レイオニクスと9人の少女 【大怪獣バトル・サンシャインギャラクシー】 作:ふらんどる
「へぇ、このわたしがニッポンに、ねぇ」
遥か雲の上を飛ぶ大型機、その中で金髪の少女は傍の机に置いてあった紙束を手に取りそれを眺め始める。
英字で書かれたそれには今まで現れた数々の怪獣の写真やその場所などが幾重にも事細かに記載されている。
少女は最初興味無さげに資料を眺めていたがとあるページに目を止めた。
そこに描かれていたのは日本地図、所々に怪獣の出現地を表す赤い点がつけられており、そしてそれが集中しているある一か所に大きく円が描かれている。
「ウチウラ・・・。まっ、今回も面白いことになりそうね」
そう言って少女はまた資料をめくった。
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夏も近づく内浦の空は今日も澄み渡る程の美しさであった。
善子ちゃんは無事Aqoursに加入することとなり、どうやらクラスに溶け込めたようである。
まだまだ油断はできないが、しばらくは平穏な日々が続くことを願うばかりだ。
今日も何事もなく一日が過ぎ、僕は日直の用事があったので少し遅れて部室へと向かう。
「いや悪い、遅れた遅れた」
「俊くん!大変だよー!!廃校だよー!!μ'sとおんなじだぁー!!!」
「へ???」
部室に入った途端、何やら大騒ぎしている千歌が目の前に飛び出してきた。
「もう千歌ちゃん、ちゃんと説明しないとダメでしょ」
突然登場した「廃校」という言葉にまったく理解が追い付いていない。
「あのっ、俊さん実は・・・」
何やら不安げな表情のルビィちゃんから事の次第を聞かされる。
「と、統廃合!?」
「はい・・・」
どうやら話を聞くに、来年の入学希望者次第では沼津の高校と統合になり、浦の星は廃校になってしまうという事であった。
「まずいなぁ・・・」
千歌は能天気に喜んでいるが、私にとってこれはまずい、非常にまずい。なぜなら浅間俊は浦の星女学院から奨学金をもらっているのだから、学校がなくなってしまってはどうなるかわからないのである。
「これで音ノ木坂と一緒だよ!私たちが学校を救うんだよ!そして輝くんだよ!あのμ’sのように!!」
「そんな簡単な事じゃないわよ」
「まったく呑気だなぁ千歌は・・・。みんなは、どう思ってるのさ」
「統廃合~!!」
花丸ちゃんの方を見るとなぜかその表情は千歌と同じで目をキラキラと輝かせている。
「は、花丸ちゃんも!?」
「あの沼津の高校に通えるずら?あの街に通えることになるずら!」
「あっ、そういうことか・・・」
まあ花丸ちゃんにとって沼津は大都会だから、そこに通えて純粋に嬉しいのだろう。善子ちゃん曰く、幼稚園のころから機械類には過剰に反応するようだったらしい。
「善子ちゃんは?」
「そりゃあもちろんした方がいいに決まってるじゃない!ヨハネみたいな流行に敏感な生徒が集まってるだろうし!」
「よかったね~善子ちゃん、中学のお友達と会えるね」
「統廃合絶対反対!!」
手のひら返しとはまさにこの事、よっぽど中学でのことがトラウマなのであろうか。
「と・に・か・く!廃校の危機にある以上、私たちAqoursはこの学校を救うために行動します!」
やる気に満ち溢れた表情の千歌が得意げにそう言った。
「ヨーソロー!私たちスクールアイドルだもんね」
「それで、行動って何するんだ?」
「・・・ほえ?」
その反応を見るにやはりいつもの通り無計画であったようだ。
「μ'sがやったことと言えば、ランキングに登録してラブライブに出て有名になって・・・」
「有名になる・・・、う~ん・・・」
さてこれから一体何をするべきか、一同頭を抱えるのであった。
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「内浦のいいところ?」
「うん、東京と違って外の人はこの街のこと知らないでしょ。だからまずこの街のいいところを伝えなきゃって思って」
結局皆で話し合った結果、まずはこの町の良さを伝えるPVを作ろうということになったのである。
「μ’sも同じ事してたみたいだし、これをネットに公開してみんなに見てもらうんだ!」
「知識の海ずらぁ~!」
「と、いうわけで二人とも一つよろしく!」
千歌の指示で曜が花丸ちゃんとルビィちゃんにカメラを向けた。
「ずらっ!まるには無理ず・・・いや、無理です・・・」
「ピギィ!!」
しかし、花丸ちゃんは視線をそらし、ルビィちゃんは脱兎のごとくどこかへ逃げていった。
「あれどこ行ったルビィちゃん」
よほど恥ずかしかったのか、僕たちが辺りを見回したときにはどこにも姿は見えなかった。
「瞬発力すごいな・・・」
「そこ!?」
曜に突っ込みを入れられたのと同時に善子ちゃんが近くにあった木を指さした。
「見えた!あそこよ!」
「「「「えっ!?」」」」
「ちがいましゅ~!!」
皆が驚いて気を見たと同時に、反対方向の看板からルビィちゃんが顔を出した。
「いたっ!」
「ピギッ!」
曜が再度カメラを向けるとまたもや一瞬にして逃げ隠れてしまった。
「なんかさっきよりレベルアップしてる!」
「感心してる場合じゃないわよ?」
「先が思いやられる・・・」
この調子では不安でしかないが、とにかくPVの撮影が始まったのであった。
一通り風景の説明をした僕たちは続いて僕たちはバスに乗って沼津の町へやってきた。
「じゃあさっそく買い物に!」
みんながバスから降りた途端に千歌は元気よく騒ぎ出した。
「ち・か・ちゃん、そんな暇は無いわよ」
「そうだぞ、そもそもここの映像を使っていいのか?」
『内浦』のいいところを紹介する動画のはずなんだが沼津の町の映像を使って大丈夫なのだろうか・・・
「いいじゃん内浦も沼津の一部なんだし」
「まあまあ二人とも、せっかく来たんだしちょっとぐらいいいじゃん」
「マルは新しいお店に行きたいずら~」
「ルビィも行きたい!」
「よーし!じゃあ早速出発進行であります!」
「おー!」
そう言うと意気揚々と千歌は商店街の方へと駆けだしていき曜や一年生組もそれに続く。
「あっこら待ちなさい!」
すかさず梨子ちゃんがその後を追いかけていった。まったく元気だけはあるんだからなぁ。
「ねえ、あなたって地元の人?」
「はいっ、ええそうですが」
ここら辺では見ない洒落た服装だし出し都会の人であろうか。
「ウラノホシってとこに行くバスってどれかわかる?」
場所を聞くにしてもたまたまあった人間に対して随分ぶしつけな言い方だなとは思ったがそれよりも浦の星の名前が出てきたことにちょっと驚いた。
「浦の星ですか?ああ、あそこのバス停ですよ。でも次まで結構ありますね」
「そう、教えてくれてありがと。何で私がこんなところに」
そう言って彼女はどこかへと去っていった。『こんなところ』と少し聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がしたが聞かなかったことにしよう。いかにも気だるそうな眼をしているところ見るに仕事か何かで浦の星にやってきたのであろう。
それにしてもなんだか不思議な人だ。たった今ばかりだというのにどこか僕と似た感じがする。
「俊くーん、どうしたのー?」
まあ今僕が気にするようなことではないので皆の所へ戻った。
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「と、とりあえずみんなお疲れ様」
撮影を終えてもう日が傾いた頃、なんとか撮影を終えた僕たちは行きつけの喫茶店で休んでいた。
「疲れたずらぁ~」
「もうへとへとだよぉ・・」
花丸ちゃんとルビィちゃんの二人はそう言って大きく息を吐いた。
「まああそこまで行けば誰だって疲れるよ」
撮影のために色々と試行錯誤した結果、最終的には長い坂を上って伊豆長岡のあたりまで行ってきたのだから疲れるのも無理はない。実際僕もかなり疲れた。
「んで、どうしてここなんだ?」
「梨子ちゃんがしいたけいるなら家に来たくないって」
「なるほど・・・」
「別に行かないなんて言ってないわ、繋いでおいてって言っただけで!」
「まあまあ・・・、あれっ、このお店にもそういえば・・・」
その瞬間『ワン』という鳴き声が背後から聞こえた。
「またまた・・・」
『ワンッ!』
「へっ・・・?」
梨子ちゃんは古びたロボットのようなぎこちない動きで、体を震わせながら恐る恐る後ろを振り向く。
『ワンッ!!』
「ひいいいいいい!!!!」
そこにいたのはこのお店の看板犬、名前は・・・確かわたあめちゃんだったかな。梨子ちゃんは悲鳴を上げてのけぞった。
「こんなに小さいのに!?」
「大きさは関係ないわ!その牙よ牙!そんなもので噛まれたら・・・」
「ええっ・・・」
しいたけは大きいからわからなくもないが、まさかこれほどとは・・・
「もう、わたちゃんは噛んだりしないよ。ね~」
『ワンッ!』
「ひぃっ!!」
千歌はわたあめちゃんを抱きかかえるが、それを見た梨子ちゃんの顔はますます引きつる。
「そうだ!わたちゃんで慣れるといいよ!」
「おいおい・・・」
そしてさらに千歌がわたあめちゃんを梨子ちゃんの顔に近づける。
そして、わたあめちゃんはぺろっと小さな舌を出し、梨子ちゃんの鼻先を舐めた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
梨子ちゃんはものすごい悲鳴を上げて、そしてそのままお店のトイレに逃げ込んでしまった。
「り、梨子ちゃん・・・」
「話はここで聞くから進めて!」
どうやら当分出てきそうにないから仕方なくこのまま進めることにした。
「んで、編集の方はどうだい善子ちゃん」
編集はネットで配信をやっているので善子ちゃんが担当することになっているのだが、どうもその顔は浮かないようだ。
「ちょっと編集してみたけど、お世辞にも魅力的とは言えないわね」
「うーん・・・」
みんな一様に肩を落す。やはりそう簡単に進まないものである。
「やっぱりここだけじゃ厳しいのかなぁ・・・」
「それに町の魅力を伝えたいのに『特に何もないです!!』なんて言うやつがあるか」
「だって本当に・・・そうだ!賑やかな沼津の映像を混ぜて・・・」
「そんなの詐欺でしょ!!」
トイレの中の梨子ちゃんからツッコミが入る。
「何でわかったの?」
「だんだん行動パターンがわかってきたのかも・・・」
「なるほどね・・・」
曜が苦笑していると、窓の外にバスが到着するのが見えた。
「うわっ、終バス来た!」
曜と善子はすぐさま荷物をまとめて席を立つ。二人は沼津に住んでいるから、これを逃すと長い道のりを歩いて帰らざるを得ないのだ。
「ではまた・・・」
「ヨーシコー!!」
そう言って二人はバスへと乗り込んでいった。家も近いし結構仲良いんだな。
「ああっ、もうこんな時間!失礼します!」
するとこんどはルビィちゃんが急いで荷物を取り、まだお菓子を食べかけの花丸ちゃんを引っ張って出ていった。
残った三人の間でしばしの沈黙が走る。
「やっぱり難しいのかな、良いところを伝えるって」
千歌がぽつりとつぶやいた。
「まあ、住めば都っていうし、やっぱり住んでみないとわからない良さってもんがあるんだよきっと」
「でも、学校がなくなっちゃったらこの毎日もなくなるんだよね・・・」
千歌はわたあめちゃんを抱き上げて優しく頭を一撫でして、また地面に下した。
「スクールアイドル頑張らなくっちゃ」
「今更?」
気づくとわたあめちゃんはどこかへ行っており、それを見計らって梨子ちゃんはようやくトイレから出てきた。
「だよね。でも、私気づいたんだ、この学校が好きなんだって。だから、絶対守りたい!」
自分を奮い立たせるようにそう話す千歌。十年以上一緒に暮らしてきたがこんなに意欲に満ち溢れている様子なのは初めてだ。
そんな千歌を見て僕と梨子ちゃんは顔を見合わせるのだった。
「さて、そろそろ帰るか」
時計を見るともう7時を過ぎていた。陽が高いからこんなに時間がたってるとは思わなかった。
「ちょっと買って帰るから先行ってていいよ」
「うん!俊くんまたねー!」
「今日はありがとうございました」
今日は疲れたからデザートに甘いものを買って今まさに出ていこうとすると、見知った顔の人物が入ってきた。
「あら、あなた」
「ああどうも」
何と入ってきたのは
「あなたって浦の星の人だったのね。よくあんな理事長に付き合ってられるわね」
「ああ、お疲れ様です・・・」
「あんなテンションが高い人は苦手なのよ。いつもあんな感じなの」
「ええ、そんなものです・・・」
まあ鞠莉さんの立場と性格は初対面の人からすればかなり衝撃的だろう。
「まっ、そのうち会うかもしれないから挨拶だけしとくわ。私は」
それにしてもそのうちわかる、とはなんとも釈然としない言い方である。先生にしては若すぎるしますます謎が深まっていく。
「そういえば、外でgirl friendが待ってたわよ。女の子を待たせたら嫌われるわよ」
「えっ、あっ、そうですか。ありがとうございました」
そう言って僕は一例をして店を出た。
「あっ、俊くんやっと来た」
「お前、先帰ってていいって言ったのに」
外に出るとさんが言っていた通りお店の前得待っていた千歌が駆け寄ってきた。そして僕たちは肩を並べて海沿いの道を歩いてゆく。
「そういえば俊くんって昔から女の子に好かれるよね」
「そうか?」
突飛な質問に思わず聞き返してしまう。
「梨子ちゃんとか善子ちゃんだってすぐに俊くんに懐いちゃったし。今だって先入った女の人と話してたでしょ」
「懐くってお前な・・・」
梨子ちゃんには懐かれているという実感はないし善子ちゃんとは共通の秘密があるからよく話しているというだけだ。
さらに今回に至ってはたまたま場所を聞かれただけなんだけどなぁ。
そんな事を思いながら宵の海風が吹き抜ける道を進むのだった。
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『・・・一通りウチウラの見て回ったけど特に変わった点は無いわね。色々と不便だから後でちゃんと荷物を送ってちょうだいね。報告終わり』
お読みいただきありがとうございました。
数話分を書きためておりますのでしばし次回までお待ち下さい。