レイオニクスと9人の少女 【大怪獣バトル・サンシャインギャラクシー】 作:ふらんどる
史上最短内容激薄
「名前かぁ・・・、こりゃ難しいな」
砂浜でストレッチをしながら僕たちは相談を始める。
「確かに一番大切なところを忘れてたわね」
「千歌、何かいい案はあるか」
僕は一番言い出しっぺの千歌に聞いてみる。千歌は意外とひらめきの才能があるのだ。
「うーん、浦の星ガールズとか?」
「まんまじゃねえか」
やっぱりだめだった。次は梨子ちゃんに聞いてみることにした。東京出身の彼女なら最新の流行語も知っているかもしれない。
「梨子ちゃんは?」
「ええと・・、みんな海で知り合ったからスリーマーメイドってのはどうかな?」
「「いっちにーさんしー」」
「待って今のなし!」
これもどうやら曜と千歌にはお気に召さなかったようだ。僕は結構いいと思うんだけどな。
「曜はどうだ?」
「う~ん、制服少女隊!とか?」
「衣装制服に固定じゃねえか」
「もう!そんなに言うんだったら俊くんも案出してよ!」
「ええ、僕!?」
千歌に自分が指名されたので頭をひねるが、どうもいいものが出てこない。
「ま、マリンガールズとか?」
「「「にーにっさんしー」」」
「ですよねー」
必死に絞り出した案も黙殺されてしまった。確かに命名の基準が桜内さんと変わらないし。
結局今回の練習は名前決めということになり、各々が砂浜に名前を書いていくこととなった。しかし、命名というのは思ったより難儀なものでなかなか決まらず、見回すと砂浜は文字だらけになっていた。
「なかなか決まらないねー」
隣に座っていた千歌がそう呟いた。
「だからと言って『みかん』なんて書いてるんじゃないぞ」
「ねえちょっと、これって誰が考えたの?」
その言葉で僕たちは立ち上がり曜の方に向かう。
「どれだ?」
「これこれ」
曜が指さす所には
『Aqours』
と書かれていた。
「あきゅーず?なんじゃこりゃ?」
「私知らないよ。梨子ちゃんは?」
「私じゃないけど・・・もしかしてこれ
「Aqoursかぁ、いいんじゃないかな」
「私も賛成であります!」
「よーし!これから私たちはAqoursだ!!」
傾きかけた陽が照らす砂浜に千歌の大きく元気な声が響いた。
ここに浦の星女学院にスクールアイドルAqoursが誕生したのである。
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『私たち、浦の星女学院スクールアイドルAqoursです!』
それから曲作り、衣装作りビラ配りと忙しい日が続いた。今日も町の無線を使ってライブの告知をしている。
「ほら、お前も聞いてみろ。いい曲だぞー」
僕は梨子ちゃんから渡された出来上がったばかりのデモテープを聞かせる。
「いい歌だッピ!確か歌が好きな怪獣がいたような・・・」
「ああ、確かオルフィだったな」
ピグモン曰くバトルナイザーには怪獣を呼び出したりする機能の他に、怪獣図鑑や警報装置の役割もあるそうで、今回はその図鑑の機能を使ったのだ。便利なものだ。それと、結局何で僕が怪獣の知識を持っているのかはピグモンにもわからないらしい。まあ、こうなったら考えても仕方ないからもう考えないことにした。
「そういや、ピグモンは何でそんなにいろいろ知ってるんだ?」
「昔ボクを助けてくれた人が教えてくれたッピ」
「それって前に行った僕と同じ名前の人?」
「そうそう、シュンさんだッピ。むかしボクがイジワルなレッドキングにいじめられてた時に助けてくれたんだッピ!」
昔ピグモンを助けた『シュン』なる人物はいったい何なのだろうか。バトルナイザーの事もあるし、どうも全く無縁の人物とは思えない。
ますます謎が深まるばかりだ。
「それで、その『シュン』って人はどんな怪獣を使ってたんだ?」
「それが、ボク怖くってずっと隠れてたからわかんなくって・・・・」
「なるほど・・・、それとそのシュンさんは何をしてる人なんだ?」
「たしか、レイブラッドを滅ぼすんだって言ってたっピ」
「レイブラッド?なんだそれは」
「たしか大昔の宇宙人だッピ。その時のシュンさんとっても怖い顔してたっピ・・・俊さん・・・?」
「レイブラッド・・・レイブラッド・・・」
「俊さん!」
「あっ、ごめんごめん。つい考えこんじゃて」
「今の俊さん、シュンさんと同じ顔してたっピ」
「そうなの?ごめんごめん。それにしてもシュンさんって人に一度会ってみたいなぁ」
そんなことを話しながらいよいよ明日に迫ったライブの準備を進めるのだった。
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しかし、現実は残酷だった。当日体育館には花丸ちゃんやルビィちゃんの他に、あのサングラスの人物を合わせて10人前後だ。満員には程遠い。
僕は先ほどまでステージ裏にいる3人と話したり円陣を組んだりしてきて様子を見ようと出てきたのだ。
そしていよいよ幕が上がった。
「私たち浦の星女学院スクールアイドル」
「「「Aqoursです!」」」
まばらな拍手が起こる。体育館後方に立っている理事長は表情一つ変えない。
「私たちの初めての曲、聞いてください!」
その言葉と共に音楽が始まり千歌たちが踊りだす。
『大好きだったらダイジョウブ』
千歌のスクールアイドルが大好きだというまっすぐな気持ちをそのまま表現した曲だ。
衣装はあのμ´sが初めてライブした時のものと似せてある。歌もダンスも最初に練習を始めた時からは一段とうまくなっており、見入ってしまう。
ライブは順調に進み、曲も終盤に差し掛かったところで事件が起きた。
「嘘っ、停電!?」
一瞬の稲光に続いて大きな音がして体育館が真っ暗になった。電源が落ちたのだ。
確か用務員用の倉庫に非常用バッテリーがあったはずだ、彼女たちを助けたい一心で僕は倉庫に向けて走った。
そして、倉庫についた僕を待っていたのは全くもって意外な人物だった。
「あ、浅間さん!」
「ダイヤさん、どうしてここに!?」
彼女は今まさに僕が探していた非常用バッテリーを持ち上げようとしているところだ。
「やっぱりダイヤさんも・・・」
「ち、違いますわ、これは、・・・学校の為ですわ、勘違いしないでいただけますか」
「どうやらそうも言ってられないみたいですよ。ほら、あれ」
僕が指さした方には続々と体育館に入っていく人たちだ。学校に続く坂にも多くの車が昇ってくるのがわかる。
「これはっ・・・」
「とにかく運びましょう、話はそれからです」
こうして何とか電気は無事に元に戻った。
どうやら千歌が作ったチラシは開始時間を誤植していたようで、そのために大勢の人が大雨にもかかわらず今集まってきたのだ。体育館は超満員だ。
「みんな・・・」
ステージ上の千歌たちがそんな声を漏らしたのが聞こえた。
いつか志満さんがいってたっけ、「この町の人は暖かい」って。本当にその通りだと思う。
「さあ、もう一回いくよ!」
体育館は大きな拍手に包まれたのだった。
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ライブは大成功に終わり、僕は新鮮な空気を吸おうと外に出た。
雨はもう小降りになり、遠くには雲の合間から光が漏れている。
すると一人の人物が僕のすぐ前を通り過ぎた。
「あれっ、果南さん」
傘をさしていて顔ははっきりとは見えなかったが、あの服や髪型からして間違いなく果南さんだ。
確か以前誘ったときには『お店の用事がある』から来られないと聞いていた。
「果南さん!」
僕は傘もささずに果南さんの方に駆け出す。僕の声に気づいたのか果南さんもこちらに振り向いた。
「俊。よかったね、ライブ成功して。千歌たちにも伝えておいて」
「もちろんです。そういえば、用事があったんじゃないんですか?」
僕がそう聞くとなぜか果南さんは一瞬表情が曇る。
「ま、まあこの雨だし。延期になったからちょっと来てみたんだ」
「そうなんですか。もっと前で見ればよかったのに」
「来たの最後の方だったから。この天気でお店も心配だから、それじゃあね」
果南さんはそう言ってまた歩き始めた。
「また見に来てくださいね!」
傘を差した果南さんは一瞬後ろを振り返った後、そのまま何も言わずにそのまま坂を下っていった。
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