調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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Ⅹ 騎士と狼

 

 

病院の入り口にて、甲高い金属音が響く。

 

 

「ォォォォォォォォォ!!!!」

「クゥッ!!」

 

 

そこには剣と刀を持った二人が殺し合いをしていた。

 

 

一人は桃色の髪をした女性シグナム。感情が無くなって人形のようだった彼女には怒りを越える憤怒の感情が戻っていた。

 

許せない。

 

許せない。

 

彼の生涯を共にしたあの刀を我が物顔で使っているあいつが許せない。

 

 

シグナムの感情が戻った原因はもう一人の少年衛宮士郎が握っている刀。焔魔刀(エンマトウ)焔華(ホノカ)。闇の書の主である八神時雨の愛刀。それを士郎は投影魔術によって作ってシグナムと打ち合っていた。

 

 

上下左右から振るわれるレヴァンティンにはシグナムの本来の剣筋は無くなっていて、ただ振り回しているようにしか思えなかった。怒りというのは人から冷静な判断力を奪う。しかしその代わりと言うべきか一撃一撃の重さは遥かに重たくなっている。

 

 

それを士郎は一歩も引くこと無く受けていた。こうして士郎が戦える理由は一つ、刀に宿った八神時雨の戦闘経験を焔華(ホノカ)を通して読み込んでいるから。憑依経験の読み込み、これによって士郎は時雨の技術を模倣する。

 

 

「ーーーーーーーーハァッ!!!」

 

 

大振りになったレヴァンティンの一撃を体制を低くすることで避け、無防備になっている心臓に目掛けて焔華(ホノカ)を突き出す。これが当たれば心臓は串刺し、シグナムは死ぬことになるだろうーーーーーーーー()()()()()()()

 

 

「ーーーーーーーーなっ!?」

 

 

驚愕の声をあげたのは士郎だった。何故ならば、彼の放った刺突が他の誰でも無い彼自身の手によって止められたのだから。もちろん士郎はこの突きを止めるつもりなどはなく、間違いなくシグナムを殺すつもりで放ったのだ。目の前で無防備になっている士郎の頭部目掛けてシグナムは蹴りを放つ。憑依経験から士郎はその蹴りを自分から飛ぶことで受け流すことに成功し、仕返しと言わんばかりに焔華(ホノカ)を振り、刀身から溢れる蒼炎をシグナムに向ける。

 

 

大気を焼き、地面を溶かしながら燃える蒼炎はシグナムに届くーーーーーーーー直前で、二手に別れてシグナムを避けた。

 

 

「な、何でだ!?」

 

 

憑依経験の読み込みに成功しているはずなのに思うようにいかないことに困惑の声をあげる。

 

 

何故この様な事になっているのか?憑依経験の読み込みの失敗?いいや、読み込み自体には成功している。しかし憑依経験の読み込みに成功しているということは、言い方を変えれば時雨に成りきっているのと同じ。

 

 

時雨は自分の為ならば世界を敵に回すことも厭わない究極のエゴイストである。そんな彼が自分の守りたいと決めた者を傷つけるだろうか?答えは否だ。時雨は例え自分が死ぬとしても守りたいと決めた者を傷つけることはしない。

 

 

つまり士郎はシグナムを打倒できる力を手にいれた代価としてシグナムを傷つけることができなくなったのだ。

 

 

それでも時雨の経験は士郎をシグナムの猛攻から守り続ける。少なくともシグナムに殺されることは無くなったと言える‥‥‥‥が、その拮抗は簡単に崩れる。

 

 

「ガァーーーーーーーー!?」

 

 

心臓に走る痛みと口の中に広がる鉄の味。士郎は胸を押さえながら吐血した。これは士郎の技量を越えた投影魔術を行った副作用、そして時雨の経験を読み込んだ代価。己の技量を越えた魔術は身を滅ぼす。そして時雨の経験は士郎が行うにはあまりにも不相応だった。何故なら、時雨の経験は他の誰でも無い時雨自身の為の物。他の誰かに伝えることなど考えていた訳では無いし、他の誰でも使えるような物でもない。時雨か自分の為だけに磨きあげられた技量を、時雨に成りきっている士郎が使える訳がない。

 

 

「ーーーーーーーー」

 

 

膝を着いている士郎を見下ろすシグナムの目は冷たかった。レヴァンティンを振り上げる。狙いは膝を着いて動けなくなってる士郎の首。時雨の死の一因であり、時雨の生き方を汚した士郎をシグナムは許すつもりなど無かった。凜とルヴィアが駆け寄ろうとするがそれよりもシグナムがレヴァンティンを下ろす方が圧倒的に速い。

 

 

そうしてレヴァンティンが士郎の首に吸い込まれるように振り下ろされーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甲高い金属音と共に、間にやって来た影に防がれた。

 

 

「ーーーーーーーー誰だ、貴様」

 

 

手から肘までを覆うようなガントレットによって防がれたレヴァンティンに力を込めながらシグナムは問う。ギチギチと金属の擦れ会う嫌な音をたてながら、その人物は堂々と言いはなった。

 

 

「ーーーーーーーーアルフ、ただの使い魔だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーハァッ!!!」

「ーーーーーーーー」

 

 

レヴァンティンを力任せに弾いてシグナムに距離を取らせる。アルフはシグナムの事を警戒しながらもガントレットの調子や傷がない事を確かめていた。このガントレットはプレシアがサーヴァントとの戦闘を前提に作った武具である。時雨が死んだ時の映像はアースラにも届いており、アルフはそれを見てしまった。その時のアルフの様子はクロノを始めとした管理局員たちからすればいつ自殺してもおかしくない状態だった。それを見たプレシアはこのガントレットを作ってアルフに差し出し、

 

 

『これはサーヴァントとの戦闘を想定して作った物よ。アルフ、貴女のやりたいようにやりなさい。本当に貴女が時雨の事を想っているのなら、私たちは貴女がどの道を選ぼうが文句無いわ。だから死のうだなんて考えないで、時雨だってそう思っているはずよ。あの身内贔屓の馬鹿ならね』

 

 

そう言われたアルフは決心したような顔付きになり、プレシアからガントレットを受け取った。そして落ちていた体力を戻してこの場に現れたのだ。

 

 

「あ‥‥ありがと‥‥アルフさん‥‥」

 

 

口から流れる血を拭き取ることも難しいのか、士郎は息絶え絶えになりながらもアルフに礼を言った。焔華(ホノカ)は士郎が限界を迎えたからか、すでに消滅してしまっている。

 

 

「ーーーーーーーー」

 

 

そんな士郎にアルフは何も言わずにーーーーーーーー

 

 

「ーーーーーーーーガァ!?」

「士郎!?」

「シェロ!?」

 

 

本気で握り締めた拳を頭部目掛けて振り抜いた。限界を迎えた士郎はその拳を避けることが出来ずに二、三度地面をバウンドしてようやく止まった。

 

 

「助けに来たのではないのか?」

「助ける?冗談言わないでよ。なんであたしが時雨を殺した奴の事を助けなきゃならないのさ。ただあの小僧が邪魔だったから退かしただけだよ」

 

 

そう、アルフからすれば士郎と、もう一人は時雨の仇なのだ。見捨てる理由はあれど助ける理由などはない。アルフが今からしようとすることに邪魔だったから退かしただけに過ぎないのだ。

 

 

「あたしが用があるのはアンタだよ、シグナム」

「‥‥‥‥なんだ?」

「アンタ‥‥‥‥なんだいその様は。それが時雨の最後を看取った奴のするような顔かよ」

「ーーーーーーーーッ!!」

 

 

アルフの言葉がシグナムの琴線に触れたのか、シグナムはアルフ目掛けて突貫してレヴァンティンを振るう。それをアルフは容易げにガントレットで受け止める。

 

 

「貴様ぁ‥‥!!貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「なんだい怒ったのかい?メソメソ泣いてることしかできない泣き虫野郎が」

「黙れッ!!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

 

士郎が焔華(ホノカ)を手にした時と同じ様にシグナムは激高しながらアルフに斬りかかる。そしてそれをアルフはその場から一歩も引かずにガントレットで受け止め続けていた。シグナムはベルカの騎士と呼ばれる存在でその技量はこの時代の一般的な魔導師など及ばない。しかしアルフは、対人戦に秀でているアルフならば、攻めることを完全に捨てて防御だけに集中していればシグナムの攻撃でも落とされないという自信があった。本来のシグナムならばアルフは苦戦を強いられていたであろう。でも今のシグナムにアルフは負ける気など無かった。

 

 

「貴様にッ!!貴様に何が分かる!!時雨を殺す(すくう)と決めたのに!!それが出来なかった!!リニスを見捨てて!!時雨を殺して!!私だけが生き残った!!守ると決めたのに!!側に居たいと願ったのに!!私が台無しにしてしまったんだ!!貴様に私の気持ちが分かるかッ!!」

 

 

いつの間にかレヴァンティンを振るっているシグナムの目から涙が流れていた。

 

 

これがシグナムの心の内。

 

 

愛した主(しぐれ)を殺して、(リニス)を見捨てて、自分だけが生き残ってしまった。時雨を殺す(すくう)ことも出来ずに自ら守ると決めた誓いを汚してしまった。それなのに自分は生きなくてはならない。他の誰でも無い時雨自身に生きてほしいと請われたから。死にたいのに死ねない、生きたくないのに生きなければならない。罪悪感と矛盾した本能と理性、それらによってシグナムはボロボロになっていた。

 

 

「‥‥‥‥分かるよ。アンタ、時雨のことが好きだったんだろ?」

「ーーーーーーーーえ?」

 

 

レヴァンティンが止まる。レヴァンティンを振り上げたままの体制で止まっているシグナムの顔は唖然としたものだ。そんな無防備なシグナムを前にしてもアルフはなにもしないで言葉だけを続ける。

 

 

「嫌だよね、好きな人の力になりたいのになれないのは。嫌だよね、好きな人の最後を看取るなんて。嫌だよね、好きな人を傷つけるなんて。あたしも時雨のことが好きだった。だからアンタの気持ちはよく分かるよ‥‥‥‥だけどね!!」

 

 

そこまで言うとアルフはシグナムの胸元をつかんで力任せに自分の方にへと寄せた。アルフの顔は歪んでいて誰から見ても怒っていることが明らかだった。

 

 

()()は違うだろ!!なんで時雨が守りたかったアンタがそんな顔してんだよ!!なんで時雨の近くにいたアンタが時雨のことを理解していないんだよ!!時雨はアンタのことを恨んでなんかいない!!それは分かってるんだろ!!時雨の最後を看取って!!時雨の最後の言葉を聞いたはずなのになんでそうなってるんだよ!!今のアンタを見たら‥‥!!時雨が‥‥!!あんなことをしたっていうのに‥‥!!報われないんだよ‥‥!!」

 

 

シグナムを叱責するアルフの目からはボロボロと大粒の涙が流れていた。アルフは今のシグナムを見たときから心の内に溜め込んでいた感情が爆発したのだ。時雨が守りたいと願った者たちを見てどうするかを決めようとしていたアルフだったがシグナムはどこからどう見てもダメであった。

 

 

時雨の最後を看取ったはずなのになんだそれは?

 

時雨の最後の言葉を聞いたはずなのになんだそれは?

 

時雨はお前たちが笑顔であってほしいと願って逝った。

 

なのにお前はどうしてそんな顔をしている?

 

報われない。

 

それでは時雨が報われない。

 

少数の大切な者たちを守る為に世界の敵になった時雨が報われない。

 

 

「私だって‥‥分かっているんだ‥‥‥‥」

 

 

アルフの言葉を聞いたシグナムも目から涙を流していた。握られていたレヴァンティンはシグナムの手から離れて地面に落ちる。

 

 

「あの人が‥‥時雨が何を守りたかったかなんて分かっている‥‥でもダメなんだ‥‥‥‥彼を殺す(すくう)と決めたのに‥‥彼の守りたかった者を守ると誓ったのに‥‥彼を守りたいと決めたのに‥‥‥‥私は‥‥どれも果たすことが出来なかった!!そんな自分が不甲斐ない!!情けない!!腹が立つ!!私なんて死んでしまったらーーーーーーーー」

「甘ったれるんじゃない!!」

 

 

シグナムの泣き言を聞いたアルフがシグナムの顔面を殴った。

 

 

「時雨はッ!!自分がどうなってもアンタらに生きてて欲しかったんだ!!だから死ぬだなんて冗談でも口にするな!!!」

 

 

そう、時雨の考えることとは結局のところアルフが言った通りなのだ。

 

 

大切な者たちには生きていて欲しい。

 

その為には自分はどうなろうと構わない。

 

 

そんな時雨の考えをなんとなくだが理解していたアルフだからシグナムの言葉を聞いてシグナムを殴った。

 

 

それでは時雨が命を賭けた意味がなくなってしまうから。

 

 

「わた‥‥しは‥‥‥‥」

 

 

殴られた頬を気にすることなくシグナムは言葉を続けようとするがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーガァ!?」

「人形風情が人のように振る舞っているなど片腹痛い」

「ッ!?シグナム!!」

 

 

シグナムの胸から腕が生えてきたことでそれは中断させられた。シグナムの背後にはいつの日にか時雨によって半殺しにさせられたはずの仮面の男が立っている。そしてシグナムの胸から生える腕の手には桃色の光が集まっていた。シグナムの魔力である。

 

 

「このっ!!」

 

 

アルフがとっさに仮面の男目掛けて拳を振るう。

 

 

「ふん」

 

 

しかし仮面の男はそれをあっさりと後退して避けてしまった。魔力を盗られたことでシグナムは立てなくなり、その場に崩れ落ちてしまう。

 

 

「‥‥‥‥これで守護者たちの魔力は集まった」

 

 

仮面の男の手にはシグナムから奪った桃色の魔力の他に緑色、白色、橙色の魔力があった。そう、シャマル、ザフィーラ、ヴィータの魔力である。

 

 

「これで闇の書は完成する」

 

 

男が左手を掲げる。するとそこに一冊の本が現れた。表紙に十字の飾りが施された本ーーーーーーーー闇の書である。仮面の男は迷うことなくシグナムたちから奪った魔力を闇の書に蒐集させた。そして闇の書の空白だった最後の四ページが埋まり、闇の書の全六六六ページがすべて埋まった。

 

 

そして仮面の男の足元と病院の一角に魔法陣が浮かび上がる。それはアルフも知っている転移魔法の発動の前触れだった。

 

 

「逃がすか!!!」

 

 

転移させまいと己の全力で仮面の男に突貫し、アルフは固く握り締めた拳を振り抜きーーーーーーーー当たる寸前で、仮面の男に転移を許してしまった。目標を失った拳は虚しく空を切る。

 

 

「くそっ!!」

 

 

転移を阻止出来なかったことに苛立ちながらもアルフは仮面の男を探すために空を飛ぶ。他にもあの仮面の男の介入に気づいた者がいるのか、あちこちであった戦闘の一部は中止されていた。しかしアルフにはそれを気にしている余裕は無かった。とっさに嗅ぎ取ることのできた仮面の男の臭いを元に海鳴の町を探す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーーーーーーーーここ、は」

 

 

病室ではやての看病をしていたがうたた寝をしてしまったスノウが目を覚ますとそこは見慣れた病室ではなかった。どこかの空き地のようで、近くには崩れかかっている建物が見える。スノウは知らなかったがそこは時雨が工房として利用していた廃工場のあった土地だった。

 

 

「なぜこの様な場所に‥‥?まさかシグナムたちが圧されてとっさに私たちをここに逃がしたのか?」

「うぅん‥‥寒い‥‥」

「はやて」

 

 

眠っていたはやてが目を覚ました。時雨が居なくなってから意識を失っていたはやてだったが偶にこうして目を覚ますことがあった。しかしすぐに意識を失ってしまうのだが。

 

 

「ーーーーーーーー闇の書の主と管理人格だな」

 

 

声をかけられると同時にバインドによってスノウが拘束される。そして現れたのは仮面の男。その手には闇の書と、何が袋のような物を持っていた。

 

 

「くぅっ!!」

「スノ‥‥ウ‥‥?‥‥ッ!!アンタ誰!?スノウを放して!!」

 

 

ようやく意識が覚醒したのか、バインドで縛られているスノウを見て仮面の男に向かって叫ぶ。なんとかしてバインドを外そうとしているが闇の書の主であることを除いては普通の少女であるはやてにはそのバインドを外すことは出来なかった。

 

 

「これを見ろ」

 

 

仮面の男がはやてに向かって手にしていた袋を投げた。地面にバウンドしながらそれははやての目の前で止まって、袋の中身が露になる。

 

 

それを見て、はやてとスノウは時間が止まったような感覚を味わった。はやてはバインドで縛られているスノウのことなど忘れて、スノウはバインドで縛られていることなど忘れて、その袋の中身を凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーおとう‥‥さん‥‥?」

 

 

それは、時雨の頭部だった。

 

 

「嘘や‥‥」

「はやて!!」

 

 

自分が愛して、自分に惜しみ無い愛情を注いでくれる父の頭を目の当たりにしてはやてから出たのは否定の言葉だった。それはそうだろう、自分に近い者の頭だけを見せられれば否定したくもなる。スノウがはやてに呼び掛けるものの、今のはやてにスノウの声は届かなかった。

 

 

「嘘や‥‥嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘やこれは良くできた作り物やだってお父さんが死んだなんてそんなの悪い夢に決まっとる」

 

 

はやての目から光が失われる。

 

 

これは虚構だと言い聞かせる。

 

これは作り物だと言い聞かせる。

 

これは夢だと言い聞かせる。

 

 

自分はまだ病院のベットの中にいて夢を見ているのだ。そして起きた時に夢との区別がつかなくて慌てているところに時雨が現れてそれが夢だったと分かる。そしてそこで安心して、時雨にこんな夢を見たと説明して勝手に殺すなと小突かれる。

 

 

そんな都合のいい展開を予想していたはやてだったがーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「これは本物だ、八神はやて」

 

 

仮面の男が、振り上げた足を地面に転がる時雨の首に下ろした。当然ただの首がそれを避けられる訳もなく仮面の男に踏み潰される。頭部に残っていた血と、脳漿の一部がはやての顔に飛び散る。

 

 

冷たい血と

 

そこから香る鉄臭さが

 

これが現実であることを証明していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーーーーーーーーーーーーーーーーいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー闇の書、全六六六ページの蒐集確認

 

 

ー守護騎士プログラムの魔力確認

 

 

ー闇の書の主の存命確認

 

 

ー心理状態絶望‥‥良好

 

 

ーサーヴァント三騎の消滅確認

 

 

ー訂正、還元された魔力はバーサーカーとアサシンの二騎のみ

 

 

ーライダーの魔力の還元は認められず‥‥問題なし

 

 

ー条件オールクリア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー魔術プログラム【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)、起動します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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