ガンダムビルドダイバーズ:狙撃屋商売外伝 作:ACGUYMAN
色んなSNSで
ガンプラバトル系のなり茶的な事があまりにも出来ないもんだから
こんな夢想にして無双じみたネタを投下してみました
実際ガンプラも作ってますが
粗品で良ければどうぞ
ω・`)
────────────────────────エリアとしてはそこは過去最近のガンダム作品で例える所の、ガンダムSEEDに登場する地形の北アフリカ地帯だろうか。水の無い砂漠をホバリングで全速力で疾駆の如く逃走しているのは2挺のラケーテンバズを装備したドムトローペンとミサイルコンテナ有するキャタピラ仕様のギガンである。
対して、逃走する2機を追尾するは"ザムザザー"は、低空飛行しながらエネルギービーム砲であるガムザートフの砲撃を2機に放ちエリアの隅まで追い詰めようとしかけてくる。
「来いや、デカブツがッ!」
ホバリングの状態から反転したドムトローペンは2挺のラケーテンバズの照準をザムザザーに合わせ砲撃しようとし、ガムザートフのビーム砲撃がドムトローペンのラケーテンバズの2挺の内の一つを破壊し、更に残ったもう一方のラケーテンバズの砲撃は出来たものの、本来鈍重な機構のモビルアーマーである筈のザムザザーは器用にも超振動クラッシャーで弾き落とす。
極最近バージョンアップした上位ミッションとしては明らかに動きがモビルアーマーとしてはかなり機敏すぎるマニューバであり、2機はここまでかと追い詰められかけていた。
しかしながらそれも漸く2機が戦闘エリアの隅まで追い詰められて来た所だった。
突如、1km先から、サンダーボルトと通称されるガンダムの作品に登場するビッグ・ガンの戦艦規模のビーム砲撃がザムザザーに照準の射線を合わせて撃ち放たれる。予め合図を決めていたのだろう。2機はその場を離れ距離を置き、また砂漠の砂を溶かす様なビーム砲撃が土煙をも巻き上がらせる程の衝撃を放っていた。
砲撃をした1km先にビッグ・ガンを設置し待ち構えていたネイビーカラーのザクⅠ・スナイパータイプは、狙撃仕様として作ったメインカメラを稼動させながら次弾のエネルギーの"装填"を待つ。
今のでかすり傷程度だったとしても、ダメージはそう軽くは無い筈、故に"次の一発で決まる"、と3機の"プレイヤー"は察していた。
が…しかし、
電磁波が唸る音が聞こえてきたかと思えばザムザザーは無傷のまま、エネルギーシールドを表面のみ纏って防ぎきっていた。
『クッソ…"陽電子リフレクター"だと?!』『次弾装填急げ!!こちらで足止めする!』
口惜しい様子のザクⅠ・スナイパータイプのプレイヤー。ギガンは闇雲になったかミサイルコンテナから全弾ミサイルを撃ちながら移動するが、ザムザザーのエネルギーシールドである陽電子リフレクターは当然無効化する様に遮蔽してしまう。
更にザムザザーは何か察したか、ビッグ・ガンの砲撃を仕掛けてきた方向へ浮遊していく。
─これまでか…3機のプレイヤーは誰もがそう思わざる負えなかった、その瞬間だった。
───────『任されましたよ』
とそう通信が来た瞬時に、ザムザザーが陽電子リフレクターの使えない裏面に向けてその直下の地点が、まるで地雷原の如く爆発し、その爆破に紛れ込んだ装甲をも融解する熱量を有する拡散の弾丸がザムザザーを強襲する。
相当クリティカルな深手を負い、敵機が地上に紛れ込んだと混乱したかの様な挙動を見せるザムザザーは、またもや機体の表面に陽電子リフレクターを纏おうとしたが、その寸前に小さな部位である陽電子リフレクターの発生装置に一部をビームの狙撃が直撃し陽電子リフレクターを使用不能にする。
─「"スニークジェガン"、目標を狙い撃ちまっす」
その機体のベースはジェガンエコーズ仕様であり、また超長距離狙撃と索敵能力及びそれらの効率性を重視したステルス性を、
重点的にあまりにも強化する課程で戦略兵器レベルの戦闘能力を獲得した機体であった。
スニークジェガンと自身が呼んだその機体はやや大型のビームスナイパーライフルをコッキングによるボルトアクションさせた後、ビームの火力を大幅に増大化させるパワードコンデンサーである弾筒を排莢し、重点的に強化したセンサーバイザーは20km以上先からザムザザーに狙いを澄ます。先程ザムザザーに深手を負わせた地雷原を起爆させたのもこのセンサーによる制御された信管による物なのだろう。これらの強襲戦は全く以て惨すぎる程この機体の得意分野であった。
ザムザザーは荒れ狂った様にガムザートフを乱射するが、相手の機体からセンサー範囲外で届くはずも無く、ザムザザーに対して火力と戦闘性能に有無言わさないスニークジェガンの高精度な狙撃がザムザザーの4本脚を撃ち抜く。
そして終局として6発目の狙撃によって機体の炉心を破壊された事により、
ザムザザーは破壊され、ミッションは完遂されたのだった。────────────────────────
──────────「これが約束の分け前だ。」
「どうも…」
とコンソール映像からマルチプレイミッションのクリア報酬の総数の5割を確認するのは、旧ナチスドイツのSS風の黒コートと黒ヘルメットにゴーグルをつけたといったアバターの身なりをした、スニークジェガンを駆るプレイヤーことケーゴであった。
コンソール越しに報酬を受け取ったケーゴだったが、報酬を余分に与えるややゴツい体格でジオン公国軍の軍服のアバターの身なりの3人組からやや睨むように見下ろされていた。この3人組こそ先程ドムトローペンとギガンとザクⅠスナイパータイプの3機を操縦していたプレイヤーである。
3人組から見て、ゴーグルと目深に被ったヘルメットといったケーゴの容姿から表情はあまり見えておらず、
というか彼自身表情も反応も薄すぎている原因もあるのだろう、報酬に嬉しいのか不満なのか読み取れない事が3人は気に入らなかった。
「何ですか?」
と、相手の空気をやや読めていなかったぶっきらぼうな発言が、3人の癪に触れる。
このGBNというソーシャルゲームコンテンツにおいて、所謂プレイ報酬次第で一時的にマルチミッションに参加する流れの傭兵の様なソロプレイヤーはケーゴも例に漏れてはいなかった。
それも彼の場合最近名が売れ始めた事もあり、その有能さのみにおいては信頼性のあるプロの仕事に近いソレである。
だがソレを含め雇った責任を考えても、彼の作戦の伴っていた危険性が3人側としては気に入らなかった。
「そんだけ報酬もらってそのツラは如何なんだ?」
「………別に。これ以上ミーティング無いなら帰って良いですか?」
と、今度は凄く鬱陶しそうな素振りでその場を離れていく。
3人の内1人がケーゴの首を掴んでシメるつもりだったが、もう1人がそれを止め首を振り、
「止しとけ、あいつは所詮何処のフォースにも入れない"ワーストランカー"だ」
と告げられてから、やがてケーゴは自身の機体であるスニークジェガンに操縦しその場を去って行ったのだった。
──ガンダムベース戸某。
都内某所に在るそこは、スペース的にはややガンダムベース東京を小さいが機動戦士ガンダムシリーズをテーマにしたコンテンツの施設であり、またガンダムシリーズのプラモデルである"ガンプラ"を用いて世界的に発展し流行している『GBN』と呼ばれる最新ネットワークゲームの施設が存在していた。
そしてそこに、彼もまた居た。
「…はぁ……」
それは漸くその電脳仮想空間<ディメンション>からログアウトする頃、夕刻近くになりかけていた。
やりたい事は出来る限りはやりきっているが、色んな物事にいっぺんに草臥れている。そんな顔つきでヘッドセットバイザーを外して眼鏡をかけ直す。地元の高校の古風な学生服に、没個性的なマッシュヘアーと丸眼鏡。これがログインしたアバターになるとだいぶアーミーな軍服姿というのも、だいぶ様変わりでもまんまでも無いといった風貌である。
趣味で誘われたガンプラバトルは、最初の頃からミリタリーなサバイバルゲーム感覚で楽しめていた。ガンプラ製作としてもプレイングとしてもやり込み具合もモチベーションも並なら無かった筈だった。
ところが彼の場合何故だろう…プレイヤーとしての高みを目指そうとすればする程その強さは戦略兵器化していき、戦術レベルの勝利は遠ざかり次第に卑劣なアウトサイダーなプレイヤーに数えられ、いつしか彼もまたクソゲー過ぎてガンプラバトルとして戦うにはあまりにも相手にしたくない『ワーストランカー』という渾名が烙印されるようになってしまった。
そんな心持ちのまま筺体のルームから出る頃、ガンダムベース戸某の喫茶店スペースのスタッフだろうか、顔立ちどこか狡猾そうな顔つきの大人が彼に話しかける。
「オイ景悟ォ。またシケたツラか?」
──「あ、………カイさん…」
「ま、暑っ苦しいバトルしろとかアドバイスしてェ訳じゃねェんだけどよ、折角趣味で始めたんだから、もっと楽しそうな顔したって良いじゃねぇか?」
「……別に、今まで通りのバトルで僕は充分楽しいですよ。」
とその表情はだいぶ淡白そうな表現しか出来ていない。ガンプラのケースとダイバーギアの入った鞄を大事そうにかかえては居るが、店を避けるように去ろうとする間際であった様子だとカイと呼ばれた店員の男は訊く。
「好きだから始めたんじゃねぇの?ガンプラバトル…」
尋ねかけられた問いを聞く間も無かったか、或いは聞いていながら答える事が出来なかったか。そのどちらかの何も答えられなかった間だけ残してから、彼はガンダムベースを跡にしていく。
─────────『GBN<ガンプラバトルネクサス>オンラインVer.1.78』…
それはマスダイバーの騒乱、更にELダイバーの事件が発端となった第2次有志連合戦より、2年という月日が流れていた。
浅倉景悟、そのドメイン名"K5<ケーゴ>"。彼のガンプラバトルはどうも最近冷めきっている。だが後に彼もまたこのGBNから由来が巡る騒乱に巻き込まれることに、彼自身この頃は知る由も無かった…。