ジョジョの奇妙な鬼滅【Part1 ファントム・ブレード】 作:龍流
身体が沈み込むような闇の中で、刃の火花が弾ける。
「ジョナサンっ!」
「おうっ!」
炭壱の怒声に、ジョナサンが応えた。
死角に回り込んでの連携攻撃。しかし、それすらも目の前の悪魔は読んでいたのか。
余裕すら感じさせる笑みを浮かべながら、一言。その『スタンド』の名を言い放つ。
「『ザ・ワールド』ッ!」
瞬間、目標に対して肉薄していたジョナサンの拳は受け止められ、目にも止まらぬ殴打のラッシュが反撃として見舞われた。
闇の中で、爛々と輝く双眸。傲慢と邪悪を煮詰めて凝り固めたかのような、不敵な笑み。悪魔……ディオ・ブランドーは『この時代では発現していないはず』のその力を、喜々として振るう。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
「ぐぁああ!」
鍛え上げられたジョナサンの肉体といえども、そのラッシュを正面から受けて耐えられるはずもなく。筋肉が詰まった重い体が、まるで紙人形のように吹き飛ばされる。
「ジョナサン!」
炭壱の意思に応じて、ディオのものとは別の……炭壱の『ザ・ワールド』が地面に叩きつけられる前のジョナサンを抱き取める。仲間を気遣う的確なフォローに、しかしジョナサンは表情を歪め、焦った。それは、ジョナサンが心優しく、自身よりも仲間を想う性格であるからこその、焦り。
「炭壱さん、ダメだっ!」
フォローに回った炭壱が、相手の『ザ・ワールド』を前にして丸腰になっていた。
当然、ディオがその隙を見逃すはずがない。
「美しい友情だぁ……見ていて反吐が出るぞッ!」
唸る『ザ・ワールド』の拳打の雨が、炭壱に降りかかる。だが、炭壱の額には汗の一粒すら滲んではいなかった。窮地の最中、炭壱の額には汗の一粒すら滲んではいない。
短く、一言。炭壱は告げる。
「世界」
ディオの叫びが。
見開かれたジョナサンの瞳が。
殺意が籠ったスタンドの拳が。
閉ざされた夜の闇の中で、唯一人を除いて全てが動きを止める。
「……俺だけの『世界』か」
一歩、握る刃に力を込める。
二歩、踏み出した全身に吸い込んだ空気を行き渡らせる。
三歩、斬るべき首を、静かに見据え。
夜の闇を、日輪の一閃が奔った。
「無駄ァ!」
だが、届かない。
「っ……!?」
たしかに『停止した時間』の中で、息を吹き返したディオは迫る刃をすんでのところで避け、炭壱に反撃を叩き込んでみせた。
「貴様が『世界』を止められるのならっ! このディオに世界を動かせぬ道理はない!」
「なるほど……流石は、『悪のカリスマ』だな」