笑わない提督   作:オマエモ

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艦娘の前で全く笑わない提督。
近海迎撃作戦 前編。



笑わない提督9

現在、我がじぇいこぶ鎮守府下の艦娘は

 

駆逐艦

電、白露、夕立、陽炎、朧、潮、磯波

 

軽巡洋艦

球磨、五十鈴、那珂、北上(雷巡)、大井(雷巡)、大淀

 

重巡洋艦

利根(航巡)、筑摩(航巡)、高雄、鳥海、青葉

 

戦艦

扶桑

 

軽空母、空母、潜水艦

なし

 

である。明石は指揮下にはないが念のためドックで待機してもらおうと思う。

敵艦隊群に広範囲爆撃できる空母や軽空母がいれば……

隠密性の高い潜水艦でアンブッシュや迅速な戦況の共有ができれば……

 

だが、ないものを悔やんだところでどうしようもない。

今いる皆でどうにかしなければ。

 

そこで考えた作戦はこうだ。

艦隊A、Bが白兵戦で敵艦隊を掻き乱し、

後方部隊が戦艦、空母に高火力の砲撃を叩き込む。

 

艦隊を4つ組む必要があるな。

艦隊A、B、後方部隊、遊撃部隊。

各艦隊の編成と作戦内容を決めて皆に通達した。

 

「艦隊A、北上、大井、朧、潮、陽炎。

北上と大井の雷撃の脅威で敵の数を減らしつつヘイトを稼ぎ、敵艦隊を掻き乱せ。朧、潮、陽炎は対空装備で敵艦載機への警戒を重視しろ。

 

艦隊B、球磨、那珂、電、夕立、白露。

那珂と白露が敵艦を引き付け、翻弄させろ。球磨、電、夕立でその隙を突いて敵艦を狩るのだ。

 

後方部隊、扶桑、利根、筑摩、高雄、鳥海、大淀。

扶桑、利根、筑摩、は水偵を飛ばしつつ敵大型艦を叩け、弾着観測射撃は無理かも知れないが水偵を飛ばしておけば敵艦載機の注意は引けるだろう。目標の選定は大淀に任せる。高雄、鳥海は艦隊A、Bを抜け出してきた敵を優先的に討て。

 

遊撃部隊、青葉、五十鈴、磯波。

艦隊A、Bと後方部隊の間で動いてもらう。艦隊A、Bを抜け出した敵を討つのがメインだが、艦隊A、Bで戦闘不能になったものが出た場合はその者を下がらせろ。その場合は五十鈴、磯波のどちらかに交代して入ってもらう。

 

戦闘不能になった者は青葉に曳航してもらってドックまで下がれ。青葉はドックから持ち場に戻る際、弾薬を積んで後方部隊に届けてやれ、下がった者は明石さんに応急修理してもらって再度出撃だ。その際補給は忘れるな。

 

以上が作戦内容だ。

…我が愛しきじぇいこぶ鎮守府の仲間たちよ、お前たちの力を私は信じている!

この国を護るのはお前たちだ!全艦、抜錨っ!!」

 

できれば、誰一人沈むことなく生還してほしい。

私にできることはお前たちを信じることだけ。

 

一人一人名前を告げる度に目を見て作戦を伝えた。

そして皆を出撃ドックから送り出したのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

艦隊A

北上チーム

 

「うひーいるいる。イ、ロ、ハにホ、ヘ級、リ級も居るよ、と」

 

ざっと見た感じ私たちの相手はイ、ロ、ハが10、ホ、ヘが5、リが4、ってところね。

 

「な、なんかその言い方、語呂がいいですね」

 

潮は私の言葉にツッコむあたり余裕はありそう。

奥の方にはヌ級が3、ヲ級が1、ル、タ級が2ずつ。

ヌ級、ヲ級の艦載機にさえ注意しとけばなんとかなりそうだ。

 

「敵艦載機も結構いるから貴方たち頼んだわよ、私も北上さんも回避行動をとって用心するけど、万が一爆撃が直撃するとヤバいから」

 

「はいよ、護衛は任せて」

 

「艦載機墜とすゲームね、目指せハイスコア!」

 

「か、陽炎ちゃん、ゲーム脳……」

 

潮だけじゃなく、朧も陽炎も結構余裕ねー。

とりあえず開幕ブッパ、キメちゃっとこ。

 

「んじゃーとりあえず殺っちゃいますか」

 

「っ喰らえ!私と北上さんの九三式、酸素ラブラブ天驚拳アターック!!」

 

雷跡は見えにくかったが、私と大井っちの放った酸素魚雷が敵艦隊に吸い込まれるような手応えを感じた。こちらに迫りつつあった敵駆逐艦、軽巡洋艦が半数ほど爆発四散、重巡リ級、小中破。

雷撃第一波でこの威力。こんなに強かったっけ?

 

「……すごっ」

 

「まぁ、大井っちと組めば最強よねー」

 

「さぁ、敵の艦載機が来るわよ、次発装填まで護衛なさい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

艦隊B

球磨チーム

 

敵勢力、駆逐艦14、軽巡6、重巡4、戦艦2、軽空母1、空母1。

まずは那珂と白露が先駆けていた敵水雷戦隊に急接近したクマ。

撹乱射撃しつつ高い機動力と被弾面積の小さな体で敵艦を翻弄する白露。

 

「イッチバーン!」

 

そしてこんな時でもあのテンションで、いや、いつもより高いテンションで敵を引き付けている那珂。

 

「みんな、ありがと~!」

 

軽やかにステップを踏みつつ雷撃をかわし、時折フニャフニャ気持ち悪い動きで砲撃を避けている。

アイツ多分「ジャングルの王者◯ーちゃん」見たなクマ。

 

「那珂ちゃん、動きがキモいけど凄いのです!」

 

「…ちょっと引くっぽい」

 

「………とりあえず、球磨は重巡の方を相手してくるから、その間に電と夕立は白露と那珂に引き付けられているヤツらを仕留めるクマ」

 

「分かったっぽい!」

 

そう言って夕立は那珂の方へと飛び出していった。

電は一度こちらを見て球磨にエールを送ってくれたクマ。

 

「球磨さん、どうかお気をつけて、なのです」

 

「そっちもなクマ~」

 

空母の爆撃は動き回って捕捉されないようにして、戦艦には近づかなければ被弾することはないだろう。

ただ敵の数が数だから、弾薬は節約しないと…

 

お!いいところに手頃なイ級が接近してきたクマ。

 

「クマっ!!」

「!?」(鷲掴みされるイ級)

「お前が魚雷に、なるんだクマ~っ!!」

「ッ!!」(投げ飛ばされるイ級)

ーーリ級に命中、critical!

「ストライークッ!」

 

我ながら見事なスローイングだったクマ。

提督は見ててくれたクマ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

遊撃部隊

青葉チーム

 

 

ーーーちょ、顔は止めて~、か、顔は……!顔はヤメロォ!!

ーーーな、那珂ーっ!!

 

 

 

「あ、那珂が被弾したようね」

 

「え!那珂さんの被害は?」

 

「中破ってところかな」

 

「なるべく大破する前に交代したほうが良さそうですね……」

 

「じゃあ、五十鈴が那珂と交代するわ!同じ軽巡同士だから」

 

「それでは那珂さんの方へ急ぎましょう」

 

青葉たちは前線部隊と後方部隊の間で撃ち漏らしを撃破する役目がありましたが、敵は今のところ前線部隊を抜け出せていないようでした。

なのでもう1つの役目を果たすことにしましょう。

 

「……あの、青葉さん、その首から提げてるカメラ…」

 

「あぁ、これですか?艦隊新聞に使えそうな写真を撮ろうと思って…」

 

「あなた、一応これは鎮守府の存亡を懸けた戦いだって提督が言ってたでしょ…」

 

「あはは、皆さんのモチベーションの高さについ…」

 

「たく、しょうがないわね…ホント」

 

「…いいなぁ、カメラ…」

 

五十鈴さんにはお小言をもらってしまいましたが、磯波さんはどうやらカメラに興味があるみたいですね。

この作戦が終わったら、カメラ仲間に誘ってみましょうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

後方部隊

???チーム

 

「なぁ、そう言えばこの部隊の旗艦は誰なんじゃ?」

 

「え?何ですか姉さん?」

 

「この艦隊の旗艦は誰なんじゃと訊いておる」

 

「……姉さんがいいと思います」

 

「………何を言っているのかしら、提督が艦隊メンバーを発表されたときのことを思い出してみなさい。

私が一番初めに呼ばれたでしょう?」

 

「……あの、提督は私に目標の選定をしろと仰っていましたよね?

つまり、私の指示に皆さん従ってもらうということでですね?」

 

「いやいや、でも大淀さんは客員でしょう?」

 

「いやいやいや、この場合は客員とか関係ないと思われるんですけどぉ?」

 

「私は姉さんがいいと思います!」

 

「ぉ、ぉぃ…筑摩…ヤメよ…!」

 

「……あ?」

「……はぁ?」

「…………」

 

「よ、よさぬかお前ら!吾輩が悪かったから…!」

 

「それなら利根さんに決めてもらいましょうか」

 

「え?何で?」

 

「それもそうですね…利根さん……あくしろよ」

 

「えぇ…、じゃ、じゃあ高雄で…」

 

「え!ちょ、私ですか!?」

 

「…チッ」

「…チッ」

 

「と、利根さぁん…」

 

「すまん、高雄…」

 

という流れがあり、この後方部隊の旗艦は高雄姉さんとなりました。

 

ふと思えば、提督が共に沈む覚悟があると仰ってくださった時から、今までにないほどのパワーが私たちの中に湧き上がってきています。

 

弱小鎮守府と評価されているはずの私たちですが、

おそらく、今この戦いで敗けるイメージが湧かないほどのパワーをこの鎮守府の艦娘誰もが身の内に感じていることでしょう。

それこそ戦いの中だというのに誰が旗艦かと割とくだらないことで揉める余裕があるほどに。

 

いや、くだらなくはないかも知れませんね、あれだけ私たちを想ってくださる提督の艦隊旗艦です。

提督により近い存在としてこの先、高雄型が旗艦を任されることになれば、こんなに名誉なことはないでしょう。

 

「高雄姉さん、頑張って!私もこの戦いで全力を尽くして提督の高雄型への覚えが良くなるように頑張るから!」

 

「そ、それもそうね。…皆さん、砲撃戦開始します!大淀さん、目標は?」

 

「くっ、…まずは艦隊A、北上さん側の軽空母からです」

 

「了解、よーく狙ってぇ…撃てぇ!!」

「せめてMVPをっ…!!」

「その艦、…もらったぁっ!!」

 

火を噴く主砲、瞬間、敵の軽空母ヌ級が跡形もなく消し飛んでしまいました。

皆さん、か、火力が信じられないことになってますね……。

 

「今のは私の砲撃よね?」

 

扶桑さんもさすがに驚いているようです。

 

「いや、今のは私のでは?」

「いやいや、今のはさすがに軽巡の砲撃じゃないでしょう」

「いやいやいや、提督との絆からくるアレがですね…」

「今のは私と姉さんの砲撃だと思います!」

「ち、ちくま~っ!!」

 

違った…。

この人たち、今度は誰が敵を討ったかで揉め出した…。

 

「み、皆さん、敵はまだ他にもいますから!」

 

「…チッ、大淀さん、早く!次の目標をっ!!」

「…えぇと次は…」

「あ、目標選べるからってフライングは駄目よ?」

「…チッ」

 

「ーーな、なかよくみんなでうちましょーねー、たかおおねえさんとのやくそくだよぉ」

 

 

 

ーーーーた、高雄姉さん………。

頑張って………。

 

 

 

 




登場人物

斧田誠一郎

本人はシリアスなつもりで艦娘たちを送り出したのだが…

大井

普段はまともだが北上が絡むとおかしな人になる

磯波

カメラ好き

高雄

利根に旗艦(かんたいのおねえさん)にされてしまった

鳥海

高雄姉さんも良いが、たかおおねえさんも意外と好き

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