レイオニクスと9人の少女 【大怪獣バトル・サンシャインギャラクシー】 作:ふらんどる
今回は戦闘に全振りしたので少し短めです。
拙いですがよろしくお願いします。
「ああ、何で今まで気づかなかったんだ」
海中の高速移動に特化した流線型の頭部にカメノテのような両手と全身に張り付いてる巨大なフジツボ。そして釣りあがった真っ赤な目と異様に縦に長い牙が生えた口。
虹超獣カイテイガガン。
情報が電気が走ったように頭の中を駆け巡る。
そしてその姿を見た瞬間に、虹色に輝く海、奇妙な貝殻がすべてがつながった。
虹色の海はこいつが海中で活動する時に発する光線の光、あの虹色の物体は貝殻なんかではなく海中を泳いだ時にはがれる鱗だったのだ。
和やかだった雰囲気は一転して緊迫したものとなり、皆の表情も引きつる。
「ねぇ、あれこっちに来てない?」
「そんな、どうして・・・」
「今ならまだ距離がある、早く安全なところへ!」
僕たちはとにかく走って海とは反対方向へと向かう。
たしかこいつは確かヤプールが一度倒されたときに散らばった破片で生み出された自然発生型の超獣のはずだ。だからドラゴリーのような生物兵器と違って攻撃能力は・・・
『倒された』・・・、誰に?
またも一部に靄がかかったようになってしまうが今はそんなことを気にしている暇は無い。善子ちゃんが戦えない以上この事態に対処できるのは僕しかいない。
カイテイガガンは海面に浮かぶ養殖いかだを蹴散らしてまっすぐ浦の星のある岬の方へと向かってくる。
間違いない、やつの狙いは僕だ。僕が彼女たちと一緒にいる限り危険が及ぶことは確実だ。
「うーん、しかたない!」
周囲から逃げてきた人たちが集まった混乱に乗じて僕はみんなと別れ反対方向へと走る。無論後で問い詰められることは確実であろうが今はこれしか方法がない。
「行け!ドラコ!」
『バトルナイザー・モンスロード!!』
まばゆい光と咆哮と共に現れたドラコは羽を広げて滑空しながら体当たりをしてカイテイガガンを押し倒す。
しかしやはり水棲の超獣である。すぐさま立ち上がって体勢を立て直して対峙し、そしてそのまま激しい格闘戦を始める。
もともと格闘戦は不向きなのか次々と繰り出される攻撃にカイテイガガンは徐々にその動きが鈍っていく。
畳み掛けようとしたときに勢いよく水流を吐き出した。
そしてドラコが一瞬怯んだところにすかさずその縦長の口から無数の針状の光線をくらわせる。
至近距離から光線をくらったドラコはに覆いかぶさるように腕を何遍も振り下ろす。
しかしドラコも負けてはいない、何度も打たれながらも一瞬の隙をついて振り下ろされる腕をかわして懐に潜り込み瞬時に体を起こしてカイテイガガンの巨体を投げ飛ばした。
そしてそのまま終始ドラコ優勢のまま戦いが続く。
眼前で繰り広げられている激しい戦いを目にしているうちにいつしか僕は大きく目を見開き固く握られた拳の中は汗でぬれていた。
そして身体の奥底からふつふつと何かが湧き上がってくる。
「よしっ、いまだ!」
そしてドラコは大きな羽を広げて飛び上がり、超獣めがけて急降下した。
そしてその巨体をぶつけてさらに勢いそのままに鎌と鞭の連撃を加えた。
鎌と体当たりをくらった断末魔を上げて、カイテイガガンはその場に倒れ伏し、次第にその姿を消していった。
「やった!!」
遠くからも歓声が聞こえてくる。しかし、どういうわけかいつものように肩の荷が下りたような気がしない。
なんだ、この感覚は。まさか!
『フハハハ・・・馬鹿め、これで終わりだと思うなよ。大蟹超獣キングクラブ!!行けぇ!!』
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「みんな、大丈夫?」
Aqoursの皆はなんとか避難所までたどり着いた。大勢の人でごった返しておりその表情は一様に不安に満ちている。
壁やホワイトボードには次から次へと情報が張り出され、そのたびに人が群がり、それを食い入るように見つめている。
「あれっ、俊くんは・・・?」
ここで俊の姿がないことに気づいた千歌がしきりに周囲を見回す。
「そういえば、みんな必死になってたから後ろ見てなかったかも」
「たしか俊さん一番後ろを走ってたずら」
「そんな・・・」
それを聞いた千歌の表情は一気に引きつる。彼女にとって俊は家族と言える存在である。怪獣に加えてそんな彼の安否が知れぬとなれば彼女の不安は計り知れるものではない。
「・・・行かなきゃ!」
すると千歌は脱兎のごとくその場から走り去り、靴も履きつぶして外に飛び出した。
「千歌ちゃん!?」
慌てて皆がその後を追い、一番先に追いついた曜が必死に腕をつかんで引き止めた。
「よーちゃん離して!」
「千歌ちゃん落ち着いて、どこ行くの!」
「探しに行く!もしかして怪我して動けなくなってるかもしれない!」
千歌は腕を振り払おうと必死にあがく。
「いくらなんでも危険よ!」
追い付いたほかの皆も興奮した千歌を落ち着かせようと言葉をかける。
「そ、そうよ俊なら無事よ」
「善子ちゃん何か知ってるの!」
その言葉を聞いた千歌は途端に善子に詰め寄った。
「いやえっと、べつに何か知ってるってわけじゃなくって・・・、無事かな・・って思って・・・。その・・・、ごめん」
「知らないんだったらそんなこと言わないで!」
うなだれる善子に対して千歌はものすごい勢いでまくしたてる。彼女が他人に対してここまで感情的になるのは珍しい。
「千歌ちゃんそれは言いすぎよ!」
「でも!」
「でも、じゃない!善子ちゃんに謝りなさい!」
さすがに見かねた梨子が二人の間に割って入り声を上げて千歌を叱りつけた。周りにいるほかの皆はそれを見守っていることしかできない。
叱られた千歌はというと最初は興奮したようだったが徐々に自分がやった事に気が付いたらしく、瞳がうるんできた。
「そうだよね・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
そして目からは大粒の涙がこぼれ、声を上げてその場にしゃがみこんで泣き出しただ。
「い、いいのよ謝らなくって。変なこと言った私が悪いんだし」
「千歌ちゃん、ひとまず落ち着こう」
皆は落ち着かせようと優しい言葉をかけるが千歌の泣き声が周囲に響き渡るのだった。
「早く戻ってきなさいよ」
そして、一人真実を知る善子は小声でそう呟いた。
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カイテイガガンを倒した僕に安堵する暇も与えず現れたのは自身の身の丈ほどの長い尻尾にトゲが生えた甲羅と大きく割れた口を持った大蟹超獣キングクラブ。
確かこいつはカブトガニと宇宙怪獣の合成超獣だ。カイテイガガンと違って戦うために作られた非常に厄介な相手だ。
「しまった!罠だったのか!」
どうりで戦況が一方的だったわけだと思ったがそんなことを考えている暇は無い。
突然現れたもう一匹の相手に一瞬ドラコも動揺したようなそぶりを見せるがすぐに目の前にいるを敵と認識し左手の鎌を振り下ろさんとするがそれをまっれいたとばかりにキングクラブは真っ白な無数の泡を噴射した。
泡の正体はあらゆる物質も溶かしてしまう強力な溶解液なのであり、それをまともにくらったドラコは激しく体を動かして苦しみの鳴き声を上げた。
その間もキングクラブは巨大な両手のハサミを次々と叩きつけ、さらには口から放射する超高温の火炎を勢いよく浴びせかける。
連戦による疲労と度重なる攻撃を受けたドラコは立っているのもやっとという状態となり相手の攻撃を必死に耐え逃れることしかできなくなっている。
「がんばれよ、がんばれよ・・・」
不安と焦りからか息遣いも徐々に荒くなり胸の鼓動も早くなってきている。
しかしキングクラブはその長い尻尾を振りかざし、それをドラコの巨体に幾重にも巻き付けた。
「ああっ・・・」
巻きつけられた尻尾は徐々に力を強めていき、嬲り殺しにするがごとくドラコを締め付ける。
その絶望的な状況を目にして僕の体中から汗が噴き出て思考能力も徐々に落ちていくのがわかる。
ここで僕が負けたら超獣は僕を殺しに上陸してくることは明白だ。そしたらこの町は焼かれ、潰され、焦土なってしまう。
千歌が、Aqoursの皆が、町の人が愛し守ってきたこの町が、風景が失われる。そんなことは絶対にあってはならない。
そうだ、原因は僕だ。僕がいけないんだ。いっそのこと僕が・・・
そんな絶望的なことが頭の中を駆け巡る。
この間にも尻尾の締め付けは強くなっていきドラコの苦しむ声も一層高くなる。
まさに万事休す、その時であった。
ドラコを締め付けていた超獣の後頭部に突如として爆発が起こったのである。
一瞬にして起こったその出来事に僕も全く状況の理解ができない。
するとさらに続いて今度はドラコに巻き付いていた尻尾で爆発が起こった。
今度ははっきり見えた。超獣の真後ろに当たる位置から光線のような明るい何かが超高速で飛んできたのだ。
砲弾?ミサイル?いや明らかに違う。
どういう状況か理解はできないがとにかく今がチャンスだと確信した僕は必死に叫んだ。
「今だ!引きちぎれ!」
突然の攻撃を受けて束縛が緩んだ一瞬の隙をつき渾身の力を振り絞って全身に巻き付いていた尻尾を引きちぎった。
「やった!!」
尻尾の束縛から脱したドラコは木々もへし折らんばかりの勢いで耳をつんざく出せる限りの声で雄叫びを上げた。
雄叫びと尻尾を失った動揺でで怯んだキングクラブにすかさず体当たりを決めたドラコは先ほどのお返しと言わんばかりに思い切り腕を振り下ろし、超獣の両手の大きな鋏を切り落とした。
形勢は一気に逆転し鋏と尻尾という大きな武器を失ったキングクラブはもうなすすべなくその場にのたうち回っている。
「よしっ、とどめだ!」
そしてドラコは両手の鎌と鞭を何度もたたきつけ、口から吐きだした燃盛る火球をキングクラブに盛大にぶつけた。
断末魔の叫び声をあげて海中へと没していった。
「やった・・・」
そしてがっくりと体の力が抜ける感覚に襲われた。体中も汗でびっしょりだ。
今まで戦ってきた中でこんな感覚は初めてだ。
また新たな謎が僕の前に突き付けられた。
「とにかく戻らないと」
もうすでに暗くなった内浦の山中を町の方へと向かったのであった。
お読みいただきありがとうございました。
誤字などありましたら報告よろしくお願い致します。