花のように可憐で… 作:Black History
あまりダラダラと文章を書いて本編に入るのが遅くなる…なんてことは避けたいので。(ただでさえ、更新速度が遅いから)
では、どうぞ。
「…あれ?もうこんな時間…?」
幼稚園で園児の子達と戯れているなか、ふと時間が気になって確認してみると、いつの間にか腕時計の短針が部活終了時間を指していた。
ちなみに今日は勇者部の活動で幼稚園にお邪魔している。
いつもなら友奈や東郷さん、風先輩などが一緒のため、時間を忘れたりすることなんてなかったんだけど…あいにく今日はみんなそれぞれ違う仕事を担当しているため、タイムキーパー役がいない。
そのせいで園児の子達の要望に答えまくってしまい…気付けばこんな時間。
「えー!しょうおにいちゃん、もっとえほんよんでよんでー!」
「かいじゅうごっこしようよー!」
「おままごともー!」
・・もっとも、僕が園児の子達を可愛く思って要望を聞き入れてしまうのも悪いのだけれどね…。
みんな、「翔お兄ちゃん」って言ってなついてくれてるのに……そんな子達を可愛く思うなってほうが無理だと思う。
そんなつまらないことを考えている間にも時間は進み続ける。
「ごめんね。僕も遊びたいのはやまやまなんだけど…お遊びはまた今度で許してくれないかな?さすがに戻らないと、みんなに心配かけちゃうから…ね?」
両手を合わせて園児達にそう頼みこむ
勇者部のみんなにいらぬ心配をかけるわけにはいかないから、どうかこれで手をうっていただきたいんだけど…?
「それなら…いいよ!」
「しょうおにいちゃんとまたあそべるときまで、わたしがまんする!」
「ありがとうね~。今度は友奈お姉ちゃん達も連れてこられると思うから」
「ほんとう?やったー!」
一部の男の子がやや赤面しながらも喜んでいるのを見て、微笑ましく感じる
近くにいる園児君達の頭を優しく一撫でしたのちに、長机に置いておいた松葉杖を使って立ち上がる。
…少々園児達が遊びに使ったのであろう傷が持ち手についているが、移動の際に支障等は無いため気にしない。
「あはは、喜んでくれてうれしいよ。それじゃあ、、さようならー」
「「「はーい!さようならー!」」」
園を出たのち、ほんの少しだけいつもより早めに学校へと松葉杖を動かす。
三人とも僕が園児になつかれていることはよく知っているため、多少の遅刻はわかってくれると思うが…女性を待たせるのは男としてしのびない。
男らしさがあまりない僕だから、せめてそれぐらいは嗜んでおきたい…。
「それに、遅れたのは僕のせいでもあるんだ。なるべく急がないと…」
そう口に出しながら、徐々に徐々に歩くスピードをあげていく。
しかし、世の中には『急がば回れ』ということわざがある。
昔の人はまったく、うまいことを言うものだと常々思うよ…
「…!わっ…!」
「…えっ?おっとっと…!」
急いで歩いていたおかげで、片目の視力を失っているほうからやってきていた人に気づかず、肩がややではあるがぶつかってしまった。
そのせいで体がよろけ、僕はきれいなフォームでしりもちを一つつく。
・・時間のことしか考えないで、早歩きをした結果がこれです。
『自業自得』とはまさにこの事だよ…
「あいてて、、」
「あっ!すみません!大丈夫ですか……って、あれ?翔太さん?」
「え?何で僕の名前を……」
やけに聞き覚えのある声…
それに、何も名乗ったりしていないのになぜ僕の名前を…?
不思議に思い、ぶつかってしまった人の方を向いてみると、いったいなぜなのか答えはすぐにわかった。
「って、樹ちゃん?」
「はい…いつも何かとお世話になってるだけでなく、翔太さんにぶつかってご迷惑を…本当に申し訳ないです…」
「いやいや、とりあえず一旦落ち着いて?悪いのは僕なんだから、樹ちゃんが謝る必要ないよ?」
さっきの衝突事故は、誰がどう見ても僕が悪いと言われるだろう。
周りに目を配っていなかった僕の責任だから、むしろ樹ちゃんは文句を言う側の筈なんだけどな…
「・・そうですか?でも…」
「でもも、へちまもないよ?それが紛れもない事実なんだから…それよりも!怪我とかはしてないかい?」
「はい。特に怪我とかは無いで……あれ?メモ紙がどこにも無い…」
?メモ紙?
「メモ紙って?」
「お姉ちゃんから夜ご飯の材料を書かれたメモ用紙をもらってたんです…」
「・・本当にごめん!すぐ探そう!」
怪我こそ無いものの、買い出しする食材が書かれているメモ用紙を無くしてしまっては大問題に変わりない。
今夜の犬吠埼家の晩御飯を僕のせいでめちゃくちゃにするわけにはいかん…!どこにあるんだメモ用紙…!
そう必死に松葉杖をつきながらメモ用紙を探していると、付近にあった電信柱から白い紙がひらひら舞っているのを見つけた
「にんじん、にら、豚のひき肉…あったよ!樹ちゃん!」
「本当ですか!…これです!ありがとうございます!」
・・まったくお礼を言われる立場じゃないんだけどね、僕。
余所見して、ぶつかって、メモ紙を紛失させて……害悪すぎないか?僕?
「良かった、、もし紙が見つからなかったらどうしようかと…」
「?どうかしましたか?」
「…ううん、何でもないよ。ただちょっとホッとしてただけだから」
「は、はぁ。…とりあえず、何でもないのなら良かったです」
そう言いながら困惑混じりではあるが、にこりと微笑んでくれる樹ちゃん。
…いい子だなぁ
なおさら罪悪感がこみ上げてくるのを感じてくるのを感じるよ。
「あっ、そろそろ行きますね」
「あぁ、お買い物の途中だったもんね…って、そういえば僕も部室に戻らないと駄目なんだった」
「そうなんですね。なら、ここでお別れになりますね」
「うん、そうなる―」
・・待て、、ここで別れていいのか?
今のところ僕が樹ちゃんにやった酷いことと、良いことの比率は3:1
樹ちゃんは許してくれていたとしても、このままでは僕の良心が……
よし、、ならば…
「いや、迷惑じゃなければ買い物に付いていかせてもらってもいいかな?」
「え?でも、部室に戻らないと駄目なんじゃ…?」
「…実は水曜日だけ部活動の時間が短めになってるのを忘れててさ。今日の部活はもうとっくに終わってるよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。だからもう大丈夫なんだ」
「いやでも、翔太さんをわざわざ私の買い物に付き合わせるには…」
「今の見た目からは想像できないかもしれないけど、僕料理得意なんだ。食材の目利きとかもできるから、少しは役にたつと思うよ?」
5,6年生の時は毎日僕が倉橋さんに料理をふるまってたし、味も倉橋さんから「料理人になれるんじゃないかな?」とお墨付きをもらっている。
「それに、今日は樹ちゃんに散々迷惑かけちゃったからね。このままだと僕の気がおさまらないから、少しでも罪滅ぼしをさせてほしいんだけど…どうかな?」
「・・そんなにおっしゃるのなら、、すみません。お願いします」
「お任せあれ…あ、そういえばもうそろそろタイムセールの時間だよ?豚のひき肉はタイムセールで買うってメモには書いてあったような?」
「へ?・・あ…」
「あはは、、まだ間に合うと思うし…少しだけ急ぎ目で行こっか?」
「はい…」
落ち込んだ様子で前をとぼとぼと歩く樹ちゃんを横目でチラリと一瞬見たのち、すぐさま携帯を操作して、勇者部部長にメッセージを送る。
『少々用事ができてしまったので、現地解散させてもらいます。だいぶ自分勝手ですが、すみませんm(__)m』
『これまた急ね…まぁ、わかったわ。あたしから二人にも伝えておくわね』
『ありがとうございます!』
『はいはい。あんたはいろんなことにだいぶ巻き込まれやすいんだから、気をつけなさいよ~?』
…風先輩から見た僕って、そんな色々なことに巻き込まれて見えるのか…?
特に心当たりがないからわからないけど、さすがにあの三ノ輪銀ちゃんほどではないと信じよう。
「翔太さん?」
「あっ、ごめんね。すぐ行くよ」
急いで携帯をポケットにしまって、代わりに松葉杖を手に握る。
・・普通の中学生にとって携帯は馴染みやすい、相棒のような物のはずなのに、僕の場合はこの松葉杖のほうが手に握った際に馴染むんだよなぁ。
すっかりと己の体の一部になってしまった杖に苦笑しつつ、樹ちゃんの横に並んで歩く。
しかし、目的地までの道中、
「学校生活はどうだい?男の子とも少しは会話できるようになったかな?」
「は、はい!翔太さんのおかげで、前に比べて、少しだけなら会話できるようになりました!」
「そ、そっか」
「はい…」
「・・・・・」
「・・・・・」
話が続かない…。
よく考えたら樹ちゃんと二人だけで話したことなかったな…いつも間に風先輩がいたから。
世間話をしようにも、風先輩混じりで話しをする時に世間話ばっかりしているせいで、ネタがもう尽きてしまった。
そうして、何か話しのネタはないかと思考を巡らせるも、その思考は他ならぬ樹ちゃんの言葉で中断された。
「あの…せっかくこうしてお姉ちゃん無しで会話する機会が設けられているので、一つ聞きたいことがあるのですが…」
「え?聞きたいこと?」
「はい。お姉ちゃん無しでお聞きしたいこことがあるんです…もしかして、駄目ですか?」
「いや!全然そんなことないよ!」
「本当ですか?良かった…」
樹ちゃんがあまりにも悲しげに瞳をうるわせるため、思わず声を少し大きくしてまで否定しちゃったけど…何だろう?
「ところで、聞きたいことって?」
「あっ、はい。えっと…お姉ちゃんと翔太さんが所属している部活のことなんですけど…」
「?勇者部について?」
「はい。近々、私もそろそろ中学一年生になるわけなんですけど、、入学した際にはその、『勇者部』に入りたいなと思っていて…」
・・樹ちゃんが勇者部に?
「…なるほど。でも、何でその話を僕なんかにしようと?」
「実は、お姉ちゃんが率いている部活がどんな風なのか気になってて…でもお姉ちゃんに直接聞くのは何だかちょっと恥ずかしくて…」
確かに、血のつながった家族より、僕のほうが聞くには適しているかもね。
それなら僕にたずねるのも納得だ。
「ということは、勇者部に入りたいことを風先輩にはまだ言ってないの?」
「はい。まだ言ってません」
「・・そうなんだ」
―妹思いの風先輩がこのことを知ったら…いったいどう思うのだろう
「…勇者部はいい部活だよ。何しろ、風先輩が部長だからね。部員も全員いい人達ばかりで、、僕は大好きだよ、勇者部」
「そうなんですね…何か、翔太さんがそう楽しそうに話しているのを見ると、、自分ごとのようにうれしくなります」
「それはお姉ちゃんのことをしっかりと思ってる証拠だよ、樹ちゃん」
「そ、そうですか?」
「うん。少なくとも風先輩と樹ちゃんのやり取りを見た僕はそう思うよ?」
「・・人からそう言われると、何だかちょっとむず痒く感じちゃいます」
「あはは、ごめんね?」
「いえ、大丈夫です…」
樹ちゃんと風先輩の家族仲は、見ているだけで心が暖かくなる
姉思いの優しい妹、妹思いの優しい姉
お互いがお互いを支えあっている。
二人の関係こそが、まさしく『家族愛』というのだろう。
・・そんな二人を見ていると…少し、『羨ましいな』なんて思ってしまう
もし、自分に兄弟がいたら、、
そんなありもしない空想をしてみたりするほどに、二人が羨ましく見えた。
「風先輩のこと、本当に大事に思ってるんだね、樹ちゃんは」
「…はい。たった一人の、心強い、大切なお姉ちゃんです」
「そっかそっか…こんなに思ってくれてる妹さんがいて、風先輩は幸せものだね。少し羨ましいよ」
女神のような微笑みを浮かべて話す樹ちゃんに、同じく笑みを浮かべて話す。
…笑みは笑みでも、僕の場合はにへらとした、汚い微笑み方なんだろうけど
「そんなことないです…それに、私はもう『思うだけ』じゃ嫌なんです」
「・・『思うだけ』は嫌…って?」
「実はお姉ちゃん、最近難しそうな顔をしていることが増えてるんです。それに、、何だか誰かと電話で話していることも増えてて…」
・・よく見てるなぁ
そう感嘆の声をあげそうになるのを寸でせき止め、静かに頷くことで話の続きを言うよう促す。
「何だか、最近少し疲れてるように見えることが多いんです。だから…」
「たとえほんの少しでも、私はお姉ちゃんの力になりたいんです!」
・・今まで、樹ちゃんは少し気弱な、優しい女の子だと思ってたけど…大間違いだったんだね
だって、
ただの気弱な女の子は、こんな『覚悟』に満ちた目をしないはずだ。
「あ…す、すみません!勝手に熱くなっちゃって、、恥ずかしい「恥ずかしくなんかないと思うよ」…え?」
「少なくとも、僕はそう思うな。大切な家族の力になりたいなんて、むしろどこに恥じるところがある?」
僕だけじゃなく、100人に聞いてもみんな僕と同じ意見だと思うよ。
「・・翔太さん…」
「頑張ってね、樹ちゃん。大して力になれないだろうけど、何かあったら相談でも何でものるからさ」
「…はい!ありがとうございま「でも、一つだけ気を付けてほしい」え?」
「一人だけで突っ走らないでね?」
どこぞの赤髪幼馴染みたいに
―ピンと張った糸ほど切れやすく、切れる勢いも強くなる。
相変わらずの駄文なだけでなく、ヤンデレが今回0となっておりますが、時系列的にそろそろ畳み掛けれそうかなと思います。
もうすぐ、風先輩が三年生、友奈・東郷・翔太が二年生、そして樹ちゃんが入学いたします。
・・つまり……後は察してくださるとうれしいです(^_^;)
誤字報告・感想等ありましたら、気兼ねなくお申し付けくださると幸いですm(__)m