花のように可憐で… 作:Black History
・・最初から病んでる子なんてそうそういませんので…お許しください。
※作者に文才はありません。
それでも「私はいっこうに構わん!」という方は先にお進みください。
では、、どうぞ
―僕こと『市村翔太』と、幼馴染の『結城友奈』との出会いはごくごく普通のご近所関係から始まった
昔から家が隣だったため、園が休みの時は一緒に家の中で遊んだり、天気が良ければ外でも遊んだりした。
こう見えて友達はそこそこいるのだが、その中で一番遊んだり、付き合いが長いのは男女関係なく友奈だろう
「しょうちゃん~!あーそぼ!」
「うん!あそぼ~!」
家がすぐ隣なので多少遊ぶ時間が長引いても大丈夫だった。そのため、帰らないといけない時間ギリギリまでよく遊んでいた。
それに加えて時々ではあるが、友奈のお母さんの同意のもとでお泊まりをしたり、されたりもした。
その関係は小学校低学年まで続き、あの頃は本当に楽しかった。
暑い夏の日にはビニールプールで遊んだりしたし、寒くなってきたり天気が悪くなったりしても、家で二人という少人数ではあるがトランプをしたりもした。
「あー!またババさんだよぉ~!」
「ふっふ~。けいかくどうりー!」
「しょうちゃんめ~…やったなー!」
「えへへ~。きょうはかたせてもらうよ!ゆうな!」
…結局その日も友奈に一回も勝てなくて、数分ぐらい一人で落ち込んだのはいい思い出だ
そして月日はすぐに過ぎ、僕と友奈は小学校中学年になった。
中学年になってからは友奈のことを異性として見るようになり、お泊まりはもちろんのこと、休日等に一緒に遊ぶ…なんてことをするのも羞恥心が芽生えるようになり、ほとんどしなくなった。
そして、学校にもその影響は及んだ。
前まではよく同クラスの友奈と休み時間を過ごしていたりしていたが、それを見た同級生によるからかいが頻繁に起こるようになり、友奈と学校で過ごすことも少なくなっていった。
「翔ちゃん!遊―「ごめん、今日は違う友達と遊ぶんだ」…そっか」
「翔ちゃん!一緒にかえ―「今日は男友達と一緒に帰るから無理」……そっか」
女子と遊ぶなんて恥ずかしい…
女子と一緒にいたら、からかわれる…
そんな思いから最初こそ断る際に一言謝りの言葉を言ったりしていたのだが、だんだんそんな言葉も消え、突き放すような言葉づかいになっていった。
・・・いくら幼き頃のこととは言え、本当に申し訳ないことをした。
一瞬表情を暗くさせながらも、それを無理やり押し殺して悲しげな笑みを浮かべていた当時の友奈の顔を思い出す度にそう思う
友奈は幼い頃から【空気を読む】ということが得意だった。
さらには周りへの気遣いもできていたので、当然僕なんかよりも友達が多くおり、それゆえに僕はこう思うようになった
『僕なんかいなくても、友奈にとっては所詮友達の一人が消えた程度。友奈は何にも困らない』
そう思ってから僕は、ますます友奈から距離をとるようになった
僕なんか友奈の近くに居ても邪魔にしかならないから……。
そう、いつも自分の行動を頭の隅で自分に言い聞かせて、正当化していた。
…言ってしまえば昔の僕がやっていることは、ただ自分に都合のいい自己暗示をかけているだけにすぎない
しかしある日のこと。
いつも通り学校で過ごしていると、友奈が友達と話している所がことごとく偶然視界に入った。
「結城。すまないが今日休みの山本の代わりに日直をやってくれないか?」
「はい、いいですよ!」
「すまんな」
「友奈ちゃん~!私昼休みに用事あるからさ、先生に頼まれてたこの紙持っていってくれないー?」
「うん、いいよ」
「ありがとう~!」
「結城さ~ん!この仕事代わりにやってくれないー?」
「う、うん。いいよ」
「結城さん!私もいいかな?今日このあと習い事にいかなくちゃならなくて」
「え…ごめん、ちょっと……」
「結城さんなら大丈夫だよね?後は任せたよ!お願いねー!」
「ちょ、ちょっと待って!……どうしよう…まだ仕事あるのに…」
その内容は酷いもので、ただただ友奈にみんな雑用やらなんやらを押し付けていることばかりだった。
習い事やら欠席やらと、みなそれぞれ大義名分を立ててこそいるが…とどのつまり、面倒な事を友奈に擦り付けているだけにすぎない。
誰かに頼られるということは、相手からの信頼を得ていないと起こりえない。なので、たくさんの人から頼られる人は、それだけ周りからの信頼を得ているということになる。
しかし、友奈の件とそれは別だ。
さっきから言っているが、友奈のされていることはもはや【頼る】のレベルを越してしまっている。それだけ信頼を得ている…なんて言えば良く聞こえるかもしれないが、さすがにこれはやりすぎだ。
こんなものが長く続けば、どんなに優れた人間だろうと潰れるのは明白。
「でも…私がちゃんとやらないと、みんな困っちゃうよね」
「私がやらないと…」
数十分後
さすが友奈と言うべきか、しっかりと押し付けられた仕事を全部終え、「ふぅ」と息を一つ吐きながら疲れた顔で教室に戻って行った。
校舎に生徒はほとんど残っていない
おそらく今残っているのは僕と友奈ぐらいだろう。それぐらいの時間だ。
本当は今日も友達と一緒に帰る予定だったのだが、朝と昼の友奈の様子を見て少し嫌な予感がしたため、友達に断りを入れて校舎に残っている。
少し経った後、教室から帰る身支度を整えた友奈が出てくるのが見えた
このまま物陰に隠れて友奈に気付かれないようにやり過ごそう……
そうして友奈が歩いているのを眺めていると、あることを小さな声で誰もいないはずの虚空に呟いた
「みんなが仲良く、楽しく生活できるなら私は…大丈夫、大丈夫……」
そう自分に自己暗示をかけている彼女の姿は、いつも僕が見ている姿とは真逆で…いまにも崩れてしまいそうなほど脆く見えた
――何が【大丈夫】だよ。明らかに弱ってるじゃないか――
「友奈!!」
気づけば物陰から飛び出して彼女に大きめの声でそう呼び掛けていた
「!・・翔ちゃん」
友奈は一瞬驚いた顔でこちらを見ると、すぐに悲しそうな顔になった
さすがに気付くよな…聞かれてたこと
「全部聞いたよ、友奈」
「…いや、今の発言だけじゃない。今日1日君がみんなにどれだけ頼りにされてるのかどうかも見させてもらったよ」
「あはは…やっぱり翔ちゃんだったんだ。あの感じてた視線は」
どうやら今の発言が聞かれていたことだけではなく、今までのお願い風景を見られていたことまで気付いていたようだ
「気付いてたんだ?」
「うん…長い付き合いだもん」
「・・そっか」
さすがにその言葉に罪悪感を感じないほど当時の僕は人でなしではない。
チクリと胸が痛むのを感じつつ、目の前の赤髪少女に対して口を開く
「友奈……辛くないの?」
「っ……辛くないよ」
一瞬の表情の変化を僕は見落とさない
たとえ腐っても、幼馴染としての観察眼は衰えたりしないよ、友奈。
「嘘だね」
「・・嘘じゃないよ。だって…私が頑張ってみんなが楽しく過ごせるなら、全然辛くなんかないから」
『みんな』が『楽しく』過ごせる…か
「・・みんなが楽しく過ごせるためにやってるの?友奈は?」
「うん。だから…」
「僕は楽しくないよ」
楽しさなんか、あるもんか
「え?」
「全然楽しくないよ、、むしろ辛い」
「何で…?」
「・・友奈はさ、大事な友達が傷ついているのを見てどう思う?」
「大事な友達?」
「うん。君の中で一番大事な友達」
友奈は困惑しながらも、こちらをチラチラ見て考えていた
心優しい友奈のことだ、友達に一番なんか決められない…とでも思ってるんだろう。別に想像さえできれば誰でもいいんだけど…
「どう?」
「・・嫌」
「うれしい?」
「…うれしくない」
「楽しい?」
「楽しくない!」
声を痛切に張り上げて否定するそんな友達思いの友奈に、僕は優しく微笑む
…よく分かってるじゃん、僕の気持ち
「…ほらね?」
「…!」
「一番大事な友達が傷ついているのを見て楽しいわけないでしょ?」
「・・翔ちゃん…」
「だからもうやめて…って言っても友奈のことだから、やめないだろうね」
「・・・・」コクッ
「…なら三つ程お願いしていいかな」
「…お願い?」
「うん。簡単なことだよ」
「まずひとーつ!何か分担できるようなことを頼まれた時は僕も手伝う!」
「え、、それはちょっと…」
「ちなみに心配かけた罰として、友奈に拒否権はありません」
「・・それじゃもう『お願い』とは言えないんじゃ…?」
「ふたーつ!「…無視?」辛くなったりしたら必ず僕に言うこと!」
「・・・拒否権は…?」
「無いよ?」
「・・・・」
「・・最後の三つ目は、拒否したかったら拒否してもいいよ」
「え、、本当?」
「うん……友奈」
むしろ拒否されて当然だろう。
今更虫が良すぎるからね、こんなこと
「今まであんなこと言ってごめんなさい。無理を承知で頼みます。どうかこれからも僕と友達でいてください!」
「・・・うん!もちろんだよ!」
「・・・ありがとう、友奈。そして…これからもよろしく」
情けなくもその時、僕は友奈の曇りなき笑顔を直視できなかった
小さくても男は男、、女の子の前で涙なんて流したくなかったのだろう。
…潤いだす瞳を堪えて顔を俯かせている昔の僕の姿を見れば、誰でもそんなことわかるだろうが。
その日から僕は友奈がみんなに任された仕事を必死に手伝った。
そのおかげか友奈は前よりも笑顔が増え、辛そうな顔をしていることは無くなった
そしてお泊まり…とまではいかないが、前のように家で遊んだりすることも多くなっていった。
一緒に遊んでいる時の友奈は笑顔でとても楽しそうにしており、見てるこっちまで笑顔になってくる。
・・まぁ、それは良かったのだが……
「えへへ~♪」
「・・友奈。そんなに頭を撫でられるっていいものなの?」
「うん!」
「さようですか…」
いかんせん距離が近い…何がいいんだよ、頭撫でられることの何が。
「・・ねぇ、翔ちゃん」
「…ん?どうしたの友奈?」
撫でる手を止めて友奈に目を合わせる
「私も翔ちゃんのお願い聞いたからさ…翔ちゃんも私のお願い聞いて?」
「・・いいよ。僕にできることなら」
・・どうしよう、これで僕の貯金を全部頂戴とか言われたら。
…友奈に限ってそれは無いだろうけど
「えっと…二つあるんだけどいい?」
「とりあえず言ってみてよ」
「…なら、、一つ目!」
「わ、私と一緒に居てください!」
「・・一緒に?」
「う、うん」
「中学や高校も一緒の所に行く…とか、そういうこと?」
「可能な限りで…駄目、かな?」
「大丈夫だよ。むしろこちらこそ」
「え…いいの!?」
「おっとと?あはは…近いよ?友奈」
「あっ!…ううっ……」
僕の指摘によって頬をピンク色に染めて恥じる幼馴染。…頭を撫でるのは大丈夫なのに、それで恥ずかしがるんだ
僕もできるならこれからも友奈と一緒に学校生活を楽しんでいきたいな……
「で、二つ目は?」
「えぇ!?」
「…いや、何で君が驚くのさ?友奈が僕にお願いしたいことだろ?」
「・・ちょ、ちょっと待って……すぅーはぁー。すぅーはぁー」
「・・なぜ深呼吸?」
無茶しすぎてついに壊れたか?
それとも…僕に何かとんでもないお願い事をする気なのか…?
どうしよう、元気な笑顔で「土地が欲しいんだ!」とか言われたら。
「頑張れ私…頑張れ私……よし!準備できたよ!翔ちゃん!」
「よーし!ばっちこい!」
(僕にできることで頼むぞ友奈!)
先ほどまでピンク色に染まっていた頬は彼女の髪色と同じような赤色に染まり、瞳はわずかに潤いを帯びていた
―そして彼女は口を開く―
「大きくなったら……わ、私と結婚してください!!」
・・・・『結婚』?
僕と、、友奈が?
「へ……?」
全思考が停止する
頭の中が真っ白になる
まるで、頭を強いハンマーで殴れたかのような強すぎる衝撃だっため、一瞬ではあったが、軽く放心状態に近い状態になっていた。
しかしそんな僕を彼女こと結城友奈は待ってくれない
「翔ちゃん?私も頑張って言ったんだから…ね?返事…聞きたいな」
「OKか、駄目か……どっち…?」
「・・いいよ」
「…!ありがとう!!翔ちゃん!!」
―あの時のOKは決して嘘ではない
だが、完全に僕の気持ちで「はい」と言ったかというとそうではなくて…実はあまりにもぐいぐい来る友奈に押されて言ってしまったのだ。
・・もちろん、友奈との結婚が嫌なわけでは無いのだが…人生の一大事をそんなすぐには決めたくなかった
「えへへ~!うれしいな~!」
「あはは…僕もだよ」
今考えてもわからない。
友奈は僕のどこが良かったのだろうか…できるなら今にでも本人に聞いてみたい
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私…「結城友奈」には大事な人がいる
その人の名前は「市村翔太」
私は翔ちゃんって呼んでる。
些細な気遣いができる優しい友達だ……それを昔本人に言ったら「友奈の方ができるだろ」って言われちゃったんだけど。
本当はしたくないんだけど、、もし友達の中で順位を付けるとしたら、一位はもちろん翔ちゃんだ。
・・しかし、中学年になってから翔ちゃんは私を避けるようになった
最初はとっても悲しかった
いつも何かに誘っても拒否され、そのたんびに涙が出そうになったけど私は必死に我慢した。
翔ちゃんにもきっと何か事情があるんだ。じゃなかったら翔ちゃんはこんなことしない
そう考えてから私は翔ちゃんを遊びに誘ったりすることをやめた
―きっといつか前みたいな関係に戻れるはずだから…私はそれまで待ってる!
ある日先生から休みだった子の日直代理を任された
先生は私に謝ってたけど、私は全然嫌なんて思ってない。私なんかが誰かの役に立てるなんてうれしいから!
―後ろから視線を感じた
同じ日の昼休みに、今度は同クラスの友達から先生に紙を渡す仕事を任された
ちょっと量が多くて重かったけど、途中途中で転びかけながら何とか職員室に運ぶことができた。
ちょっと疲れたけど…仕方ないよね
―また後ろから視線を感じた
同じ日の放課後、今度は同クラスの友達二人から仕事を任された
さすがに二つは…
そう思い声をかけたけど、女の子は足早に教室を去っていってしまった。
……ちょっと帰るのが遅くなっちゃうかもしれないけど…私がやらないとみんな困っちゃうよね
荷物を机に置いて、任された仕事を行うために教室を出る
・・やっぱり視線が…気のせいかな?
何回も不思議に思って、その都度振り向いたりしてみたんだけど、誰も後ろにいなかったんだよね…。
「きっと気のせいだよね…それよりも早く仕事終わらせなくちゃ!」
仕事をやっと終えた頃にはもういい時間になっていて、校舎に残っているのはもう私だけになった。
早く帰らないとお母さんが心配しちゃう…でも、、疲れちゃって走れないや…
思わずそんな弱気になってしまう
ハッっとなり、頭を横に振って気を再び引き締める。
・・私は大丈夫なんだ、大丈夫…だってみんなのためなんだから。
「みんなが仲良く、楽しく生活できるなら私は…大丈夫、大丈夫……」
そう自分に言い聞かせていると、後ろから懐かしい声が聞こえてきた
「友奈!!」
「!・・翔ちゃん」
・・もしかしてとは思ってたけど…本当に翔ちゃん居たなんて…失敗しちゃったな
「全部聞いたよ、友奈」
「…いや、今の発言だけじゃない。今日1日君がみんなにどれだけ頼りにされてるのかどうかも見させてもらったよ」
…視線もやっぱり翔ちゃんだったんだ
どこかで感じたことのある視線だと思ったら、、当たってたんだね。
「あはは…やっぱり翔ちゃんだったんだ。あの感じてた視線は」
「気付いてたんだ?」
「うん…長い付き合いだもん」
「・・そっか」
…何で苦虫を噛み潰したような表情をしてるの?翔ちゃん?
私がそう首を傾げて困惑していると、翔ちゃんは私と正面から目を合わせたのちに口を開いた
「友奈……辛くないの?」
・・・そんなの…
「っ……辛くないよ」
「嘘だね」
そんな私の言葉は翔ちゃんによって真正面から切り捨てられる…
「・・嘘じゃないよ。だって…私が頑張ってみんなが楽しく過ごせるなら、全然辛くなんかないから」
そう…みんなが幸せに、楽しく暮らせるなら私はそれで……
「・・みんなが楽しく過ごせるためにやってるの?友奈は?」
「うん。だから…」
「僕は楽しくないよ」
「え?」
・・・え…?そんな…翔ちゃん…?
「全然楽しくないよ、、むしろ辛い」
「何で…?」
「・・友奈はさ、大事な友達が傷ついているのを見てどう思う?」
「大事な友達?」
「うん。君の中で一番大事な友達」
一番大事な友達?
・・翔ちゃん……もしそんな翔ちゃんが傷ついていたら…?
―胸が強く痛む
「・・嫌」
「うれしい?」
「うれしくない」
「楽しい?」
「楽しくない!」
思わず強めに言ってしまう
もし翔ちゃんが傷ついてたら、、私…
「…ほらね?」
「…!」
「一番大事な友達が傷ついているのを見て楽しいわけないでしょ?」
え…それって…。
「・・翔ちゃん…」
「だからもうやめて…って言っても友奈のことだから、やめないだろうね」
やっぱりお見通しなんだね、、
私は無言で静かに頷く
「・・・・」コクッ
「…なら三つ程お願いしていいかな」
「…お願い?」
「うん。簡単なことだよ」
―あの日から数年が経ち、私と翔ちゃんの小学校生活もいよいよ後半を迎えた
「起きろ~!友奈ー!」
「あと5分…」
「だーめ。友奈のお母さんがもう朝ごはん作ってくれてるんだから。早く起きて一緒に食べよう?」
「・・わかったよ~。着替えるから、先に一階で待ってて?翔ちゃん」
「わかった。待ってるよ?」
パタンと閉まるドアを見て、ベッドからのそのそと起き上がって着替えたのちに翔ちゃんの所に向かう
「あら?おはよう友奈」
「おはよう!お母さん!」
「あ、友奈」
「翔ちゃん!おはよう!」
「うん。おはよう、友奈」
「うふふ…」
翔ちゃんといつも通り朝のやり取りをしていると、お母さんがそんな私達を見て意味ありげに微笑んでいた。
「な、何?お母さん?」
「何でもないわよ~?二人を見て、まるで夫婦みたいだなんて思ってないわよ~」
ふ、夫婦!?
私と翔ちゃんが……夫婦…
「えへへ…」
「・・友奈?…駄目だわこの子。完全に自分の世界に入っちゃってる…」
「あはは…」
「ごめんなさいね?翔太君。結構前からこの子こんな感じで…昔同じようにからかった時はもっと反応面白かったんだけど」
「だ、大丈夫ですよ。…おーい!友奈!早くご飯食べて学校行くよ!」
「…え、、あ!待ってよ翔ちゃん!」
「あらあら」
「行ってきまーす!」
「行ってきます」
「二人共気をつけてねー」
「…ねぇ、友奈」
「どうしたの?翔ちゃん?」
「いや…さすがに恋人繋ぎは恥ずかしいかな~って」
「?何で?」
「いや、だから…もういいや」
「変な翔ちゃん~」
「・・ずっと満面の笑みを浮かべてる、究極のお人好しさんに言われたくないよ」
「え~?」
だって翔ちゃんに『お願い』を聞いてもらったおかげで、毎日が楽しいんだもん!
それに将来は翔ちゃんと……
「ちょ、ちょっと友奈さん?何かさっきより力強くないですか?」
「気のせいじゃない?」
「無理があるよ?そのごまかし方は」
無意識の内に力が入ってたらしい
だけど無理もないだろう
だって……
こんな幸せ、手放したくないから
「ねぇ、翔ちゃん」
「ん?友奈、どうかした?」
「・・やっぱり何でもなーい」
「…途中で言うのをやめられると、余計気になっちゃうな?教えてよー」
「何でもないったら何でもないよ~」
―大好きだよ、、翔ちゃん
第1話、いかがでしょうか?
1話を見て、何か感想、誤字報告等ありましたらお申し付けくださると幸いです。