った忍者達が優しすぎただけだ。
挟間一家が持つ切り札の一つ。
『レグさんにお土産が出来ましたね。あぁ、もう邪魔なんで死んで下さい。仙法・高圧舌歯粘酸』
岩をも溶かす酸が高圧縮され横薙ぎに放たれる。カンクロウは勿論、プルシュカを包囲しようと徐々に集まってきた忍者達が真っ二つにされる。派手に動くプルシュカの元に忍連合の主力達も集まり始める。
実の娘に群がる敵軍に変化の術を使ってこっそり混ざる挟間ボンドルド。そして、後方から最大人数を巻き込むようにして、仙法・火葬砲が夜の闇を切り裂く。これにより、キルカウントが挟間ボンドルドの方に傾く。
「パパ!!それずるいーーー」
「狡くはありませんよ。私の仙人モードは、プルシュカと違って長くありませんし三位一体も使えません。何事も効率重視です」
挟間ボンドルドが拗ねる娘の頭を撫でる。
徐々に灰燼が晴れ忍連合の第一部隊が到着する。彼等は船酔いと疲労から、コンディションはお世辞にも良くない集まりだ。中距離攻撃部隊であり、理想的な距離であるにも関わらず忍術を使えなかった。
挟間一家の周辺には、死体も多いが生存者もいる。
そんな彼等を巻き添えにすれば、多少なりともダメージを与えられる可能性もある。しかし、現状生きている仲間ごと攻撃しては今後の士気に直結する。戦果は欲しいが、残るうちはマダラ討伐に向けては、仲間を見殺しにするのは出来ない選択であった。
少なくとも部隊長クラスの判断では。
「ダルイ隊長!何を迷っているんですか、今すぐ総攻撃をしましょう」
「ダメだ。あそこには、まだ仲間が生きている」
戦果が欲しい忍者は多かった。
この暗闇の中、誰が生きているかなんて分からない。それに、敵国の忍者ならばどうせ死んでも問題にはならない。
「どのみち、下手に生きて他人の足を引っ張る奴なんて邪魔なだけだ。纏めて殺るぞ!!」
秋道チョウザが超倍化の術を使う。見た目からは想像できないが感知タイプの彼は、挟間一家の場所目がけて巨大なこぶしを振り下ろす。巨体になる事で質量が増加する。そこから繰り出される攻撃は凄まじい威力だ。
だが、巨体化したという事は、的がでかくなると言う事でもある。
「なんで、身につけている物まで大きくなるの?さようなら、どのみち一族のデブの人……シェイカー影分身の術!!」
挟間プルシュカの腕に備え付けられた発射機構から人を成れ果てへと変貌させる飛針が飛ぶ。それを影分身させる事で数十個に変化をさせて近づく敵を一網打尽にする。忍者のように鍛えられた者達は、一本程度刺さったくらいでは死ねない。
忍連合は、仲間を見捨てられない。下手に殺すより何倍も足を引っ張る効果がある。元人間であった仲間を見捨てられるのか、人間の姿をしていないとはいえ綱手という最高峰の医療忍者がいるのだから治療の可能性も僅かにはある。
だが、挟間ボンドルドでも治すことを前提に作った兵器ではない。最低限でも作るのに掛かったのと同じレベルの時間……年単位の時間が必要になる。それまで、成れ果てとなった人間の面倒を見れる者などいない。
「素晴らしい忍術の使い方です。何事も工夫が大事。五影達も駆けつけてきそうなので一旦引き上げます。カツユ、準備の方はできていますね」
『勿論です。白ゼツさん、申し訳ありませんが死んで下さい』
火の国と水の国の中間地点。夜の海で大量の負傷者を抱えた今の状態。そこに、新たな被害が加わる。忍連合に紛れ込んでいた白ゼツが医療忍者を巻き込んで自爆。更には、船に隠れていた白ゼツ達が一斉に爆発し、大量の物資と共に幾つもの船を沈没させる。
ズドドドッドーーン
と、夜の闇に響く音と衝撃。燃えながら沈む船を忍連合の者達は、見守ることしかできない。その隙に、撤退の準備を始める挟間一家を拒むかのように最速で駆けつける男がいた。
「パパ!!雷影のおじさんが来たよ」
「流石に速いですね。どうやら、口寄せはさせてくれないようです」
全身から雷が迸る雷影。その顔から誰から見ても怒り心頭なのが窺える。煮え湯を飲まされ続けていたこの状況で、暁が自ら来たのだから何があろうと最速で駆けつけてきた。もはや、戻ったところで医療忍者も物資も戻らない……ならば、敵を一人でも殺す事が大事だとよく分かっていた。
「貴様等ーーーー、生きては帰さんぞぉぉぉ」
『トビさん到着まで30秒との事です』
物資強奪に励んでいるトビが、雷影の登場で緊急出動する事になる。トビの時空間忍術の厄介さは、忍連合側も理解している。トビがきたら確実に逃亡される。だからこそ、最悪相打ちすら覚悟にいれている雷影。
「雷影様相手に30秒は長すぎますね。分かっていますね、プルシュカ」
「勿論よ、パパ。フカサクさん、シマさん、あれをお願いね~」
挟間ボンドルドの仙人モードは3分が限界だ。既に2分が経過しており、仙人モードなしでは挟間ボンドルドでは雷影に勝つことはできない。
よって、雷影相手にやる事は一つだった。
挟間ボンドルドと挟間プルシュカ、変化の術を自らに掛ける。集結している忍連合に飛び込み、分身の術で何人も見かけ倒しの影武者を作り上げた。集団に紛れても顔を変え続け、分身の術で誰が誰だか分からない状況を作り上げる。
初歩的な忍術である分身の術。だが、その最弱の術ですら使い方次第で影相手に十分な時間を稼ぐ事が可能となる。
「正々堂々と闘えぇぇぇぇーーー暁ーーーー」
怒り狂う雷影。だが、それでも彼はまだ冷静であった。巻き添え覚悟でやれば、挟間一家に手が届いたかも知れない。だが、忍連合総大将がそれをやってはお終いだ。
ゲロゲロロロロ
集結した忍連合のどこからか響く蛙の鳴き声。聴覚を利用した二大蝦蟇仙人が誇る最強クラスの幻術――魔幻・蝦蟇臨唱。数百人を相手にも作用する。そして、幻術に掛かった者達が続々と海へと沈んでいった。足へのチャクラを維持出来なくなり、溺死コース。
トビのご到着により挟間一家がいつでも逃亡出来る準備が整う。そこに遅れて火影も登場する。
「待てボンドルド!少し話がある」
「土影様の塵遁をこっそり構えている状態での会話は難しいですね。また、近いうちにお会いしましょう」
仙人モードの感知範囲は、伊達じゃ無い。そんな卑劣な闇討ちなどは、見通されていた。
………
……
…
忍連合が居た場所から離れた陸地で、挟間ボンドルドが逆口寄せで部下を呼び寄せた。
桜色の髪を持つビックダディ・サスケの子を妊娠している元木ノ葉隠れの里の忍者……春野サクラ。
「ありがとうございます、ボンドルドさん。きっと、この襲撃だろうと思っていましたので現地に遺体も残してきました。で、私は何を手伝えばいいんですか?」
「お気持ちだけで十分です。妊娠されている方を戦争に巻き込むような事はいたしません。音隠れの里までお送り致しますので、ご家族とお過ごし下さい。ご両親に早く顔をお見せしてあげて安心させる事が、私からの最初で最後の部下への命令です」
ホワイトカンパニーに生まれ変わった暁は、入社して直ぐに産休に入っても怒らない。木ノ葉隠れの里だと妊娠中であろうが駆り出される事は間違いない。特に、春野サクラほど優れた医療忍者ならば、そうなる。下手に産休の気配を漂わせたら、事故に見せかけて腹パンで大惨事が起こる可能性もある。
「私では役に立てませんか?」
「その通りです。今日限りでクビです。木ノ葉隠れの口座は、火影様が直ぐにでも差し押さえするでしょうから、退職金は現金支給です」
挟間ボンドルドが春野サクラの能力に応じた退職金を巻物に封じて渡す。これで、旦那の収入が無かったとしても親子二人で10年は暮らせる金額。春野サクラは、その気遣いに感謝するが、挟間ボンドルドとしても善意だけでこんな行為をしているわけではない。春野サクラの強い『祝福』が連合側にあっては不都合なので、遠ざけたいという目的もしっかりとあった。
そんな兄弟子の思惑など知らず、ただただ感謝する春野サクラ。これも挟間ボンドルドが集めた『祝福』の影響だ。
◇◇◇
薬師カブトは有能であった。大蛇丸の片腕とまで言われている彼の存在が、挟間ボンドルドの登場で薄れてしまっている。その事を彼も十分理解しており、挽回のチャンスを狙っていた。
そして、薬師カブトは挟間ボンドルドに追いついた。挟間ボンドルドにしか作れなかったバ体を新規に作る事に成功する。その成果を大蛇丸にも褒められて、今その肉体に新しい命が吹き込まれた。
「やっとか、長門のガキを上手く成長させたようだな」
「まさか、貴方を穢土バ生の術で蘇らせる事になるとは。貴方のバ体は特別製です。生前に似せて作っておきました」
大蛇丸により新しい生を与えられた者は、絶妙に聞き覚えのあるようなないような術に混乱していた。そして、自らの状態を良く確認する。
「お前、俺の生前の姿を知っているというのか。それに、穢土バ生の術だと?輪廻転生の術ではないのか」
黒い髪、片眼を隠し、漆黒のドレスを着たバ体。生前の姿とも色々な点で似ており、他のバ生達とは異なり、そこはかとなく前世と似ている特別製だ。
「おぉ?久しいの、
「妙に馴れ馴れしいこの感じ、貴様……まさか!?」
永遠のライバル。二度目の生において、こんなにも早く再会が出来るとは予想していなかった彼女。
「
「ハ、ハシラマーーーー」
マダライスシャワーが飛びかかり、キャットファイトが始まる。なんとも平和的で微笑ましい光景であり、その光景を卑劣なステップ使いは録画し、後で飯のタネにしようと考えていた。
そろそろ、忍連合を立て直せる程の強力な『祝福』持ちが合流するかもしれない。
PS:
※さんもログインをさせてみました。
トビさんは、きっとこれも見越して計画を立ててますよね!?
信じていますからね。