卑の意志を継ぐ者   作:新グロモント

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最終話:挟間ボンドルド

 うちはオビトだけが、挟間一家を……特に挟間プルシュカを確認して、驚いている。うちは一族の中でも万華鏡写輪眼を開眼した者にしか使えない須佐能乎を扱っている。他にも、祈手が輪廻眼を持っているなど、知らない情報が盛りだくさん過ぎて、事が終わり次第問い詰める次第だった。

 

 場合によっては、自らの命を犠牲にせずに、本物のうちはマダラを外道輪廻転生する事が出来る可能性があったからだ。尤も、今となっては不可能な事なのを彼はまだ知らない。

 

 完全に囲まれて逃げ場が無いうずまきナルトに対して、挟間ボンドルドが歩み寄る。

 

「うずまきナルト君、今度こそ本当の実力が試されるときです。普通の忍者がどれほどチャクラを工面して闘っているか、身をもって実感してください。火遁、水遁、風遁、土遁、雷遁などどれでも結構です。貴方が長年鍛え上げてきた実力を思い残すこと無いように発揮してください」

 

「つかえねーーってばよ。俺は、影分身と螺旋丸。後は口寄せの術と仙人モードや九尾チャクラモードしか……」

 

 うずまきナルトから伝えられた衝撃の真実に、挟間ボンドルドも思わず耳を疑った。まさか、今まで下忍でも使えるような簡単な忍術すら使えずに、火影になるなどと言っていたのかと。

 

 世の中、基礎があって応用があるのに対して、うずまきナルトは全ての工程をすっ飛ばしている。今までうずまきナルトの成長の糧とされた者達が、この事実を知ったら嘆くことは間違いない。

 

 確かに、木ノ葉隠れの里には体術のみで上忍になったキワモノもいる。しかし、四代目火影の息子で、九尾を宿していて、火影を目指す忍者がこれでは笑えない。

 

「うずまきナルト君、九尾のせいで幼少期は辛い人生だったでしょうが……貴方は、人生を舐めすぎです。世の中には、貴方より辛く苦労した人達は五万と居ます。今の貴方のチャクラ量では、影分身は自殺行為。口寄せの術でも蝦蟇たちは呼べません。螺旋丸では、私の暁に至る天蓋を凹ませられれば良い程度でしょう。忍連合はほぼ全滅しております。助けは、死んでも貴方を助けたいと思う奇特な人以外は来ないでしょう」

 

 既に、うずまきナルトが持つ『祝福』は激減している。助けを呼んだとしても、誰がそれに応えるだろうか。九尾を失っているうずまきナルトの市場価値は、そこら辺にいる上忍程度しかない。

 

「そんな事、やってみなけりゃわからねーーーってばよ!螺旋丸」

 

 うずまきナルトの必死の抵抗。うちはオビトも挟間プルシュカも誰も行動を止めようとはしない。螺旋丸のターゲットになっているのが挟間ボンドルドであり、結果は火を見るより明らかだったからだ。

 

 螺旋丸は、今まで数多くの敵を葬ってきたうずまきナルトの必殺技。当たれば内臓破壊されてしまう殺人忍術ではあるが、術の規模が目視できており、お粗末な体術しか使えない者が使う忍術など子供の遊び程度にしか成らない。

 

 今までの戦いにおいては、なぜか敵が螺旋丸に吸い込まれるように当たりに行く事が殆どだ。しかも、態々クリティカルヒットになるような所に直撃する。そのような幸運は発揮されない。

 

 挟間ボンドルドに当たる事もなく、うずまきナルトの手を挟間ボンドルドが押さえ込んだ。これで印も結べない。更には、チャクラ吸収能力を有する外装により、うずまきナルトはジワジワと少ないチャクラを失っていった。

 

「うずまきナルト君、以前に教えたでしょう。必殺技とは、必ず殺す技と書くんですよ。つまり、こう言う技の事を言うんです」

 

「ナルト君を離してください!」

 

 うずまきナルトにトドメを刺そうとした瞬間、天の助けがやってきた。この戦場における準主役級の『祝福』を持つ女性……日向ヒナタ。愛する男性の為に自ら死地へ飛び込む勇敢さは、称賛に値するレベル。

 

 彼女自身も分かっている。自分一人がこの場に来たところで戦況が変わるなど思っていない。自己満足でしかない。

 

「ヒナタ、くるんじゃねーーー」

 

「見捨てられないよ。だって、私はナルト君の事が大好きだもん」

 

 ここまで愛されているうずまきナルト。だが、彼には既に思い人がいるとかいないとか色々な噂がある。ここまで思われているのに、まだ会った事も無い女性に心を惹かれているとか酷い話があるだろうか。

 

「素晴らしい。これが愛、愛ですよ。うずまきナルト君もいい加減、親離れすべきです。そして、彼女の思いを正面から受け止めるのが男というものではありませんか。貴方の父上であるミナトさんもそう望んでいるはずです」

 

「えっ!? 乳上、ちちうえ、父上!! 嘘だろう。じゃあ、おれは今までずっと……。こ、殺してくれってばよ。もう、世界なんてどうでもいいってばよ」

 

 何やら一人で全てを察したうずまきナルト。己の勘違い故に発生した特徴的な耳の彼女との関係に。今まで心の支えであったはずの思いが、根底から覆されて瓦解していく。希望が絶望に早変わりし、もはや彼は心から挫折してしまった。

 

 あまりの急変に助けに来た日向ヒナタの方が混乱し始めた。

 

「ナルト君!?一体どうしたの。私で良ければ相談に…え、何ですかボンドルドさん」

 

 日向ヒナタにとって、挟間ボンドルドは命の恩人であった。ペイン襲撃の際に、命を助けられた。後遺症で白眼の瞳力が低下してしまうだけで済んだのだから。そんな恩人がうずまきナルトから手を離して呼んでいる。罠かも知れないが、誘いに乗った。

 

 挟間ボンドルドは、日向ヒナタに優しい声でささやきかけた。

 

「うずまきナルト君と一緒に、離れた場所で健やかに暮らせるプランがあります。彼には、この戦争の責任を取って、一度死んで貰います。その後に、姿形を変えて新しいバ生を歩んで貰います。ご安心ください、彼の遺伝子は私が保管しております。子供の心配は不要です」

 

「日向は、暁にて最強です!!」

 

 柔拳使いは、手のひら返しの早さはお手の物だった。現状を正しく理解して、何を優先すべきかハッキリと日向ヒナタは理解している。今できる最善の手立てはこれしか無い。万が一にも、忍連合側には勝利はないのだから、この行動は当然の帰結。

 

「では、うずまきナルト君。最後に選ばせてあげます。知らない仲ではありません、苦しまずに死ぬ選択肢を用意してあげます。自らチャクラを使い切って死ぬか、自決用の毒を飲んで死ぬか」

 

「俺は……」

 

 うずまきナルトが新しい人生を歩むには、一度人生を終える必要がある。その選択肢は、彼自身が選ぶ必要があった。その様子を、今か今かと見つめる日向ヒナタは若干病んでいた。

 

 うずまきナルトは、釣った魚に餌を与えない悪い男であったので、仕方が無い事だ。

 

………

……

 

 全ての人柱力が死に、尾獣を収めた外道魔像。その力を使い、うちはオビトは十尾の人柱力へと昇華した。時間を掛けて、力を馴染ませて徐々に人柱力になる事で人格形成にも影響をきたさず、完璧な状態。

 

 この場に集うは、うちはオビト、黒ゼツ、挟間ボンドルド、挟間プルシュカの四人。黒ゼツは、挟間一家を警戒している。第四次忍界大戦で見せた、輪廻眼や須佐能乎など爆弾が盛りだくさんだったからだ。

 

「これより、外道輪廻転生の術でうちはマダラを蘇らせる。それからは、マダラが無限月読で世界平和を成し遂げるだろう。奴は、話せば分かる奴だ。だから、俺達の計画に協力してくれた者達への配慮を忘れないようにしっかりと頼むぞ。特に黒ゼツは奴と面識があるだろうから分かっているな」

 

「あぁ、分かっているよ。無限月読での夢希望シートだろう。功労者に報いるのは当然だからね」

 

 挟間ボンドルドは、うちはオビトと黒ゼツのやり取りを見守る。だが、既に復活して音隠れの里で第二の人生をエンジョイしている彼女が外道輪廻転生で蘇るのだろうかと疑問に思っていた。そんなチャレンジをするために、命を賭けるとは悲しい事だ。

 

「オビトさん、来世でお会いしましょう。その時は、最高のおもてなしをさせて頂きます」

 

「バイバイ!次は、私がバ車馬の如く、顎で使うんだから」

 

「ボンドルド、プルシュカ。二人には感謝を。………外道・輪廻転生!!」

 

 輪廻眼を使った死者蘇生の忍術…外道・輪廻転生。

 

 命を対価にした忍術。術が完璧に発動し、いつうちはマダラが復活するのかとワクワクして待つ挟間一家と黒ゼツ。だが、うちはオビトが死んでから三分経っても何も起こらない。

 

「待て待て、まだ慌てるような時間じゃ無い」

 

「いいえ、黒ゼツさんの方が落ち着いた方が宜しいかと。後、三分くらい待ちますか?」

 

 神妙な顔で時を待つ黒ゼツ。だが、待てども何も起こらない。この日のため、数百年の月日を掛けてきた黒ゼツの壮大な計画が、計画倒れとなってしまう。これも全て、うずまきナルトという存在と挟間ボンドルドという存在が原因であったのは言うまでも無いだろう。

 

 だが、黒ゼツはその事実を知ることは無かった。

 

 絶望のどん底にいる黒ゼツに挟間ボンドルドが声を掛ける。

 

「黒ゼツさん、お気持ちが沈んでいるところ申し訳ありませんが、我々側に付いてくれた者達へ報酬が渡せないとなると次の職場へ斡旋等の手続きが必要になります。どうぞ、指揮をしてください。うちはオビトさんが不在の今、暁のトップは貴方なのですから」

 

「好きにしろ!暁は、今を以て解散だ。俺はこれから計画を再度練り直す必要がある。一体何年掛けてここまで来たと思っている」

 

 全てを投げ出した黒ゼツ。そして、挟間一家が雇われから解放された瞬間だ。つまり、今、この時より、フリーの忍者へと戻った。信頼第一の忍者である為、雇われ中はしっかりと仕事をする。しかし、報酬を渡さない雇い主にはそれ相応の報いがあるべきである。

 

『自暴自棄になっていますね。まぁ、暁が解散というなら我々は雇われの身から解放されたという事ですね』

 

「その通りですよ、カツユ。では、我々側に付いてくれた忍者の方々には音隠れの里に紹介状と退職金を包みましょう。それと、プルシュカ……掃除は頼みましたよ」

 

「はーい、パパ。黒ゼツさん、約束を破るのは良くないと思うよ」

 

 忍界における眼とは、入れ替え簡単なコンタクト的な存在だ。特に、医療忍術を極めた存在が居れば尚更のこと。今現在、挟間プルシュカの眼には、うちはイタチが残した万華鏡写輪眼が装着されている。そして、その眼から出現する須佐能乎には十拳剣が標準装備。

 

 黒ゼツが優れた能力を有していても本体を確実に十拳剣が貫けば、幻術世界に永遠に封印することは容易い。

 

「う、裏切ったな!」

 

「酷い言いがかりですよ黒ゼツさん。私達への報酬を支払わないまま暁を解散させたのは貴方ですよ。本当に残念です」

 

 黒ゼツの封印が完了する。

 

 これにより、第四次忍界大戦が終戦した。

 

 忍連合は、文字通り全滅。第四次忍界大戦の裏側で行われていた5大国と周辺諸国の第五次忍界大戦は、当然周辺諸国側が大勝利して、大国の国土を半分以上奪い取った。その結果、5大国で生き残った忍者の総数は大戦前の1割以下にまで落ち込み、国家存亡の危機となっている。

 

 暁側は、うちはオビトが外道輪廻転生で自爆。黒ゼツは、封印される。挟間一家や暁側に寝返った忍者達は無報酬。幸いな事に、暁側がため込んだ資産から寝返った忍者へは退職金と音隠れの里への紹介状がある程度。

 

 つまり、此度の戦争は周辺諸国側が漁夫の利を全て勝ち取った形で終わった。

 

『さて、私達も家に帰りましょう。長いプルシュカちゃんの職場体験も終わりましたし』

 

「そうですね。帰りには、音隠れの里に寄って大蛇丸様に事の経緯もお伝えすると同時に、約束も果たさないといけませんからね」

 

「パパ~、ママ~。プルシュカ、頑張ったから今日の晩ご飯はオムライスがいいな~」

 

 愛する妻と愛する娘を守り、全てを成し遂げた挟間ボンドルド。

 

 愛の力で戦争を根絶した男の物語が完結した。

 

 

◇◇◇

 

 全ての戦争が根絶された数年後。音隠れの里で、開催される平和記念のレース。

 

 そのレースの応援に家族と参加する日向ヒナタと日向ボルト、日向ヒマワリの姿があった。日向一家は、母親が二人いるという謎めいた家庭である。だが、昨今音隠れの里で似たような家庭で猿飛一家もある。珍しい事には変わりないが、探せばいるという感じだ。

 

「ほら、ボルトもヒマワリもしっかり応援するのよ」

 

「分かってるってば。ナルト(・・・)トップロード母ちゃんが勝てば、今日はごちそうだもんな」

 

「兄ちゃん。勝つのは、サトノダルイ(・・・)モンドさんだよ。私、ファンなんだから」

 

 日向ヒナタの息子である日向ボルト。彼の名前は、恩人である挟間ボンドルドから名を頂いている。名付けたのは日向ヒナタ本人であり、そういった配慮ができる素晴らしい女性に成長を遂げていた。

 

 そして、参加バ体達の次々紹介されていく。

 

『1枠:ハシラ(・・・)マックイーン

2枠:マダラ(・・・)イスシャワー

3枠:トビラマ(・・・・)テイオー

4枠:ヒルゼン(・・・・)スキー

5枠:ミナト(・・・)ブルボン

6枠:ナルト(・・・)トップロード

7枠:メジロアルダンゾウ(・・・・)

8枠:メジロジライヤ(・・・・)

9枠:サクモ(・・・)クロス

10枠:オビト(・・・)ップガン

11枠:ナガト(・・・)ブライアン

12枠:コナン(・・・)ターボ

13枠:イタチ(・・・)ワン

14枠:キサメ(・・・)イショウドトウ

15枠:サトノダルイ(・・・)モンド

………

……

…』

 

 忍界に詳しい者ならば、どこかで聞いた事があるような名前ばかりだった。そして、始まる。平和記念レース……ボンドルド杯が。

 




は、走りきった!
超大作ナルトの二次を何とか完結させられました。

長い間、読者の皆様ありがとうございました!
途中、色々と時事ネタが混ざってしまいバ体など出てきましたが…最終的にはこれで良かったと思っております。

本当に、ここまで執筆してこれたのも読者の皆様も感想や誤字脱字指摘などあってこそです。

ありがとうございます。


次回作等は、何も考えておりませんが思いつきましたら活動報告に載せたいと思っております。
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