花のように可憐で…   作:Black History

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比翼の羽根さん、貴重な評価をありがとうございますm(__)m


ついに、10話まで来ました…

そこで一度、自分の作品を読みなおしてみたのですけど…後半からシリアス風味が強くなってました。

ゆゆゆ小説を書いている中で、どうしてもそこは避けれません、、シリアス嫌いの方がいらっしゃいましたら申し訳ないです。


・・最近、本作品を書いてると、うまく書けてるか不安になってて…よろしければ、ご感想等でどのような感じか教えてくださるとうれしいです(--;)


最後、タグに『シリアス』も付け加えておきますね…すぐ本編入ります。



前へ、前へ…

 

「・・体が重い…物理的に」

 

 

今日は本来、普通の学生にとってはうれしいであろう日曜日なのだが…僕にとってはうれしくない日となっている。

 

今日は勇者部の活動もないうえ、美森ちゃんも友奈も用事が入っていて、一緒に遊ぶことができない。

 

・・要するに、、暇なのだ。

 

 

「少しでいいから、リハビリして使えるようにならないかな~」

 

使えない方の足と目を擦る

あり得ないことだとわかってはいるが、そう希望を言ってみたくなる。

 

しかし、勇者なんて摩訶不思議なものがあるくらいなんだから、魔法のような奇跡があってもいいと思うけど…

 

「…そんなの、都合良すぎるか」

 

そんな都合の良い展開があるのなんて、クラスの男友達君に見せてもらったアニメだけだろう。

彼が言っていた「二次元こそ至高!」って、こういうことなのかな?

 

…クラスの女の子からは冷ややかな目線を向けられていたが、君のアニメに対しての情熱、よくわかったよ。

 

専門用語が多すぎて、正直内容は全然わからなかったんだけどね。

 

 

・・って、こんなこと考えてても時間がもったないだけだ。せっかくの休日をこんなことに費やしていては勿体無い。

 

 

掃除でも…だめだ、埃一つない。

宿題でも…あ、昨日全部やってたか。

読書でも…ある本はもう全部読んだ。

 

他にやることは…特にないな。

あれ、もしかして僕って……悲しい?

 

 

「・・散歩にでも行こうかな」

 

 

ベッドから降りて、机に掛けておいた松葉杖を引き寄せる。

 

「あっ、、やっちゃったよ…」

 

片方の目が使えないせいで距離感がうまくつかめず、松葉杖と一緒に近くに置いてあった日記帳を弾き飛ばしてしまう

リハビリこそしたけど、いまだに何回かやってしまうんだよな…戻さないと

 

「あれ?こんなに後ろのページだけシワついてたっけ…?」

 

強く握ったようなシワがついている日記帳の中身じっと眺める。

いや、でも、、

 

 

「…書いた時期が時期だからなぁ」

 

この日記は僕にとって心のよりどころだった、とっても大事な物だ。

日記などに書き記している時点で、かなり心が荒んでいたであろうことがわかると思う。

 

もっとも、ポーカーフェイスが得意なおかげでみんなに悟られたりしなかったから、そこは良かったけど―

 

 

 

 

 

_×月×日_

[××××と××××が亡くなっ―]

 

 

 

 

「っ!!」バタン!

 

 

ゆっくりとページをめくっていた手を止めて、勢いよく日記帳を閉じる

 

 

―見たくない、認知したくない

 

 

額に流れる嫌な汗と袖で拭い、乱れた気持ちをごまかすために部屋を出る

 

 

「・・早く外に…散歩に行こう」

 

 

―ここにいたら、、苦しくなる

 

 

不思議と、そう感じた

 

そのまま日記帳を急いで机の中にしまったのち、日記から逃げるように玄関へと向かい、扉を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は暖かく、時おり吹く風がちょうどいいぐらいに気持ちいい。

こんな日に散歩なんてすれば、さぞかし清々しい気分になれることだろう

 

 

「…懐かしいな~」

 

道沿いを歩きながら、しみじみと呟く

 

小鳥のさえずり、小さな生き物達の行進、そして時々姿を現す野良猫達。それら全部が全部懐かしく感じる。

 

 

ニャー!

 

擦りよってくる白い子猫をひとしきり優しく撫でてあげる。

 

「ちょ、、くすぐったいよ~!」

 

僕の撫で方でお気に召したならうれしいが、もぞもぞされるとくすぐったい

子猫と遊ぶのもいいが、ここは公園で他の子供達もいる…少々名残惜しいけど、場所を変えよう。視線が痛い。

 

 

 

「・・まさか土手にまでついてくるなんて誰が予想できようか」

 

うーん、少し遊んだだけなんだけど…やけになつかれちゃったな~。

 

子猫のなつきよさに苦笑しつつ、土手特有の芝生カーペットに横になる。

僕が横になるやいなや、いそいそと子猫が僕のお腹の上に乗って、くるっと丸まってしまった。

 

 

・・・可愛いからいいや

 

とりあえずそのままにしてあげよう…何だか気持ちよさそうだし。

 

 

改めて芝生のカーペットに身を委ねる

 

芝生ならではの優しい草の香りと、おっとりとした風が絶妙に噛み合っており、このまま目をつむればすぐに夢の世界へと旅立ってしまいそうだ。

 

 

ふと空を見上げる

 

 

見上げた先の空には雲一つなく、視界にはただただどこまでも果てしなく続いていそうな、青い青い景色が広がっていた

 

 

 

―あの空に比べたら僕の悩みや悲しみ、あげくは存在も、すごくちっぽけな物なんだろうな

 

 

仮に僕がいなくなったとしても、所詮は数ある人類のうちの一人が消えただけにすぎない…なんて考えてしまう。

…我ながら病んでいるのかというぐらいのネガティブ思考だ。

 

そんな自分の自虐ネタを鼻で笑いながら、片方の腕で小猫を優しく撫でる。

ゴロゴロと気持ちよさそうに声をあげる猫に微笑みつつ、もう片方の腕を空へと可能な限り伸ばしてみる

 

「ちっちゃかった頃、何回もこうやって空に手を伸ばしてたな~」

 

そのうち天に届くようになる…なんて本気で信じてたもんな~僕。

 

友奈とよく言ってたっけ、、確か…

 

 

 

「『成せば大抵なんとかなる!』だったかな?言わばただの根性論だけど」

 

 

…しかしまぁ、世の中には『言霊』というものがあるから、あながち間違ってはいないのかもしれない。

 

魔法のような奇跡はなくとも、言霊ぐらいはあってもいいんじゃないかな

 

 

「ニャー!」

 

「ん?どうしたの…あいたっ!」

 

突如丸くなって微動だにしていなかった猫がやっと動き始めたかと思いきや、いきなり猫パンチを繰り出してきた。

 

顔の近くでやられたため、その衝撃でつけていた眼帯が芝生へと舞い落ちる

どうやら奇跡的にどこも破けたり汚れたりしてはいないようだ。

 

「ニャー」

 

「眼帯はどこも汚れてないな、良かった…もう!何するんだ…い?」

 

少々おいたが過ぎるので、さすがにしかりつけようと子猫の方を向くが…その猫にある違和感を感じた

 

 

「気のせいかな?君の尻尾が一瞬『2つ』あったように見えたんだけど…」

 

「ニャー」

 

「…気のせいだよね」

 

眼帯が外れたことによって何か誤差でも生じたのだろう。

腕時計の時刻を確認すると、そろそろいい時間だったので、すぐにでも帰れるように身支度を整える。

 

眼帯をつけ直し、傍に置いておいた松葉杖を持ってのそのそと立ち上がる

 

 

「ごめんね子猫ちゃん。さすがにもうお別れだよ。この後文房具を買いに行かないといけないからさ」

 

さすがに文房具屋にまでこの子は連れていけないからね…許してほしい。

 

心なしか悲しげな表情になった子猫を最後に優しく撫で、目的地へと駆ける

 

 

また、いつか会えたらいいな

 

 

 

 

 

 

「シャーペンの芯と、のりと、消しゴムと、あとは…うん。特に無いな」

 

あらかじめメモしておいた必要な物リスト内の物で買い忘れがないかどうかチェックし、ないことを確認した上でレジに向かう

 

 

「あら?翔太じゃない」

 

「え?あっ、風先輩ですか」

 

まさかここで風先輩に会うとは

やけに見覚えのある金髪女性がいるなとは思っていたけど、風先輩だったのなんて予想外だったよ。

 

「なんか、翔太が文房具屋にいるってすごいしっくりくるわね」

 

「そんな真面目そうに見えます?僕」

 

「東郷とまでは言わないけど、あんたも結構真面目君に見えるわよ。少なくともあたしには」

 

「…実は僕、同級生の間で不良って言われてるん「それはない」…せめて最後まで言わせてくださいよ」

 

真面目君か…うれしいような、どこかうれしくないような。

 

 

苦笑いを浮かべながら風先輩と雑談していると、とたとたと奥から金髪の女の子がこちらに走ってくるのが見えた

 

 

「お姉ちゃんー!明日学校で使うコンパス持ってきたよ…あっ、翔太さん」

 

「こんにちは、樹ちゃん」

 

「こ、こんにちは」

 

彼女の名前は『犬吠埼樹』。

名前の通り、風先輩の妹さんだ。

彼女は男性に対して少々怯えの感情が強く、彼女自身もそこをどうにか治したいと思っているらしい。

 

樹ちゃんとは風先輩さら相談を受けている上で何回かお話したことがあり、そのおかげで今はある程度の会話ならできるようになった。

 

もっとも、本当にある程度だけだが…最初の頃に比べればだいぶ良くなった

 

最初の頃は会話もままならず、目もそらされと酷かった…目をそらされた時はさすがに心にきたなぁ。

 

「いつまでおどおどしてるのよ樹、もう初対面じゃないんだから…」

 

「ううっ…ごめんなさい…」

 

別に謝らなくてもいいのに…きちんとしてるなぁ、樹ちゃんは。

 

むしろ僕のことなんか未来へ続く道の踏み台って思ってくれていいけど…

 

「僕は大丈夫…苦手なことなんて誰にでもあるよ。だからゆっくり僕で慣れていってくれればうれしいな、樹ちゃん」

 

「すいません…善処します」

 

「ほんとにありがとうね、翔太」

 

「いえいえ。それよりお互い早く会計済ませたほうが良くないですか?他に買う物が無いならですけど」

 

「えぇ、そうね。樹はもう何か買う物とかない?」

 

「うん、大丈夫」

 

「そっか。ならいきましょう!」

 

そんな張り切って言う程のことでもないと思うが…口には出さないでおこう

口は災いのもとって言うからね。

 

 

 

 

 

 

「ところで、このあと翔太は何を?」

 

「そうですね…少し飲み物でもお店から買っていこうかなって思ってます。少し散歩してたら喉かわいちゃって」

 

「その後は?」

 

「もちろん、家に帰ります」

 

「何か他に予定は?」

 

「?無いですよ?」

 

むしろ他にやることってあるかな?

友達と遊ぶ?時間が時間なだけにそれも無理だろうし、僕にとって他の選択肢はないんだけど…

 

 

 

「それなら…ちょっと提案なんだけどさ、あたし達の家に来ない?」

 

「…え?先輩方の家に?」

 

「えっ、、お姉ちゃん?」

 

「今までの件についてのお礼に夕食でもと思ってね。翔太が迷惑なら無理にとは言わないけど…」

 

 

…気にしなくていいのに。

風先輩らしいと言えばらしいけどね

 

相手の善意を無下にするなと親から教えられた僕にとって、NOの二文字は決してありえない。

 

だけど…

 

 

「決して迷惑なんて思ってませんけど…樹ちゃんは大丈夫なんですか?」

 

風先輩と僕が良くても、樹ちゃんが…

 

「わ、私も大丈夫ですよ!私もお姉ちゃんと同じで、何か翔太さんにお礼したいなって思ってましたから!」

 

「…そうなんだ、、ありがとうね」

 

「樹もこう言ってるし、気軽な気持ちで我が家にいらっしゃいな」

 

 

・・ほんと、、いい人達だよ。

 

 

「…詐欺とか、悪い人達にはくれぐれも気を付けてくださいね?」

 

「いや、いきなり何言ってるのよ?もちろん気を付けるけど…」

 

「いえ、特に深い意味は無いですから忘れてもらって大丈夫です…大変不束者ですが、よろしくお願いします」

 

例え相手が仲のいい先輩相手でも、礼儀はしっかりと忘れない。

親しき仲にも礼儀ありって言うからね

 

 

「こ、こちらこそ!」

 

「なんならあたし達のこと、【家族】だと思ってくつろいでいいわよ?」

 

 

 

 

 

―家族

 

 

 

《翔太はすごいな~…運動以外》

 

《一言余計だよ!お父さん!》

 

《そうよ、あなた。翔太も運動が『全然』できないこと気にしてるんだから…あまりいじっちゃ駄目よ?》

 

《全然を強調してる時点でお母さんもそっちだよね?絶対わざとだよね?》

 

 

 

―家族…

 

 

 

《誕生日おめでとう翔太!》

 

《はい!誕生日プレゼント!》

 

 

 

―家族……

 

 

 

《わー!きれいなボールペンと……少し小さめのノート?》

 

《お前、文字書くの好きだろ?だからすごい書きやすくて使いやすい、やや高めのノートを買ってきたんだ》

 

《ちなみにボールペンもだいぶいいやつだから、気持ちよく書けるわよ》

 

《二冊あるから、片方は授業用のノートにして…もう片方は日記にでも使ってみたらどうだ?》

 

《あはは…僕が日記書かないこと知ってるくせに、言うよね~お父さん》

 

 

 

―家族………

 

 

 

《案外面白いかもしれないぞ?百聞は一見にしかず、書いてみたらどうだ》

 

《普通に授業用ノートにするよ…》

 

《は~?我が子ながらつまらんなー》

 

《なっ!失礼な!》

 

《あらあら…》

 

 

 

―毎日が賑やかで、とても楽しかった

 

 

―勇者としての活動にもやっと一区切りがついて、またあの暖かい日常が帰ってくるものだと思っていた

 

 

 

―そんなの、夢のまた夢で…

 

 

 

 

 

《・・申し上げにくいですが》

 

《市村様ご夫妻は、、》

 

 

 

 

 

 

《ある日、事故にあわれて…お亡くなりになられました》

 

 

 

 

―待っていたのは悲しく、非情な、現実だけだった。

 

 

 

 

「翔太?だ、大丈夫?少し顔色が悪いみたいだけど…どこか具合でも…」

 

「!あぁ、大丈夫です。少々散歩疲れで眠くなっただけですから」

 

「そうなの?なら早く家に向かって、少し休んだほうがいいわね。少し急ぎめで行きましょう、樹」

 

「うん!行きましょう、翔太さん」

 

「…そうだね。ありがとう」

 

「よーし!レッツゴー!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・ただいまー」

 

 

帰宅後、風先輩の家で夕食をごちそうになったことによって満腹になったお腹でベッド上に横になる。

風先輩方の家に行くのは初めてだったが、本当に一人の【家族】のように接してくれて、とても楽しい食事だった。

 

久しぶりの食事が、余所の家での食事となるなんて…これもある意味外食?

 

 

そんなくだらないことを考えながら、部屋を出て家の中を眺める

 

家族みんなで撮った写真が入っているアルバムを片手に持ちながら、そういえばとぽつりと呟く

 

 

 

「・・模様替えが好きなお母さんがこの質素な家を見たら…それはそれは怒られるんだろうね」

 

「年頃の男としての自覚をもっと持ちなさい!」…って感じだろう。

 

外出用の服も僕の部屋の模様替えも、全部お母さんがやっていたので、本当にありがたかった。

 

「翔太の服装はださすぎる!」って、よく怒られてたっけ…

 

 

 

 

 

《お亡くなりに―》

 

 

 

 

 

「・・中学生に…なったのになぁ…」

 

 

 

自分でも声が震えているのがわかる

 

瞳の奥が少し熱くなるのを感じるが、ぐっと必死にこらえる。

 

 

 

今泣いたら、、きっと崩れてしまう

 

 

 

「少し大人になった制服姿…二人に見せたかったなぁ…」

 

 

ハンガーに掛けておいた制服を着て、鏡に写っている自分を見る

 

…例え、顔立ちも身長も『変わってなくとも』、制服を着ればらしくなる。

 

 

しかし、この姿を一番に見せたかった相手はもういない。

 

 

「・・・挫けるもんか…絶対に」

 

 

―あの日以降、色々な物を失った

 

 

新しくできた仲のいい友達三人を、

 

平和な生活をおくるための体を、

 

暖かく、心地よくて安心できた家族を

 

 

 

「…これ以上、、大切な物ををまた失うなんて…二度とごめんだ」

 

 

大切な人を守れないで、何が勇者だ。

 

今度は…絶対に守ってみせる。

 

そのためなら……代償なんて怖くない

 

 

 

 

今はこうして風先輩達と平和に暮らせているが…そんな平和は長続きしない

 

いずれ、『お役目』の時は訪れる

 

大赦さんからも詳しくは聞いていないが…もし、その時が来ても―

 

 

 

「守ってみせるよ、お父さん、お母さん。今度は…必ず…!」

 

 

 

 

―例えどれだけ花弁が散ろうとも、

 

 

 

 

 

―【花】は変わらず『花』のままだ―

 

 

 




いかがでしょうか?

犬吠埼家にての描写がない件については…また今度にお預けということで

前回の日記にもあったとおり、現在の翔太君はすでに覚悟を決めてます。
周りには何とか着飾って、バレてないみたいですが…?

子猫について、今は特に語りません

今『は』…ね。


『覚悟を決める』……一見かっこよくて聞こえがいいかもしれませんが、、その覚悟の結果が+、-に働くかどうかはまったく別の話です。

…例え-に傾こうがどうなろうが、今の翔太君の思いは変わらなさそうです




・・あれ?何か、、【大事な事】を忘れているような…?

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