笑わない提督   作:オマエモ

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艦娘の前で全く笑わない提督。
遠征に手を出す。



笑わない提督11

「先の近海迎撃作戦により、我が鎮守府には資材がありません、よってしばらくは近海の哨戒もお休みします」

 

資材がない、そう、現在我が鎮守府には資材がないのだ。

いくら緊急の出撃だったからと言っても資材が枯渇する状況を作ってしまったのは私の普段の運営手腕が良くなかったからだろう。

精進しなければ。

 

「司令官さん、どうして敬語なのですか?」

 

「私の運営手腕の拙さを反省しているためだ。それに比べてお前たち全員はあの状況を見事に覆してくれたな、感謝している。その思いがつい言葉に出てしまったようだな」

 

いかんいかん、未熟な私でもこの鎮守府の長だ。態度には気をつけねば。

 

「電たちがあれだけ頑張れたのは司令官さんが応援しててくれたからなのです。司令官さんがいなければ今ごろここは瓦礫の山でした」

 

「…そう言ってくれて、嬉しいよ。電」

 

電たちの力だけじゃなかったと、私の存在のおかげだったと、そう言ってくれるのか。

やっぱり電は天使やったんやなって……。

 

執務室のソファに座っている電にエンゼルパイを出してやった。

 

 

見よ、「エンゼルパイなのです!」って言って嬉しそうに受け取り、ちょこちょこと食べ始めた電を!

ナデナデしてみたくなるが、その瞬間事案だと絵口さんが飛んで来るかも知れん。

わざわざ絵口さんの仕事を増やす訳にもいくまい。

 

 

「提督はご自身の手腕がと仰られましたが、元々は大本営から支給される資材が少なかった訳ですし、あんな事態を想定してなかったのは大本営ですから」

 

電と同じくソファで茶を飲んでいた大淀さんがそうフォローしてくれた 。

 

「あの、大淀さんがここに居座っているのはどうしてでしょうか?」

 

そして同じく、ソファで茶をしばく扶桑。

確かに今日は長くこちらに滞在しているようだが。

 

「ウフフ!皆さん、軽巡大淀、先の事態を受けてこの度戦列に加わることになりました!」

 

大淀さんは上着のポケットから封筒を取り出して中身をテーブルに広げて見せてくれた。

先の戦いでじぇいこぶ鎮守府への褒賞として大淀さんを所属させるという旨の辞令だった。

 

 

「褒賞ねぇ、どうせなら資材でも大量に寄越してくれれば良かったのに…」

 

扶桑がそう溢した。

そんなこと言うもんじゃない、と注意しようとしたが扶桑は続けて、

 

「元々、大淀さんはウチの一員みたいなものでしょう?…大本営も資材の運営が大変だったりするのかしら」

 

これには心がほっこり。

大淀さんもほんのり頬を染めた。

 

「コホン、提督、艦隊指揮、運営はお任せくださいね」

 

「大淀さん、改めてよろしく頼む。

大本営でも重宝されていた大淀さんの力でじぇいこぶ鎮守府を盛り上げていってほしい」

 

 

大本営といえば、今まで大淀さんがやっていた分の仕事はどうなるんだろう?

扶桑の言うように大本営が心配になるが……。

 

「大本営で私が担当していた分は、私が斧田提督の配下に加わると聞いた方たちが3名で分担して引き受けてくださることになりました」

 

良かった、大本営の方々も優秀な集まりだ。3名がかりならばさすがに大淀さんが空いた分もフォローできるだろう。

 

 

「早速ですが、資材運営の件で案があります」

 

「聞かせてほしい」

 

「遠征をしましょう。海上にはスポットと呼ばれる資材が湧いている場所があります。

先の戦いで見た我が鎮守府の水雷戦隊の実力があれば安全に資材を獲得しにいけるでしょう」

 

資材を獲得する方法に遠征があったのは知っていたが、近海の哨戒よりも航続距離が長く必ずしも安全とはいえないことからやってこなかった。

だが確かに。

 

那珂は被弾してしまったが、あんなに大量の敵に囲まれることがないように警戒しながらならよっぽど大丈夫だと思われる働きをウチの娘たちはしていたようだし。

 

「遠征にも資材は必要だろう?遠征可能になるまでどれだけかかる?」

 

「そうですね、今ある資材でもいけないことはありませんが、今回は2艦隊遠征に出してみましょう。2日ほどお休みして余裕を持って開始するのが良いかと」

 

「そうか、ありがとう大淀さん。球磨、北上、大井を呼んでくれ」

 

「……大淀と呼んでくださって結構ですよ、提督」

 

「う、うむ……」

 

妙に迫力のある真顔で言ってきた大淀から視線を逸らしてエンゼルパイをもぐもぐしている電を眺めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

球磨型の部屋で球磨姉さんと北上さんとでゆっくりしていると呼び出しがかかった。

執務室に行くと遠征を頼まれた。

軽巡装備にして水雷戦隊で資材の回収が目的らしい。

 

「じゃあ、私チームと北上、大井チームで編成するクマ」

 

さすが球磨姉さん、私と北上さんを一緒にしてくれるようだ。

 

「まぁ、大井っちがいるなら駆逐艦の面倒は頼めるしね」

 

き、北上さん!それは将来私と北上さんの間に子供ができても(※できません)私なら世話を頼めるということなのね!?

 

「駆逐艦の部屋に行って声をかけるクマ」

 

私たち三人は駆逐艦の部屋まで行くことにした。

駆逐艦の部屋からは朧ちゃんたちの笑い声が聞こえている。

 

『アッハッハハハ!も、もう一回!』

『す、すごい』

『に、似てるっぽい』

『えぇ、もう一回…?』

『イッチバーン!』

『頼むよぉ、後生だからよぉ、もう一回!』

 

「いつも元気だねぇ、駆逐艦どもはーーー」

 

そういいながら、北上さんは駆逐艦の部屋のドアを開けた。

 

 

 

 

「北上さん、」キリッ!

「か~ら~の?」

「マンジ」キリリッ!

「ワハハハハッ!」

 

磯波ちゃんが北上さんのポーズを真似してた……。

その後アレンジまで。

北上さんと目が合う磯波ちゃん、それに気づいた駆逐艦の娘たち……。

 

「アッ……」

「」

 

「どうした、続けろ?」

 

「」

 

 

無表情の北上さんもステキッ!!ハァハァ…

……あと北上さんの物真似する磯波ちゃんもわるくないじゃない、怯えたようなカオもハアハア。

 

 

 

ここはとりあえず磯波ちゃんのクオリティに免じて許してあげるわ。

 

 

 

 




登場人物

斧田誠一郎
執務室にエンゼルパイを置いていることが発覚する。


エンゼルパイなのです!

大淀さん
斧田の戦列に正式に加わる。

扶桑
資材が少ないから出撃できない。→執務室に入り浸る。

球磨
北上、大井のコンビを信頼している。

北上
駆逐艦からは以外と人気なおさげ髪。

大井
この後自分の艦隊に磯波を要求した。


磯波に北上の物真似をさせた。

磯波
わりとノリノリで北上物真似を披露しちゃうおさげ髪。

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