レイオニクスと9人の少女 【大怪獣バトル・サンシャインギャラクシー】 作:ふらんどる
この作品で描いてないシーンはほぼアニメ通りと思ってください。さあ今回は女の子に人気なあの怪獣ですよ。
「はぁ・・・ほんとなんなんだよ・・・」
部屋のベッドの上で枕に顔をうずめながらつぶやいた。
あの後我に返った僕は急いで千歌たちの元に戻った。もちろんものすごく心配されており、千歌と曜には戻ってきた瞬間思いっきり抱き着かれ、果南さんにはこっぴどく叱られた。無論その後ハグされたけど。
なぜいなくなったのかは適当にはぐらかしておいた。
バトルナイザーを使ってドラコを操っているときは浅間俊という人間ではなく、全く別の人格が支配しているような気がする。いや、最近の出来事からもう「気がする」のレベルではなく事実と言っていい。
浅間俊、年齢約17歳。それが僕だ。それ以外の何者でもない。
バトルナイザーとは何なのか、なぜ僕がそれを使いこなせることができるのか、怪獣はなぜ現れるのか、なんで知らないはずの知識が僕の頭の中から湧き出てくるのか。
「駄目だ、わからない・・・」
いくら考えても答えは出てこない。それどころか、考えれば考えるほど頭の中がかき回されるような感覚になり、次第に気持ち悪くなってきた。
夜風にあたろうと思い、薄手のコートを着て外に出た。
「うう、やっぱりまだ寒いな」
夜の内浦は静まり返っており、吹き抜ける冷たい夜風が身に染みる。
夜空には月が煌々と光って辺りを照らしており、星が美しく輝く。
外に出た僕はそのまま少し離れた十千万前の砂浜へと向かった。
僕は何か悩んだりしたりすると決まってここに来るのだ。
砂浜に降りようとした瞬間、違和感に気づいた。
「なんだ、あれ・・・」
波打ち際に奇妙な物体があるのだ。色はよく見えないが赤っぽい。
最初は見間違いか、流れてきたゴミかと思ったがどうも違う。
「よし・・・」
僕はその奇妙な物体に近づき、そして近くに落ちていた木切れでつついてみる。
「ピ?」
「うわっ!」
するとその物体は声を上げ、そして立ち上がった。どうやら生物だようだ。
「ふぅー助かったッピィ・・・」
「わわっ!」
『友好珍獣接近!友好珍獣』
すると、コートのポケットに突っ込んでいたバトルナイザーが鳴り出した。
「まさか、怪獣!?」
僕は咄嗟にポケットから取り出したバトルナイザーを構えて身構える。
「ピィー、いじめないで~!ボク悪い怪獣じゃないよ~」
するとその赤い怪獣は前に突き出た小さな手をパタパタ動かして慌てた様子を見せる。
『友好珍獣ピグモン。宇宙各地に住む小動物、子ども並みの知能で人間に友好的』
バトルナイザーから解説の音声が流れた。どうやら本当に悪い怪獣じゃなさそうだ。
「わかったわかった、だからそんな慌てないで。それにしても、どうしてこんなところに?」
「ガランに追いかけられてたら変なところに入っちゃって。それで迷ってたら海に落ちて・・・」
「なるほど、それで流れ着いた、と。僕は浅間俊、よろしくね」
「シュン?あっ、昔僕を助けてくれた人とおんなじ名前ッピ!」
「そうなの?」
無論僕は全くそんなことをした覚えはない。
「昔同じように怪獣に追いかけられたときにレイオニクスのお兄さんが助けてくれたッピ」
「・・・レイオニクス?僕が?」
「だってバトルナイザーを持ってるし・・・。もしかして、何も知らないッピ」
『レイオニクス』その聞きなれない単語が出た瞬間、頭の中で何かが思い浮かんだような気がしたが、しかし何も思い出せない。
「ああ、3歳ぐらいのころに保護されたんだ、僕。だから、何でこれを持ってるのかとかも全然わからなくって・・・」
「そうなんだッピ・・・。あっ、ちょっとお邪魔するッピ!」
ピグモンはそう言った途端たちまち光となって僕のバトルナイザーの中に吸い込まれていった。
「あっ、おい!」
あわててバトルナイザーを開くと画面の一つにピグモンが映し出されている。
「ボクお家がないからこのに住んでいいッピ?本当なら3匹しか入れないけどボクはちっちゃいから入れる隙間があったッピ」
「もちろんいいよ。僕も似たようなもんだし」
もちろん僕は快諾する。
もしこのまま夜が明けてピグモンが誰かに見つかったら大騒ぎになってしまうだろう。僕も誰にも保護されずにいたら今の僕はないだろう。
「なんだかようわからんことだらけだが、これからよろしくね」
「よろしくッピ!」
僕は画面の中のピグモンに対して大きく呼びかけた。
誰にも打ち明けられない孤独から解放されたことが僕にとっての最大のうれしさだ。今僕はピグモンという最大の理解者を得たのだ。
「そうだ、この中に住まわせてあげる代わりと言っちゃなんだけど、君の知ってることいろいろと僕に教えてくれないか?いろんなことがありすぎて頭が混乱しそうなんだよ」
「分かったッピ!」
「よし!じゃあ家に戻るか」
僕はバトルナイザーを握りしめたまま砂浜を駆け出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はぁ、はぁ、ま、間に合った!」
「俊くん!聞いて聞いて、一大ビッグニュースだよ!!」
「おわっ、いきなりどうした」
朝、息を切らしながら教室に入ってくると、間髪入れずに千歌がとびかかるような勢いでこちらにやってきた。昨夜はずっとピグモンの話を聞いていたので寝坊してしまったのだ。
そもそもなんだ「一大ビッグニュース」って、「一大」と「ビック」で意味が被ってるじゃないか。「混沌なるカオス」と同じレベルだぞ。
「それで、なんなんだそのニュースだなんて」
「なんと!梨子ちゃんが曲を作ってくれるんだって!」
千歌は体全体で喜びを表現するかのように大きく一つ飛び跳ね、横にいる曜も嬉しそうな顔をしている。よほどうれしい事なのだろう。しかし、あれほど嫌がっていた桜内さんがいきなり曲を作ってくれるとは考え難い。
「本当か?千歌の誤解とかじゃなくって?」
「本当に本当であります!」
そう答えて曜はピシっと敬礼をする。
「じゃあもしかして、お前たち桜内さんになにか理由をつけて強引に・・・」
「あのっ、違うんです浅間さん!ただ、この間、海の音を聞かせてくれたお礼と言うか・・・」
後からおどおどしたような様子で桜内さんが出てきた。その手には楽譜を書くノートを持っている。
「そうなんだ。よかったな千歌。んで、歌詞はできてるのか?」
「カシ?お菓子のこと?」
「やっぱり・・・」
どうやら千歌は歌詞も作ってないのに作曲を頼んでいたようだ。まあ、今の今まで気づかなかった僕もバカっちゃバカだけど。
というわけで、僕たちは放課後に十千万旅館で作詞会をすることとなった。幼いころからここで育った僕にとっては実家に帰るようなものだ。
「おお、しいたけ、相変わらず元気だなぁ」
『ワンッ!』
バスから降りて旅館の前についた途端、僕たちを見て犬小屋から飛び出てきた、しいたけを撫でてやる。こいつは僕と同じころに高海家にやってきてたので、とても親近感があるのだ。
「もう、しいたけったら本当に俊くんが好きなんだから」
「い、犬・・・」
「あら~、みんないらっしゃ~い」
すると、玄関から志満姉さんが出てきた。元気な美渡姉さんや千歌と違ってとてもおっとりしている人物だ。
千歌の方は美渡姉さんにプリン食われたなんだと騒いでいるが無視しておいていいだろう。この二人はいつもこうなのだ。
「俊くんもおかえり。泊まっていくでしょ」
「うん、僕は準備してるから、千歌たちは先に行ってて」
「はーい!」
千歌たちと別れて僕の部屋に向かう。
「よし、どこもいじられてないな」
部屋は依然来た時と変わらない様子だ。この部屋は僕がいないことをいいことによく千歌のやつが勝手にものを取ってったり美渡姉さんに物置にされてしまうのだ。
早速僕は押入れを開けて布団や寝間着を取り出す。
「あれっ、これ・・・・」
すると、押入れの収納箱の中に、一つだけ異様なものを見つけた。
大人用のぼろぼろのコート。僕が保護されていた時に来ていたものだ。
「あれっ、ボクこれどっかで見た気がするッピ」
バトルナイザーからピグモンが飛び出してきた。
「本当か!どこで」
「俊くーんまだー?」
足音と共に千歌の声が近づいてきたので慌ててピグモンはバトルナイザーに戻り、コートとバトルナイザーを隠した。
「あっ、ごめん待たせちゃって」
二つをうまく隠しきったところで千歌が入ってきた。
「むー、俊くん最近なんか隠してない?」
「な、なにを言うんだ千歌」
図星だが、千歌と言えどもここで打ち明けるわけにはいかないのだ。
「千歌が部屋に入る前に何か言ってたし、怪獣が出てきたときはいなくなるし」
「た、たまたまだよ・・・」
「もう、私と俊くんの間に隠し事はなしだからね!」
「わかったわかった」
まだ布団も敷き終わってないが千歌に強引に連れられて部屋を後にし、曜と桜内さんが待つ千歌の部屋まで向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「えっ、桜内さんがスクールアイドルやる!?」
千歌から驚くべき情報を聞かされたのは作詞会翌日の朝食を食べている時であった。
「俊くんも呼ぼうと思ったんだけど、ぐっすり寝てたみたいだから・・・」
「ならしかたない・・・って、人が寝てる間に部屋に入るなよ」
千歌はいたずら好きであり、僕は昔から何度も被害にあっている。寝ている間に何をしでかすかわからないからだ。
「おー、千歌ったら今度は本人がいる日に忍び込むとは、これまた大胆なことを・・・」
向かいに座っていた美渡姉さんがはやし立てる。この人は何かにつけてこうなのだ。
「み、美渡姉さんやめてくださいよ」
「えっ!?美渡姉やめてよ!確かに俊くんの寝顔は見たけど・・・」
千歌はその後に何か言ったのだがよく聞き取れなかった。
「今度はって千歌お前まさか普段から・・・」
「ち、ちがうもん!」
「こらー千歌ちゃん、お客様に迷惑よ~。あと、俊くん、ちょっと。学校から電話よ」
志満さんが手招きしながら襖から顔を出した。
「学校から電話?わかりました」
その言葉に僕は急いで電話口へと向かった。
「はい替わりました、浅間です・・・えっ?新理事長が僕に会いたい?これから!?」
お読みいただきありがとうございます。誤字や文の乱れ等があったら報告お願いします。
「女の子に人気」の元ネタはウルトラマンタロウからです。