挟間プルシュカの猛進も生き残りの上忍達の死に物狂いの抵抗で、第一部隊と第二部隊の壊滅、第三部隊の半壊で留まった。暁側の被害としては、湿骨林の原生生物1割と白ゼツが2000人ほどだ。
もはや、戦争という観点で言えば、敗北に等しい被害が出てしまっている。その被害を食い止めて、忍連合を勝利へ導く為に4影達は挟間プルシュカの前に立ちふさがる。年端もいかない子供相手に、大国トップの影が4人も集まる。状況だけ聞いたなら、余程影達が無能か、忍連合の忍者達の質を疑うレベルだ。
完成形仙人モードを維持し続けられる挟間プルシュカ。影達を前にしても、動揺はしない。確実に勝つためのプランを練る。両肩にいるフカサクとシマ、頭上のカツユも付いており挟間プルシュカの戦闘経験を補うには十分なアドバイザーもいる。
「ふーーん、子供相手に大国の影達が総力を挙げてくるんだ~」
「認めたくないけど、貴方は私達より強いわ。だから、四対一でも卑怯だとは思わないでね」
「同感だ。お前は、敵で無ければ忍界に名を残す忍者になっただろう」
水影と風影が挟間プルシュカの実力を素直に褒める。水影自身は、直接挟間プルシュカの実力を見たわけではないが、目の前にして肌で感じるプレッシャーがあった。気を抜けば一瞬で死ぬ…そう感じさせるほどの実力差がある。
「闘う前に一つだけ言っておく。降伏しても、捕虜扱いはしない。貴様は、儂の部下達を殺しすぎた」
「落ち着け、雷影。プルシュカ……今からでも遅くは無い。戦いを止めて、コチラ側に戻ってこい。マダラに無理やり従わされていたという事で何とかしてやる」
火影は、なんとか武装解除をさせようと試みる。当然、無条件降伏したところで助けるつもりなど更々無かった。封印術で雁字搦めにしてしまえば、挟間ボンドルドとカツユに対する切り札となる。それこそ、第四次忍界大戦における最大の功績となり、木ノ葉隠れの里の火影として色々と暁に便宜を図っていた事を帳消しにする事も容易いという浅ましい考えであった。
「出来ない事を口にしない方が良いと思うわよ。せめて苦しまずに殺してあげるわ。魔剣アンサラー」
完成形仙人モードの挟間プルシュカは、敵の悪意を感じ取る事もできる。当然、綱手の思惑など、分かりきっていた。だからこそ、交渉の余地などない。影達を甘く見ていない挟間プルシュカは、初手から全力で殺しに掛かる。
「舐めるなよプルシュカ。子供は大人しく言う事を聞いていればいい」
綱手は、挟間プルシュカの術の特性を理解していた。道中にあった死体から術の特性についておおよそ見当が付いており、それに真っ向から対抗できるのも自分だけだと分かっている。
全てを透過する術と全てを切断する術は併用不可能だと、綱手は気が付いておりピンチをチャンスに変える。他の影達が射程外へ緊急回避する最中、一人だけ真っ向から立ち向かう。
百豪の術による創造再生を使う事で強引に魔剣アンサラーを突破した。鋭利すぎる切断面である為、創造再生による即時回復で凌ぐ力業。綱手でなければ不可能な対応策だ。
「う、嘘でしょ!」
『プルシュカちゃん!』
想定外の対応策に、挟間プルシュカが驚く。ガマ仙人達も対応が間に合わず、カツユが娘の名を叫ぶ。綱手の拳が無防備状態で当たれば、即死する。経験不足がここにきて致命的な隙をうんだ。
術が直撃して確実に殺したという思い込みからの慢心。
「慢心のし過ぎだ!私の名誉のため死ねぇぇぇぇ」
綱手の全力の拳。影達の誰もがよくやったと内心で火影を褒める。完璧なタイミングでの攻撃。避ける事は間に合わない。綱手の怪力を知るからこそ言える……あの破壊力を防げる術など、ほぼ無いと。
その綱手の拳は、挟間プルシュカを前にして壁に阻まれる。その壁は、人間の肋骨のような形状をしており、チャクラの集合体。影達は、そのチャクラ集合体には身に覚えがあった。
周辺諸国で英雄にまで上り詰め、5大国では地上最強最悪の犯罪者として名高いうちはサスケが五影会談襲撃でみせた――須佐能乎。
「凄いわね。まさか、これを使わされる事になるとは思ってなかったわ。正直、あまり使いたくなかったのよね~。ママに負担が掛かるから」
『問題無いわ、プルシュカちゃん。本体からチャクラなんて幾らでもひっぱってくるからね。それはそうと……小娘じゃなかったわ、綱手……さ……ま。さっき、私の娘に死ねとか言ってましたよね。当然、覚悟出来てますよね?』
カツユは、娘を殺そうとした者にも様をつけなければならないのか。非常に悩ましいとおもいつつ、歯があれば奥歯が砕け散るほど噛みしめただろう。年頃の娘に悪影響がない様にできる限り綺麗な言葉で話しかけている。
「馬鹿な、須佐能乎はうちは一族しか使えないのではないのか。なぜ、写輪眼でもないプルシュカが使える?」
「そんな事は自分で考えたら?風影の人、私の絶対防御と貴方の絶対防御……どっちが強いか比べましょう。ちなみに、私は須佐能乎の中から、魔剣アンサラーもつかうし、仙法・螺旋火遁手裏剣もつかうし、魔幻・蝦蟇輪唱もつかうし、上昇負荷も使うわ」
影達は四対一を卑怯ではないと言った。
ならば、絶対防御の内側から即死忍術を使っても特に卑怯でもない。これは、殺し合いにおける正しいやり方である。
「須佐能乎がどうした!儂は、あの小僧の須佐能乎をぶち壊した。あの術は、圧倒的な火力で突破できる事は証明されとる。儂が先陣を切るからお前達も続け。数の有利で押すぞ」
雷影の言葉は、正攻法過ぎる。須佐能乎を破る手段は、純粋な火力押しだ。火影クラスが複数人もいるのだから十分可能。だが、それも一点に火力が集中出来る場合に限られる。
「四対一って卑怯じゃないんだよね。だから、聞きたいんだけど~須佐能乎を使う影分身と使わない影分身……どっちと闘いたい?多重影分身の術!!」
挟間プルシュカが多重影分身の術で本体込みで20人に分かれる。当然、チャクラが均等に持って行かれる事になるが、減った分のチャクラはカツユから補充され、影分身達も本体同様に最大値までチャクラが回復するというおぞましい状況。
どこぞの卑劣様は、言っていた……禁術は多用すべきでないと。本当に卑劣様が開発した術は碌な事にならない。それは、歴史が証明している。
「いや、それは卑怯だと思うわ」
「俺もそれには同感だ」
「いい加減にしろ火影!お前等の里が開発した忍術だろう」
「なんでもかんでも私のせいにするな!悪いのは全部二代目だろう」
水影、風影、雷影、火影が各々意見を言う。確かに、火影という役職に就いた連中が原因で色々と事態が悪化しているのは事実である。第四次忍界大戦が終了した際には、火影という役職をこの世から抹消してやろうと本気で影達は思った。代々火影達が碌な事をしないのは、歴史が語っている。
永遠の万華鏡写輪眼を片眼しか保有していない挟間プルシュカの須佐能乎。うちはマダラが使う完成体須佐能乎には及ばなくともその半分程度の力は有している。それが20人も居れば、忍界最高峰の影を倒すのに過剰戦力となりえる。
死ぬまでに何人の影分身を倒せるかのゲームが始まった。だが、チャクラをカツユから無尽蔵に補給可能となっている挟間プルシュカ。彼女が何時でも影分身で残機を増やせる事を影達はまだ気が付いていない。
………
……
…
影達が奮闘する。だが、一対一ならまだしも四対一のこの状況では、限界だった。理不尽なまでの即死級忍術の連続を相殺するだけでもチャクラがごっそり減る。綱手による回復を期待したいところだが、綱手自身も影達を盾にして後ろからチマチマ回復する事しかできない。
医療忍術としては最高峰の使い手だが、この場においてはどの影よりも劣る。勿論、回復役は極めて重要だが……全てが即死忍術である為、回復は必要としない。
そこで、戦いの天才である風影がある事に閃く。
「そうか!火影ガードを使えば、大体の忍術は防げるではないか。創造再生もあるから簡単には死なないだろうからな」
「よせ、バカ!本当に死ぬだろう」
肉壁とされる方としては冗談でもない提案だ。確かに、創造再生により死ににくい。医療忍術も相まって、魔剣アンサラーですら耐えられる程だ。
「風影、儂が許可する。構わんやれ!魔剣アンサラーとやらは、観察さえ怠らなければギリギリ回避できる。あの無駄に追尾してくる仙法・螺旋火遁手裏剣にたたき付けてやれ」
「すみません、火影様。気休め程度ですが、私の溶遁でコーティングしておきます」
水影のコーティングと風影の砂で拘束されて、肉壁扱いとなった火影。相手の忍術潰しには、完璧な方法だ。これぞ、忍界最高峰の影達が集まったコンビネーションプレイである。
大事な事だが、その様子は白ゼツにより録画され大国全てに放送されている。この影達の素晴らしい連携プレイや忍連合の悲惨な裏切りなども全てだ。その放送内で、年端もいかない子供に影達がズタボロにされ戦闘不能に追い込まれる姿は、大国で国家防衛の為残された忍者達の心をへし折るのには十分だ。
原作マダラと同じ事をさせてみようかなと^-^
そろそろ、主人公?のボ卿のご様子に移ろうかと思います。