ガンダムビルドダイバーズ:狙撃屋商売外伝 作:ACGUYMAN
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どうしてこうなった?いやガチで、と言いたげな表情をアバターのゴーグル越しで露わにしていたケーゴはそのまま"人違いです"の一言で立ち去りたかった。
が、アバターの身長差と体格さ故だろうか、とにかくその威圧感がそうさせてくれなかった。ガンプラを用いない限りガチの殴り合いはまず無いとは思っていたが、何故だろう絶対暴力沙汰的な範囲でややこしい事になり得る可能性を察せざるおえなかった。
"嫌ァ〜、てか絶対帰りたい"
そんな心境のケーゴである。
戦闘狂のガンプラバトル魔で確かこの手口のプレイヤーは確かに居た様な気はした…、
ケーゴ自身名前は覚えてないが。
「兄ちゃァん!探したよー。次の連戦ミッション…」
と、その時。眼前の三本角の鬼人アバターを呼ぶ弟のプレイヤーだろうか。青い和服と太った体格の一本角の背が低めの鬼人ダイバーがもう1人駆けつける。
"チャンスである"。逃走するならこの機会以外無い。スペクトルジャムバインダーを展開したスニークジェガンの全速力で現場から離れれば…。
と、走り出そうとしたケーゴだったが、三本角の鬼人アバターが何かに気づいたのかケーゴのアバターである軍服の襟元を鷲掴みにし、ややケーゴは気が遠のく。
更に「あァ!兄ちゃん。ソイツだよこの前から話してた"スナイパー"の奴!!!」
と、挙げ句に"例の噂"を聞いていた一本角の鬼人アバターが御指名するかの如くケーゴを指差して叫ぶ。
「すみません。人違いかもしれないので帰りたいのですが…」と後付けの様に兎に角言い訳して逃げようとするケーゴだったが、三本角の鬼人は、
「ほう?ドージ、ホントにそんな味気のある奴がよりによって俺達の縄張りに来てたのか?」とまるで聞いてない上会話はドージと呼ばれる一本角との間で成り立つ。
話の軸はほぼケーゴが断る方向性からバトルの方へ全く変わる様子がなく、獰猛な肉食動物がこちらを狙うかのような目つきが度々三本角からケーゴに向かい、
「知らばっくれたってダメなんだからな!!
お前はもうこの"獄炎のオーガ"って呼ばれる兄ちゃんの獲物なんだからな!」という断りたいこっちの意向などガン無視の宣告を放たれる。
「いや、知らばっくれるも何も僕は貴方方の事ドメイン名以外何にも知らない人からバトル強要されてるのですが…」と苦しい中ケーゴは断るきっかけを言いたい様子だったが…、
オーガと呼ばれる三本角の鬼人から、
「………言いてぇ事はよくわかった。"小難しい事は要らねぇ"からとっととお前ェのバトルを味合わせろや!!」
とバトルの申請画面がコンソールに表示される。
あぁやはり確か、自分よりも一世代前位にプレイヤー歴があるダイバーにそんな奴が居たなぁ…
的な表情をアバターのゴーグル越しに浮かばせるケーゴは、こういう連中にはちょっとお灸を据えてやるのが調度良い、と判断し、申請画面に同意のキーを押して。
「はッ!意外に肝なら座っていたらしいな。だがこの距離じゃお前ェの機体の位置は…」
とスナイパーの位置が見え見えかに思えた矢先、ケーゴが機体に搭乗した瞬間スニークジェガンは、スペクトルジャムバインダーの基部からスモークディスチャージャーを竜巻の如く噴き出し、レーダーからその身を消失させ。
「クッソっ……!!チャフまで混ざってるなんて…!、兄ちゃん…?!!」
ドージに呼ばれたオーガはガンダムGP羅刹に搭乗。メインカメラからの目視を頼りに探しながら、
「手を出すなよ?ドージ…。あいつは俺の獲物だ。」
と告げ、GNドライヴの推進力にしてホバリングしながら移動を開始する。
幸いにもこのフィールドの激しくなってくる霧雨と濃霧で光は拡散している為ビームの収束精度は落ちる筈。その上先程の煙幕とレーダー撹乱が在れど、10km以上もそう遠くまでは離れられないのもオーガは見抜いていた。
この気候でこちらのビームも拡散されてしまうが、居場所を燻り出せば後は羅刹金砕棒で叩き潰せる筈だった。
オーガのGP羅刹は肩のバインダーから展開したGNアイズブラスター計8門からビームを拡散メガ粒子砲代わりに発砲しながら移動を開始する。
やがて半数ヵ所近くの分のみ、山岳地帯のエリアに向けてGNアイズブラスターを撃ち尽くす頃、
霧雨が止み始め、雨雲が次第に晴れていく。夜空の様な光景になっていく時、この場でビームの狙撃が来れば、流石に厄介と思ったのか、オーガは近くの大木の樹海にGP羅刹を着陸させる。
───────────が、その瞬間。
オーガの駆るGP羅刹の足下からアラーム音のような音が聞こえた直後、突如地面が仕掛けられた爆雷によって崩壊する。破裂と共にベアリング弾の様な物がGP羅刹の足底にあたるが、その程度ではGP羅刹自体にはダメージは無かった。
問題なのはそこでなかった。
問題なのは、先程まで降り注いでいた激しい霧雨と濃霧によって泥濘んだGP羅刹の足場が泥濘んでいた為であり、高性能爆薬によって土砂崩れの様に崩壊したのである。
加えてそこに、
「──────…はい狙い撃ちまーす」
と、スニークジェガンのライフルによるビームの狙撃が盾にしていた木々を貫通し、オーガのGP羅刹の右肩のGNドライヴを難なく破壊したのである。
GP羅刹は立ち上がろうとするにも、スニークジェガンの高精密な狙撃が一定時間間隔を置いて続く。というか自身の機体の重みと、さっきの爆発で泥濘んだ土砂崩れにより立ち上がれない。
GNドライヴの推進力で浮こうにも回避が困難であり的になりうる可能性が高い。
狙撃して来た位置は逆算出来たが…1km以上は先である。
「──こいつ…、雨が止むまでこれを狙って…。」
「───まぁ、奴さん近づいた何とかなるとか言ってたけどさ、出来るもんならやってみろっつの。」
"やってくれたな"。と相手の戦況の読みと運び方に慄くオーガは、相手は山の高所から大胆にも堂々と狙撃を仕掛けてくる相手に胸中で騒つき、
「───スカした野郎だとは聞いていたが、俺を嵌めやがるとはな。随分と味なマネしてくれる"珍味"じゃねぇか…。」と操縦スペース越しに呟く。
確かに狙撃には、狙撃を行うための凡ゆる環境の情報を把握する必要があり、"気候"や"湿度"も例に漏れない。
当然その機能もあのガンプラの"レーダー"や"センサー"に搭載し、あの改造された鉢金バイザーにもその機能が備わっているのである。
漸く転ぶ様に移動したGP羅刹。途端今度はまた2発目の爆雷が爆発し地盤が更に崩れ、
その上更に左肩のGNドライヴをスニークジェガンがビームの狙撃で破壊する。
残るGNドライヴは背部の1基のみ。
流石に左右にあるドライヴと違って背面にある為潰し辛かったか、ケーゴはGP羅刹の関節部を狙って狙撃を繰り出そうとした。
ここまで来れば相手の機体の出力は落ちると考えていたか、ケーゴの戦況の運び方は整っていたかに見えていた。
───────────が、しかしケーゴ自身、誤算はそこでは無かった。
途端に羅刹金砕棒を立ち上がるGP羅刹は背部から2振りのGNオーガソード弐式を抜刀。両方のバインダーを途端にパージし、
更に何を血迷ったかGP羅刹は紅い光を纏い浮遊し始める。
──「『鬼トランザム』ッ…!!」──
瞬発的な野生の感だろうか、ケーゴは相手が切った"切り札"に戦慄を覚え、即座にビームの狙撃を撃ち放とうとした。
が、バインダーをパージし軽量化した上に鬼トランザムを発動したGP羅刹はこれを難無く回避。
その後もケーゴの高精密なスニークジェガンの狙撃を難無く回避、翻弄する様に高速移動をしながら、逆算で把握したスニークジェガンの位置に辿り着き、
その上スニークジェガンのバックパックに在ったスペクトルジャムバインダー2基を2振りのGNオーガソード弐式で切断。
離れライフルで撃ち抜こうとする寸前にプラグマテックスニークライフルもGNオーガソード弐式で破壊する。
レーダーに漸く位置が捕捉され、ライフルを失うスニークジェガン。
形勢の逆転が決まるか?
エリアの凄まじい様を観ていたドージの心境はやや安堵に近い…。
残す時間も僅かだった。
「まぁ、"中々如何して"味のあるバトルだったが、ここまで…」
「シールドリミッター解除…」
振り向きと同時に振り下ろされるGP羅刹の2振りのGNオーガソード弐式だったが、瞬発的にグラップクローに変形したスニークジェガンのシールドとボックスタイプビームサーベルが受太刀し、片方のGNオーガソード弐式をスニークジェガンのグラップクローが握り潰すが、もう片方のGNオーガソード弐式の出力を上げた斬撃が、ボックスタイプビームサーベル基部を右腕部ごと斬り裂く。
瞬発的にオーガはスニークジェガンにもトランザムが備わっていたのかと察したが、バイザーが引き上げられその隙間の元来のメインカメラが紅く発光している事から、
"EXAMシステム"の一種と勘付き、
「まだそんな"切り札"があったかよ。」
「ダメですか?」
漸く回復した通信の最中そんなやり取りが交わされた後、オーガのGP羅刹は左手から右手にGNオーガソード弐式を持ち換え、ケーゴのスニークジェガンはグラップクローを構える。
「上等だぜ、来なァ!!」
トランザム状態のGP羅刹はGNオーガソード弐式から炎の様なGN粒子のエネルギーの斬撃を撃ち込んで来る。だがその瞬間紙一重で躱したスニークジェガンはGP羅刹の背後を獲り、残るGNドライヴの最後の1基をグラップクローで掴む。
その後接続が断ち切られるかに思えたが、残存粒子を纏っていたGP羅刹の炎を纏いしGNオーガソード弐式の斬撃が瞬発的にスニークジェガンの胸部ユニットに喰い込んでくる。
そしてコックピットまで喰い込む寸前の瞬間、スニークジェガンが右のホルスターからリボルバー型ハンドガンの装備を引き抜き、
「──乱れ撃つ。」
GP羅刹の胸部を乱射するそれは、ビーム弾というより、
RX-78型のスーパーナパームに酷似していた。
「よくもまぁ…まだそんな装備が在ったたぁな…」
《battle ended》
《 draw 》
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「どーしよう……」
スペクトルジャムバインダーが今回は2基と
ライフル、右腕部破損。
ターミナルのハンガースペースにて
ボロボロのスニークジェガンとGP羅刹を見上げていたオーガとケーゴがそこに居た。
毎度最近になってきて全くリペアのコストが馬鹿にならない始末のケーゴであり、
データ的に修繕はver1.78だったとしてもオリジナル装備が多かった為、ほぼ5、6日費やすだろうと判断出来た。
「ハハハァッ!何シケたツラしてんじゃねぇよォ~。ここまで味のあるバトルをしやがる相手はそうそう居ないぜ?名前は確か…」
「そりゃどうも。K5です。面倒臭いんでケーゴとお気軽に呼んで下さい。」
戦闘狂として暑苦しい相手ではある。おかげで機体もボロカスやられる一方であった。それは例えどんなに作戦を考慮したとしても同じ結果だろう。だがまぁ別にそんなに悪そうな相手でも無い事も解っていた。それ故、また一緒に戦う機会を作ってくれ、でなきゃ俺のフォースに来いと呼ばれてしまったケーゴは、敢えてオーガのフォース『百鬼』に入らない代わりに半ば強制的にフレンド登録を申し込まされこれに同意しまうのだった。
「んで?てかなんで僕の事知ってたんですか?」
と、ワーストランカーという噂で呼ばれていたか、それともパレードの事件の英雄という噂かどうか尋ねる。
「あぁ、ドージが言ってた話か。何か…イカサマみてーな戦い方していた筈のダイバーが、ELダイバーのパレードのテロから現場にいた全てのダイバーを守ったっつー話って聞いたな。闇市場のエリアじゃけっこー噂だってな。まぁ実際は薄味のイカサマどころか濃厚珍味の筋金入りだったんだから問題ねーだろ~?」
と、オーガから答えを聞き、尚更頭が痛くなるケーゴ。全部の逸話が複雑に絡み合っているわけでまぁ間違っちゃいないんだが、大分不味くも良くない噂がこんがらがってだいぶダメな方向に転がりつつある。
ぶっちゃけチームプレイで誤解を受けやすかったケーゴとしては、GBNという趣味はソロプレイでひっそり楽しみたい派であり、その為にほんの極稀に誘われたフォースの勧誘も断り、そのプレイスタイルでどんな悪い噂で悪口を言われ嫌われ者や卑怯者の汚名を被る事になろうとも、
"不正ツール使ってないんだから良いでしょ?"
と堂々公言出来るプレイヤーでありたいと望んだ。
だが現実問題、勝手に名が売れ始めるこの始末。そしてそこからのクレームもまた逆に怖い。ケーゴはそう考え始めるのも時間は長くかからず、
「オーガさん、今さっきまでバトル…」
とこれ以上噂が拡散しないように念の為警告しようとしたが…、
「あぁ?ウチらのフォースにも言ってやるぜ?お前は文句ナシの珍味を味合わせてくれるダイバーだってな!!」
あぁ、この人には何一つ逆らう様な話は出来そうに無い、と判断するのもそう長い時間はかからなかった。