東方黒翼狂   作:娯楽のチェスター

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どーも、いつもサブタイトルの名前に苦戦する娯楽のチェスターです



第九話 激闘する漆黒の吸血鬼

目が覚め、辺りを見渡す。

辺りは暗く光もない。試しに魔術を使おうとするも使うことは出来ない

 

「ここが死後の世界というやつか?」

『否、そうではない。ここは我々の精神の中、言わば精神世界というのだろう』

 

突然背後から聞こえた声。振り返るとそこには彼がいた

グランスルグ・ブラックモア。そこに二つの影

まったく同じ容姿を持つ二人の吸血鬼、先ず口を開いたのは黒翼公呼ばれ死徒から恐れられた存在

 

『全くもって不愉快なものだ。あんな事をしてどうなるか解らなかったのか?』

気が付けば彼の傍らに吸血鬼であろう人物が見るも無惨な姿で横たわっていた

 

「ふむ。話を進める前に少しいいかね?その隣に転がっているのは何だ?」

『見ればわかるだろう。あの少女に取り憑いた怨念そのものだ。我らの世界に足を踏み入れたので私自らが仕留めたのだよ』

 

トドメと言わんばかりに怨念の頭部らしきものを踏み潰す

足元で息絶えた元レミリアの父親の残骸を見つめゆっくりと俺に視線を向ける。殺意を剥き出しにして

 

『さて…話の続きだ、グランよ。貴君の在り方は黒翼公に相応しくない。そしてここは我らの精神世界…片方が完全に消えれば主導権はどちらにいくのだろうな』

「なるほど。ここで私を殺して幻想郷に君臨するつもりかね?」

 

臨戦態勢を取り黒翼公(本物)を睨む

その姿勢を見た彼は鼻で笑う

 

『私に勝てると思うかね?』

「不可能に近いだろうな…だが、貴君の応え次第では私は全力で抗わせてもらおう。幻想郷に君臨して何をするつもりだね」

『無論、我が姫にこの世界を献上する。それにあの八雲紫という妖怪の能力は魅力的だ、我が眷属にし私の悲願を叶えるための糧となってもらう。そして……最後に彼女(上白沢慧音)を始末する』

 

バッと地面を蹴り黒翼公の胸を貫かんとグランの爪牙が伸びる。が、簡単に避けて反撃する黒翼公

腹部を蹴り飛ばし躊躇うことなく魔術を放つ黒翼公

俺は身体強化を使い回避を試みるがそれを見越しての攻撃だった

避けた先には既に黒翼公の魔術が迫っていた

 

「チィッ!!」

 

腕をクロスさせ何とか軽傷で済ませたが、凄まじい威力と破壊力だ。黒煙が立ち篭める中、黒翼公は正確に俺の居場所を捉える

 

『動きが悪い、その程度でこの私を打倒するつもりかね?笑わせる』

 

黒翼公から放たれた異様な魔術。ゴオッ!と音を立てて俺の片腕を抉る

グシャッ!と肉が潰れるような音が響く

 

「ガッ…!くっ、舐めるなァ!」

潰された片腕を気に止めず黒翼公に全力の魔術を放つ

風見幽香との戦闘で彼女が使用していた【マスタースパーク】と同様の威力を誇る破壊の光が黒翼公に迫るが無数の鴉が黒翼公の壁となる

 

そして黒翼公から異様なほどの黒き波動が肌で伝わり俺の脳が危険だと告げている。

辺りの空気が黒翼公へと収束する

 

『冥土の土産だ、受け取るがいい』

 

『———気をつけたまえ。

 我が夜に舞う鳥たちは死者にのみ厳しいぞ———』

 

幾億もの闇が辺りを包み始める。そしてそれは俺を包み込むと身体から異様な痛みが襲う

傷口から腐敗し、腕や足、目、様々な身体の部位が悲鳴を上げる

 

「がァァァァァァッ!!」

 

勝敗は決まった。朽ち果てる肉体。迫り来る『死』

だが、彼女を守る為にもここで倒れる訳にはいかない

 

激痛が走る肉体にムチを打ち腐りかけた肉体を維持しながら全魔力を注ぎ込み、俺は告げる

 

「気をつけたまえ。

 我が夜に舞う鳥たちは死者にのみ厳しいぞ…【ネバーモア】!!!」

 

展開されていた黒翼公の固有結界と俺の発動した固有結界がぶつかり合う

世界が歪み、亀裂が走る

ぶつかりあった2つの『ネバーモア』

それが2つ同時に消え去り最後に立っていたのは2体の吸血鬼

双方、満身創痍であった

 

『ぬかった。貴様程度に遅れは取らないと思ったがこのザマとは』

「…ワタシにモ、譲れなイものがあるかラね……全力でイカせてもらっタ。おかげで魔力ガ底をつきキそうだ」

口を開くが原型をほぼ留めていないグラン。喋るのもやっとの状態だ

お互い小さく笑い本物の黒翼公は霧のように消えていく

 

『魅せてもらったぞ、貴君の覚悟を。それがいつまで続くかは知らんが…せいぜい頑張りたまえ』

皮肉を言おうと思ったが途中でやめた。消え去る彼を見ながら自分もゆっくりと目を閉じた

 

 

再び目が覚める。目に入ったのは赤い天井。身体を起こそうとするも疲労が激しい

例えるなら夜勤明けで飲み会に無理やり連れていかれてようやく家に帰りついたと思えば眠れる時間があと2時間程度しかない。そんな疲労……わかりにくいな、自分で考えたものの

 

何とか上半身を起こそうとしたがお腹の辺りに何かがいる。金髪の幼い吸血鬼、フランドール・スカーレット

そして、近くの椅子に座り目を瞑っている紅魔館の当主レミリア・スカーレット。奥に目をやればソファーで寝ている魔理沙と霊夢

どうやらフランは無事のようだ。寝顔がくそ可愛い

癒される…

 

すると扉から静かに4回ノック音がすると洋風の扉が開かれ銀髪のメイドが顔を見せた

そう完璧で瀟洒なメイド長、十六夜咲夜殿だ

 

「あ、お目覚めになられたのですねグランスルグブラックモア様」

「君に名前を教えた覚えはないが……様付けは不要だ、メイド長。私のことはグランと呼びたまえ」

 

「いえ、そうはいきません。我らが主君を助け、その妹様も救って下さった方を呼び捨てなど……」

「君は堅いな…失礼だが私が眠ってからどれだけの時間が経った?」

 

メイド長が応えようとすると、ゴーンっと時計の鐘が鳴り響く

ちょうど0時になったようだ、道理で腹が減るわけだ

 

「ふむ、0時か…私はそろそろ行かねばならんな」

「そんな!まだお嬢様達も目が覚めてないのに!」

「ふふっ。こんな可愛い寝顔を見てしまったら起こす気分にはなれんさ……」

 

起こさないようにベットから降り代わりにフランとレミリアをベットに寝かせ毛布をかけた

もう1枚の掛け布団は霊夢達にかけ窓から飛び立とうとすると背後から彼女が呼び止める

 

「お待ち下さい、グラン様。何か御礼を…!」

「礼など不要だ。と言いたいが、そうだな。レミリア嬢に伝えておいてくれ。妹君とこれから先も末永く幸せに暮らして欲しいと」

 

ふっ、決まった。かっこよく窓から飛び出し飛び立とうとする

ガンッ!!鈍い音と共に頭に激痛が走る

空に飛び立とうと舞い上がった瞬間、見えない壁がそれを阻んだのだ

 

「…………」

 

静かに窓から屋敷に入り目の前で笑いをこらえているメイド長に聞いてみた

 

「……失礼、メイド長よ。この結界は誰が展開しているのかね?」

「ふっ……んん、大図書館にいらっしゃるパチュリー・ノーレッジ様です。あのお方が紅魔館全体に結界を貼って下さってるのです」

「出来ればそういう事は早く言って欲しいものだな」

「くくっ……も、申し訳ありません」

 

……かっこ悪いなぁ、俺

 

『結界が貼ってあるのを見落とした貴君が悪い』

 

いやーん。ご最もです。でもさっき殺し合いしたのに普通に話しかけて来てくれるのね黒翼公

 

『なに、貴君が腑抜けたような生き方をすればすぐに主導権を奪い取るさ……それよりも、カッコつけてあの失態は正直……クックック……』

 

笑うんじゃねぇぇぇぇえ!!!

 

とりあえずその日は紅魔館に泊まることになった

夜ご飯は咲夜さんが俺に貸してくれている部屋の所まで持ってきてくれた

実にいい、可愛いメイド長がいて豪華な屋敷にベット。羨ましい限りである

 

そして翌朝

現在紅魔館の門の前、そこにはレミリア、フラン、咲夜さんに霊夢と魔理沙最後に俺が集まっていた

ちなみにだが昨日の夜、霊夢にこっぴどく説教された

怒る霊夢は怖かったが本当に俺の事を心配してくれているのがよく分かった

 

「改めて礼を言わせてくれ、美鈴、博麗の巫女、魔法使い、そして…異界の吸血鬼よ。紅魔館はこの恩を忘れない…必ず借りは返そう」

「君も中々、頭が堅いな…」

カリスマモード全開のレミリアに苦笑いを零す

その後ろにはフランがいた

 

「また遊びに来てね、黒いお兄様」

「フラン嬢、私の名はグランスルグブラックモアだ。簡単にグランっと呼び捨ててくれて構わん。何せ私と君はもう友人関係なのだからな」

 

そう昨日の夜、フランと友達になることを約束した

長い間紅魔館の地下で暮らしていて友達がいないから俺がその友達1号となったのだ

 

俺の言葉を聞いて嬉しそうに微笑む。その笑顔で俺の疲れた心も癒されるというもの

 

各自挨拶を終え紅魔館をあとにする

空に飛び立ち、自分の家に向かっていると後ろをついてきていた霊夢が口を開く

 

「ねぇ、グラン。アンタは…アンタはなんでそこまで他人の為に命を掛けれるの」

 

空を飛びならが彼女の方を向き目を見る

その目には何故か悲しみがあった

理由を聞こうと思ったがやめた

 

「さてな…こればっかりは私の性分だ。どうすることも出来ん。それに……」

「…?それに?」

「あのままレミリア嬢を始末してしまっても悲しみしか残らん。ならば彼女が異変を起こした原因を片付けてやれば事は済む」

「グランはお人好しなんだぜ、でもそういうの嫌いじゃないぜー」

 

にししっと笑う魔理沙。彼女の笑みにつられて俺も笑う

「お人好しで悪いかね?」

「吸血鬼が人を好きって言うのも変な話よね」

「まったくだぜ!」

 

自分の家が見えた所で俺は彼女達に別れの挨拶をして先に自宅へと着いた

扉の前まで降り立つ。がここで問題が起きた

何者かが家の中にいる

大妖精やチルノではない、一体誰だ

恐る恐る扉に手をかけいつでも臨戦態勢にいけるように構えたがその必要がないことはすぐにわかった

そう俺の家の中にいたのは、人里の守護者であり寺子屋の先生である上白沢慧音だった

 




今日も1日頑張るぞい
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