その日、とある場所に各鎮守府の青葉が集められた。
集合を掛けたのは舞鶴鎮守府の青葉。
「るついま」と書かれた腕章を付けた彼女が大々的にこう宣言した。
「大本営から公式に取材してほしいと頼まれました!」
普段から各鎮守府で艦娘たちに話題を提供するべく青葉たちはそれぞれ個人的趣味で青葉新聞なるものを発行していた。
鎮守府に住み着いた猫のほっこりする話から提督の嫁艦争奪戦の状況に至るまで、様々なネタで鎮守府のお茶の間を沸かしてきた(青葉談)彼女たちの頑張りが大本営の目にとまり今回の話が出たという。
「それで何の取材なのでしょうか!?」
集められた青葉の一人が舞鶴の青葉に質問した。
今回、大本営から各鎮守府の提督特集ページを担当してほしいと依頼があったとのこと。
各鎮守府の提督の情報を共有することで横の連携を強化することが目的らしい。
その話がまず呉、佐世保、横須賀、舞鶴、大湊の青葉に通達され、この青葉会の会長である舞鶴の青葉が各鎮守府の青葉に集合を掛けたのであった。
その日の青葉会の解散時、それぞれの青葉は自分たちの敬愛する司令官を存分にアピールするのだと奮起して各鎮守府へ帰っていった。
じぇいこぶ鎮守府の青葉もその中の一人だった。
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ある日、私の元に青葉がやって来て取材したいと言って私の写真を撮りにきた。
青葉は鎮守府内で個人的に新聞を発行している。
この取材したいというのもネタ探しの一環なのだろう。
国防のために頑張っている艦娘たちの趣味に付き合うのも提督としての務めだ、私は青葉の取材ごっこに応じた。
まずはセッティングだといって身だしなみを整えさせられたり、ポーズを取らされたり、はじめは少し緊張したが、まるでグラビア写真家のようにこちらのテンションをあげつつ写真を撮り続ける青葉に触発され私のテンションもおかしなことになっていた。
写真を撮り終わったあとの青葉は満足して帰っていった様子だったのできっと良かったのだろう。
青葉はもちろんだが、艦娘たちの息抜きとなるなら喜んで付き合う所存だ。
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青葉です、先日舞鶴の青葉から大本営公式で各自司令官の取材をせよと通達があったと発表されました。
おのおの、この取材で自分の司令官を自慢できるとやる気いっぱいです。
私も司令官を精一杯アピールしていきたいと思います。
私の所属するじぇいこぶ鎮守府の斧田誠一郎司令官は見た目は良くないですが、私たちに無理をさせることなく運用してくれています。電さんをはじめとする古参の方たちからの信頼は特に高いようで立派な方だというのは間違いありません。
実は私は、あまりお話ししたことはありませんが、この機会に司令官のことを知りたいと思います。
それではいってみましょう。執務室のドアをノックします。
「開いている。入りたまえ」
司令官のバリトンボイスが聞こえました。
緊張します。
失礼します、青葉です。
「よくきたな青葉、何か用事か?」
執務中でしょうか、書類の乗った机でワープロを打っていた司令官が顔を上げました。
薄くつながった太い眉、三白眼に濃いくま、四角い鼻、ヒゲ、割れた顎。
そして無表情です。ちょっと威圧感があります。
正直、ナ級より怖いです。
しかし、司令官は青葉によくきたなと言ってくれました。
勇気を出して取材を持ちかけましょう。
「ふむ、取材か、いいだろう。その前に何か飲むか?コーヒーとお茶どちらがいい?」
なんと二つ返事でオーケーが出ました。
しかも飲み物まで出していただけるとは恐縮です。
コーヒーでお願いします。
「青葉が艦娘たちに向けて鎮守府内で独自にエンターテイメントとして新聞を提供してくれているのは知っている。鎮守府を盛り上げてくれていて感謝する」
ありがたいお言葉です!
司令官はどうやら見た目に反して紳士的な方のようです。
司令官のお言葉を受けてこの取材に一層力を入れたいと思いました。
それでは早速取材していきたいと思います。
まずは写真をお願いしたいのですが。
「写真を撮るのか、…少し緊張してしまうな」
まずは一枚目、普通に撮りました。
……やはり残念な見た目をしてらっしゃるので、これでは司令官の魅力は伝わらないでしょう。
「まぁ、私が不細工なのは承知している。だが、私の運用を君たちが理解し信頼してくれていて、私は君たちを理解し信頼して信用している。私自身が持て囃されなくとも、それでいいのだ」
確かに、司令官の運用自体は私たちにとって無理もないし、鎮守府生活は特に苦もなく送れていますが司令官と積極的に接している方は電さんと扶桑さんだけですかね。
よその鎮守府では嫁争奪戦なるものがあるくらい司令官は持て囃されているようですが。
見た目が見劣りする司令官ですが、少しでも司令官を良く見せたいと私は思いました。
司令官の威厳を出した感じで写真を撮りたいです。
とりあえずこのサングラスを掛けて…。
「え、グラサン?……どうだ」
はい、お似合いですよ司令官!
うーん、強面感が強調されましたが、ないよりは良さそうです。
ひとまず司令官のモチベーションを上げておきましょう。
ここで写真を一枚。
さっきより良くなった気がします。もうちょっと雰囲気を出したいですね。
司令官、ひじ掛けに両腕のひじを載せて指を組んでください。足も組みましょう。
「……こう、か」
あー、いいですね。
もう一押し……司令官、ちょっと失礼します。
提督の上着のボタンを外して、………お、司令官、意外とイイ体シテんねぇ。
ちょいワル感……、いや、なんだか映画に出てきそうな大物感が出てきましたよ。
「そ、そうか…」
タバコを咥えてみてください。
いいですよぉ、司令官!渋い!!
「ふ、こんな感じか?」
あー、いいですね!!
何かワルっぽい台詞をお願いします。
「ヤツの土手っ腹に風穴開けてやれ」
もっと、悪い感じのを
「きっちり、落とし前つけてもらおうか…!」
いや、すごいハマりますねぇ。もっと、……例えば、私たちに向けて、お前らは道具だ。みたいなのを……
「……お前たちはオレの大事な道具だ…!」
し、司令官…!いいですね!!
も、もっとください!
「お前たちはオレが丁寧にこき使ってやる」
!!なんだろう、この気持ち、
ゾクゾクしてクセになりそう。
もっと、モットクダサイ!!
「手入れも保管も丁寧にしてやる、だからオレの許可なく沈むことは許さん」
フゥー↑↑↑痺れますねぇ!
私は司令官のオレサマボイスを聞きながら写真を撮り続けました。
写真を撮ることに夢中で司令官にするはずだった質問を忘れてしまったのは反省しています。
あとは、電さんや扶桑さん、大淀さんたち親交の深い方にお話を聞いておけばいいでしょう。
司令官の今までの経緯、得意とする戦術、そして見た目に反して紳士的な司令官の魅力をまとめて記事にし、代表の舞鶴青葉に渡しました。
各鎮守府に私の司令官の魅力が伝わる日が待ちどおしいです。
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とある鎮守府の艦娘軽視気味提督
各鎮守府の提督特集第1弾…?こんなのやってたか?
青葉が中心になって作った…なるほど。
ウチには青葉いねーから、取材されてないな。
っていうか青葉にこんなのやらせる暇があったら出撃させてるなぁオレなら。
ぱらぱらと特集を眺めると一際目に付く写真があった。
なんだ……これ、提督なのか、まるでマフィアの幹部みたいな見た目してやがる。
こんなのが提督してる鎮守府って……ん、
じぇいこぶ鎮守府って、確か近海に進出してきた戦艦棲姫を単独撃破して戦果を上げたあのじぇいこぶ鎮守府か!
この斧田って提督はどんなヤツなんだ……。
「お前たちはオレが丁寧にこき使ってやる」
と語る斧田提督。(青葉編集)
おっ、オレと考え方が同じタイプか、艦娘は国防のための道具だ、燃料と命令を与えて敵を殲滅するためだけの道具として使っている。
オレと同じ考え方で高い戦果を上げる鎮守府の提督だ、参考になるかもしれん。
「お前たちはオレの大事な道具だ」(青葉編集)
ーーーーこの提督、道具だというわりに艦娘を大事に扱っているようだな。
「手入れも保管も丁寧に」(青葉編集)
ーーーーーー!なるほど、確かに道具は専門的な物ほどしっかり手入れしないとその性能は充分に発揮できないよな!
「自分の道具を理解して、道具を信頼する」
(青葉編集)
ーーーーーーーー自分の道具をちゃんと理解して大切に扱う、それがあの戦果をもたらしたということか、オレも自分の道具を大切に扱うことから真似してみるか…
「ヤツの土手っ腹に風穴開けてやれ」
と戦艦棲姫迎撃の命令を下す斧田提督
(青葉捏造)
ーーーーーーーーーーか、カッコいい…!
艦娘は道具だと考えて軽視気味な提督たちの下についている艦娘たちの扱いが密かに改善されたという。
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「……青葉…」
「し、司令官、いかがでしたでしょうか?」
まさか、あの取材ごっこ、ガチだったとは……
そしてこの提督、誰だよ…私か…?
言いたいことは色々とあったが、キラキラした目で誉められることを期待してるであろう青葉に私は何も言えなかった。
「…よくやった、青葉」
「えへへ、恐縮ですっ!!」
登場人物
青葉
あおば
取材と称して提督にオレサマボイスを強要。
電と扶桑など一部の艦娘に高い評価を受ける。
斧田誠一郎
おのだ せいいちろう
「提督特集第1弾(あ行)」が各鎮守府に出回り知り合いの提督から生暖かい目で見られることになる。
艦娘軽視気味な提督たち
提督特集第1弾の斧田を見て艦娘の扱いを改める。
おそらくこれから先の出番はない。
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※GWが終わり仕事が始まるため投稿が不定期になりますが斧田提督を応援しててくださいね。