花のように可憐で…   作:Black History

8 / 14
やみかぜさん、肴島さん、幽牙さん、
評価ありがとうございますm(__)m

少々リアルの方で一悶着ありまして、、投稿が遅くなりました……申し訳ないです

日を空けて小説を書いたので、いつも以上に至らない部分があると思いますが…とりあえず本編に入ります。

前回がヤンデレ成分多めだったため、今回はヤンデレ無しです…多分。

とりあえず、、どうぞ。



活動

 

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

「行ってきます!」「行ってきます」

 

そう友奈のお母さんに挨拶をして家を出るやいなや友奈が僕の手を取り、美森ちゃん宅まで駆け出す。

 

 

「早い早い…僕がどれほど体力が無いか知ってるだろ?友奈さんや?」

 

「だって東郷さんが待ってるんだよ?もうすでに少し待たせちゃってるし…少しでも早く行かないと!」

 

「誰かさんが中々起きなかったからね」

 

友奈が朝に弱いのは知っているため、そこについては責める気はない

 

 

だが……僕へ抱きつきという名の拘束行為をしてきたため、今回は別だ。

 

友奈は起きないわ、僕は動けないわ、、そのせいでいつもより時間が押してるんだよなぁ?

 

 

 

・・寝言で、僕の名前を呼ぶたんびに友奈の抱き付いてくる力が強くなってて、蛇かなんかかと思ったのは内緒だ

 

 

「・・と、とりあえず!早く行こ!」

 

「…はぁ。何言ってんの、もう東郷さんの家の前まで来てるじゃん」

 

少々美森ちゃんの家に無礼だが、松葉杖で『東郷』と書かれた表札を指す。

 

「へ?あ、本当だ…」

 

「・・別にもう気にしてないよ。だから早く東郷さんを迎えに行こう?」

 

「うん、、そうだね」

 

「僕はちょっとチャイム押しにくいから、任せていい?」

 

「もちろん!任せて!」

 

「…そんな胸を張って言うほどのことじゃないだろう?」

 

というか僕に胸を張っている暇があったら、さっさとチャイム押してくれ…

 

 

 

 

ガチャ!

 

 

「・・・・」

 

「「あっ…」」

 

友奈とそんなやり取りをしていると、美森ちゃん宅の扉が勢いよく開き、住人の東郷美森様が姿を現した。

 

 

 

・・彼女の後ろに般若の姿が見えるのだが、、気のせいだろう

 

 

「いつもよりちょーっと、ちょーっと遅いんじゃないかしら?二人共?」

 

「あ、いや、えっと、その…」

 

「言い訳無用よ?友奈ちゃん?」

 

「・・はい…」

 

 

顔は満面の笑顔なのに…すごい圧だ

 

しゅんとしてしまった友奈を尻目に美森ちゃんを眺めながら考えていると、今度はこちらに振り向いてきた。

 

 

「翔太君も翔太君よ?」

 

「ごめん東郷さん。ちょっと朝に友奈と昔話で盛り上がっちゃって…ね?」

 

「え?あ、うん」

 

アイコンタクトで友奈を僕の話に乗るよう合図を出す。

 

…自分の行動で相手を怒らせてしまった時のベストな行動はただ一つ

 

 

「とにかく、、ごめんなさい」

 

 

『誠心誠意を込めて謝る』

それ以外にないだろう。

 

 

「・・はぁ…分かりました、今回は許します。その代わりに今度からはちゃんと気を付けてね?」

 

「ありがとう。東郷さん」

 

「さぁ、早く行きましょう」

 

「そうだね、、行こうよ友奈」

 

「翔ちゃん…!」

 

救世主を見るような目でこちらを見てくる友奈にウィンクで返す。

 

…男のウィンクに需要は無いだろうが

 

 

「それじゃあ…押すね?東郷さん」

 

「えぇ、ありがとう友奈ちゃん」

 

「よいしょ。良い天気だね~今日も」

 

「そうね…小鳥の声も聞こえて、とても風情のある良い日だわ」

 

「(ここだけ聞いたら、ご老人方の会話だと思っちゃいそうだな…絶対そんなこと二人に言えないけど)」

 

通行人の邪魔にならないよう、二人の横に並ばず、後ろに連なって歩く

松葉杖は幅を取るからね…三人横並びだと道を塞いじゃって良くない。

 

 

二人が会話しているところを眺めていると、昨日あんなことがあったせいか友奈の方に目線がいってしまう。

 

 

「勇者部楽しみだね~!」

 

「部活動もいいけど、授業もちゃんと真面目に受けないと駄目よ?」

 

「わ、わかってるよー!」

 

「本当かしら…」

 

 

・・とても、あんなことがあった後とは思えないほど、いつも通りの友奈だ

 

まったく、どこにも変わった点は見受けられない『結城友奈』そのものだ。

 

 

―なら…あの日といい、昨日といい、、あの目の友奈はいったい…?

 

 

「?翔ちゃん、私に何かついてる?」

 

「え?いや、別に…何で?」

 

「後ろから翔ちゃんの視線をすごく感じたから、何かおかしなところでもあるのかなって思ったんだけど…」

 

…いくらなんでも露骨に見すぎたか

 

「特に変なところは無いよ。大丈夫」

 

「なら良かったよ~。寝癖でもあったら恥ずかしいからね~」

 

「あはは…」

 

 

 

・・よく分からない、よく分からないけど……友奈はいつも通り接してくるんだから、僕もいつも通り接してあげないと

 

もしかしたら何か嫌なことがあって、あぁなったのかもしれないし…うん。

 

 

 

そんなことを心に決めつつ、前を歩く二人について行くのだった

 

 

 

 

 

 

 

放課後ーーーーーー

 

 

「さーて!みんな揃ったわね?」

 

「はい!ところで風先輩…今日はいったい何をするんですか?」

 

「今日は…捜索願いが届いている子猫ちゃん達を探しに行くわ!」

 

放課後になり、勇者部の活動が始まる

どうやら今日は迷子の猫探しらしいが…三件もあるのか。

 

「ちょうどここには四人いるから、二人ずつペアで探しましょう」

 

「なら友奈と東郷さん、僕と風先輩でいいですかね?風先輩?」

 

「そうね、そうしましょうか。ちゃんと車椅子、松葉杖の二人も分かれてることだし…二人もそれでいいかしら?」

 

「了解です!よろしくね!東郷さん」

 

「ええ、よろしくね。友奈ちゃん」

 

美森ちゃんと風先輩で組むのもありなのだが、車椅子のサポートは友奈の方が慣れているだろうし、美森ちゃん的にもいつも一緒にいる友奈の方が安心できるだろう。

 

「それじゃあ、五時半までに部室へ戻ってきてくれればいいからね」

 

「分かりました!よーし、さっそく行こう!東郷さん!」

 

「そうね。それじゃあ翔太君、風先輩、お先に失礼しますね」

 

 

そう言いながら部室の扉を開けて出ていく二人を風先輩と一緒に見送る。

 

「友奈は元気いっぱいで活発なのに、東郷はすごく落ち着いておしとやかねぇ…さしずめ、大和撫子かしら?」

 

「友奈にはもう少し落ちつきを持ってほしいですけどね。あのやる気が空回りしなければいいんですけど…」

 

「まぁまぁ、アタシ達もとりあえず行きましょう?二人に任せっぱなしじゃ申し訳ないわ…一人で立てる?」

 

「あはは、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ?こう見えても案外一人で動けますから…っと」

 

 

幸い両腕とも自由に動かせるし、見た目以上に不便はないんだよな

 

こちらを気遣ってくれた風先輩の優しさに苦笑しつつ、壁に掛けておいた松葉杖を使って椅子から立ち上がる。

 

「・・その…ごめん」

 

「?別に嫌なんて思ってませんよ?ただ…まだ会って日の浅い先輩にまで心配かけてる自分が恥ずかしいって思っただけです」

 

部室の扉を開けたのち、風先輩の方に振り向いてそう話す。

僕が苦笑してたのを見て勘違いしちゃったのだろう。申し訳ない…

 

「…本当?」

 

「逆にこの状況で嘘つくと思います?それよりも早く行きましょう。少しでも子猫ちゃん達を見つけて、飼い主さんを安心させたいです」

 

「そ、そうよね!善は急げ、飼い主さんのためにも早く行きましょう!」

 

「頼りにさせてもらいます、風部長」

 

「まっかせなさい!」

 

 

 

 

・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

 

 

「全然見つからない…」

 

「大丈夫です、そういう日もありますよ。だから落ち込まないでください」

 

「あんなに見栄張って、部長としての威厳が…穴があったら入りたいわ…」

 

「・・『女子力』でしたっけ?」

 

「やめて…」

 

僕の言葉で両手で顔を隠し、風先輩がいよいよその場に座り込んでしまった

 

 

確かに『アタシの女子力に任せなさい!』と大見得切ってこの結果じゃあ恥ずかしいだろうね…

 

 

 

かける言葉が見当たらず、ただただ苦笑いを浮かべていると、ふいに近くにある草むらが少し揺れ動いた。

 

 

・・ん?あれって…もしかして?

 

 

「そーっと、、そーっと…」

 

「どうしたの翔太…って!その子猫はもしかして!」

 

「よしよし…捜索願いが来てた子ですね。首輪もしっかりついてます」

 

猫の首もとには確かに飼い猫の証である、黄金色の首輪が装着してあった。

 

『エリザベス二世』…すごい名前だな。二世がいるなら一世もいるのかな?

 

「ナイスよ翔太!よーしよし、怖くないからねー…あいたっ!?」

 

「…初めてネコパンチというものを生で見ましたよ、僕」

 

「んなこと言ってないで猫を抑えるの手伝って!!あいたっ!!」

 

「あぁ、すみません。すぐ行きます」

 

 

 

そのあと最終的に僕の頭に乗せることで猫はおとなしくなり、そのまま飼い主さんのもとに無事送りとどけられた

 

・・風先輩がぐったりしているのに、『無事』とはこれいかに。

 

 

本日何度目かの苦笑をしたのち、右腕に着けている腕時計に目をやる。

 

 

「そろそろいい時間ですよ、風先輩」

 

「…あっ、もうそんな時間?なら学校に戻って、二人と合流しましょう」

 

「了解です」

 

そんなやり取りを皮切りに、風先輩との間に静寂が訪れる

お互いに疲れているのもあるため、そのような静な時間が訪れるのも仕方ないと言えるだろう。

 

 

風先輩の足音と松葉杖が地面をつつく音が静寂な空間に響く

 

 

 

―しかしその空間は不意に風先輩が放った呟きによって崩れ去った

 

 

「あのさ……少し気になったんだけど、翔太って兄弟とかいたりする?」

 

「えっ、兄弟ですか?」

 

「姉とか兄とか弟とか…妹、みたいな兄弟って翔太はいる?」

 

『兄弟』?

いたら良さそうだなって、幼いころに考えたことなら何回かあったけど、、

 

「いませんよ?」

 

「・・そうなんだ、、意外ね。翔太って何人か兄弟を持っててもおかしくないぐらいしっかりしてるけど…」

 

「僕ってそんな風に見えますかね?」

 

「えぇ。面倒見のいい兄って感じね」

 

 

言葉だけ聞くと何の違和感もない、ごくごく一般的な雑談に見えるかもしれないだろうが…

 

 

「風先輩、余計なお節介かもしれませんが…何か兄弟関係で困ったことでもありましたか?」

 

「・・え?」

 

あまりにも風先輩の笑みが辛そうで、思わずそう訪ねてしまった。

 

 

…昔の友奈以来だ、そんな悲哀が込められた笑顔を見たのは

 

 

「僕に兄弟のことを聞いた際、妹がいるかどうかの所だけ少し強調されてましたよね…ということは妹さんのことで何か?」

 

「!…鋭いわね、翔太って」

 

「風先輩の表情と声色を聞いていたら大体分かりますよ?」

 

「そう?これでも隠してたつもりだったんだけど…バレバレだったのね」

 

表情はともかく、声色は意識しないと気づかないぐらい僅かな変化だったから、バレバレだった訳ではないんだけどね。

 

 

「僕は風先輩とそこまで仲がいいわけではありませんが…だからこそ言えることもあると思いますよ?」

 

「確かにそうだけど…」

 

「無理強いはしません。今言うのが嫌なら、気が向いた時にでも声かけてくだされば相談に乗ります」

 

 

 

 

「『悩んだら相談』ですよ、風部長。いつでも受けますからね?」

 

 

抱えこむのは一番良くないからね…

ちなみにソースは僕の幼馴染です。

 

 

「・・・・」

 

「さっ、行きましょう。少しここから学校までは距離がありますけど、、時間内には間に合うと思います」

 

話交じりに歩きながらでも…ね

 

 

「・・なら…ちょっとお話しない?」

 

「・・もちろん。喜んで受けますよ」

 

 

・・・『鳴かぬなら、鳴くまで待とう、ホトトギス』ってね。

 

無理強いはむしろ逆効果になっちゃう可能性があるし…そもそも無理やり聞き出すのが好きじゃないってのもあるんだけど

 

 

 

 

 

 

風先輩の相談内容は予想通り、先輩の妹さんのことについてだった。

 

 

内容を要約して言うと、妹さんを危険なことに巻き込みそうになっているらしく、そのことに関してどうすればいいか悩んでいる…とのことだ。

 

 

 

「風先輩は妹さんをどうしたいんですか?やっぱり止めたいんですか?」

 

「…できれば止めたいわ。世界で一人だけの大事な妹なんだもの。当然巻き込みたくないわよ」

 

 

・・妹思いなのはいいことなのだが…先ほどから一つ気になる言葉がある。

 

 

「・・あの…風先輩?『巻き込む』っていったいどういうことです…?」

 

「え?…あっ……いや、その…」

 

少し口ごもる風先輩を見るに、わざとではなくうっかり言っちゃったようだ

出会ってから日が浅いとはいえ、所属している部の先輩が危険な事に首を突っ込んでいるなんて聞き捨てならない

 

 

口を開けて言葉を紡ごうとしては、ためらうように口を閉ざす風先輩。

 

 

 

 

―嫌な予感がした

 

 

 

「…一つ、、聞いていいかしら」

 

 

 

―予想できていたことだった

 

 

 

「・・何でしょうか」

 

 

 

―『二人が楽しそうだったから』…何てやっぱり甘い

 

 

 

 

「・・・『勇者』…この言葉にどこか聞き覚えないかしら?」

 

 

 

 

―風先輩その一言は、僕の今までの『もしかしたら…』を容易に切り伏せた

 

 

「・・・ありますよ…嫌なほどに」

 

 

 

 

―静かに、残酷な、【現実】を残して

 

 

 

 

『知らぬが仏』、『無知は罪』

 

 

 

どっちが正しいのでしょうか?

 

 




いかがでしょうか?

翔太君と風先輩の打ち解けスピードの早さは、互いに会話力があるからです
…どちらともいい子ですからね。

今回は投稿だけでなく、感想等も読んだりできていなかったのですが…感想をくださるとうれしく思います。

時にはニヤニヤしたりしながら読ませてもらっていますが…どうか気にせず、お気軽にお書きください。

・・間が空いたので、うまく書けたかすごく心配です…文才欲しいなぁ(切実)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。