「修羅剣『現世妄執』!!」
「符の一『夢想妙珠連』!!」
「星符『ドラゴンメテオ』!!」
斬撃や光弾、レーザーがガシャドクロを襲う。尺骨と橈骨、腓骨と脛骨、そして肋骨が焼かれ、斬られ、砕かれた・・・が、すぐに黒いモヤのようなもので修復される。
「チクショウ!なんだよこれ!」
「あの骨の中の怨念が体を再編成してるの!妖夢の刀でも全部成仏させるのは多分不可能よ!」
「『白楼剣』は斬れば迷いを断つけどあいつら全然迷ってないっぽいみょん!暴れることが全てというか、あの骸骨になるためだけに生まれてきた魂というか・・・」
「どうでもいいのぜ!とりあえず爆発四散させるのぜ!」
「・・・あぁ。」
義縁はガシャドクロの足元を走る。
「・・・『ウロギリ』・・・!」
『戯厭』を振り抜き足を斬る。
だが、さっき地を割らほどの斬れ味は出ない。せいぜい腓骨に傷をつけた程度だ。
「クソ・・・どうやったんだ・・・僕は・・・『昔の僕』は!!」
オ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ン゙!!!
ガシャドクロが吠えた。霊夢たちは風圧で吹き飛び、白玉楼の壁にヒビが入った。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!白玉楼がぁぁぁ!!」
「あぁもう!!ウザい!吹き飛ばしてやらぁ!」
魔理沙がミニ八卦炉を構え直す。
「ちょっとま・・・」
「恋符『マスタースパァァァァァク』!!」
義縁がいることを忘れてレーザーをぶっ放す。
ガシャドクロの肩から腰へ貫くように吹き飛ばす。
「ちょっと!あっぶ!」
「あ、すまんすまん。」
「もう・・・まぁいいですけど・・・」
躓きかけながら奔る義縁はバックルを腰に嵌め、魔理沙のカードを挿入する。
TOUHO RIDE! マリサ!!
八卦モチーフのエンブレムに突っ込み、黒髪の少年は金髪の少女に変身する。『戯厭』が変化した箒にスケボーのように乗る。
「これ男の僕が女の霧雨魔理沙さんになるのってどうなんですか。」
「気にしてないのぜ。てかそのバックルどんな原理で男を女にしてるのぜ?」
「わからないよ!というか霧雨魔理沙さん聞こえるの!?」
「魔理沙が二人!?増えたみょん!?」
そんなこと言っている間にもガシャドクロの傷は癒える。
「あの復活能力頭おかしいでしょ!あれじゃ倒せないでしょ!」
「問題は中身の魂の多さ・・・。博麗霊夢さんや魂魄妖夢さんにも対処しきれない多さ・・・」
SPELL RIDE! 魔空『アステロイドベルト』!
魔理沙の姿で『戯厭』が変化した箒に乗り、光弾をばら撒きながら考える義縁。
「ともかく・・・攻撃しまくるしかないみょん!人符『現世斬』!!」
「そうだね。少しづつでも数を減らさないとね。宝符『躍る陰陽玉』!」
「まぁそうだな!光符『アースライトレイ』!」
三者三様に技を放つ少女達。
「・・・」
義縁は何か思いついたのか、ホルダーから一枚カードを引く。絵柄は人型の影が分裂しているような感じである。義縁がある時、興味本位でホルダーからカードを取り除こうとした時に見つけたカードの1つだ。(本来の目的は28574枚目あたりで数えるのをやめ、それからしばらくしてカードを引き抜くのもやめてしまった。)
「試してないけど危急だ。大丈夫。死にはしないはず!」
そう言ってそのカードをバックルに装填する。
STRANGE RIDE!
その時手足による攻撃をしていたガシャドクロが口を開き、紫の人魂を多数吐き出した。
人魂は3人を襲う。一体一体は弱くとも、それが何十ともなると厄介になる。
「く・・・邪魔!」
「なんだこいつら!?しっしっ!あっち行け!」
「人魂!?斬っても斬っても湧いてくるみょん!」
ガシャドクロは人魂に気を取られている3人のうち、妖夢に狙いをつけたようだ。引いた右腕を横振りに振る。
「危ない!!」
義縁はバックルを戻す。
DIVISION!
「みょん!?うわぁぁぁ!!」
妖夢が気づいた時にはもうすぐそこまで迫っていて・・・と、横から誰かに引っ張られ、ガシャドクロの腕は空ぶった。
「あ・・・ありがとうみょ・・・みょん?」
妖夢は引っ張った人間・・・魔理沙(義縁)に疑問を持った。
確かに後ろにいるのは魔理沙(義縁)だが、本物の魔理沙を除いても魔理沙がもう一人ガシャドクロの足元を走っている。
「なるほど・・・分裂の効果・・・これなら・・・」
「何ぶつぶつ言ってるみょん?」
その時、ホルダーからカードが何枚か吐き出された。まるで、前の魔理沙の時と同じように・・・
義縁はそのカードを見る。白髪に黒いリボンをつけた少女。妖夢のカードだ。
「・・・タイミングがいい。力押しだけどなんとかなりそう。協力してください。魂魄妖夢さん?」
「・・・?わかったみょん!」
それを聞きながら、妖夢のカードを装填する。
TOUHO RIDE!
ヨウム!
頭上に光る刀が大小二本、白い人魂と共にクルクルと円形に回っていた。それが下に降りてくる。義縁の周りをまわりながら下りると姿が変わる。目の前の少女と同じ姿になる。
「みょ!?わ・・・私!?」
妖夢が驚いているのを横目に変化は続く。
さっきまで手に持っていた魔理沙の箒(『戯厭』)が2つに分裂。黒塗りの大小二本の刀に変わる。『白楼剣』と『楼観剣』だ。
「私の刀!?なんでぇ!?」
「わかりませんよ・・・でもこいつと分裂を使えればなんとかなりそうだ。案としては安直だけどね。」
義縁はぶつぶつと何か考えていた。
*
ガシャドクロを呼び出した鎧武者は遠くでその様子を見ていた。
「・・・やはり使いこなしているわけではないであるか。まぁ仕方がないのである。」
両側の腰に差した長刀の柄には血のようなもので汚れた包帯のようなものが巻かれ、その余った端がゆらゆらと風に揺れている。
「・・・全く『主』は迂遠なことをする。さっさとあいつに力を与えて『計画』を押し進めれば良いのである。」
「あらぁ?武士のお方?」
後ろから声をかけられた。鎧武者が振り返ると亡霊を連れた水色の服の女性がいた。幽々子だ。
「む?こんにちは。お嬢さん。」
「お嬢さんねぇ・・・それよりも貴方何をやっているの?『アレ』を出したのは貴方?ならやめてちょうだい。白玉楼が壊れてしまうわ。」
と、幽々子はガシャドクロを指して柔らかく言う。
「・・・拙者はただの見物人である。『あの骸骨』のことは知らぬ。すまぬな。」
「いいえぇ。ごめんなさいねぇ。」
鎧武者は去っていった。
「・・・生きた人間がなかなか来れないこの場所に死んではない変な気配の方が見物ねぇ?」
幽々子は扇子を口に当てながら微笑んだ。しかしその目は笑っていなかった。