笑わない提督   作:オマエモ

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艦娘の前で全く笑わない提督。彼の周辺人物からみた視点。

※このお話も艦娘はちょこっとしか出てきません


笑わない提督(別視点)

海軍養成施設のとある元士官候補生

 

 

え、斧田誠一郎くんについて?

彼は勉学も体術も非常に熱心に取り組んでいた優秀な士官候補生だったよ。

 

最初の頃はあのユニークな見た目で話しかけるのに戸惑ってたけど、日頃の鍛練を人一倍真面目にやる彼を見ていて皆、感心しはじめていったんだ。

女性士官候補生からは避けられることが多かった、いわゆるモテなかったし本人もそれをネタにしてる節があったっけ。んで提督なったらハーレムだーって(笑)

 

でも同期のやつらは皆、彼を頼りになる男だと慕っていったのさ。

もちろん僕もその一人だよ。

 

 

そんな彼をことを聞き付けた波羅田大将(現元帥)がわざわざ養成施設まで通って、直々に、指導していたよ。

その後でどんな指導を受けたのか気になっていた僕たちにも教えてくれていたんだ。

 

そして彼は修了まで3年かかるカリキュラムを1年で終わらせて波羅田大将の部下として士官になった。

 

そうだな、彼はエリートだよあの顔で(笑)

でも絶対ビッグな男になる。そんな気がするよ。

 

 

 

 

波羅田元帥

 

 

斧田くんかい?

彼との出会いについて?

 

あれは確か、養成所の視察に赴いた時だな。

授業の様子を見ていた時、隣にいた香取から彼のことを聞いた。

どんなヤツだろうと教室を見回して一目で分かったよ。

あぁ、こいつかなって。

フレッシュな少年、少女の中に一人、まるで薄いほn…ごほんごほん、ぱっと見悪人面の彼が居た。

 

その時の俺は彼を見た目で判断してしまっていた。

こいつは提督になっちゃいかんヤツだと、

もしなってしまえば部下の艦娘に不当を働く、提督と艦娘と海軍の名を汚す輩になる、と。

 

だから俺自ら彼に無理難題な課題を与えて落第させようと考えた。

 

詰み将棋から過去の海域開放シミュレーション、俺の部下の報告書、始末書の作成、整理。

俺が次に来る1週間でやれ。って感じでね。

え、最後の…?…はははジョークだよ、鳳翔…ツ。

 

でも彼はやり遂げた。そこから週に1日は養成所に行って彼に課題を与え続けて終いにゃ香取に

 

「彼に養成施設で教えられることはありません、人手不足に備えて早く現場にまわってもらいましょう」

 

って言われたなぁ。だからとりあえず俺の手元に置いて目を光らせておこうとした。

本営の下っ端に所属させて初めは横須賀で俺の執務を手伝わせてた。

 

そういや、ウチのゴリさん(長門)にすごくなついてたな。

ゴリさんは気難しいところがあるけどアツくて良いヤツなんだ、

彼女に認められるとなると不貞を働くヤツはよっぽど無理だろうしな。

その頃になるとうすうす気づいていたよ。彼は普通に仕事ができる有能なヤツだって。

 

本営での会議の後の飲み会でうっかり同期のやつらに彼のことを話してしまってね、みんなウチに貸し出せって…。

研修の名目で彼は各鎮守府と本営を行ったり来たりしてたよ。

彼のサポートのおかげでなぜか俺の株もだいぶ上がってねぇ、気づいたら元帥のイスに座っていた訳よ。

 

んで若いっていってもさすがにしんどそうだと思ってたところに新鎮守府の話が立ち上がったから

彼を提督に推薦したんだ。

 

正直にいうと、俺の使えるこm…ごほんごほん部下として執務の肩代わ…手伝いを続けてもらいたかったがね。

………ちょ、ほ、鳳翔…ッ!ジョ、ジョークだって

ーーーーアッ!!

 

 

 

 

絵口信二憲兵

 

 

俺は今日、このじぇいこぶ鎮守府に派遣された。

憲兵となって初めての鎮守府着任だ。

憲兵が鎮守府に着任するというか鎮守府の担当になったというか。

 

俺には歳の離れた腹違いの妹がいる。妹は艦娘が大好きらしい。

そんな妹が言っていた。

 

「艦娘を大事にしないクソ提督ってのがいるらしいわ! ねぇクソ兄貴、あんたが憲兵になってそんなクソ提督から艦娘たちを守りなさいったら!」

 

口調が美しくないぞ妹よ、しかし分かった。お前の望みは俺の望み。

だから俺は憲兵になった。

鎮守府を綺麗にしてやる。

まぁ、このじぇいこぶ鎮守府は新しく建てられたとのことで非常に綺麗だ、俺の詰所も新築で綺麗だ。

うん、好ましい。

綺麗なのは良いことだ、身の回りを綺麗にしておくことで清廉な精神は育まれる。

 

このように美しい鎮守府の担当になれて運が良かった。

まぁ美しくなければ、俺が綺麗にするだけだが。

この美しさを保っていくのも俺の仕事だろう。

 

 

これからの仕事に思いを馳せていると門前に白い提督服を着た小柄な男が立っていた。

おそらく彼がこの美しい鎮守府の長となる斧田誠一郎なる人物だろう。

聞けば士官候補生時代に現海軍元帥の一人に引き抜かれた逸材らしい。

まずは声を掛けておかねば、

 

「お待ちしておりました。」

 

そこで彼の顔を初めてはっきりとみた。

 

「斧田…、斧田提督ですね。」

 

太めに薄くつながった眉、三白眼に濃いくま、四角い鼻に分厚い唇、ヒゲ、ケツアゴ。

それぞれの顔のパーツの組み合わせが美しくない!

 

「!、はい!新しく提督着任の辞令を受け、参りました。斧田誠一郎です」

 

不細工な外見とは裏腹に良い声と美しい所作だなぁ。

人は見かけで判断するなと妹も言っていたし。

まぁ憲兵としてこの男の素行はしっかり見極めねば、な。

 

「自分はじぇいこぶ鎮守府担当の憲兵、絵口信二であります。」

 

無難に自己紹介を済ませると斧田提督はこう続けた。

 

「絵口さん、と呼ばせて頂きますね、これから国の為尽力していく所存です。一緒に協力して頑張っていきましょう」

 

薄気味悪い笑みを浮かべながら、斧田提督は手を差し出してきた。

これは、…もしや、

 

「おれたちゃアミーゴだ!おれの国としてこの鎮守府は好き勝手するから、手ぇ組まねえか?アミーゴォウ!」

 

ということなのか、やはりこの男、斧田はクロだ!

そしてこの男を引き抜いたとされる元帥は芋づる式にクロ!

なんてことだ、海軍の腐敗の根は深いところまであるってのか!!

そして俺一人でこの巨悪に立ち向かえるのか?

くっ、弱気になるな!こんなとこで挫けてしまえば、また妹に俺の尻を蹴り上げられてしまう。

できるだけ腹に力を込めて俺は声を絞り出した。

 

「分かっているとは思うが、国から賜りし艦娘への不当な扱いを確認した場合は容赦なくしょっぴく」

 

「……」

 

男らしい啖呵を切る俺、美しい。

 

「……心得てます。…では。」

 

そう言って斧田は玄関口へと向かって行った。

俺は負けない、艦娘は必ず守る、守ってみせる。

そうだろ、妹よ。

アツい決意を瞳に宿して斧田の背中を見送った。

 

玄関口にはいつのまにか立っていた小さな艦娘が斧田に敬礼をしていた。

彼女が斧田の初期艦か、見た感じ妹と変わらない年頃の女の子みたいだな。

そう思うと一層、クソ提督の魔の手から守ってやらねばという想いが強くなる。

 

 

その直後だった。斧田の前に立っていた小さな艦娘が膝から崩れ落ちた。

 

ーーーー本性を現したかっ!?

 

俺は全力で駆け出した。

 

 

 

「っ!ーーーー検挙-っ!」

 

 

 

 

 

 

 




登場人物


斧田誠一郎(26)
おのだ せいいちろう 男
初めはその容姿のコンプレックスから鎮守府ハーレムに希望を見出だし一途に己を高めて提督を目指した。
波羅田の計らいで鎮守府現場の提督と艦娘たちの働きを目の当たりし真っ当な提督を目指すようになる。
見た目に反し超純情。精神中学生(中二病ニ非ズ)


絵口信二(25)
えぐち しんじ 男
背の高いイケメン憲兵。実家はかなりの金持ち。
ある日父親が腹違いの妹だと言って連れてきた妹を溺愛している。
潔癖症、シスコンノ疑ヒ有リ。


波羅田太平(40)
はらだ たいへい 男
横須賀鎮守府の提督。本人は勘違いでと思っているが実際斧田を真っ当な提督道へと導いた。
普段はゆるゆるな昼行灯。配下の艦娘たちからの信頼は厚く、戦果もトップクラス。斧田のおかげで株が上がったとか言ってるけど大将クラスと斧田はその確かな実力を知っている。
鳳翔とケッコンカッコカリしている。



艦娘視点も書いてみたいです。
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