花のように可憐で…   作:Black History

11 / 14
たらしぃさん、超高校級の怠惰さん、貴重なご評価をありがとうございます…m(__)m

ご感想、ご評価、誤字報告、いつもありがとうございます。

なのに・・遅れて申し訳ないです…(--;)

リアルが忙しくて、ちょくちょく合間の時間に書いた物ですが、見てくださるとうれしいですm(__)m


Q.今回は誰目線でしょうか?

タイトルでもうお分かりな方もいると思われますが…とりあえず本編入ります。どうぞ。



喪失少女は繊細

 

―私こと『東郷美森』は、過去の記憶が無い…俗に言う記憶喪失者だ。

 

 

一見、記憶喪失者と言葉で表すだけだと大したことが無さそうに見えるかもしれないが…私としては死活問題だ。

 

 

どんな友達がいたのか、はたまた友達は作れていなかったのか…そして、自分がどんな人生を歩んできたのか

 

 

「でも、まだ一般常識が残っているだけ幸運……だったのかしら」

 

 

事故によって記憶喪失と車椅子生活になったと周りからは聞かされているのだが、真義が定かどうかわからないため、信用しきれない所がある。

 

 

そのため、車椅子生活の私に対して同学年の子から「大丈夫?」というように気遣いの声をよく貰う。

 

…しかし、それはそれ、これはこれだ

 

 

あくまでも心配されるだけの『クラスメイト』、、それだけだ。

 

もっとも、気持ちはわかる

 

足が不自由なだけならまだしも、そこに記憶喪失もとなったら話しかけずらいのも当たり前だろう。

 

 

・・気味悪がられて当然よね…友達が全然できないのも頷けるわ…

 

 

 

―だが、そんな私にも二人友達がいる

 

 

 

「それじゃあ、ここを…結城さん!答えてください」

 

「へっ!?あ、えっと、そこは…」

 

「少し難しいですかね?」

 

「い、いえ!そんなこと…」

 

「・・友奈ちゃん…」

 

 

近くであたふたしている友達の友奈ちゃんを見て、ため息をはく。

 

友奈ちゃんが答えられないのは、確かに問題が難しいのもあるのかもしれないが…私は見逃していない。半分眠りの世界へと足を踏み入れていた友奈ちゃんの姿を。

 

 

・・後でお説教ね

 

 

「・・・友奈」ボソッ

 

「…!31です!」

 

「あら、正解です。よく頑張りましたね、ここは結構難問なのですが」

 

「あはは…翔ちゃん、ありがとう…」

 

「・・翔太君も…まったく」

 

どうやら翔太君に答えをこっそりと見せてもらったらしい。

この前の席替えで翔太君と近くなって喜んでいたのは、まさかこれ…?

 

 

・・・翔太君も追加しようかしら?

 

 

「はぁ…ん?」

 

二回目のため息をそうつきながら黒板へと目を向けると、小さい紙飛行機がこちらに飛んできていた。

 

フワリフワリと着地した紙飛行機を丁寧に広げてみる。

 

 

 

[見逃してくれないかな?(--;)]

 

 

・・本当に甘いんだから…

 

 

苦笑しながら紙飛行機を畳む。

 

 

…でもまぁ、お説教は友奈ちゃんだけにしようって考えてる私も大概かしらね?

 

 

 

 

―二人とも、とってもいい子だ。私なんかにはもったいないぐらいに

 

 

 

―友奈ちゃんも翔太君も大事な友達だ

 

 

 

 

 

―だから、

 

 

 

「あの…大丈夫?翔太君?」

 

「うん?大丈夫だよ、少し寝るのが遅くなって眠いだけだから」

 

「…でも、、さっきも数学の時間にうとうとしてたわよね?」

 

「…あはは…見てたんだ?」

 

私の言葉に苦笑いを浮かべてそう返しながら目をごしごしと拭う翔太君。

 

 

・・前までならお説教!って茶化せたけど…今はもうそんなことできない。

 

 

 

 

「何か…悩みでもあるの?」

 

 

「・・別に無いよ?ほら、男の子あるあるのゲームのしすぎで…」

 

 

 

―隠さないで

 

 

 

「・・ゲーム、滅多にしないのに?」

 

 

少し声が震えたが、翔太君はそれに気付いた様子はない。

 

 

「…いや、それがさ?男の子の友達にオススメされたゲームが僕好みで、はまっちゃったんだ~」

 

 

嘘だ。

 

かれこれ翔太君との付き合いは数ヶ月ほどになるのだ、それぐらいはわかる。

 

 

・・でも、、どうせ答えてくれないんでしょうね、翔太君は。

 

 

「そう…なのね。駄目じゃない、ちゃんと睡眠時間を取らないと」

 

「勉強もしてるから、、多少はね?」

 

「授業中に居眠りでもしたら意味無いでしょう?もし居眠りしたら、友奈ちゃんと一緒にお説教だからね」

 

といっても、友奈ちゃんは居眠りなんか最近してないのだけど。

 

 

「・・それは嫌だね…よいしょっと。それじゃあ、先に部室で待ってるよ」

 

「・・えぇ。すぐ行くわね」

 

「うん。それじゃあね」

 

松葉杖を上手く扱いながら教室を出ていく翔太君に手をふる。

 

 

完全に教室を出ていったのを確認すると、自分の顔が険しくなるのを感じる

 

やがて、自分でも無意識のうちに口から言葉が漏れていく。

 

 

「・・・私達って、そんなに頼りないの?そんなに信用できないの?」

 

叫ぶのではなく、ただただ静かに嘆く

 

血が滲んでくるのではないかというぐらいに強く拳を握りしめて

 

 

 

 

ひとしきり時間が経ち、気持ちを切り替えて教室を出ようとした時だった。

 

 

バタン!

 

 

「…何か、、落ちた?」

 

そこそこ大きい音だったが、おそらく誰かが忘れ物でもしてそれがロッカーから落ちたりでもしたのだろう。

 

しかし、そう思って車椅子を動かしてあたりをキョロキョロ見渡してみるも、それらしき物は見当たらない

 

 

「気のせい?…いや、でもそれにしては音も大きめだったわよね…」

 

首を傾げながら少し身のまわりを探してみるが、見つからない。

 

そろそろ部活に行かないと…

 

 

そう思い、教室を出ようと教室内にあるドアに目を向ける

 

 

「あっ、やっと見つけたわ…」

 

すると音の正体であろう物が床に落ちているのを確認することができた。

 

キラキラとかがやいているところを見るに…誰かの貴重品だろうか?

 

車椅子を動かして、踏まない程度に落とし物へ近寄ってみる

 

 

 

「・・・押し花…?」

 

 

キランと強く輝く四つ葉のクローバーの押し花をゆっくりと拾い上げる

 

 

 

―この押し花、、どこかで…

 

 

 

 

《僕の大事な―――なんだ~》

 

 

 

脳裏に幼い男の子の声が小さく響く

 

 

―妙に聞いたことのある優しい声…

 

 

「・・・この押し花の持ち主は…?」

 

やけに既視感のある押し花に疑問を抱き、持ち主を特定しようと名前が書いていないか確認する。

 

…さっきまではただの落とし物だと思っていただけなのに、今ではなぜか持っているだけで不思議と安心できる…

 

 

優しく押し花を回しながら確認していると、小さい名前シールが貼ってあることに気付いた。

 

しかし、その名前シールを見た時、驚きで思わず目を見開く

 

 

「・・『倉橋翔太』…この押し花の持ち主が翔太君…」

 

 

・・あの日記といい、この不思議な押し花といい……

 

 

あなたはいったい何に苦しんでるの?

 

あなたはいったい何を隠しているの?

 

 

…いいえ、この際詳細はもうどうだっていいわ。小さくても大きくても。

 

ただ、、

 

 

 

 

―何で私達に相談してくれないの?

 

 

 

「おーい!東郷さんー?」

 

 

噂をすれば影が射す

 

突如として聞こえてきた聞き覚えのある男の子の声の方向に振り向く。

 

「あっ、ここにいたんだね。やけに遅いから少し様子を見にきたんだけど…何かトラブルでもあったりしたのかい?」

 

 

トラブル…

あったにはあった。

 

「…えぇ。少しだけなんだけどね」

 

「えっ、、大丈夫?具体的内容は?」

 

翔太君のその言葉を聞いてすぐさま押し花を持って隠しておいた右手を前に出し、翔太君に見えやすいように持つ

 

「少し教室内に誰かの忘れ物があってね。それを届けるようか迷ってて…」

 

「え?忘れ物?どれど…れ」

 

私の手に持っている押し花を見た瞬間、翔太君の表情が驚きで固まる

 

「これ、翔太君のよね?」

 

「う、うん。すっかり忘れちゃってたみたいだね…ありがとう。東郷さん」

 

 

 

・・お礼なんていいから…

 

 

「あの、、翔太君?」

 

「ん?どうしたの?」

 

あたかも、何もおかしいところはないように振る舞う翔太君。

 

その姿を見て、ぎゅっと胸がしめつけられるように苦しくなった。

 

…少なくとも、表情に出るほどには苦しんでいたらしい

 

 

「どうしたの?もしや…何か嫌なことでも?良ければ、相談に乗るよ?」

 

 

「っ……」

 

 

違うの…そうじゃない。

 

 

「無理しちゃ駄目だよ?」

 

 

無理なんかしてない。

だって、無理してるのは…

 

 

「大事な友達が傷ついてるところなんて見たくないからね?僕は」

 

 

 

翔太君。あなただもの。

 

 

 

「・・いいえ。私は大丈夫よ」

 

「そうかい?ならいいんだけど…」

 

「大丈夫よ。それよりも早く行きましょう?二人共待たせてるんだから…はい。押し花返すわね」

 

「ありがとう。そうだね、それじゃあ……行こっか、東郷さん」

 

翔太君は本当にお人好しなのだろう

他人に優しすぎて、自分のことへ目を向けることができないほどに。

『灯台もと暗し』。まさにその通りだ

 

なるべく平穏を装おって、松葉杖を使って歩みを進める翔太君の隣を進む。

静かな廊下に、松葉杖と車椅子の小さな音が響きわたる。

 

一歩、二歩と進むたびに鳴る松葉杖。

前へ、前へと進むたびに車両をゆっくりと回すたびに車椅子の音が響く。

 

そんな静かな音を背景に、前を歩く翔太君へと目を向ける

 

平均より少し痩せていて、小さい背中

 

だけどなぜか、彼の背中は父親のように大きく、心強く感じて―

 

 

 

―どこか、危うく見えた

 

 

そう思ったころにはすでに、体が考えるより先に動いていた

 

ぎゅっと、翔太君の袖を強く掴む

 

「東郷さん?どうしたの?…やっぱり何か悩みごとでもあるのかい?」

 

あるとも。

それはそれは大きな悩みが…ね。

 

「そうなの。一つだけなんだけどね」

 

「やっぱりあったんだね…まったく、『悩んだ時は相談』だよ?勇者部五ヶ条にもあるんだからね?」

 

…よく言うわよ、翔太君。

 

 

「そうね、『悩んだ時は相談』…だったわね。なら一つ聞いてみたいことがあるのだけど、いいかしら?翔太君?」

 

「もちろん」

 

「そう……なら聞くけど」

 

 

秘密に関しては聞かないわ、翔太君

 

その代わり、これだけ聞かせてほしい

 

 

 

「もし…『勇者部』のみんなが何かしらの事態でピンチに陥ったら、、翔太君ならどうするかしら?」

 

 

「・・そうなったら、かならずみんな無事にピンチから脱出させてみせるさ…僕の全身全霊の力を込めて、そうなるように尽くすよ」

 

 

一見、意図が何なのかわからない、意味不明な例え話の問いだが…翔太君はまったく迷わずに答えてくれた。

 

…『まったく迷わずに』、、だ。

まるで、【最初からすでにそうすると決めていた】ように。

 

 

・・心なしか、チラリと見えた翔太君の横顔が、戦場に行くことが決まっている兵士のように、何かに対して【覚悟】を決めてるように感じた。

 

 

「…これでいいのかい?」

 

「・・えぇ。良くわかったわ」

 

「こんな僕の考えが何に役立つのかわからないけど…東郷さんの力になれたならよかったよ」

 

 

―きっと…もしそうなったら、翔太君は本当にそうしてくれるのだろう

 

 

「ごめんなさいね、時間を取らせて」

 

「ううん。困った時はお互い様だからね、全然気にしてないよ」

 

「…ありがとう」

 

 

―それは無論、うれしい

 

 

 

―でも…

 

 

 

「もう…礼なんかいらないよ?大事な友達のためにやっただけの事だろ?」

 

「大事な人のためなら、例えそこがどこであろうとも助けに行く…それが男ってものなんだからさ」

 

 

 

 

―はたしてその時、翔太君は私達をちゃんと頼ってくれるのだろうか?

 

 

 

 

「えっと…東郷さん?そろそろ手を離してもらえないかな?」

 

「・・その前に一つ…約束してほしいことがあるの、翔太君」

 

袖を握る力に少しばかり力が入ってしまうが、翔太君は気づかない。

 

「…へ?約束?」

 

「駄目かしら…?」

 

「いや、別にいいけど…あまりきつくないことで頼むよ?」

 

「大丈夫よ。全然たいしたことない、簡単なものだから」

 

「それなら…まぁ、言ってみてよ」

 

約束とは言っても、簡単なものだ

 

誰にでもできる、簡単なこと。

 

 

 

「もし、何か大変なことが起きたら…私達を必ず頼って?絶対に一人で解決しようとしないでほしいの」

 

 

「・・・わかった。約束するよ」

 

 

所詮は言葉だけの口約束

破ろうと思えば破れる。

 

答えるのに間があった所からみて、きっと翔太君は守ってくれないだろう

 

 

「本当に、約束してくれる?」

 

「うん。僕にできることだからね」

 

「…絶対に破らない?」

 

「…もちろん。男に二言はないよ」

 

 

 

 

 

・・そんなの駄目よ

 

約束は絶対に守らなくちゃ

 

 

 

ギュッ

 

 

「えっ?…東郷さん!?何で抱きしめて…と、とりあえず離れて!体勢を崩して倒れたりでもしたら二人とも危な―」

 

「絶対よ?」

 

「・・・え?」

 

 

抱きついたことによって距離が近くなり、囁くように翔太君へと喋りかける

 

 

「約束、、破ったりしたら嫌よ?」

 

「それはもうわかったから!とりあえず、早く離れて……ひっ!」

 

こちらを見て小さく悲鳴あげる翔太君

 

なんで悲鳴をあげたのか気になるけど…話はまだ終わっていないのよ?

 

 

「もし破ったりしたら…ね?」

 

そう言っていると、自然とさっきよりも抱きしめる力が強くなる

 

 

「守る!守るから!絶対に守るよ!」

 

「本当に?」

 

「本当に!だから離れて…!」

 

 

・・そこまで言うなら、信じましょう

 

 

「・・わかったわ…ごめんなさいね、急に抱きついたりして」

 

「だ、大丈夫だよ。少しびっくりしたけど…危ないから急にはやめてね?」

 

「あら。急じゃなければいいの?」

 

「へ?・・いや、まぁ…うん」

 

二、三回ほどこちらをちらちら見たあとに顔を俯かせる翔太君。

俯く際に少し頬が赤くなっていたのは、見間違いかしら?

 

「なら今度お願いしてもいいの?」

 

「いいけど…ほどほどに頼みます」

 

「?ほどほどって?」

 

「気にしなくていいよ…そんなことより、早くいかないと二人とも痺れをきらして怒っちゃうよ?」

 

そう言いながら自分の手首につけた腕時計を見せてくる。

 

・・友奈ちゃんは何があったか察してくれるから大丈夫だけど、、風先輩は確かに怒ってもおかしくない時間ね…

 

 

「本当ね…少し急ぎめで行きましょう。風先輩がイライラしてるかもしれないわ」

 

「あはは、、そうだね。急ごう」

 

先ほどまでのスピードよりひとまわりほど早いペースで廊下を進む。

 

 

 

 

―言質…とったわよ?翔太君?

 

 

 

 

窓ガラスに反射して映った自分の瞳に、光が灯っていなかったのは、きっと何かの見間違いだろう

 

 

 




いかがでしょうか?

サブタイトルにも書いてあるのですが、、個人的にゆゆゆで一番繊細なのって東郷さんだと思うんですよね。

あくまで個人の意見なのですが…一番中学女子っぽいって思ってます。
…友奈ちゃん達の覚悟強さが中学生離れしてるってのもありますが…皆様はどう思われますかね?

ヤンデレ成分が足りないとの声が感想欄に多くて、、申し訳ないです(^_^;)

作者は今までヤンデレ小説を書く側ではなく、読み専だったもので…。
ご期待に答えられずすみませんm(__)m

だけど書いていて難しいと感じる反面、面白いと感じる部分が多いんですよね…私がヤンデレ好きなせいかもしれませんが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。