レイオニクスと9人の少女 【大怪獣バトル・サンシャインギャラクシー】 作:ふらんどる
こんな感じの感覚で投稿していけたらいいと思っております。
いつも誤字報告をしていただいてありがとうございます。誤字のないよう細心の注意を払っておりますが見つけた場合は誤字報告をしていただけると非常にありがたく思います。
「本気?それでこのテイタラクですか?」
僕たちがやっとの思いで完成させたPVを見た鞠莉さんが発した言葉にその場にいた皆は絶句した。
「ていたらく??」
「それはさすがに酷いじゃないですか」
「そうです!これを作るのがどれだけ大変だったか・・・」
千歌は言葉の意味がいまいちよくわかってないようだが梨子ちゃんと曜は強い口調で反応する。理事長として実際に交渉事を行っている鞠莉さんからすれば僕たちがやっていることはお遊び程度にしか見えないのであろう。
「努力の量と結果は比例シマセーン!大事なのはこのtownやschoolの魅力をちゃんと理解しているかデース」
「それってつまり・・・」
「僕たちは何もわかってない、と」
僕の言葉に鞠莉さんは何も言わなかった。しかし言わんとしているはわかる。
「じゃあ理事長は理解しているっていうの!」
善子ちゃん食って掛かった。
「少なくともあなた達よりは・・・聞きたいですか?」
「どうして聞かなかったの?」
「何か聞いちゃダメな気がしたから」
生徒玄関までやはりみんなショックだったらしくここに来るまで特に会話らしい会話はなかった。
「何今さら意地張ってんのよ」
「意地なんかじゃない、鞠莉さんの言う通りとっても大切なこと。自分で街の魅力に気づけてないのに、PVを作る資格なんてないよ」
そう言って千歌は目線を落す。一番張り切っていた分そのショックは他の誰よりも大きいだろう。
「そうかもね」
「ヨーソロー!じゃあ今日は千歌ちゃんの家で作戦会議であります!」
いつもの元気な声で場の雰囲気を盛り上げる。曜は千歌の扱い方をよくわかっているとつくづく思う。
そして隣にいる梨子ちゃんはというと顔が少し引きつっている。理由は勿論しいたけだろう。当の本犬?は梨子ちゃんに懐いてるみたいだけどわたあめちゃんよりも何倍も大きいから犬が苦手な梨子ちゃんからすればさぞ恐ろしかろう。
「喫茶店だってただじゃないんだし、梨子ちゃんもがんばルビィして!」
「大丈夫大丈夫、別にしいたけだって梨子ちゃんを取って食おうなんて思ってないから」
「そういう問題じゃないの!」
「ぷっ・・・ふふ、あははは!」
僕たちのやり取りを聞いていた千歌が急に笑い始め、その場の雰囲気がほぐれる。
「よーし!」
そして千歌は何かを決心したように勢いよく右手を大きく上げた。皆の期待のまなざしが千歌に集まる。
「あっ、忘れ物した」
聞いていた全員の体の力が一気に抜ける。まったくこういう肝心な時に拍子抜けすることを言う。それが千歌らしいと言えばらしいのだが。
「ちょっと部室見てくる!」
そして慌ただしく駆け出して校内に戻っていった。そして、駆け出したときの千歌のとても嬉しそうな表情であった。
「もう、せっかくいい雰囲気だったのに」
「でも不思議とそれがいいんだよね。あいつらしくて」
ここにいる皆が魅かれたのも千歌の不思議な魅力ゆえだろう。
「ねえ、ちょっと見に行ってみない?」
「そんなに心配なのか?」
「いや、なんとなく!」
曜の提案により千歌から遅れることしばらくして後を追うことになった。
「千歌ちゃん、まだ見つからないの・・・あれ?」
しかし、部室にその姿はなかった。それとも行き違いになってしまったのであろうか。
皆は戻ろうかどうしようかと話していると体育館の方で気配を感じたような気がした。
もしかしてと思って見て見ると千歌の後ろ姿が見えた。
「あっいた、おい・・・」
見つけた僕は早速出て行こうとしたが瞬時に足を止め、僕に気づいて続こうとした曜たちも制止した。
静寂に包まれる体育館のステージ前に千歌はいた。そしてステージ上をじっと見つめている。
そこにいたのは優雅に舞っている生徒会長のダイヤさんであった。
日本舞踊を嗜んでいるとは聞いていたが、実際に見て見るとその踊りはまさに美しいの一言に尽きる。その場にいる全員が思わず見とれてしまう。
「すごいです!!」
「み、見てたのですの!?」
誰かに見られると思っていなかったようでダイヤさんはかなり動揺しているが、千歌はまっすぐ彼女を見つめてさらに言葉を掛ける。
「ダイヤさんがスクールアイドルが嫌いなことはわかってます。でも、私たちも学校が続いてほしい、なくなってほしくないって思ってるんです!」
「あいつ・・・」
「お姉ちゃん・・・」
部室のドアを半開きにして様子を窺っていた僕たちは場の雰囲気を乱さぬようにそろりそろりと近づいていく。
「一緒にやりませんか、スクールアイドル!」
きらきらと輝く純粋なまなざしでダイヤさんに強く語り掛けた。
僕たちは息をのんで反応を見守っているとダイヤさんはその美しい黒髪をなびかせながらステージから飛び降り、さっと千歌の横を通り抜けた。
「残念ですけど。・・・ただ、あなた達のその気持ちはとても嬉しく思いますわ。お互い頑張りましょう」
ダイヤさんはそう言い残して僕たちの間を通り抜けて去っていった。
去り際に落としていったチラシを拾う。よく見ると廃校中止の嘆願署名の用紙であった。やり方違えど目的は同じ、彼女もこの学校の生徒会長として、いや一人の生徒として自分にできる精いっぱいの事をやろうとしているのだろう。
去っていくその後ろ姿は美しく、そして頼もしくも感じたのであった。
「ねえルビイちゃん、確かダイヤさんって前はスクールアイドルの事・・・」
「はい、大好きでした。ルビィよりもずっと・・・」
曜の問いかけにルビィちゃんは少し悲しげな様な声で答える。
その言葉を聞いた千歌は何を思ったのかダイヤさんの方へと駆け出そうとする。
しかし瞬時にルビィちゃんが間に割って入り手を広げて遮ったのである。
「今は言わないでください!」
いつもは控えめなルビィちゃんらしからぬ行動に皆が驚いたような表情を見せる。
はっとした様子でルビィちゃんはすぐに謝ったがこの反応で前々から抱いていた疑問が一層深まった。
なぜかスクールアイドル活動を積極的に活動を支援してくれる鞠莉さん。
以前はスクールアイドルが大好きだったが今は頑なに拒絶するダイヤさん。
そしてスクールアイドルという言葉に対して不自然な反応する果南さん。
この3人には『スクールアイドル』に関して何かある、いや『あった』と言った方が正確かもしれない。
あと一歩で線でつながりそうだが決定打に欠けるこの3つの点、いつか解決する時が来るのであろうか。去ってゆくダイヤさんの背中を見つめながらそんなことを考えるのであった。
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
生徒会室に戻ったダイヤは足を組みながら椅子に座っていた少女に対して一礼した。
ここに来る途中でに千歌や鞠莉から様々な事を言われて少し心が乱れていたが今は気持ちを持ち直して浦の星の生徒会長としての職務を果たさんとする。
「それでは改めて。はじめまして、私がこの学校の生徒会長、黒澤ダイヤですわ」
「ああ、あなたが。昨日リジチョーから聞いてたけど話の通りカタブツそうね」
「なぁっ!?」
開口一番無礼な態度をとる少女に対してダイヤはあっけにとられてしまった。
「そ、それでは学校の案内を・・・」
「ここに来るまでに一通り見ておいたから必要ないわ」
「そ、そうですか・・・」
普段は落ち着いているダイヤもここまでぶしつけな態度をとられてはいつもの調子が出ない。自然と表情も険しくなってしまう。
そして二人は互いをじっと見つめ合ったまま沈黙を保つ。初夏の一室に並々ならぬ雰囲気が漂った。
「知ってるんでしょ、私がここに来た理由」
「鞠莉さんの監視とこの学校の実態調査、ですわね」
ダイヤの表情はさらに険しくなる。何としても廃校を阻止しようとしている浦の星の生徒会長、そして鞠莉の親友という立場のダイヤにとっては彼女の存在を無視しておくことはできない。
「まっ、そんなとこね。ミョーダイっていったところかしら?そんなに怖い顔しないでよ、別に私だって粗探しに来たわけじゃないんだし。仲良くしましょ」
そう言って少女はダイヤに手を差し出した。
「そういうわけで、nice to meet you,Dia」
「こちらこそ、これからよろしくお願いしますわ」
〜〜〜〜〜〜〜
日もまだ上っていないにもかかわらず内浦の海岸には多くの人が集まっていた。
「あっ、来た来た」
僕が手を振ると通りの反対側から大きなあくびをしながら梨子ちゃんがこちらへとやってきた。今日は年に一度の恒例行事の海開きの清掃なのである。僕たちにとっては毎年恒例の行事だが、つい最近やってきた梨子ちゃんにとっては初めての光景だろう。
「あっ、梨子ちゃんおはよう!」
「おはよう梨子ちゃん」
「おはよう二人とも」
千歌は朝から元気なものでもう袋いっぱいのごみを拾っていたようだ。その他にも果南さんや鞠莉さんダイヤさん、一年生の皆や近所のお店の人たちと内浦で過ごすありとあらゆる人がこの砂浜に集まっている。
「それにしても、恒例行事とはいえすごいよなぁ」
誰に強制されるわけでなく自然と一つの目的のために町中の人たちが一つの場所に集まっている。この町よ林逋何倍も人が多い都会ではまず見られない光景だろう。
「千歌ちゃん、これなんじゃないかな、内浦の魅力って」
梨子ちゃんがふとそう呟いた。
「そうだ・・・これだ!!!」
「おいっ、千歌」
すると千歌は一瞬にして駆けだして浜に降りる階段の上に立った。
「あのー皆さん!」
そして、一面に響くその大きな声を張り上げた。
「私たち、浦の星女学院でスクールアイドルをやっているAqoursです!!今日は伝えたいことがあります!!」
そして千歌は階段の上で自分の想いを声の限りに訴えた。
「私たちは、学校を残すために!ここにたくさん生徒を集めるために!皆さんに協力してほしいことがあります!みんなのキモチを形にするために!」
最初はみな不思議そうな表情で話を聞いていたが次第にその熱意が伝わってきたのだろうか、話が終わった時には満場から拍手が鳴り響いた。
この光景を見て僕は確信した。千歌は普通なんかじゃない。その底知れない人を引き付ける力で他のAqoursの皆や町の人たちを魅了している。
千歌なら絶対にやり遂げられる。確証はないがそう感じた。
最初は薄暗かった浜辺が明るくなってからも掃除は続けられた。
今日はもともとAqours の練習は休みという予定だったが今回の件を受けて早速作戦会議という事になった。僕としては帰ったら昼まで寝てやろうと思っていたがこれは致し方がない。
すると僕の視界に梨子ちゃんがしゃがんで何かを見つめているのが見えた。
「梨子ちゃん、なんか珍しい物でも見つけたの?」
「あっ俊くん、こんなの見つけたんだ」
梨子ちゃんが持っていたのは手のひらほどの大きさのきらきらと光る美しい貝殻のようなものであった。
浜に貝殻が打ち上がることはよくあることだがこんなに大きくて綺麗なものは珍しい。
しかもこれ、どこかで見たような気がしてならない。
「みんな、どうしたの?」
僕たちが集まっているところを見たのか果南さんがこちらへやってきた。
「あっ、果南ちゃんいいところに!これ何だかわかる?」
僕は持っていた貝殻の一枚を果南さんに渡す。
渡された果南さんは叩いたり透かしたり裏返したりと色々として見るが表情は徐々に険しくなっていく。
「これは・・・、なんだろう、見たことないなぁ桜貝にしては大きいし・・・。ちょっと聞いて回ってみるね」
内浦の海の事を知り尽くしている果南さんでもわからないとはよほど珍しいものなのであろうか。
「千歌ちゃん千歌ちゃん!見て見て、海が光っているであります!」
すると曜が驚いたような表情でこちらへと駆けてきた。
「ほんとだ、すごいね」
「綺麗・・・」
振り向くと曜の言葉通り奥の眼前に広がる海はまるで虹のようにきらきらと輝いていた。
よほど珍しいものなのか地元の人たちも声を上げ、写真を撮っている人もいるほどだ。
しかし僕はどうも釈然としない。朝日の反射にしては明らかに不自然であるし何か重油や薬品が流れ出ているわけではなさそうだ。私の知る限りの知識では説明のしようがない。
虹色に輝く海、浜に大量に漂着する大きな貝殻のような何か・・・、だめだ、あと一歩のところで思い出せない。しかし、何か胸騒ぎがする。
「しゅーんくん、難しい顔してどーしたの?」
「い、いや単に眠いだけだよ」
僕はわざとらしくあくびをしてごまかす。それにしても僕はそんなに変な表情をしていたのだろうか。千歌は昔から妙に勘がいいから油断できない。
「それにしてもスカイランタンとは考えたものだな」
「えへへ、昨日みんなが帰った後動画で見つけたんだ」
千歌が壇上で訴えたのはAqoursの新曲も兼ねた町の魅力を伝えるPV制作のための協力であった。
そしてその最後に街の人たちで砂浜からスカイランタンを打ち上げる。もちろん相当の数が必要であるが町の人たちは快く引き受けてくれた。
「さて、これから忙しくなるぞ」
「俊くんにもバシバシ働いてもらうからね!」
「そういうお前も作詞をしろさ・く・し。あんまり梨子ちゃんに迷惑かけるなよ」
「むー、わかってるもんね!」
そういう無邪気に笑う千歌をよそに僕の頭の中には形容しがたい不安感がよぎる。このまま何も起こらなければいいのだが、今はそう祈るよりほかがなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「カメラ設置完了、下の準備も終わってるって」
そしてついにその日がやってきた。学校や町の人たちの協力で大量のスカイランタンが完成し、今まさに大トリとなるAqoursのダンスシーンの撮影である。
赤、青、紫に分かれてそれぞれ大きなリボンをあしらえた衣装を身にまとったAqoursの皆はこちらに目配せをして合図を送ってきた。
「よしっ」
そして僕は満を持してカメラを回した。
優しい歌とメロディと共に6人は踊りだした。
完成した新曲の名前は『夢で夜空を照らしたい』、千歌がこの町の事、みんなの事を思い浮かべながら歌詞を書きあげた曲だ。
そして曲も中盤に差し掛かり、いよいよスカイランタンが放たれる時が来た。僕は固唾をのんでその瞬間を見守る。
そして、曲が一番盛り上がる瞬間、一斉に放たれたスカイランタンは一瞬にして赤く染まった夕空を埋め尽くした。
千歌の想いが全校生徒や町の人たちの協力を得て実を結び形になった瞬間であった。
やった!やった!僕は心の中で両手を上げて喜んだ。
しかし現実の僕はそれに見とれている暇は無く、再度カメラを向け皆の撮影を続ける。
空へと舞い上る無数のランタンを背景に踊るAqoursの皆はまさに幻想的というほかになかった。
そして音楽が終わり、皆が最後のポーズを決めたところで僕はカメラを止めた。
「みんなお疲れ様。綺麗だったよ、とっても」
緊張が解けた皆は笑顔を見せ、空に舞い上がったランタンを見上げる。みんな踊ってたから見れなかったからね。
しかし、千歌だけは普段とは違いその表情は真剣だ。
そして、眼下に広がる内浦の景色を眺めながら口を開いた。
「俊くん、私ずっと心の中で叫んでたんだ、助けてって、ここには何もないって。でも・・・違ったんだ!」
「千歌・・・」
たしかにこの町には東京のような大都会のようにお店や人も多くない。しかし、一面に広がる美しい海、空、山々がある。そしてなによりもこの美しい景色の中に暮らし、この美しい光景を一緒になって造ってくれた町の人たちの暖かさがある。それを今回の事で改めて気づかされた。
「追いかけてみせるよ、ずっと・・・ずっと!」
その言葉を聞くAqoursの皆の表情も同じく決意と希望が入り混じったものである。
「できるんだ!!」
まだまだ道のりは遠いけどこの皆なら絶対に成し遂げられる。
そんな事を思いながら遠くへと消えゆくスカイランタンの光を見つめるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~
「改めて、みんなお疲れ様」
「俊くんこそお疲れさま!色々ありがとう!」
撮影が終わった僕たちは撮影が協力してくれたみんなが待つ砂浜へと向かって歩いている。
周囲は先ほどより暗くなっており皆を待たせてはならないと速足で坂を降りていく。
「善子ちゃん、編集は任せたであります!」
「間違ってデータ消さないように気を付けてね」
「なによその言い方!ちゃんとバックアップ取るわよ!あとヨハネ! 」
「みんな元気だなぁ」
今日は一日練習や準備で忙しかったから当然僕より疲れているはずなのにそれを感じさせないほどに元気で明るい。
「だって楽しかったんだもん!今日はお父さんと志満姉がごちそう作ってるって言ってたから早く帰ってたくさん食べるのだ~!あっ、ついでに梨子ちゃんもどう?」
「千歌ちゃん、あれ・・・」
今は陽が沈んでいるから光の反射などは絶対にありえない。
海の中になにかがいる。
『フハハハハ・・・愚かな人間たちよ、笑っていられるのは今の内だ・・・』
『今こそこの町ごとレイオニクスを抹殺するのだ!!行けーえっ!虹超獣カイテイガガンッ!!』
そして、その光輝く海の中から轟音と大きな水飛沫と共に海中から巨大な怪物が姿を現した。
お読みいただきありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。